MAXIのデータプロセッサ-(DP) リリース2

Slides:



Advertisements
Similar presentations
IP over DVB-RCS の設計と実装 研究背景 DVB-RCS 衛星回線を用いて受信局から送信局への狭帯域な戻り回線を提供 Forward Link Return Link HUB Terminal.
Advertisements

Linuxを組み込んだマイコンによる 遠隔監視システムの開発
(Japan Experiment Module)
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
Chapter11-4(前半) 加藤健.
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
全天X線監視装置(MAXI:Monitor of All-sky X-ray Image)の開発の現状
POWERSHOW Limited DVR-POS システム 小売業者のための理想的な損失防止DVRシステム.
計算機報告 能丸淳一 国立天文台ハワイ観測所.
仮想マシンの並列処理性能に対するCPU割り当ての影響の評価
全天X線監視装置MAXIに搭載されるGas Slit Camera(GSC)
全天X線監視装置(MAXI)の 地上処理システムの現状 小浜 光洋、三原 建弘(理化学研究所)、佐藤俊宏、小笠原 直進、
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
FPGAを用いたMG3用 インターフェース回路の解説
コンテンツ配信 エンコード (符号化) CBR (Constant Bit Rate) VBR (Variable Bit Rate)
CsIシンチレータとMAPMT ヘッドアンプユニットを用いた 動作実験
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
サーボ機構製作 ~マイコンカーのステアリング機構~
イーサネットについて 飯塚務.
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
磯部直樹 (ISAS/JAXA) & MAXIミッションチーム
イーサネット.
Copyright Yumiko OHTAKE
世界初のX線光子データベース「MAXI地上データベース」の 実現に向けた性能試験
国際宇宙ステーション搭載 全天X線監視装置(MAXI)の 開発の現状(II)
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
RT-Linuxを用いた 多入力パルス波高分析システムの開発
第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
(Japan Experiment Module)
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
高感度全天X線監視による 巨大バイナリーブラックホールの探査
(Japan Experiment Module)
リモートホストの異常を検知するための GPUとの直接通信機構
国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置MAXI/GSCのエネルギー波高値較正実験
全天X線監視装置(MAXI)搭載用CCDカメラ の開発の現状
巡回冗長検査CRC32の ハード/ソフト最適分割の検討
各種ルータに対応する P2P通信環境に関する研究
第7回 授業計画の修正 中間テストの解説・復習 前回の補足(クロックアルゴリズム・PFF) 仮想記憶方式のまとめ 特別課題について
コンピュータの基本構成について 1E16M001-1 秋田梨紗 1E16M010-2 梅山桃香 1E16M013-3 大津智紗子
MAXIの開発の現状 とこれから 松岡 勝 2006年3月23日 MAXI理研シンポジウム.
第6回 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
全天X線監視装置 MAXI 地上データ処理システムの開発 I ー 地上データ処理システムの開発状況 ー
Webプロキシ HTTP1.0 ヒント CS-B3 ネットワークプログラミング  &情報科学科実験I.
ディジタル回路の設計と CADによるシステム設計
SiTCP-VME変換モジュールの開発 KEK 物構研:中性子 佐藤節夫.
全天X線監視装置(MAXI)搭載用CCDカメラのエンジニアリングモデルの性能
J-PARC E16実験におけるDAQ-Middleware を用いたDAQソフトウェアの開発
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
全天X線監視装置(MAXI) 三原建弘,根来均,小浜光洋,桜井郁也,中島基樹,牧島一夫(理研)、
MAXI による高感度全天X線モニターとサーベイ 磯部 riken
国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置
明星大学 情報学科 2012年度前期     情報技術Ⅰ   第1回
全天X線監視装置 MAXI 地上データ処理システムの開発 Ⅲ ー 突発天体発見システムの開発 ー
計算機アーキテクチャ1 (計算機構成論(再)) 第一回 計算機の歴史、基本構成、動作原理
全天X線監視装置(MAXI)搭載ガススリットカメラ用コリメータの特性測定
GSTOS コマンド計画検証ソフトウェアの開発
システム玩具を 応用した環境計測システムの構築
低軌道周回衛星における インターネット構築に関する研究
全天X線監視装置MAXI/GSCの封入ガス、 Xe-L殻吸収端の不連続性の定量的見積もり
1.実験目的 国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置 MAXI/GSCのエネルギー波高値較正実験
国際宇宙ステーション搭載 全天X線監視装置搭載用CCDカメラ開発の現状
全天X線監視装置(MAXI)搭載 X線CCDカメラの開発の現状2
IPmigrate:複数ホストに分割されたVMの マイグレーション手法
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
MACFT3 Review Meeting CONTENTS 進捗状況報告.
明星大学 情報学科 2014年度前期     情報技術Ⅰ   第1回
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
Presentation transcript:

