諸外国の影響を受け、沖縄独特の文化が育まれたんだね。 【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 日本とアジアの中間にある沖縄では、古くから海外交易がさかんでした。今も残る伝統工芸や芸能から、琉球王国の面影が感じられます。 旧暦文化・生活文化 文化 中国の影響を受けた沖縄では、お盆などの行事は旧暦で行われます。そして人々には先祖や地域に受け継がれた伝統を大切にする心があります。また沖縄には独特の食材や料理があり、その栄養価と特徴的な味わいは全国的に注目を集めています。 諸外国の影響を受け、沖縄独特の文化が育まれたんだね。 生活に結びつく祖先崇拝 独特の祖先崇拝の様式を持つ沖縄で、本土と大きく異なるのはお墓の形です。昔ながらの大きな石造りの亀甲墓(かめこうばか) は、母体をかたどったものと言われています。旧暦3月の清明祭(シーミー)は、中国から伝わった祖先供養の行事で、お盆、正月と並ぶ沖縄の三大行事のひとつです。祖先の墓に出向き、各家庭で持ち寄ったご馳走(重箱料理)をお供えしてお墓参りをします。その後は親族揃って墓庭で賑やかに食事を行います。 また、各地域には、集落の先祖を祀る御嶽(うたき) と呼ばれる聖地があり、家々には火の神(ヒヌカン)という台所に祀られている神様がいます。先祖を思う気持ちや神を大切にする心が、生活に密着しています。 大宜味村の海神祭 清明祭のお供え物 重箱料理 守り続けられる地域の祭り 名称や衣装、音楽も独特な祭りが多く、今も祭りは集落ごとに受け継がれ、その様式も沖縄独特といえるでしょう。四方を海に囲まれた海洋県・沖縄では、ニライカナイといって海のはるかかなたに神々が住み、人々に恵みをもたらすとされています。ニライカナイの神々を迎える祭りに、八重山の節祭(しち) や豊年祭、県内各地のウンジャミ(海神祭)などがあり、五穀豊穣や豊作への感謝の思いを捧げます。珍しい形式の祭りとして、宮古島市島尻地区で行われるパーントゥ・プナカは、全身につる草を巻き泥を塗ったパーントゥが集落内を回り、人々や新築の家に泥を塗り厄払いをします。よく知られているエイサーは旧盆に集落内を練り歩き、唄や踊りで供養するものです。 斎場御嶽 豊年祭 資料提供:西原町立図書館 エイサー
【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 旧暦文化・生活文化 見る × 学ぶ 本土とは異なる独特の風習。生活に根付く、沖縄の文化を調べてみよう。 那覇 沖縄県立博物館・美術館 沖縄のグスク(城)をイメージした外観が特徴的。沖縄の自然や歴史、文化を学ぶことができる博物館と、沖縄県出身者や沖縄にゆかりのある作家の近現代美術作品を展示した美術館が併設されています。博物館の常設展へは、サンゴ礁の上を歩くように入口が設けられ、総合展示と部門展示(自然史、考古、歴史、美術工芸、民俗)があります。27の体験キットがあるふれあい体験コーナーも人気です。博物館の屋外には沖縄の伝統的な民家が再現されています。 TEL: 098-941-8200 読谷 名護 南風原 沖縄県公文書館 読谷村立歴史民俗資料館 名護博物館 沖縄に関する公文書だけでなく地域資料を閲覧することができます。琉球王国時代、廃藩置県から沖縄戦、アメリカの統治時代、本土復帰後の時代を網羅しています。文書はもちろん、写真資料、地図や図面、映像資料などもあります。 TEL: 098-888-3875 本島中部の読谷村には世界遺産に指定されている座喜味城跡があり、読谷山花織や焼物など工芸もさかんな村です。資料館には村内の遺跡、民家、亀甲墓と装具、漁業や農業などの資料が展示され、沖縄関係や歴史民俗の専門書の閲覧もできます。 