障害者差別解消法の概要について ~ 不当な差別的取扱いとは、合理的配慮の提供とは ~ 平成30年度第2回釧路圏域障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会及び平成30年度障害者差別解消支援地域協議会 障害者差別解消法の概要について ~ 不当な差別的取扱いとは、合理的配慮の提供とは ~ 北海道釧路総合振興局保健環境部社会福祉課
障害者差別解消法の前に・・・ 北海道障がい者条例について
名称 北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び 障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例 名称 北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び 障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例 (略称 北海道障がい者条例) 公布日 平成21年 3月31日 施行日 平成21年 3月31日(第1、2、9章) 平成21年10月 1日(第3章) 平成22年 4月 1日(第4~8章 全面施行) ※ 平成24年3月30日、平成25年4月1日、平成28年4月1日 一部改正 条例の目的(北海道障がい者条例 第1条) この条例は、障がい者及び障がい児の権利を擁護するととも に、障がいがあることによって障がい者及び障がい児がいかな る差別、虐待も受けることのない暮らしやすい地域づくりを推 進するため、 (略) もって北海道の障がい者及び障がい児 の福祉の増進に資することを目的とする。
◆ 条例に基づく施策の実施に当たっての基本的考え方 「障がいのある人が当たり前に暮らせる地域は、誰にとっても暮らしやすい地域である」 と いう基本的な考え方の下、次の点に配慮しながら、条例に基づく施策の推進を図ります。 Ⅰ 障がい者の参画を基本とし、幅広い関係者や地域住民との対話を重視すること。 Ⅱ 地域の課題解決力を高め、障がい者が必要とする支援の確保を図ることにより、地域間 格差の是正に資すること。 Ⅲ 福祉の枠を超えて、幅広い関係者や関連する施策と連携・協働する取組を推進すること。 Ⅳ 条例に基づく施策の実施状況等を広く道民に公表し、障がいや障がい者に対する道民の 理解の促進を図ること。 ◆ 「北海道障がい者条例」の主な施策の柱は3つです。 2 地域で生き生きと暮 らせるよう、働く障がい 者を応援します。 ○ 北海道障がい者就労支援推進委 員会の設置 ○ 就労支援推進計画の作成 ○ 障がい者就労支援企業認証制度 ○ 指定法人制度 1 障がい者の暮らしやす い地域づくりを進めます。 ○ 地域づくりガイドラインの作 成 ○ 地域づくりコーディネーター の配置 3 障がい者の虐待や差別 等をなくし、権利擁護を 進めます。 ○ 虐待、差別及び不利益扱いの禁 止 ○ 立入調査・改善指導・勧告等の 重大な権利侵害に対する強制措置 ○ 障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会の設置 ○ 北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部の設置
虐待や差別などの暮らしづらさに対し、どのように取り組んでいくのですか? 虐待や差別などの暮らしづらさに対し、どのように取り組んでいくのですか? 中立公平な立場から関係者との話し合いにより課題の解決をめざします。 地域づくり委員会が虐待や差別、地域の暮らしづらさなどについて、 ■ 地域づくり委員会の構成等 1 地域づくり委員会の委員は、障がい者、地域住民、学識経験者、行政機関 の職員のうちから、10名以内の委員を知事が委嘱します。 2 地域づくり推進員は、条例第46条の規定に基づき地域づくり委員会を主 宰(第46条)し、調査(第47条)、指導や知事に改善勧告を行うよう求 める(第48条)といった役割を担い、知事が任命します。 3 地域づくり委員会は、地域づくり推進員と地域づくり推進員が指名した3 名以上の委員により、事案ごとに組織されます。 ただし、虐待や重大な権利侵害などに該当する事案では、地域づくり推進 員は、5名以上の委員を指名し、地域づくり委員会を開催しなければなりま せん。
障害者虐待防止法に基づく事案については、法に基づき対応 差別・虐待などの事案への対応の流れ 障害者虐待防止法に基づく事案については、法に基づき対応 ①差別、虐待その他の暮らしづらさについて、地域で相談 ②地域の相談機関で必要な対応。市町村の協議会等で協議 ③地域づくり委員会の事務局(振興局等)へ相談・申立 ④事実関係を調査。調査結果に基づき、当事者を交え協議開始(協議に至らない場合あり) ※必要に応じ、参考人が参画 ⑤解決しなかった場合、指導。知事による勧告等の改善措置へ。必要があれば推進本部へ。 事案の発生 推進本部・調査部会 ③ 14圏域 ⑤ 協議又はあっせん 委員 関係者 参考人 地域づくり推進員 指導 ④ 調査 連携協力 市町村 ① 総合振興局(振興局) ② 勧告 市町村の協議会 勧告内容の公表 事案整理 地域づくり委員会 解 決
これまでの地域づくり委員会への 申し立て・相談事例 ○ 学校で、障がいを理由に部活動への参加を制限されて いる。 ○ 電動車いすでのバス利用で、乗車拒否を受けた。 ○ 障害年金を担保とした借入金に憶えがなく、父親 等からの経済的虐待の疑い。債務をどうにかしたい。 ○ 手話通訳者を介して、電話での契約プランの解約が できなかった。 ○ 視覚障がいのため、乗合バスの乗車口付近で車外放送 が流れず、乗りたいバスかわからない。 ○ 精神障がい者は、公共交通機関の割引が行われ ていない。
地域づくり委員会で協議された 地域課題の例 ◆ 障がい者の就労支援 ◆「市町村地域生活支援事業」の地域格差 ◆ 特別支援教育と保健福祉 ◆ 特別支援学校卒業後の進路等の検討 ◆ 移動手段の確保、児童の通学支援 ◆ 市町村の相談支援体制の充実強化 ◆ 障がい者を支援する機関や事業所のネットワーク ◆ 移動支援サービス ◆ コミュニケーション支援 ◆ 福祉避難所の整備 ◆ 障がい者への理解促進 ◆ 障がいがあっても地域で生活することが当たり前 であることについての地域社会全体の共通認識づくり
障害者差別解消法について
障害者権利条約の批准 ・平成18年12月 国連が「障害者権利条約」を採択(平成20年5月発効) ・平成19年 9月 日本が「障害者権利条約」に署名 ・平成21年 3月 「北海道障がい者条例」公布(平成22年4月全面施行) ・平成23年 6月 障害者虐待防止法の成立(平成24年10月施行) 7月 障害者基本法の改正 ・平成25年 6月 障害者差別解消法の成立(平成28年4月施行) 障害者雇用促進法の改正 ・平成26年 1月 障害者権利条約の批准
