越境電子商取引に関する紛争解決の仕組み構築について

Slides:



Advertisements
Similar presentations
受付番号 平成 23 年度 東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業 (被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報 等の共有システムの推進のための調査事業) 提案書 事業区分 イ-2:被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステム の推進の調査事業 (被災地での地域医療提供体制の再構築のための情報通信技術の活用の在り方、
Advertisements

1 ( 様式8 ) 提案書雛型ア 資料2 - 1 (提案者名を記載) ○○○○ 受付番号 ア.地域見守りサービス創出における調査 平成 23 年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出実証事業 ( IT 等を活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業) 提案書 (提案事業のタイトルを記載:
受付番号 平成 23 年度 東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業 (被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報 等の共有システムの推進のための調査事業) 提案書 事業区分 イ-1:被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステム の推進の調査事業 (平成22年度医療情報化促進事業の検討内容を踏まえ、被災地において被災.
証券取引所の 再編方法のあり 方 立教大学 北原ゼミナール. 2 本論文の構成 第1章 証券取引所の必要性 第3章 日本の取引所の現状と問題点 第4章 海外の証券取引所 第2章 証券取引所を取り巻く環境変化 第5章 証券取引所の再編方法.
仙台防災枠組の実施に向けて 海外の災害・東日本大震災から生まれた広域復興トークライブ 仙台防災未来フォーラム
農産物一貫流通システム 農業・農村の活性化と安全・安心の確保のために
(提案者名を記載) ○○○○ 平成22年度「医療情報化促進事業」 提案書 (様式8) 提案書雛型ア、イ及びウ
貿易情報の調査 理工学部 情報学科 3年           吉田 克己.
オンライン紛争解決(ODR) ~Eコマースにおける取り組み~
Chief Operation Officer
2002年12月16日 ドメイン名に関する最新動向(IW2002) 丸山直昌
PT、OT、ST等の外部専門家を活用した指導方法等の改善に関する実践研究事業(新規) 平成20年度予算額(案) 42,790千円              
電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ(工程表)
(新エネルギー等の導入・普及に当たっての評価方法や基準への適合性評価の課題)
建設情報化協議会(CIC)・ 株式会社 ネレウス
「WTOと地域統合の関連と方向性 -経済学の視点から」 大阪大学 阿部顕三
【資料3】 条例検討会議について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課.
【資料5】 条例の基本的な方向性について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課.
お薬の販売方法について ご存知ですか? 健康被害救済制度 苦情相談窓口 医薬品の副作用等による被害を受けられた方を救済する
障害のある人の相談に関する調整委員会の設置
4 第3次障害者基本計画の特徴 障害者基本計画 経緯等 概要(特徴) 障害者基本法に基づき政府が策定する障害者施策に関する基本計画
東京財団上席研究員 中央大学法科大学院教授 森信茂樹
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の概要
第1章 地域の政治力学と日本 ~東亜共同体への動き~
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
地方におけるデータ活用人材の育成について
