北軽井沢駿台天文講座 接食とベイリービーズ - 金環食の観測成果 -

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北軽井沢駿台天文講座 接食とベイリービーズ - 金環食の観測成果 - 北軽井沢駿台天文講座 接食とベイリービーズ - 金環食の観測成果 - 相馬 充(国立天文台) 北軽井沢駿台天文台(北軽井沢「一心荘」) 2012年8月3-6日

日本の月周回衛星「かぐや」 レーザ高度計LALTのデータから精密な月の地形図を作成 → 月縁図が作成される    日本の月周回衛星「かぐや」 レーザ高度計LALTのデータから精密な月の地形図を作成      → 月縁図が作成される

従来の月縁図 Watts (1963): 1927~1956年に撮った写真から作成. しかし,誤差が大きかった. さらに,カッシーニ領域と呼ばれる月縁図が作成できない場所が極域にあった.

Clementine (1994):   測定精度 40m   測定点は経度で約3°(90km) ごと   極域のデータなし かぐや (2009):   測定精度 4m   測定点は極域で 200m 四方に1個   赤道部でも平均 2km 四方に1個

限界線の予報による違い(明石付近) NASAの線は谷八木小学校,月縁考慮の線はJR明石駅北の明石公園のお堀を通過                    (背景の地図は国土地理院電子国土Webシステム提供) NASAの線は谷八木小学校,月縁考慮の線はJR明石駅北の明石公園のお堀を通過

ΔT (一様な時刻TTと地球自転によるUTとの差) 差の原因(1) ΔT (一様な時刻TTと地球自転によるUTとの差)      国立天文台 ΔT = 67s      NASA  ΔT = 67.7s 正確な値は ΔT = 66.75s この効果は大きなものではない

日本とアメリカで中心線の東西の位置が反対 ↓ 差の原因は ΔT の差だけでない

差の原因(2):月の重心から中心への位置の補正 国立天文台はΔλ= +0.5”,Δβ= -0.25” NASAは補正なし 差は約1km   国立天文台はΔλ= +0.5”,Δβ= -0.25”   NASAは補正なし 差は約1km 差の原因(3):月の半径 (k×地球の赤道半径) 国立天文台:k = 0.2725076 NASAは月縁の谷の平均:k = 0.272281 差は1.4km

月 縁 は 図 の 縮 尺 に 対 し て 約 50 倍 拡 大 い る

月月 縁縁 はの 図拡 の大 縮に 尺合 にわ 対せ して て描 約い 50                                                  た 倍の にで 拡太 大陽 し縁 ての い曲 るが る 向 き が 逆 転 し て い

(Astronomische Nachrichten, 128, p.367) 金環日食限界線 → 太陽の大きさを決める 日月食計算に現在使われている太陽の半径 696,000 km は 1891年に A. Auwers(ドイツ)が発表した 視半径 15’59.63” at 1 AUが元 (Astronomische Nachrichten, 128, p.367)

太陽半径の測定値(Emilio他の2012年の論文より) 限界線が観測から決まると太陽半径が求められる

NASA も LRO (Lunar Reconnaissance Orbiter) を2009年6月18日に打ち上げ,LOLA (Lunar Orbiter Laser Altimeter) を使って月面地形を高密度に測定した.

金環日食限界線共同観測プロジェクト 2011年5月 第1回金環日食シンポジウム(東京)で 2011年5月 第1回金環日食シンポジウム(東京)で  井上毅さん(明石市立天文科学館):明石市での限界線観測 2011年9月 井上さんと私とで限界線観測の意義の話し合い  早水勉さん(せんだい宇宙館):ベイリービーズ観測の提案 2011年12月 プロジェクトが3つのチームで行うことを決定  チームR:日食めがねによる眼視観測から限界線決定  チームB:ベイリービーズ観測から精密な太陽半径の決定  チームM:全国の日食の進行が分かる教育的動画の収集

チームB 17地点で合計120を超える ベイリービーズの明滅時刻 ビデオ記録の質の良い3地点のビデオの 合計41個のベイリービーズの明滅の時刻から 太陽半径 696,019km ± 10km (ビーズの明滅から定まる暫定結果) 次の2つの図はO-Cの小さい小和田氏の結果の一部と O-Cの大きい宮下氏の結果の一部, O-Cが異なっていても,おのおのO-Cはほぼ一定 今後,太陽周縁光度曲線も求めて最終結果を出す

代表者 数 半径補正 代表者 数 半径補正 比嘉義裕 7 + 17±35 宮下和久 5 −767±26 代表者 数 半径補正 代表者 数 半径補正                    km km                       km km 比嘉義裕 7 + 17±35 宮下和久 5 −767±26 小和田稔 17 + 11±12 渡辺裕之* 1 −193 高村裕三朗 17 + 28±16 洞口俊博* 6 −477±78 山村秀人 12 + 12±19 谷川智康 6 −116±49 赤津芳春 12 − 10±20 佐藤 信 1 − 58 外村 一 5 − 15±22 渡辺文雄‡ 3 −221±63 岸本 浩 9 − 30±15 渡部勇人* 2 − 48±70 松井 聡 5 − 13±34 冨岡啓行 5 +131±33 大西浩次† 1 − 20 *輝度低  †雲多し  ‡ドリフトあり 宮下和久氏のビデオ:backgroundが0,ゲインが低いのだろうとのコメントあり