「少数粒子系物理の現状と今後の展望」研究会

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「少数粒子系物理の現状と今後の展望」研究会 The description of the excited states in light nuclei with the Brueckner-AMD 富樫 智章, 村上 貴臣, 加藤 幾芳 北大理 P n n n n 「少数粒子系物理の現状と今後の展望」研究会 23-25 Dec, 2008 P P n

近年、原子核理論研究において 「現実的核力から出発した第一原理計算」が著しい発展を遂げている。 Introduction (1) 近年、原子核理論研究において                        「現実的核力から出発した第一原理計算」が著しい発展を遂げている。 3,4体問題は厳密計算が可能 ⇒ Ex) Faddeev, GEM, etc. さらに核子数が多い系に対しても様々な試みがなされている。 Green’s function Monte Carlo (GFMC) no-core shell model (NCSM) coupled-cluster (CC) method unitary-model operator approach (UMOA) Fermionic molecular dynamics (FMD) + unitary correlation operator method (UCOM) tensor optimized shell model (TOSM) etc. R.B.Wiringa et al., PRC62 (2000) 014001 現実的核力に基づくクラスター構造の議論が可能になりつつある。

最近のクラスター研究の大きな成果の1つに Antisymmetrized Molecular Dynamics (AMD) がある Introduction (2) 最近のクラスター研究の大きな成果の1つに Antisymmetrized Molecular Dynamics (AMD) がある Y.Kanada-En’yo and H.Horiuchi, PTP Supple 142 (2001), 205 AMDの特徴として -Slater行列式によるA 体波動関数の記述 -α核以外にも適用可能 -殻模型的状態とクラスター的状態の両方が記述可能 -配位を仮定しない  ⇒  第一原理的な計算が可能 ところが相互作用として現実的核力ではなく、現象論的な相互作用が用いられてきたところに問題があった。 *Ex) A.B.Volkov, Nucl.Phys.74 (1965), 33. 現実的核力から出発したAMD法の提唱 AMDにBrueckner理論を組み合わせる Brueckner-AMD; the Brueckner theory + AMD T.Togashi and K.Katō; Prog. Theor. Phys. 117 (2007) 189

核子間相関 (nucleon-nucleon (NN) correlation) はAMD波動関数では表現が困難 Brueckner-AMD (1) 摩擦冷却法(cooling method) により最小エネルギーを持つ最適解が自働的に決定される。 初期配位はランダムに決める A.Ono, H.Horiuchi, T.Maruyama and A.Ohnishi, PTP 87 (1992) 1185 … Energy Variation ( 1粒子波動関数を1つのGauss波束で表す) AMD波動関数       核子間相関               (nucleon-nucleon (NN) correlation) はAMD波動関数では表現が困難 ( Slater行列式 ) Brueckner-AMDの基本的なアイデア 模型波動関数: AMD 核子間相関: Brueckner理論(G - matrix)

G –matrix と 1粒子エネルギーはself-consistent に決める Brueckner-AMD (2) A.Doté, Y.Kanada-En’yo, H.Horiuchi, PRC56 (1997) 1844 B-matrixの対角化 H.Bandō, Y.Yamamoto, S.Nagata , PTP 44 (1970) 646 G –matrix と 1粒子エネルギーはself-consistent に決める 初期配位をランダムに決める 最適解が求められる

Features of Brueckner-AMD ①. AMDでは1粒子軌道とエネルギーが定義可能なので Brueckner理論がAMDに対して直接適用される。 AMDにおけるG –matrixはnuclear matterとは違ったものになる。 ②. G –matrixがAMDの1粒子軌道とエネルギーを介するために配位とともに変化する。 核力が持つ強い状態依存性がAMD計算に反映される。

Energy variation for 8Be (1) Argonne v8‘ ( P.R.Wringa and S.C.Pieper, PRL89 (2002), 182501 )

Energy variation for 8Be (2) Argonne v8‘

Energy variation for 8Be (3) Argonne v8‘

Spin-parity projection in the Brueckner-AMD 一般的にAMD波動関数はパリティやスピン(J)の固有状態にならない。 Ex) Parity Projection Parity-projected state :  parity Space-reflection operator ⇒ Slater行列式の重ね合わせが必要になる。 ブラケットで違う状態間のG –matrixが必要になってくる