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法<平成25年法律第65号>)の概要 障害者基本法 第4条 基本原則 差別の禁止 第1項:障害を理由とする 差別等の権利侵害 行為の禁止 第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止 第3項:国による啓発・知識の普及を図るための取組 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 具体化 Ⅰ.差別を解消するための措置 差別的取扱いの禁止 合理的配慮の不提供の禁止 国・地方公共団体等 民間事業者 国・地方公共団体等 法的義務 法的義務 民間事業者 努力義務 具体的な対応 政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(平成27年2月閣議決定) ● 国・地方公共団体等 → 当該機関における取組に関する要領を策定 ● 事業者 → 事業分野別の指針(ガイドライン)を策定 ● 主務大臣による民間事業者に対する報告徴収、助言・指導、勧告 実効性の確保 Ⅱ.差別を解消するための支援措置 ● 相談・紛争解決の体制整備 → 既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実 紛争解決・相談 ● 障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携 地域における連携 ● 普及・啓発活動の実施 啓発活動 ● 国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供 情報収集等 施行日:平成28年4月1日(施行後3年を目途に必要な見直し検討)
障害者差別解消法における差別の禁止 主体 不当な差別的取扱い の禁止 合理的配慮の提供 行政機関等 法的義務 民間事業者 努力義務 ※合理的配慮の実施に伴う負担が過重であるとき、たとえば、お金がかかりす ぎたりする場合は、その他のやり方を工夫しながら考えることになります。
障がいのある人への 差別をなくすことで、 障がいのある人もない人も 共に生きる社会をつくること 障害者差別解消法の目ざすもの 障がいのある人への 差別をなくすことで、 障がいのある人もない人も 共に生きる社会をつくること
この条例は、障がい者及び障がい児の権利を擁護するとともに、 障がいがあることによって障がい者及び障がい児がいかなる差別、 北海道障がい者条例の目ざすもの 【条例の目的】 この条例は、障がい者及び障がい児の権利を擁護するとともに、 障がいがあることによって障がい者及び障がい児がいかなる差別、 虐待も受けることのない暮らしやすい地域づくりを推進する 【基本方針(抜粋)】 障がいのある方が当たり前に暮らせる地域は、誰にとっても暮らしやすい地域である
不当な差別的取扱いの基本的な考え方 <基本方針から> 法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、 財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場 所・時間帯などを制限する、障がい者でない者に対しては付さない 条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵害することを 禁止 たとえば、 お店に入ってから、障がいがあると分かったとたんに、店の利用を 拒否された。 ※正当な理由がない場合は、不当な差別的取扱い
正当な理由とは? <基本方針から> 正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由とし て、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観 的に見て、正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らし てやむを得ないと言える場合である。 正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障が い者、事業者、第三者の権利利益及び行政機関等の事務・事業の目 的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて 総合的・客観的に判断することが必要である。 正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説 明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
合理的配慮 <基本方針から> 個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要 としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負 担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならな いよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮 を行うことを求めている。 合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具 体的な場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであ り、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の 除去のための手段及び方法について代替措置の選択も含め、双方 の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、 柔軟に対応がなされるものである。
意思の表明 <基本方針から> 具体的な場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要と している状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文 字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思 伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手 段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。 ※本人の意思の表明が困難な場合には、家族、介助者等、コミュニ ケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明を含む。