大阪府プロフェッショナル人材戦略拠点事業概要図 <大阪府プロフェッショナル人材戦略拠点>
インターネット取引とODR 一般社団法人ECネットワーク
フランスの年金調整会議 年金調整会議は、2000年に創設された。常設の団体であり、メンバーは国会議員、経営者・労働組合の代表、専門家、国の代表である。その主たる目的は、フランスの年金制度を監視すること、年金に関連する公的政策への勧告をすることであり、専門的知識と全ての参加者による協議に基づいている。
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
AGENDA ODRのこれまでと現状 実用化フェーズに入ったODR
ホストタウン化へ向けて.
審査区分決定までのフローチャート 迅速審査が可能な範囲とは?
「経理・財務サービス スキルスタンダード」の作成について - ダイジェスト版 -
国際的な情報セキュリティへの取り組み 各国の対応とサイバー犯罪条約 インターネット時代のセキュリティ管理.
地域ネットワークを構築 相談支援事業が核 甲賀地域障害児・者サービス調整会議(甲賀地域自立支援協議会)の運営 図3 約80機関で構成
近畿大学理工学部情報学科 電子商取引研究室所属 3学年 福井 竜太
両国の現状 スウェーデン 日本 インターネット普及率 インターネット普及率 More than 50% 30.6% Eコマース浸透率
大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて(提言)の概要
海外のお客様とのコミュニケーションが可能!
もっと便利に下請相談! 原油・原材料の価格高騰等によりお困りの中小企業の皆様のために、下請取引の相談時間を延長などして対応いたします。
Chief Operation Officer
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成③ 重症心身障害児者等の ニーズ把握事例 ~久留米市のコーディネートの現状~
資料6 平成24年度活動報告と平成25年度活動計画案 オープンデータ流通推進コンソーシアム事務局.
そして、仲裁でトラブルを解決するためには 互いに仲裁で解決する旨の合意書面が必要なんです。
(提案事業のタイトルを記載:80文字以内) ○○○○○○○○○○○○ (提案者名を記載) ○○○○
省CO₂型リサイクル等高度化設備導入促進事業
お薬の販売方法について ご存知ですか? 健康被害救済制度 苦情相談窓口 医薬品の副作用等による被害を受けられた方を救済する
エコアクション21で企業価値を高めることができます
アジア・アフリカ協力の促進 貿易・投資促進のための日本の取組 アフリカとアジアの貿易・投資の現状 南南協力の促進のための日本の取組
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
SCS研修「高等教育における障害者支援(2)」 国際的な障害者の権利保障と教育
資料10-1 エコアクション21  事業概要.
事業目的・概要等 イメージ 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業 背景・目的 期待される効果 事業スキーム 事業概要
~化学物質リスクアセスメント・ラベル表示が義務化されました~
大阪府子どもの未来応援ネットワークモデル事業 <取組のポイントと成果>
香港環境ビジネスセミナー 三重県企業国際展開推進協議会 環境部会
【1 調査の目的、内容及び実施方法】 1.1 調査目的
今までにないコスト合理化や収益拡大を目指す東電改革
道市連携海外展開推進事業(ASEANマーケット開拓プロジェクト)
拠点システム構築事業 サブサハラアフリカ諸国の教育改善
認定支援機関による経営改善計画策定支援 国 基金管理団体 (別紙2) 事業の内容 事業イメージ
英国のEU離脱 平成30年2月 在英国日本国大使館.
JACICにおけるCALS/ECの推進及びICT導入に係る取り組みについて
「投資」の新たな展開 -株式会社以外に…-
あいサポート条例(愛称)素案の概要 1 制定の目的 2 条例案の内容
内部統制とは何か.
Ⅲ 地球地図アプリケーション戦略の施策案(2)
資料 1 コンテンツの 取引市場形成について ~データベース議論の概観と、議論の進め方について ~
AGENDA ODRのこれまでと現状 実用化フェーズに入ったODR
Presentation transcript:

