フレア・CMEのトリガー機構と エネルギー解放過程

Slides:



Advertisements
Similar presentations
太陽面爆発の発現機構の解明 前回シンポ討論からの課題 清水 敏文 (ISAS/JAXA)
Advertisements

乱れた磁場中を運動する 相対論的粒子からの放射 宇宙進化グループ 寺木悠人. 目次 1、本研究のモチベーション 2、モデルと定式化 3、計算結果 4、議論 5、まとめ.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
Nagai laboratory.
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
太陽フレアの磁気リコネクション流入流の発見
2005年8月24日の磁気嵐を 引き起こしたフレア・CMEと、 活動領域NOAA 10798のアネモネ構造
タイトル「太陽とコロナにおける流れと磁場の相互作用」
ビッグデータ解析手法を用いた 宇宙天気予報アルゴリズムの開発
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの熱的安定性 星間ガスの力学的・熱的な不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
天体MHD数値シミュレーションの魅力と魔力
加藤真理子1、藤本正樹2、井田茂1 1) 東京工業大学 2) JAXA/ISAS
宇宙空間物理学の課題 Space Physics
2001年4月10日のフレアにおける、磁気ヘリシティ入射
2001年4月10日のフレアにおける、 磁気ヘリシティ入射率の研究
山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介
太陽コロナ質量放出の 3次元MHDシミュレーション
D. M. Rust and B. J. LaBonte 2005, ApJ, 622, L 年6月6日 太陽雑誌会(速報)
日本物理学会年次大会・総合パネル討論「現代プラズマ科学の 最前線:学際連携によるプラズマ理工学のさらなる展開」
そもそも、私は分担者やその共同研究者ではない
大規模数値計算による原始銀河団領域に関する研究
下条 圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所
2003年12月2日 課題研究ガイダンス (3分) S2 太陽物理 柴田一成 花山天文台 北井礼三郎 飛騨天文台.
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
研究会「Solar-B時代の太陽シミュレーション」
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
コロナ加熱研究会 波動の伝播と拡散 2004年2月23日   宮腰剛広.
これまでの研究のまとめ: 「太陽フレアのリコネクションレートの統計解析」 今後の研究
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
The Effect of Dirac Sea in the chiral model
磁気リコネクション (Craig-Henton解の安定性) ~シミュレーションサマースクール@千葉大より~
銀河風による矮小銀河からの質量流出とダークマターハロー中心質量密度分布
磯部洋明 京都大学花山天文台 波動加熱勉強会 2004年2月23日
銀河物理学特論 I: 講義1-3:銀河性質と環境依存性 Park et al. 2007, ApJ, 658, 898
準垂直衝撃波における 電子加速の観測的研究
マイクロ波と硬X線での プリフレア相の様子
IAEA phase space fileを用いた X線治療シミュレーション
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
フレア・CMEトリガーメカニズムの数値シミュレーション
飛騨データ解析ワークショップ (1) Ayumi Asai 2014/12/9.
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
Ellerman Bombを伴う浮上磁場領域の 偏光磁場観測
フレアの非熱的成分とサイズ依存性    D1 政田洋平      速報@太陽雑誌会(10/24).
2. 浮上磁場とリコネクション 様々な太陽のジェット現象 -----宮越 2. 対流現象を粒子で追いかける -----野澤
ガンマ線連星 LS I 放射モデル 2009/12/14 永江 修(広島大学).
太陽フレアと彩層底部加熱に関する 観測的研究
シミュレーション科学としての太陽シミュレーションの役割
太陽フレアにおける Plasmoid-Induced-Reconnection の MHD シミュレーション
新潟大学集中講義 ープラズマ物理学特論ー (天体電磁流体力学入門) 2004年1月19日ー1月21日
バリオン音響振動で探る ダークエネルギー ~非線形成長と赤方偏移歪みの影響~
シミュレーションサマースクール課題 降着円盤とジェット
黒点の誕生、構造形成、崩壊 (地球シミュレータ利用計画)
下降流(Downflow)の観測と磁気リコネクション
宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化
九州大学 猿渡元彬 共同研究者 橋本正章 (九州大学)、江里口良治(東京大学)、固武慶 (国立 天文台)、山田章一(早稲田理工)
浮上磁場はこれからだ 茨城大学 野澤恵 2006/6/15 13:30-14:00 東大地球惑星
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
MHD Simulation of Plasmoid-Induced-Reconnection in Solar Flares
応用課題: 磁気リコネクション—Craig解2 (担当:柴田・田沼)
(Earth Simulator Center, JAMSTEC)
大規模シミュレーションで見る宇宙初期から現在に至る星形成史の変遷
浮上磁場に伴う磁気リコネクションのMHDシミュレーション(ES)
Preflare Features in Radios and in Hard X-Rays
フレアリボン内の微細構造で探るエネルギー解放機構
磁気リコネクションによる Alfven波の発生
原始星からのX線発見と課題 (r-Ophの)T-Tauri星からX線放射とフレアーの発見
太陽フレアの基礎 磯部洋明 京都大学宇宙ユニット.
2011年8月9日の巨大フレアに伴う Ha線モートン波とEUV波現象、および プロミネンス/フィラメント振動について (Asai et al
Presentation transcript:

