大規模シミュレーションで見る宇宙初期から現在に至る星形成史の変遷

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COBE/DIRBE による近赤外線 宇宙背景放射の再測定 東京大学, JAXA/ISAS D1 佐野 圭 コービー ダービー.
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口径合成によるメーザー源の 時間変動の観測 SKA に向けて 岐阜大学 高羽 浩. 東アジア VLBI 網の 22GHz 日本 野辺山 45m 、鹿島 34m 、 高萩、日立、つくば、山口 32m 、 VERA20m× 4 北大、岐阜大 11m 、水沢 10m 韓国 KVN20m× 3+測地 20m.
オリオン星形成領域における 前主系列星の X 線放射の 長期的時間変動 京大理 ○ 兵藤 義明 中嶋 大 高木 慎一郎 小山 勝二 /23 天文学会 秋季年会 P39a もくじ  星の長期的変動  今回行った解析  まとめ.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
第5回 分子雲から星・惑星系へ 平成24年度新潟大学理学部物理学科  集中講義 松原英雄(JAXA宇宙研)
原始星形成過程の解明 町田正博、犬塚修一郎 (天体核研究室) 星が大人になるまで 原始星:収縮するガス雲中で誕生する星の赤ん坊(100万年)
ニュートン重力理論における ブラックホール形成のシミュレーション
宇宙年齢10億年以前におけるSMBHの存在 遠方宇宙の観測で宇宙10億歳(z~6)未満で10億M⦿程度以上の活動銀河核中のSMBHの存在を確認 赤方偏移 z SMBH質量 [M⦿] URAS J ~2×109 M⦿ 宇宙7.5億歳(z~7)
スケジュール 火曜日4限( 14:45-16:15 ),A棟1333号室
(Fri) Astrophysics Laboratory MATSUO Kei
目次 超巨大ブラックホール(SMBH)形成モデルとバースト降着 バースト降着のもとでの超大質量星形成の計算の結果と議論
衝撃波によって星形成が誘発される場合に 原始星の進化が受ける影響
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
加藤真理子1、藤本正樹2、井田茂1 1) 東京工業大学 2) JAXA/ISAS
DECIGO ワークショップ (2007年4月18日) 始原星の質量、形成率、連星度 大向一行  (国立天文台 理論研究部)
大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科 宇宙物理研究室 B 木村悠哉
原始惑星系円盤の形成と進化の理論 1. 導入:円盤の形成と進化とは? 2. 自己重力円盤の進化 3. 円盤内での固体物質の輸送
輻射優勢円盤のMHD数値実験 千葉大学宇宙物理学研究室 M2 松尾 圭 Thu.
電離領域の遠赤外輻射 (物理的取り扱い)      Hiroyuki Hirashita    (Nagoya University, Japan)
Damped Lya Clouds ダスト・水素分子
宇宙物理II(9) Planetary Formation
大規模数値計算による原始銀河団領域に関する研究
銀河物理学特論 I: 講義1-1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 Kauffmann et al
銀河物理学特論 I: 講義1-2:銀河の輝線診断 Tremonti et al. 2004, ApJ, 613, 898
磁気リコネクション研究 における MHDシミュレーションの限界と解析的研究の展望
ガンマ線バーストジェット内部における輻射輸送計算
104K以下のガスを考慮したTree+GRAPE SPH法による 銀河形成シミュレーション ~Globular Cluster Formation in the Hierarchical Clustering Universe~ 斎藤貴之(北大) 幸田仁(NAOJ) 岡本崇(ダーラム大) 和田桂一(NAOJ)
東京大学理学系研究科 天文センター M2 江草 芙実
XTE/ASM, PCA, HEXTEの感度と観測成果
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの力学的安定性 星間ガスの力学的な安定性・不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
土野恭輔 08s1-024 明星大学理工学部物理学科天文学研究室
銀河物理学特論 I: 講義3-4:銀河の化学進化 Erb et al. 2006, ApJ, 644, 813
Signatures of GRB host galactic Dust in the Afterglows
銀河風による矮小銀河からの質量流出とダークマターハロー中心質量密度分布
磯部洋明 京都大学花山天文台 波動加熱勉強会 2004年2月23日
超高エネルギー宇宙線の起源: GRBアウトフローにおける元素合成
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
村岡和幸 (大阪府立大学) & ASTE 近傍銀河 プロジェクトチーム
理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 4年 岡田 英誉
UMiわい小銀河の赤色巨星 すばるHDSによる観測 (2001-2004) 定金晃三(大阪教育大)
銀河・銀河系天文学 星間物理学 鹿児島大学宇宙コース 祖父江義明 .
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
棒渦巻銀河の分子ガス観測 45m+干渉計の成果から 久野成夫(NRO).
星形成時間の観測的測定 東大天文センター M2 江草芙実 第4回 銀河shop 2004/10/19.
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
超並列宇宙プラズマ粒子シミュレーションの研究
天の川銀河研究会 天の川銀河研究会 議論の種 半田利弘(鹿児島大学).
