増倍管実装密度の観測量への影響について.

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増倍管実装密度の観測量への影響について

低エネルギー電子の位置決定誤差への影響 完全実装 半分実装 位置の測定誤差 測定誤差(cm) 増倍管実装密度が半分になると、 電子の位置決定誤差が約2倍悪 くなる 電子エネルギー

低エネルギー電子のエネルギー決定誤差への影響 完全実装 半分実装 エネルギー決定誤差/エネルギー 電子エネルギー 注意: データサンプルは5MeV以上のみを使っているので8MeV以下では決定誤差が小さくなっている 増倍管実装密度が半分になるとエネルギー決定精度が40%悪化する

低エネルギー電子の方向決定誤差への影響 完全実装 半分実装 1-cosq エネルギー 増倍管実装密度を半分にすると、方向決定の誤差は10-20%悪化する

低エネルギーノイズデータの実装密度依存性 観測数 電子エネルギー 電子エネルギー 両図中3種類のデータ:上からカット前、外部からのガンマ線カット、ミューオン由来電子カットを行った後  に残ったデータのエネルギースペクトル。太陽ニュートリノ信号はこのデータの中に隠れている。 右図:増倍管完全実装時のデータ(5MeV以上)。 左図:増倍管半分実装時のデータ。ただし、これは完全実装時データで増倍管を半分に減らした  データを元に作成。5MeVカットがデータにあるため、8MeV以下のデータのなまりは本当ではなく  5MeVにかけて指数関数的に増大するはずである。 増倍管実装密度が半分になると、エネルギー分解能が悪くなるため低エネルギーノイズが高エネルギー  側にしみこんできて、低エネルギーデータの質が悪化する。このため、解析に使えるデータは、完全実装  時の5MeV以上から8MeV以上に制限されることがわかる。

超新星ニュートリノの観測数への影響 nx + e- nx + e- Number of electron 最低検出エネルギー 完全実装: 5MeV 半分実装: ~8MeV neと nx(x=m, t)の測定は上図のような電子散乱を使って行われる。標的電子の質量が軽いため、電子のエネルギースペクトルは低エネルギーに偏る。このため、最低検出エネルギーが高くなると、観測数が急速に減ってくる。増倍管の実装密度が半分になると最低検出エネルギーが5MeVから8MeVにあがるため、観測数は約半分に減ってしまう(上図)。 この影響は、超新星の方向決定精度やニュートリノ振動の影響を解明するのに悪影響を及ぼす。 反電子ニュートリノは陽子との反応を観測に使うため、信号のエネルギー依存性はあまりなく、従って実装密度の影響はあまりない(下図)。 Number of electron Electron energy (MeV) Number of positron ne + p  e+ + n Positron energy (MeV)

陽子崩壊 p  n + K+ 16O  15N* + K+ + n g + X ガンマ線のエネルギーは約6MeV。増倍管の実装密度が半分になるとこのガンマ線をとらえることができない。、

加速器ニュートリノのニュートリノ振動によるne発現現象への影響 nm(CC+NC) ne(CC) All ne発現に対するノイズは p0が主要な成分である。 : 完全実装 : 半分実装 ノイズシグナルの排除効率は完全実装: e(BG)~0.0016 半分実装   ~0.0023 0.5 < Erec(GeV) < 1 Study under way En (GeV) En (GeV)

まとめ 増倍管の実装密度が半分になると、 低エネルギー電子の観測量は、その決定精度が大きく悪化する。 太陽ニュートリノ観測では、ノイズシグナルが高エネルギー領域までしみこむため、最低検出エネルギーを5MeVから8MeVにあげざるを得ない。このため、太陽ニュートリノ観測数の大幅な減少と、エネルギースペクトルの測定範囲が狭まり、得られる観測結果が大きく制限される。 同じく最低検出エネルギーの上昇のため、超新星ニュートリノの電子型、ミュー・タウ型成分の観測数が半減する。このため、超新星の方向の決定精度が悪化し、ニュートリノ振動の影響の解明が困難になる。 陽子崩壊p  n + K+の検出に本質的な6Mevガンマ線の検出ができなくなり、陽子崩壊の探索が不可能になる。 加速器ニュートリノによる電子ニュートリノ発現現象を同定する際、じゃまとなるノイズが増加し、当発現現象の発見が困難になる。