フレア・CMEのトリガー機構と エネルギー解放過程 京大花山天文台D1 西田 圭佑

トリガー機構 フレア・CME等のトリガー機構としてはさまざまなmodelが存在する Two step reconnection model (Wang & Shi 1993) Emerging flux model (Chen & Shibata 2000) Canceling flux model (Linker et al. 2003) Breakout model (Antiochos 1999) Tether cutting model (Moore et al. 2001) Helicity inversion model (Kusano 2005) Converging flux model (Forbes & Isenberg 1991) Kink instability model (Fan & Gibson 2003) Sheared arcade model (Choe & Lee 1992) Notoya model?

Emerging flux model Chen & Shibata (2000) Emerging fluxのため非平衡となる

Canceling flux model Linker et al. (2003) Converging flowにより、光球でflux cancellationがおこる X-ray bright pointの2/3がcanceling fluxによる

Breakout model Antiochos et al. (1999) 太陽から離れた場所でのコロナ磁場のリコネクションがきっかけ

Tether cutting model Moore et al. (2001) シアしてねじれた、シグモイド状のバイポール磁場が繋ぎ替わることで始まる 外側のアーケードの磁場もリコネクションすることにより、フィラメントが飛んでいく

Helicity inversion model Kusano (2005)

Converging flux model Van Tend & Kuperus (1978) Forbes & Isenberg (1991) 光球の運動により、光球内でリコネクション

Kink instability model Fan & Gibson (2003) Kink不安定性

Sheared arcade model Choe & Lee (1992) 光球のシア運動でねじれた磁場が形成される

目的 これらのトリガー機構のうち、有効なものを見つける(理論と観測の両面から) 実際の観測データに基づいた3次元モデリングを行う Shiota et al. (2005)

トリガー機構の決定 Instability のモデルでは、観測的に「いつ」起こるかを予想するのは難しい 一方、two-step reconnection modelは、最初のリコネクションを起こすきっかけが見つかればよい 以下のモデルを中心的に調べる Emerging flux (Chen & Shibata 2000) Canceling flux (Linker et al. 2003) Tether cutting model (Moore et al. 2001) シミュレーションはほとんど行われていない

モデリング 観測によると、ねじれた磁場の浮上が多くのフレアの原因である (Tanaka 1993, Kurokawa 1987, Ishii et al. 1998) 光球の視線方向の磁場を元にポテンシャル磁場を計算する 今のところは、観測(Solar-B、SMART他)に基づいて境界条件を変化させることにより平衡状態を作る Non-linearなforce free field Magneto-Hydrostatic (gas pressure + gravity) 将来的には、光球面下とあわせた、self-consistentなモデル Twisted Emerging fluxの計算をすれば自然にでてくる

当面の予定 現在の2次元のモデル[1] [2]を3次元に拡張する (つまりこれやこれやこれを再現したい) Chen & Shibataを3次元に拡張した安定な初期条件を作る Slow shock, fast shock, down flow の振る舞いを調べる Flux ropeの安定性? Emerging flux modelのときは、境界条件をどうするか? 途中まで2.5次元、途中から3次元? 上原-清水コード(CIP-MOCCT法) z y x

計算規模の見積もり フレアのサイズ: 2×109cm z(高さ)方向はplasmoid ejectionまで見たい y(奥行き)方向はdown flowの構造(2×108cm)が見える程度でよい 計算領域のサイズ: x, y: 4×109cm、z: 1010cm Δx=2×106cm (non-uniform), Δy=107cm, Δz=2×107cm → 800×400×500 grid タイムスケール: 3×103sec Δt ≦ 0.5 × L / sqrt(Cs2+VA2) ~ 0.02sec → 150000 step 約390ノード・時間 すべてを一度に見ようと欲張らずに、yまたはz方向どちらかを粗くすれば1/3程度→約130ノード・時間

宇宙天気予報 京大グループでの役割分担 最終的にはこれらを統合して計算する 下層での計算結果を、上層の初期条件・境界条件として計算する 浮上磁場、エネルギー蓄積 (清水) フレア・CMEのトリガー、エネルギー解放 (西田) 太陽風、惑星間空間の伝播 (松本) 最終的にはこれらを統合して計算する 下層での計算結果を、上層の初期条件・境界条件として計算する 同時にすべてをとく必要はない