The correlation function in the Brueckner-AMD Bethe-Goldstone Equation Solution of the Bethe-Goldstone equation Model (AMD) pair wave function correlation function: G -matrix element The realistic potential in this case is Argonne v8’ (AV8’). Correlation function

Spin-parity projection in the Brueckner-AMD Ex) Parity Projection Parity-projected state :  parity Space-reflection operator ⇒ Slater行列式の重ね合わせが必要になる。 ブラケットで違う状態間のG –matrixが必要になってくる そこでG –matrix を correlation function を用いて計算する。 Y. Akaishi, H. Bando, and S. Nagata, PTP. Suppl. No.52 (1972), 339. correlation function

Application to light nuclei Interactions 現実的核力として Argonne v8’ (AV8’) を用いる。 ( 現段階ではCoulombは無視する) Av8’; P.R.Wringa and S.C.Pieper, PRL89 (2002), 182501. Projection Parity : variation after projection (VAP) ⇒ パリティ固有状態としての Intrinsic 状態が求められる。 Spin (J ) : projection after variation (PAV) Parity eigenstate obtained with VAP ⇒ 各J のエネルギーレベルが求められる。 この手法を用いてA=12 までのエネルギーレベルを計算した。 T.Togashi, T.Murakami, and K.Katō, Prog. Theor. Phys. in press.

Results of 4He & 8Be [-56.5] [-44.0] -24.6(MeV)‏ -28.3(MeV)‏ 8Be 4He ρ/2 4 0.1 0.08 0.06 Y 0.04 0.02 [-56.5] [-44.0] [fm-3] -4 Z 4 binding energy (0+)‏ -24.6(MeV)‏ Few-body cal† EXP -25.9(MeV)‏ -28.3(MeV)‏ †Ref: H. Kamada et al. , PRC64 (2001) 044001

Results of 12C 12C [-92.2] [-69.9]

Description of Higher 0+ states 励起0+状態を記述するためには基底0+状態とは異なるIntrinsic 状態を重ね合わせる必要がある。 そこで基底状態と直交させながら変分を行うことで状態を求める。 Y.Kanada-En’yo, PTP117 (2007) 655 Intrinsic state of the excited state parity-projected states その後、J-projection されたノルムとハミルトニアン行列の対角化を行う。 今回この手法を 4He と 12C の励起状態に適用した。

The 02+ state of 4He B.E. (01+) : -25.4 (MeV) B.E. (01+) : -25.9 (MeV) Argonne v8‘ Gauss波束の幅の最適化を行う。 The excited state ρ/2 ρ/2 4 4 0.025 0.025 0.02 0.02 0.015 Y 0.015 Y 0.01 0.01 0.005 0.005 [fm-3] [fm-3] -4 Z 4 -4 4 Z J-projection されたノルムとハミルトニアン行列の対角化を行う。 The results of this work ( Few-body calculation ) B.E. (01+) : -25.4 (MeV) B.E. (01+) : -25.9 (MeV) B.E. (02+) : -7.84 (MeV) B.E. (02+) : -7.86 (MeV) PRC70 (2004) 031001(R), E.Hiyama et.al.

Components in 0+ states of 4He Breathing mode like ! 少数体厳密計算(肥山さんの計算)では02+が3N-N的であることが示唆されている。 今の枠組みでは波動関数にnucleon-nucleon correlationが含まれていない。 電磁気遷移の計算も含めて今後さらなる検討が必要である。

Application to 12C (preliminary) Argonne v8‘ [-92.2] [-72.3]

Summary & Future works ・ 4Heにおける電磁気遷移の計算 ・ 4Heのparity –状態の記述 AMDにBrueckner理論を組み合わせて現実的核力から出発したAMD 法を構築した。 correlation function を用いてSlater行列式を重ね合わせた際のG -matrix を計算した。 直交化しながらの変分により4He と12C の励起状態を記述した。 Future works ⇒ 来年3月の学会に向けて… ・ 4Heにおける電磁気遷移の計算 ・ 4Heのparity –状態の記述 ・ 12Cの02+状態の記述にむけてのGCM計算

Appendix

Normal AMD Calculation for 12C En’yo san’s AMD calculation Y.Kanada-En’yo, PTP117 (2007) 655 Single-particle w.f. 12C (We select the spin configuration as S=0) We need to improve the spin configuration.