銀河物理学特論 I: 講義2-1:銀河中心の巨大ブラックホールと活動銀河中心核
倉本研究室 宇宙理学専攻 修士1年 岡澤直也.
セイファート銀河中心核におけるAGNとスターバーストの結び付き
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
シミュレーションサマースクール課題 降着円盤とジェット
宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化
九州大学 猿渡元彬 共同研究者 橋本正章 (九州大学)、江里口良治(東京大学)、固武慶 (国立 天文台)、山田章一(早稲田理工)
滝脇知也(東大理)、固武慶(国立天文台)、佐藤勝彦(東大理、RESCEU)
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するために使われる物理・化学・数学」
星間物理学 講義 3: 輝線放射過程 I 水素の光電離と再結合
2006 年 11 月 24 日 構造形成学特論Ⅱ (核形成ゼミ) 小高正嗣
銀河系内・星形成・系外惑星 系内天体の観点から
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
天文・宇宙分野1 梅村雅之 「次世代スーパーコンピュータでせまる物質と宇宙の起源と構造」
星間物理学 講義7資料: 物質の輪廻と銀河の進化 銀河の化学進化についての定式化
形成期の楕円銀河 (サブミリ銀河) Arp220.
Z=0.24 の Hα輝線天体でみるSFR(UV), SFR(Hα), SFR(MIR) 相互の関係
実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究
楕円銀河の銀河風モデル Arimoto & Yoshii (1986) A&A 164, 260
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大規模シミュレーションで見る宇宙初期から現在に至る星形成史の変遷 EX17703 (大阪大学サイバーメディアセンター推薦) 課題代表者氏名 (所属) 樋口公紀 (九州大学 理学府地球惑星科学専攻) 研究課題名  大規模シミュレーションで見る宇宙初期から現在に至る星形成史の変遷 INTRODUCTION MODEL & NUMERICAL METHOD Non-ideal MHD equations ※4 化学進化、熱進化は1 zone計算をしたものを用いる ※4 CMFとIMFの関係  表1の28通りのBonner-Ebert sphereを設定し、3次元Non-ideal MHD Nested grid codeを用いてシミュレーションを行った。  ガス雲から原始星形成(n ~ 1016 cm-3)まで計算を行った。 -> IMF/CMF = 0.3 - 0.5 (Andre et al. 2010) 現在、天の川銀河 原始星アウトフローの観測例多数 -> アウトフローの星形成への影響大 (理論研究) -> 50% - 70% の分子雲コアガスを外部に輸送可能?  表1の左から順にイオン化パラメータ※1、金属量、Mass-to-Flux Ratios※2 、回転パラメータ※3、磁場強度、ガス雲の質量、温度、半径、音速。 ※1 イオン化パラメータはガス雲のイオン化度を修正するパラメータ。今回、宇宙線と放射性元素の崩壊によるイオン化を考慮した。Cζが0の場合、イオン化源がない始源的環境に対応し、Cζが0.01の場合、天の川銀河環境のイオン化度の0.01倍に対応し、 Cζが1の場合、天の川銀河の値に対応し、 Cζが10の場合、スターバースト銀河に対応する。 ※2 Mass-to-Flux Ratiosの定義は以下。 ※3 回転パラメータωの定義は以下。           ω ≡ Ω0 tff Ω0は角速度、 tffは自由落下時間である。 (M / Φ)cri = (2πG1/2)-1 表1 初期パラメータ 現在、天の川銀河以外 アウトフローの観測例なし -> 数値シミュレーションなし 図1. IMF (Andre et al. 2010) RESULTS 図3. アウトフロー運動量の時間進化  28通りの星形成過程でのアウトフローの駆動の有無(図2)とそれらのアウトフローのもつ運動量(図3)を示した。 金属量 イオン化パラメータ 図2. 28通りの星形成過程におけるアウトフローの駆動の有無  それぞれのパネルは、アウトフローが駆動したモデルはその時点の、アウトフローが駆動しなかったモデルはシミュレーション終了時のx-z平面でのスナップショットである。 カラーコントアは数密度、白線内はアウトフロー領域を示す。高密度でアウトフロー駆動(赤枠)、低密度でアウトフロー駆動(緑枠)、アウトフロー駆動なし(青枠)、トランジェントなアウトフロー駆動(桃枠)。  それぞれのパネルは (a) Cζ = 0 、(b) Cζ = 0.01 、(c) Cζ = 1、 (d) Cζ = 10の場合である。  アウトフロー運動量は、高密度(nc ~ 1016 cm-3)で駆動するアウトフローよりも、低密度(nc ~ 109 cm-3)で駆動するアウトフローの方が3桁程度大きい。 DISCUSSION & CONCLUSIONS ・アウトフロー駆動の有無から、星形成環境が異なれば、星形成過程が変化することを示唆。 ・低密度領域で駆動されるアウトフローの存在(thermal pressureの急激な増加によって一時的に収縮が止まったために駆動) -> 大きな運動量を持っており、星形成過程に影響大?(長時間シミュレーション必要)