TEL: 098-958-3141 本島北部やんばるの玄関口名護市にある名護博物館。常設展示室のテーマは「名護・やんばるの生活と自然」で、生活史と自然史の資料を総合的に展示しています。ケースをなるべく使用せずに、展示方法に工夫を凝らしています。 TEL: 0980-53-1342 おいしい食は「命薬(ヌチグスイ)」 昔から伝わる琉球料理だけでなく、戦後、米軍支配によってもたらされた欧米風の料理も含め沖縄料理と呼び、多様な食文化があります。よく使われる食材に豚肉があります。「沖縄は豚肉文化」「鳴き声以外はすべて食べる」と言われるほど料理の種類も多く、肉はもちろん皮、軟骨、さらに血を使った血イリチー(炒め煮)は主にお祝いの席で食べられます。野菜では、全国的に人気を集めるゴーヤーや田芋、フルーツではなく未熟果を野菜として食べるパパイヤなどがあり、沖縄県外では食用にしないナーベーラー(ヘチマ)の幼果は夏の食材の定番です。ずっしりと重みのある島豆腐も一般的な木綿豆腐とは違い崩れにくく、チャンプルーには欠かせません。魚介類も南国らしい色鮮やかなものがあり、市場などで見ることができます。タコスの具がご飯にのったタコライスは、メキシコ料理を沖縄風にアレンジした若者に人気のメニューです。 チャンプルー料理 島やさい ラフテー タコライス 方言で「混ぜこぜにした」という意味。野菜や豆腐などを炒めた沖縄料理。 島やさいは昔から家庭料理に用いられ、伝統的に食されてきた沖縄野菜のこと。 豚の三枚肉をしょう油や泡盛で甘辛く煮付けた、沖縄風の角煮。 ご飯の上にタコスの具材をのせたタコライスは、沖縄 B級グルメの代表格。
【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 伝統芸能・伝統工芸 文化 「歌と踊りの島」と呼ばれる沖縄では、華やかな琉球舞踊や、やさしい音色が特徴の三線(サンシン)、庶民の生活に根づいた民俗踊りなど、さまざまな種類の芸能が見られます。また諸外国の影響を受けて確立した工芸品も魅力的です。 琉球古典音楽 琉球王国時代に、宮廷音楽として王府を中心に演じられた音楽を琉球古典音楽と総称します。三線とその弾き手による歌が中心となり、箏(そう)、笛、太鼓、胡弓(こきゅう) などが伴奏として加わります。音曲も歌も荘重な響きを感じさせます。曲目は230曲ほどあるといわれており、主なものに「かぎやで風(かじゃでぃふぅ) 節(ぶし)」「こてい節(くてぃぶし)」「伊野波節(ぬふぁぶし)」などがあります。湛水親方(たんすいうぇーかた)こと幸地賢忠(こうちけんちゅう)が祖とされており、主な三線の流派としては、それぞれ県指定の無形文化財に認定された湛水流、安冨祖(あふそ)流、野村流などがあります。 三線 古典音楽の斉唱 琉球舞踊 2009年9月に国の重要無形文化財に指定された琉球舞踊は、古典舞踊と雑踊(ぞうおどり)に分かれます。古典舞踊は、琉球王国時代に完成され「老人踊」「若衆(わかしゅう) 踊」「女踊」「二才(にさい)踊」のそれぞれに合う古典音楽が伴奏されます。若衆は元服前の男子、二才は成人男子を指します。雑踊は、明治から大正にかけて振り付けされた踊りで、古典舞踊に比べ軽快な身のこなしで庶民の感情や生活が素直に表現されます。その他、昭和初期以降に作られた創作舞踊、各地域の村落で伝えられてきた民俗舞踊もあります。 組踊『二童敵討』 (国立劇場おきなわ所蔵) 古典舞『四つ竹』 雑踊『黒島口説』
