消化性潰瘍 (胃・十二指腸潰瘍)
目 次 Index 胃の働き 胃炎 消化の仕組み 急性胃炎 胃、十二指腸潰瘍ってどんな病気? 慢性胃炎 症状 参考文献 原因 治療方法 目 次 Index 1 胃の働き 9 胃炎 2 消化の仕組み 10 急性胃炎 3 胃、十二指腸潰瘍ってどんな病気? 11 慢性胃炎 4 症状 12 参考文献 5 原因 6 治療方法 7 治療<食事療法> 8 患者数の推移
胃の働き 1 食べ物は歯で噛み砕かれたあと、唾液と混ざり合い、 食道を通過して胃に送り込まれます。 胃に入った食べ物は蠕動(ぜんどう)運動によって胃酸と混ざり合い消化されます。 その後、粥状の状態で十二指腸へ送り出されます。 胃酸には消化酵素が含まれ、たんぱく質、糖質、脂質を分解します。 また胃酸は強い酸性で、食べ物とともに入ってきた ウイルスや細菌の増殖を抑えたり、殺菌することが できます。 胃の中での食べ物の消化には、3~5時間かかります。
消化の仕組み 2 ≪栄養素の消化ルート≫ 糖質 たんぱく質 脂質 口の中 (アミラーゼ) 胃 (ペプシン) 十二指腸 (アミロプシン) (トリプシン) (リパーゼ) 小腸 空腸・回腸 ( )内は消化酵素 消化開始部位 吸収部位
胃、十二指腸潰瘍ってどんな病気? 3 潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜を貫通し、筋層まで到達して傷つけます。 胃の内部は食物を消化するために強い酸性に保たれています。 この強い酸性から胃を守るため、粘液が胃壁全体を覆っており、 健康な胃では、胃酸と粘液のバランスが上手くとれています。 しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れた時、強い酸で胃や 十二指腸がただれたり、出血したりします。 これが 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍) です。 日本では胃潰瘍を患う人が十二指腸患者に比べて多いですが、 海外では胃潰瘍を患う人は稀と言われています。
「差し込むような」「焼けつくような」「うずくような」「ヒリヒリする」 4 症状 自覚症状の一般的なものが「痛み」です。 「差し込むような」「焼けつくような」「うずくような」「ヒリヒリする」 活動期に痛みが生じ、治癒期は無症状。 十二指腸潰瘍 腹痛が一般的な症状。何かを食べると症状が和らぎます。 そのため、夜間や午前中に多く見られます。 胃潰瘍 心窩部や背中に痛みが生じます。食前食後等の典型的な時間はなく、 個人差があります。 その他症状として・・・ 食欲不振、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、体重減少、吐血、 下血、口臭、胸やけ、低血圧、失神
原因 5 ・ H.pylori(ピロリ菌)の感染 ・ 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用(消化性潰瘍患者の50%以上が使用) ・ 喫煙 ・ アルコールの過剰摂取 ・ 遺伝(十二指腸潰瘍がある小児の50~60%は、血縁者に消化性潰瘍保持者あり) ・ 精神的ストレス(直接的な因果関係不明) Helicobacter pylori 胃粘膜のみに生息する細菌。 胃の粘膜の表面にくっついたり、細胞の間に入り込んで増殖し、 胃粘膜に様々な障害を与えます。 そのため潰瘍を発生させる原因といわれています。 ピロリ菌感染者の割合 十二指腸潰瘍患者のうち50~70% 胃潰瘍患者のうち30~50%
