The Baryonic Tully-Fisher Relation S. S. McGaugh, J. M. Schombert, G.D. Bothun and W.J.G. de Blok 2000ApJ.533L.99M 銀河物理学特論I 講義1.近傍宇宙の銀河の統計的性質 1-4.銀河の力学構造 2009年6月8日 沖田博文(M2)
Tully Fisher Relation Luminosityと銀河の線幅 (Tully&Fisher 1977) 銀河の全光度 HIガスの線幅 (Tully&Fisher 1977) これを使って、 ・銀河の距離の測定(Sagai et al. 2000; 他) ・銀河形成理論への制限(Dalcanton et al. 1997; 他) しかしTully-Fisher Relationの物理的な意味は分かっていない ・傾き ・ばらつきの少なさ (Tully&Fisher 1977)
そこで、 ・全質量と回転速度には普遍的な関係 が存在 ・Luminosityは全質量をトレース ディスク内で光っているバリオンのうちの星の割合 ディスクに存在する銀河ハロに由来するバリオンの割合 普遍的に存在するバリオンの割合 とすると、伝統的な Luminosity と Line-width の関係は より物理的な バリオン質量 と 回転速度 の関係となるはず??
データ Vc >100km/sの銀河 ・extensive H-band for Late-type cluster spiral (Bothun et al. 1985) Vc <100km/sの銀河 ・late-type dwarf low surface brightness galaxies (Schombert et al. 1997) ↑W20、HI質量、測光データ(Iバンド他)からなるカタログ ・傾きが45度以上のもののみを使用 i ・回転速度Vflat ~ W20と見なす ・様々なバンドの測光データ → フィルター毎にM/Lを仮定 12Gyr solar metallicity constant star formation Salpeter IMF
結果 ・Vc<90km/sでブレイク + 分散大となるが、 H band data (Bothun et al. 1985) K’ band data (Verheijen 1997) I band data (Pildis et al. 1997) B band data (McGaugh & de Blok 1998) B band data (Matthews et al. 1998) ・Vc<90km/sでブレイク + 分散大となるが、 total observed baryonic disk mass Md = M* + Mgasでリニアーな関係に ・ とすると
解釈 バリオンの質量と回転速度は普遍的な関係なのか? ・logの傾きが4 ←ビリアル定理から出てくるが、なにかを仮定することで 他の傾きも可能(Mo et al.1998他) 例えば ・最近のCDMモデルだと3 ← 8σで棄却 ・Milgrom 1983のCDMモデルなら説明可能 しかし、このモデルはすべての質量=バリオン ・ばらつきが小さい ← を一定、 は既知とすると、 ・ が一定であれば、ディスクに存在するバリオンの割合は どの銀河でも一定となる しかしNavarro et al.1996によるとdwarfのバリオンの割合は少? Baryonic Tully-Fisher Relationでばらつきが小さいと言う事は、 がその銀河すべての質量に比例する事を意味する
まとめ ・今までにない広い質量・回転速度域でTully-Fisher Relationを調べた。 恒星質量だけだと90km/s以下の回転速度の銀河(=低質量の銀河)ではTully-Fisher Relationは成り立たないことが分かったが、恒星質量にガス質量も加えるときれいな比例関係が成り立つ事が分かった。この結果からTully-Fisher Relationはバリオン質量と回転速度の間の関係であることが分かった。 また、 ・観測可能なバリオンの質量は全質量に比例する。(渦巻き銀河のバリオンとダークマターの比は広い質量幅で一定) ・この観測結果はすべてのバリオンはハロが冷えてディスクになるというCDMモデルに基づく最近の構造形成理論(傾き3)に合わない。
Pierce&Tully 1992
M/Lが一定と仮定、 さらにダークマターとバリオンの比が一定 ビリアル定理より 表面輝度 であるので書き直すと よって