合理的配慮の一例 ※技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わりうるもの ①物理的環境への配慮 ・車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す ・高い所に陳列された商品を取って渡す ②意思疎通の配慮 ・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、わかりやすい 表現を使って説明をする ③ルール・慣行の柔軟な変更 ・障がいの特性に応じた休憩時間の調整
過重な負担の基本的な考え方 <基本方針から> 個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて 総合的・客観的に判断する。 ☆事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損な うか否か) ☆実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ☆費用・負担の程度 ☆事務・事業規模 ☆財政・財務状況 ※過重な負担に当たると判断した場合は、その理由を説明し、理解を得るよう努 めることが望ましい。
→話し合い(建設的対話)が必要 何が差別で、何が合理的配慮か? →これは、個別・具体的場面により、異なる。 →法の趣旨としては、これを突き詰めるものでもない。 (突き詰めるとギスギスし、話ずらくなってしまう・・・・・。) 差別する方は、「差別と感じていない」などの状況である一方、 差別を受けている方は、「差別と感じている」 →話し合い(建設的対話)が必要
※ URL : http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html
これまでの道の取組状況 北海道障がい者施策推進審議会権利擁護部会において、 障がい当事者や関係者の意見を伺い、取組を進めてきた。 ①地方公共団体等職員対応要領・事例集の策定 ②相談・紛争防止等の体制整備 ③障害者差別解消支援地域協議会の設置 ④普及啓発(障害者差別解消法、障害者虐待防止法、北海道障がい 者条例)
※ 職員対応要領・合理的配慮事例集については、次のホームページで公開しています。 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/shf/yoriyoitaiougadekirupe-zi.htm
相談及び紛争の防止等のための体制の整備 (法第14条) ・国及び地方公共団体は、障がい者及びその家族その他の関係者か らの障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障 がいを理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができ る必要な体制の整備を図るものとする。 →既存の機関等の活用・充実を図る →相談窓口の明確化 →対応する職員の業務の明確化・専門性の向上
障害者差別解消支援地域協議会 (法第17~20条) <基本方針から> ・地域における様々な関係機関が、相談事例等に係る情報 の共有・協議を通じて、各自の役割に応じた事案解決のた めの取組を主体的に行うネットワークとして、協議会を組織 することができる。
北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部(本部長:知事) ◆ 北海道障がい者条例に基づく支援体制(障害者差別解消法施行後) 国 密接な連携 北海道 本 庁 連絡会議 北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部(本部長:知事) 調査部会 地域で解決できない事項 障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会(都道府県地域協議会) (1) 障がい者の地域での暮らしを支えるサービスに関すること。 (2) 差別や虐待及び権利擁護に関すること。 (3) その他地域で暮らす障がい者の暮らしづらさに関すること 圏 域 情報共有 ・対応結果の把握 ・要因の分析 ・地域課題に関する協議 等 地域づくり推進員 委員 支援 協力 地域づくりコーディネーター 出席機関(予定) ・道(本庁及び振興局(地域づくり委員会事務局)) ・国(労働局、法務局、厚生局等) ・市町村(市長会、町村会) 相談支援事業所地域相談員 密接な連携 情報提供等 市町村 様々な地域の相談窓口 協議会(市町村地域協議会) 個別支援、権利擁護、地域づくりの協議など 様々な機能 市町村
<結果として差別が疑われた事案> ~解決事例~ <結果として差別が疑われた事案> ~解決事例~ ○ 相談者 道外在住の視覚障がい者(高齢・男性)Aさん(仮) ○ 事例 ・ Aさんが北海道に夫婦で旅行するに当たり、北海道のB町(仮)のレ ンタカー会社にレンタカーを予約するため電話をした。 ・ Aさんは自分が視覚障がい者であること、盲導犬を同行しているこ とや盲導犬(清潔であるなどの知識)について説明を行ったが、レンタ カー会社からは「車は貸せないと言われた」と当課に相談があった。 ・ Aさんは、北海道には何度も旅行しており、レンタカーを借りられな かったことはなかったので、今回の対応は差別ではないかと考えた。 ・ ただちに振興局を通じ、B町及びレンタカー会社へ事実確認を実施。
事実確認の結果・・・・ →レンタカー会社担当者の勘違いと確認不足によるものと判明! ○ 勘違い ・ 盲導犬は大きいだろう → 大型車でなければならない ・ 大型車は全て貸出中 → 貸せない ○ 確認不足 ・ 盲導犬の大きさを確認しなかった ・ 車の車種やサイズを確認しなかった ・ Aさんに盲導犬を同行していることによる障がい者差別と思われた。 ・ Aさんに対応を謝罪の上、代替案を示すことにより理解を得た。 原 因 結 果 対 応 解決!
啓発活動(法第15条) ・国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国 民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解 消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うも のとする。 →行政機関等における職員に対する研修 →事業者における研修 →地域住民等に対する啓発活動
今後の道の取組 ①相談及び協議・あっせんの適正実施 ・職員の資質向上並びに合理的配慮の実施 ②市町村支援 ・実施体制整備の働きかけ ③普及啓発(障害者差別解消法、障害者虐待防止法、北海道障がい 者条例) ・障がい者の権利擁護に関するわかりやすいパンフレットの配布、 権利擁護フォーラムの開催、パネル展の開催など