越境電子商取引に関する紛争解決の仕組み構築について 経済産業省 2010年9月 情報経済課の資料より抜粋

世界における越境紛争解決の仕組み構築の動き ○ 今後、アジアを中心としてインターネット利用者の更なる増大が見込まれており、越境取引は拡大するものと見込まれている。こうした中、越境取引に関する裁判外の紛争解決(ADR)の仕組み、特に、オンラインでの紛争解決(ODR)の仕組みの構築に向けた国際協力の動きが進展している。 ○ また、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)では、越境電子商取引のODRに関する作業部会が設置され、各地域で統一的に使用される越境ODRのルールのあり方が検討されることとなっている。 ○ 裁判外紛争解決の国際的な仕組み構築を通じて、越境取引に関するトラブルの適正な解決が図られるような環境を整備することは重要である。また、紛争解決の国際的な仕組み構築は、各国間の法制度に関する情報共有を促すため、ルールの国際調和を図る上でも有用である。 オンライン紛争解決(ODR)について 和解、調停、仲裁などの紛争解決プロセスであって、交渉促進のためにインターネットなどの技術を利用してオンラインで行うもの。ADRの手順をただオンラインで行うだけのものから、コンピュータによる自動直接交渉システムを含むものまで、態様は様々。 次のようなメリットがある。 非対面で行われるため、迅速で低コストの解決が可能。 提供されるツールによって、肉声だけでなく、文章による非同時性のコミュニケーションなど、様々な態様のコミュニケーションが可能。 居住国や時間帯を気にせず、より専門知識を持った調停者、仲裁者を参画させることが可能。 越境取引に関する紛争解決の仕組み 欧州 ECC-Net 米州機構 OAS-ODR イニシアティブ アジア(ERIA) ICA-Net構想 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)での議論 2010年7月の総会において、複数の地域におけるODRの非整合的な発展を回避する必要性も踏まえ、UNCITRALにおいて事業者間取引及び事業者・消費者間取引の双方に適用され得るODRの一般的ルールの作成が望まれるとの考えが事務局から示され、ODRに関する作業部会の設置が決定された。 OECD  2007年 消費者の紛争解決及び救済に関する勧告

ECC-Net: European Consumer Center Network 欧州における動き ECC-Net: European Consumer Center Network ○ 参加国: 29カ国   ・2005年、既存の2つのネットワークの統合により発足   ・EU及び参加国政府により運営 ○ 目的:   ・情報提供・アドバイスを通じた消費者保護・育成   ・かしこい消費者の育成や消費者の市場への信頼度の向上を通じた市場活性化     ○ 役割:   越境取引で生じた消費者トラブルについて、以下を実施。    -法制度や実務の観点からの情報提供・アドバイス    -トラブル相手の企業側へのコンタクト    -裁判外の紛争解決プロセスに関するアドバイス    -苦情相談トレンドの分析     (特に、航空券、Eコマース分野) ○ 相談の受付体制   ・Eメール(35%)、電話(25%)、書面(18%)、センター直接訪問(7%)等 ○ 2008年の取扱件数: 62,000事例(対前年比22%増)   このうち、約半数がオンラインショッピング関連

米州における動き OAS-ODR イニシアティブ : Organization on American States – Online Dispute Resolution Initiative ○ 米国政府の提案により、米州機構(OAS:米、加及び中南米33カ国)で検討中の越境トラブルに関するオンライン紛争解決の仕組み。eBay及びPayPalもサポート。 ○ 目的:   ・消費者の市場への信頼度の向上を通じた市場育成   ・ネットビジネス分野のクローバル企業における越境トラブル対応に係るコスト(裁判費用等)の低減 ○ 内容:   ・国境、言語、裁判管轄の違いを越えて小規模な越境トラブルの解決するため、ネットを通じて、当事者同士の直接交渉、調停・仲裁を行う仕組みを提供。   ・国の行政機関が、参加事業者リストの管理やオンライン仲裁・あっせん提供プロバイダの選定を行う。   (注) なお、取扱いの対象となるトラブルは、本イニシアティブに参加する企業に対するものに限られる。 ○ 2011年には、パイロットプロジェクトとして、本イニシアティブを実行に移すことを想定。また、米州機構内のみならず、グローバルなシステム形成にも意欲的。 オンライン紛争解決(ODR)スキーム ・消費者と企業は、各所在地の国家機関を通じて交渉。 ・紛争解決仲介者は、承認された調停・仲裁提供プロバイダより選定。 ・判断が下された場合、国家機関はその結果を通知される。 ・国家機関は、その決定内容が企業によって実行されるよう働きかける。 中央情報センター 紛争解決 仲介者 国家機関 買主 (消費者) 売主 (企業) (資料) 米州機構CIDIP VII 作業部会における米国務省プレゼンテーション資料より作成