治療方法 6 薬物治療 抗菌薬(ピロリ菌の除菌) 胃酸分泌抑制薬 制酸薬(胃酸を中和させて、pH値を上昇させる) 外科的治療 抗菌薬(ピロリ菌の除菌) 胃酸分泌抑制薬 制酸薬(胃酸を中和させて、pH値を上昇させる) 外科的治療 手術(稀。合併症の治療が目的の場合が多い) 補助療法 喫煙の中止、飲酒量の調整、苦痛を引き起こす食物の除去
栄養バランスのとれた食事 = 糖尿病の食事療法の基本 7 治療 <食事療法> 栄養バランスのとれた食事 = 糖尿病の食事療法の基本 食事の量 ・ 医師に指示された摂取エネルギー量を必ず守る ・ 腹八分目で満腹とする 食事の質 ・ 多くの種類の食品を摂るようにする ・ 食物繊維をたくさん摂取する ・ 体に吸収される糖質量を調整する 食事の摂り方 ・ 欠食せず、三食きっちり食べる ・ 食事の時間は規則正しくする ・ ゆっくりよく噛んで食べる
患者数の推移 8 患者数は年々減少傾向にあります。 しかし、消化性潰瘍での死亡者数は毎年3000人前後で大きな変化は見られません。 引用:厚生労働省「平成27年患者調査」 患者数は年々減少傾向にあります。 しかし、消化性潰瘍での死亡者数は毎年3000人前後で大きな変化は見られません。 特に「高齢」という危険因子が消化性潰瘍に認められることから、 高齢化社会が一層進む日本においては、減少の一途を辿ることはないと考えられています。
胃炎 9 「胃炎」と「胃潰瘍」は似ていますが、全く違う病気です。胃炎とは胃粘膜の炎症で、胃潰瘍は胃粘膜下層以下まで及ぶ組織欠損です。 では胃炎とはどのような病気でしょうか? 胃炎は「急性胃炎」と「慢性胃炎」に分けることができます。
急性胃炎 10 原 因 症 状 食事療法 ≪外因性因子≫ 暴飲暴食、胃内異物(魚の骨)、薬、放射線照射、寄生虫、細菌感染など ≪内因性因子≫ 暴飲暴食、胃内異物(魚の骨)、薬、放射線照射、寄生虫、細菌感染など ≪内因性因子≫ ストレス(疲労、精神的ショックなど)、食品アレルギー 原 因 胃部の不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、上腹部痛など ・腸炎を合併した場合:下痢 ・細菌性の場合:発熱、下痢、腹痛など ・毒物性の場合:吐血、下血(血便) 症 状 ・1~2食は絶食。その後、消化の良いものから食事を開始する ※長期の絶食は避ける ・糖質を中心とし、消化・吸収のよいものとする ・1回量は少なく、食事回数を多くする ・脂質は消化に時間がかかり、胃の負担となるため控える。 ・調理方法は「軟らかく煮る」「蒸す」がお勧め ・食物繊維の多いもの、アルコール、コーヒーなど刺激のあるものは避ける。 食事療法
慢性胃炎 11 原 因 症 状 食事療法 ・食事:暴飲暴食、過剰な塩分摂取、香辛料の過度の常用、不規則な食習慣 ・喫煙:過度の喫煙 ・薬:抗生物質、ステロイド剤などの服用 ・細菌感染:ピロリ菌に感染 ・その他:生活環境、年齢、ストレス、遺伝、他疾患による影響など 原 因 無症状の場合が多い。 具体的な症状としては、胸焼け、食欲不振、嘔吐、腹痛、倦怠感 症 状 ≪胃液分泌量が低下している場合≫ 適した食品:米飯、パン、うどんなどのエネルギー源。牛乳、乳製品、白身魚、 鶏肉、豆腐などのたんぱく質。少量のアルコール。少量の香辛料。 適さない食品:甘味の強いもの、繊維の多いもの、固いもの、脂質の多いもの。 ≪胃液分泌量が過剰な場合≫ 適した食品:糖質食品、牛乳・乳製品、卵、白身魚、豆腐などのたんぱく質食品。 適さない食品:甘味の強いもの、繊維の多いもの、固いもの、高脂肪食品、 香辛料、アルコール、カフェイン飲料など 食事療法
参考文献 12 食事指導のための生活習慣病ケーススタディー 発行:医歯薬出版株式会社 栄養の基本がわかる図解事典 発行:成美堂出版 栄養食事療法必携