【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 伝統芸能・伝統工芸 体験 × 学ぶ 宮廷芸能から庶民の年中行事まで、沖縄の伝統芸能を体験してみよう。 浦添 国立劇場おきなわ 恩納 琉球村 ユネスコの無形文化遺産となった「組踊(くみおどり)」を中心とする沖縄伝統芸能の保存振興を図る目的で 2004年に開場した劇場。組踊とは、舞踊、音楽、せりふの三つの要素から構成された沖縄独特の歌舞劇です。「踊奉行(おどりぶぎょう)」であった玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)が創作し、1719年に初演。芸術性・歴史的価値が高く、能楽や歌舞伎と並び国の重要無形文化財に指定されています。 TEL: 098-871-3311 沖縄の文化、芸能、自然を、見て体感できるテーマパーク。各地の古い建物が移築・修復され、国の有形文化財に登録された古民家もあります。毎日2回開催される参加型のイベント、絵巻行列では、沖縄風パレード「道ジュネー」に年中行事を凝縮し、琉球舞踊やエイサーをはじめ、迫力ある獅子舞など、沖縄の伝統芸能をまとめて堪能できます。 TEL:098-965-1234 地域色豊かなエイサー 屋慶名(やけな)青年会 地域によってさまざまな形で伝えられてきたエイサー。 踊りから楽器まで、その違いはさまざまです。 体験してみよう うるま市にあるエイサー団体で、華やかな衣装と、独特の腰の落とし、パーランクーと呼ばれる片面太鼓の手の返しに特徴があります。その演技は、迫力満点です。 各地の青年会に脈々と伝わるエイサーですが、一般の人にも教えてくれるスポットがあります。 おきなわワールド文化王国玉泉洞、体験王国むら咲むらといった体験施設や、地元青年会が教えてくれるネイチャーみらい館、おおぎみまるごとツーリズム協会などで、エイサーの魅力を実際に体験することができます。 諸見里(もろみざと)青年会 沖縄市にあるエイサー団体で、歌・三線に合わせて勇壮に響く大太鼓と締太鼓に特徴があります。迫力のあるバチさばきで、ダイナミックな演技を見せてくれます。 中国、日本、東南アジアの文化が融合 沖縄の工芸は琉球王国時代、貿易により中国や日本・東南アジアの国々の影響を大きく受け、発展しました。それぞれの工芸品の技術は高度なもので、中国皇帝や江戸幕府の将軍への献上品、さらには貿易品としても輸出され、「琉球」の名は広く知られるようになったのです。現在、沖縄で国の「伝統的工芸品」に指定されているのは 14品目。宮古上布といった織物を中心に、琉球漆器、紅型、壺屋焼などがあります。その数は京都、新潟に次いで全国 3位です。また、指定品目が一地域に固まらず、宮古、八重山、久米島など地方にも広がっている点も特徴です。最近では従来の技法を駆使しながら、新しいデザインを取り入れた製品も続々登場し、より身近に伝統工芸品を使ってもらおうという試みも増えています。伝統工芸品の工房やテーマパークでも気軽に手作り体験ができるようになり、旅の記念としても人気です。 500年ほど前に中国から伝わり、昔は贈答品として用いられていた。 琉球漆器 紅型(びんがた) 焼き物のことで400年ほど昔から職人の手によって作られてきた。 中国や東南アジアなどの文化を吸収しながら、沖縄独自の染物となった。 やちむん
【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 触れて 感じて 学べる スポット① 那覇市 那覇市 南城市 北中城村 第一牧志公設市場 那覇市ぶんかテンブス館 おきなわワールド文化王国・玉泉洞 中村家住宅 現在では観光スポットとしても知られ、肉、魚、野菜など沖縄独特の食材が間近に見られるのと同時に、2階の食堂では1階で購入したものを調理 し、食べることができます。 TEL: 098-867-6560 国際通りの中央部にあり、テンブスとは方言で「へそ」を意味します。那覇の伝統工芸の手作り体験や、工芸品の展示即売所などがあり、イベントなども行われます。 