暗黒物質検出のための 方向感度を持った検出器の開発

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暗黒物質検出のための 方向感度を持った検出器の開発 素粒子物理国際研究センターシンポジウム  2002年 2月19日 白馬 関谷洋之 東京大学理学系研究科

暗黒物質の検出方法 暗黒物質と検出器中の原子核との弾性散乱を利用 証拠 予想されるEnergy スペクトル 暗黒物質の分布 熱平衡状態 を仮定 原子核による違い 地球の公転による違い   からスペクトルの差を見る 証拠

原子核による違い Spin coupling Neutralinoの場合 Scalar Coupling Spin Coupling 同じ条件で実験するのは難しい

地球の公転による違い(Annual Modulation) Galaxy rotation 220km/s DMは一様分布 地球の公転 30km/s Modulationは小、systematic の影響大 確実な大きな特徴

暗黒物質の風向き 検出器中の原子核の反跳方向Ω(γ,φ)でみる Exclusion plot アントラセン Carbon Recoil Maxwell分布を仮定 Exclusion plot  アントラセン    Carbon Recoil BG 1 count/keV/day/kg 前方と後方で4倍以上の差

有機単結晶シンチレーター アントラセン 中性子入射に対し 最大30%の変化 スチルベン 1.9MeV 3MeV ab面で劈開 単斜晶性結晶 中性子入射に対し 最大30%の変化 スチルベン 1.9MeV 3MeV ab面で劈開 単斜晶性結晶 D.B.Oliver,G.F.Knoll,IEEE Trans Nucl. Sci. NS15(1968)122 シンチレーション効率に角度依存性がある

利用方法1: 結晶軸を暗黒物質の風向きにあわせる 発光効率最大の軸と最小の軸を銀河の回転方向に向け 反跳エネルギースペクトルの変化を見る。 アントラセン Carbon recoil

利用方法2:Scintillating bolometer Phononとphotonの同時測定 Θ:Debye 温度 アントラセン ~100K 動作可能

シンチレーション効率の角度依存性 クエンチング(消光)が角度依存する スチルベンについて測定した 重荷電粒子でのみ発光量変化(e,γでは変化) 反跳原子核では変化 クエンチング(消光)が角度依存する の測定が必要 Birksの式(荷電粒子によるエネルギー損失と発光量の関係) 反跳原子核 反跳エネルギー 反跳角度      による S:γによる発光効率 しんちれーたーでは荷電粒子がクエンチングしますが。。。。 kB:消光の割合 角度依存 スチルベンについて測定した Quenching Factor γ(電子反跳)による発光量に対する割合

スチルベンシンチレーターの特徴 最大30%の変化 c’軸方向発光量最小 b軸(c’に対し90°)最大 NaIの30%発光量 2cm 最高放出波長 410 nm 減衰定数 4.5 ns(即発) 分子性結晶で脆い Pulse shape discrimination が可能 2cm 5.3MeV α入射に対し H.Heckmann et.al. Z.Phys 165(1961)12 c’軸方向発光量最小 b軸(c’に対し90°)最大 最大30%の変化

クエンチングファクターの測定の原理 Cf 線源(252Cf)を用いて 中性子の散乱角、散乱前(後)のTOFから反跳角・反跳エネルギーが求まる。 target Cf TOF TOF 中性子カウンター

方法 CAMAC-DAQ Charge ADCを用いたPulse shape discrimination PSD用の液シンBC501A 反跳後のTOFのみ(諸般の事情により。。。) 最初のCADC出力でTrigger 2つのCADCを用いた    2ゲート法

Pulse shape discrimination 中性子イベントは遅発成分の発光が多いことを利用 Fast gate Total gate γ 2つの幅のゲートでの積分電荷量を比較 n スチルベン BC501A

結果 Event selection Proton recoil (c’に対し60°) TOFによるカット(γコンプトンイベント) スチルベンとBC501AでのPSD BC501Aの出力エネルギー<反跳後のTOFから計算したエネルギー スチルベン-BC501A間 = 60cm Proton recoil (c’に対し60°) 本来は反跳前後のTOFからselectionすべきだが。。

Quenching factor c’に対し大きい角度で反跳したほどQ.Fも大きい (c’に対し30°) 以前オシロスコープ で測定した結果 (昔のαの実験とconsistent) >30%@750keVの変化

Carbon recoil (c’に対して60°) 見える 見える 角度依存性も 見える もう少しthreshold下げてから。。。

今後の予定 低エネルギー領域(100keV以下)で精度良く測定する必要 特にcarbon recoil 加速器を用いて単色中性子ビームで測定 High impedance, Low threshold discriminator (CAEN N417) Ultra low walk constant fraction discriminator (ORTEC 935) 2つのPMTを用いたself-coincidence                      dark current 減少、集光量増加 加速器を用いて単色中性子ビームで測定 立教大 コッククロフトウォルトン加速器 候補 300keV/1価  D(d,n)He(Q=2.5MeV) 東工大 タンデムペレトロン加速器 3MeV/1価  Li(p,n)Be(Q=ー1.6MeV) パルスビーム

発見 そして 暗黒物質の分布(ハローモデル)の検証 銀河中での地球の動きの詳細 その動きに合わせた駆動系の開発 暗黒物質探索実験 向ける結晶軸によりスペクトルの変化をみる 暗黒物質探索実験 発見

おしまい