ICA-Net構想: International Consumers Advisory Network アジアを中心とした動き ICA-Net構想: International Consumers Advisory Network ○ 越境Eコマースに関する消費者トラブル相談窓口の国際ネットワーク。その目的・役割は、欧州のECC-Netとほぼ同じで、市場に対する消費者信頼の向上を通じた市場発展を目指すもの。 ○ これまでの経緯:  ・2007年11月: Eコマースの民間国際協議機関であるGBDe(Global Business Dialogue on Electric Commerce)によるコンセプトの提案。  ・2008年12月~2010年3月: ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)のWG(座長:松本恒雄一橋大学教授)における、ICA-Netの実証プロジェクトの実施。 2010年3月に、ICA-Net実現に向けた提言を含む報告書をとりまとめ。   【WG参加国】 日本、韓国、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、タイ(オブザーバーとして、米国、台湾、中国も参加) ○ ERIAの実証プロジェクトを通じて得られた成果・課題は以下のとおり。    ・言語・制度・慣習・裁判管轄の違いがあれども、相談をつなぐことで解決できる事例もある。ただし、実効ある解決へと導くためには窓口機関と執行機関との協力関係が不可欠。    ・消費者トラブルに幅広く対応するためには、窓口機関への財政的支援が必要。    ・相談対応を通じて、法制度改善や各国間の法制度協調に向けた課題抽出が可能。 2008-09 ERIA ICA-Net 実証プロジェクト ICA-Netにおける相談フロー A国 窓口機関 B国 B国・売主 (企業) A国・買主 (消費者) 越境Eコマース 言語A (例えば中国語) 言語B (例えば日本語) 法執行機関 業界団体 等 相談内容を翻訳・伝達 トラブル 相談 伝達 対応要請 法執行 ADRなど

アジアを中心とした動き (ICA-Net構想) と事例 ICA-Netの仕組み

日本国内の動きと今後の対応 ○ 現時点で、日本で越境B2C取引に関する消費者からの相談に対応しているのは、一般社団法人ECネットワークのみ。今後、越境B2C取引の増加や国際的な紛争解決の仕組み構築の動きもふまえ、越境取引に対応可能な国内の消費者相談機関の整備を図っていく必要がある。 ○ 越境B2B取引に関する紛争解決機関についても、国際的な動きをふまえ、特にODRへの対応を促進していく必要がある。 B2B/B2C取引の国内ADRの実態 ADRに関する主な国内法整備 2003年 仲裁法制定 2004年 ADR促進法制定 2008年 国民生活センター法改正 (国民生活センター紛争解決委員会の設置) 2009年 金融商品取引法等改正 (金融ADR創設) B2C取引のADR B2B取引のADR 主な機関 国民生活センター、各地域の消費生活センター、NACS、全国消費生活相談員協会、ECネットワーク 等 日本商事仲裁協会、各地域の弁護士会、法律事務所 等 紛争解決の態様 主に、助言、あっせん 調停、仲裁 利用料金 概ね無料 数十万円~ オンライン対応 メールによる相談対応等は若干存在 ほとんど無し 越境対応 ECネットワークのみ対応(ECネットワークはERIAにおけるICA-Net実証プロジェクトにも参加) 一部対応(日本商事仲裁協会等) 今後の課題 ICA-Netの実現を想定した、越境紛争に対応可能な機関の整備。また、越境紛争対応の費用負担のあり方についても検討が必要。 ODRに対応した、低コストかつ簡易な紛争解決を実施する機関の整備。 経済産業省でのADRに関する取り組み 2003~2005年 インターネット関連ADR実証実験(ECOM委託) 2006~2008年 国際ADR調査研究(ECネットワーク委託) 2008~2009年 ERIAにおけるICA-Net実証プロジェクトに参加 2009年 越境ECの法的問題に関する検討会 2010年 ICA-Net実現に向けたアジアECワークショップ(P) 消費者庁でのADRに関する取り組み 2010年 インターネット消費者取引研究会 2010年 越境消費者取引の紛争解決に関する海外調査 UNCITRALのODR作業部会(WG3) 2010年12月13日~12月17日 @ウィーン 2011年5月23日~5月27日 @ニューヨーク