TEL: 098-868-7810 紅型、機織り、琉球ガラスを作る体験ができます。沖縄の伝統的なエイサーにアレンジを加えた迫力あるスーパーエイサーも楽しめます。 TEL: 098-949-7421 沖縄の住居建築の特色をすべて兼ね備えた建物で、現存するのは18世紀に建てられたものです。当時の豪農の住宅で、国の重要文化財にも指定されています。 TEL: 098-935-3500 読谷村 恩納村 宜野座村 宮古島市 体験王国 むら咲むら 沖縄体験ニライカナイ 宜野座村立博物館 宮古島市伝統工芸品センター 昔の琉球の街並みを再現した園内では、32の工房で101のプログラムを体験できます。伝統工芸品や琉球料理など、幅広いジャンルの体験が楽し めます。 TEL: 098-958-1111 サトウキビ刈りから黒糖作りなどの農業体験、エイサーなどの芸能体験、漆喰シーサー作りなどの工芸体験、イノー自然観察などの自然体験と、地元の人と交流しながら行える様々な感動体験プログラムがあります。 TEL: 098-964-1616 宜野座村に伝わる歴史や文化、民俗資料、戦争資料などが、実際に使っていた民具や等身大の人形などを使って展示しています。また、村の郷土芸能をビデオで観賞できる芸能コーナーもあります。 TEL: 098-968-4378 400年の歴史を誇る宮古上布の研究と、後継者の育成を行っており、ビデオや資料でその製造工程や歴史を見ることができます。直接、機織りをし ている作業風景を見学することも可能です。 TEL: 0980-74-7480 (宮古織物事業協同組合)
【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 【文化】諸外国の影響を受け育まれた独自の文化を学ぶ 触れて 感じて 学べる スポット② 宮古島市 石垣市 竹富町 久米島町 ©WWF ジャパン 宮古島市体験工芸村 石垣やいま村 竹富島 (重要伝統的建造物群保存地区) 島の学校 久米島 (久米島町観光協会) 宮古の自然や文化を体験できる施設で、織物、陶芸、藍染、木工細工、貝細工、郷土料理など、豊富な体験プログラムがあります。沖縄本島とは違う文化を楽しんでみましょう。 TEL: 0980-73-4111 園内は古きよき八重山の家並みを再現。琉球衣装体験や民具作りなどの体験メニューが充実しています。奥にはラムサール条約に指定登録されたマ ングローブ(ヒルギ林)「名蔵アンパル」があります。 TEL: 0980-82-8798 赤瓦の屋根と白砂の道、そして家を取り囲むように積み上げられた石垣が特徴的な島で、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。昔ながらの沖縄の民家が軒を連ねる落ち着いた風景です。 TEL: 0980-82-5445 (竹富町観光協会) 久米島でのホームビジットでは、ゆったりと流れる時間の中で暮らす島の人たちとふれあうプログラム。あたたかな笑顔で迎えてくれる島の人々との交流を通して、きっと大切な何かを学んでいただけるはずです。 TEL: 098-851-7973 座間味村 伊是名村 慶良間海洋文化館 伊是名村ふれあい民俗館 かつて中国との交易の玄関だった慶良間の歴史を裏付けるマーラン船を展示しています。また、島での悲惨な戦争の記録を残そうと、旧日本軍の戦略図、上陸した米軍・捕虜となった島民の写真も展示しています。 TEL: 098-987-2658 古代遺跡の出土品や南極の石など、この島出身の人物や歴史文化のすべてをまとめた博物館。2階には図書資料室も用意。注目は縄文時代の体長158cmの男性貝輪着装人骨で、学術的にも大変貴重な資料です。 TEL: 0980-45-2165