プラズマの渦構造 ーその宇宙論的起源を考えるー

Slides:



Advertisements
Similar presentations
宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
Advertisements

Magnetic Reconnection in the Magnetotail: Geotail Results
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
Nagai laboratory.
ニュートン重力理論における ブラックホール形成のシミュレーション
(Fri) Astrophysics Laboratory MATSUO Kei
内部導体装置Mini-RT 真空容器内に超伝導コイルを有する。 ポロイダル方向の磁場でプラズマ閉じ込め。 ECHでプラズマを加熱。
「高強度領域」 100 MW 〜 1 GW 50 Pcr 〜 500 Pcr 高強度レーザーパルスは、媒質中で自己収束 光Kerr効果
宇宙空間物理学の課題 Space Physics
原始惑星系円盤の形成と進化の理論 1. 導入:円盤の形成と進化とは? 2. 自己重力円盤の進化 3. 円盤内での固体物質の輸送
相対論的輻射流体力学における 速度依存変動エディントン因子 Velocity-Dependent Eddington Factor in Relativistic Photohydrodynamics 福江 純@大阪教育大学.
SHIGENOBU HIROSE AND JULIAN H. KROLIK
輻射優勢円盤のMHD数値実験 千葉大学宇宙物理学研究室 M2 松尾 圭 Thu.
GRB 観測 相対論的 Jet の内側を探る 金沢大学 米徳 大輔、村上敏夫 今日のトピックは Inverse Compton
X線天文衛星用CCDカメラの 放射線バックグランドの評価
数値相対論の展望        柴田 大 (東大総合文化:1月から京大基研).
速度勾配依存 変動エディントン因子 Velocity-Gradient-Dependent Relativistic Variable Eddington Factor Plane-Parallel Case 福江 純@大阪教育大学.
質量数130領域の原子核のシッフモーメントおよびEDM
RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定
前回のまとめ Lagrangian を決める基準 対称性 局所性 簡単な形 変換 (Aq)I =D(A)IJ qJ 表現
1次元電子系の有効フェルミオン模型と GWG法の発展
太陽風プロトンの月面散乱による散乱角依存性の研究
Primordial Origin of Magnetic Fields in the Galaxy & Galaxies - Tight Link between GC and Cosmic B –  Y. Sofue1, M. Machida2, T. Kudoh3 (1. Kagoshima.
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
反核子のオフシェルエネルギーでの振舞いおよび ガモフテーラー和則における中間子生成強度
電子 e 光子 g 電磁相互 作用を媒介 陽子 中性子 中間子 p n ハドロン 核力を  媒介 物質の 究極構造 原子 原子核 基本粒子
PIC/MCによる窒素RFグロー放電シミュレーション
Cosmic strings and early structure formation
研究課題名 研究背景・目的 有機エレクトロニクス材料物質の基礎電子物性の理解 2. 理論 3. 計算方法、プログラムの現状
参考資料 球状トカマク プラズマの閉じ込め 電流駆動・立ち上げの意義 低アスペクトの利点 中心ソレノイドの役割 中心ソレノイド無しの核融合炉.
Anomalous deformation in neutron-rich nuclei
課題演習A5 自然における対称性 理論: 菅沼 秀夫 (内3830)
Bursty Bulk Flow 生成に関する理論モデル
回転下における超流動3He 1/14.テーマ 物質系輪講1A 物質系専攻 片岡 祐己 久保田研究室
「すざく」衛星と日本のX線天文学 July 10, 2005
高次元真空Einstein方程式 と 加速宇宙
超並列宇宙プラズマ粒子シミュレーションの研究
2. 浮上磁場とリコネクション 様々な太陽のジェット現象 -----宮越 2. 対流現象を粒子で追いかける -----野澤
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
宇宙線東西効果を利用した 電子―陽電子選別
Why Rotation ? Why 3He ? l ^ d Half-Quantum Vortex ( Alice vortex ) n
重要な効果 ブラックホールや中性子星(パルサー)磁気圏 銀河団スケールの加速(L×Bが大きい) 1020 eV以上
原子分子の運動制御と レーザー分光 榎本 勝成 (富山大学理学部物理学科)
A4-2 高強度レーザー テーマ:高強度レーザーと物質との相互作用 橋田昌樹 井上峻介 阪部周二 レーザー物質科学分科
極冠域電離圏における低エネルギー降下電子の起源について
EMCalにおけるπ0粒子の 不変質量分解能の向上
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
シミュレーションサマースクール課題 降着円盤とジェット
課題演習A5 「自然における対称性」 担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 村上 哲也.
? 格子QCDシミュレーションによる南部-ゴールドストン粒子の 質量生成機構の研究 質量の起源 ドメインウォールフェルミオン作用
大阪市立大学 宇宙物理(重力)研究室 D2 孝森 洋介
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
静電場、静磁場におけるMaxwellの式
B5 プラズマ B5 実験テーマ 2018年度は後期のみ プラズマ 物質の第4の状態 外部の場とともに荷電粒子自身が作る電磁場が相互作用
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 B4 近藤 奨
MO装置開発 Core part of RTR-MOI Photograph of core part.
強結合プラズマ 四方山話 − 水素とクォーク、高密核融合、 クーロンクラスター、そして粘性 −
パルサーの ポーラーキャップモデル 柴田 晋平 山形大学・理学部.
大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科 学生番号 B02-014 伊藤 誠
大型ヘリカル装置における実座標を用いた 粒子軌道追跡モンテカルロコードの開発
第3回応用物理学科セミナー 日時: 7月10日(木) 16:10 – 17:40 場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室
プラズマ未知の構造 吉田・比村・小川研究室 実験棟 1階 1E1 先端エネ プラズマとは 固体・液体・気体を超えた第4の物質。 研究の目的
研究紹介:山形大学物理学科 宇宙物理研究グループ 柴田研究室
γ線パルサーにおける電場の発生、粒子加速モデル
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
河村 聡人 京都大学附属花山天文台 2017/08/25 – CANS+部分電離化計画 河村 聡人 京都大学附属花山天文台 2017/08/25 –
大阪市立大学 孝森 洋介 with 大川,諏訪,高本
原始星からのX線発見と課題 (r-Ophの)T-Tauri星からX線放射とフレアーの発見
B5 プラズマ B5 実験テーマ 2017年度は後期のみ プラズマ 物質の第4の状態 外部の場とともに荷電粒子自身が作る電磁場が相互作用
Presentation transcript:

プラズマの渦構造 ーその宇宙論的起源を考えるー プラズマの渦構造 ーその宇宙論的起源を考えるー 吉田善章 東京大学・新領域創成科学研究科

宇宙をみたす渦=磁場

渦=不思議な現象の表象 Euler’s cosmology

プラズマ渦の実験 電子プラズマの渦(際本 et al.) RF生成プラズマの3極渦 (田中 et al.) 磁気圏型プラズマの渦 (東大・RT-1プロジェクト)

論点 渦(物質の循環運動)と磁場を統一して理解する. 時空間の歪(相対論効果)が渦を生む. 渦の自己組織化. S.M. Mahajan and Z. Yoshida; Twisting space-time: Relativistic origin of seed magnetic field and vorticity, Phys. Rev. Lett. 105, 095005 (2010). Z. Yoshida et al., Magnetospheric vortex formation: self-organized confinement of charged particles, Phys. Rev. Lett. 104, 235004 (2010).

渦とは何か 「循環」するもの (circulation). 不思議な力を生じるもの:仕事をしない(エネルギーを変えない)けれど運動方向を変える力:コリオリ力(フーコー振り子)と磁力. 形を変え,強度を変えながら,しかし「アイデンティティー」を保つもの.

循環の保存=渦のアイデンティティー

相対論的に正しい循環法則

相対性理論では,運動体の共時性が壊される. 相対論効果による時空の歪 相対性理論では,運動体の共時性が壊される.  「ループ」は時空の中でねじられる  循環が生み出される.

The 3-vector part of the relativistic equation:

渦とClebsch形式 Z. Yoshida, J. Math. Phys. 50 (2009), 113101 1-16.

膨張するラグビーボール状球殻の上に発生する 磁場の強度分布 膨張       回転運動      渦=磁場

地上の磁気圏 --- RT-1 project ---

磁気圏磁場による「空間の歪」と渦構造形成 磁場の中でプラズマ(荷電粒子)は階層化する(action-angle pairの変数分離)    擬粒子のハミルトニアン 擬粒子が感じる空間=磁気座標空間(磁束管体積をメトリックとする) 磁気座標空間での拡散(均一化)     実験室系では構造形成 回転系でみると自己場が均一   渦形成

Main Results High-β plasma (hot electron) Long-term trap of non-neutral plasma

Inward-diffusion and confinement of electron plasma

Ultra-high-beta plasma confinement Typical magnetic configuration (left) and the radial profiles (right) of the flux function, pressure and the beta (Grad-Shafranov equilibrium calculations).

まとめ 渦=磁場の宇宙論的起源 時空の歪(相対論効果)によって渦=磁場が生まれる. 渦の自己組織化   磁場の効果で,荷電粒子が感じる空間が歪み,渦が自然に生みだされる.