MAXIのデータプロセッサ-(DP) リリース2 MAXIのデータプロセッサ-(DP) リリース2 M.Kohama, T.Mihara, I.Sakurai (RIKEN), H.Tomida, S.Ueno, M.Matsuoka, N.Isobe, H.Katayama (NASDA), H.Negoro (Nihon univ.), N.Kawai, J.Kataoka (T.I.Tech.), A.Yoshida, K.Yamaoka (Aoyama-Gakuin univ.), H.Tsunemi and E.Miyata (Osaka univ.) MAXIは国際宇宙ステーション(ISS)に搭載される全天X線監視装置である。現在2008年の打ち上げに向け、各パート毎に本格的な開発が進んでいる。その信号処理部であるデータプロセッサー(DP)はMAXI全体を制御し、搭載されている2つの検出器(GSC、SSC)からのデータをISSを通して地上に送信する役目を持つ、本装置の心臓部をなす。前回(2001年秋)には基本設計に基づき製作された試作モデルその1(リリース1)について報告を行なった。今回はリリース1で判明した改良点を取り込み、ほぼ本番と同等の機能を盛り込んだ詳細設計が完了し、それに対して試作モデルその2(リリース2)が製作されたので、DPシステム全体の紹介とリリース2に対する動作確認試験について報告する。 MAXIシステム MAXIシステムとは、GSCやSSC、RBMのミッション装置(観測機器)を制御し、またデータの受信を行い、JEMを 通じて、地上との通信を行うものである。システムは3つに大分でき、それぞれミッションデータ処理部(MDP)、 サポートシステム部、信号処理部(DP)である。  ミッションデータ処理部(MDP):     信号処理部(DP)とRC422で接続、GSC,SSC、RBMと接続され、観測された生データの一次処理を行い、     信号処理部にデジタル情報で送信する。また、GSC,SSCを信号処理部(DP)からのコマンドを受けて直接     制御する。 サポートシステム部:     慣性基準装置、GPS受信システム、星姿勢系システムからなり、MAXIの位置情報、UT時刻情報を     信号処理部(DP)に伝える。 信号処理部(DP):     MAXIの心臓を為し、JEMを通じて2系統(低速系、中速系)の通信システムを通じて外界(地上)との     通信を行う。ミッションデータ処理部(MDP)、サポートシステム部から、観測データ、MAXIの位置情報、     時間情報を受け取り、テレメトリとして地上に送信する。地上からのコマンド、スケジュール機能、及び     観測データを判断してGSC、SSC,サポートセンサーなどを制御する。 信号処理部 (DP) GSC-H RBM GSC-Z SSC-H SSC-Z ミッションデータ処理部 (MDP) RLG GPS-R VSCE VSCH GSC I/F SSC I/F サポート センサI/F 基準装置 GPS受信機 星姿勢系 ガス比例計 数管スリット カメラ(GSC) 放射線モニタ 図2:MAXIデータ処理システム 1553B I/F Ethernet I/F 44kg、79W 37kg、109W JEM サポートシステム部 X線CCD スリットカメラ (SSC) 慣性 リリース2では未実装 MAXIと地上との通信関係 宇宙ステーション ISS 実験モジュール JEM MAXI NASAリンク 40-50Mbps 17h/day  MAXIはJEM曝露部のNo1ポートに接続され、JEMを 通じて、地上と2系統(低速系、中速系)の通信システム を用いてデータ等のやり取りを行う。  中速系:   地上とEthernetで結ばれており、MAXIには最大   600kbpsの送信量が割り当てられている。また、   日本側の通信網(ICSリンク)で5h/day、アメリカ側   の通信網(NASAリンク)で17h/dayの通信時間が   期待される。  低速系:   従来の衛星通信方式(1553B)で、20-50kbpsの通信   量が割り当てられている。地上との通信不可の時間   帯のデータもICSレコーダーに蓄えられ、実験に最低   限必要なデータのダウンリンクを行うようになっている。 ICSリンク 50Mbps 5h/day 低速系 (1553B) 中速系(Ethernet) (NASDA) ↓ (RIKEN) 地上(USER) 図1:MAXIと宇宙ステーション(ISS) ルート データリレー衛星   (静止軌道) ISS通信可能時間 [h/day]  総通信レート   [Mbps]  日本分 ([Mbps]) NASDAまでの時間 アメリカ TDRS(現在5機)      17   40-50 12.8%(5) 10秒以内 日本 DRTS-W(1機)      5     50 >50%(>20)   数秒 現在、NASDAの方で通信システムの整備が進められている。 低速系に関しては地上のミッションチームまでの通信網が完成しつつある。通信衛星を通して地上に降りてきたデータ はNASDAが用意したOCSというデータベースシステムに蓄えられ、そこから各ミッションチームにデータが配信される。 OCSではICS経由のデータに関してOCSはリアルタイムデータダウンリンク送信(現在接続中のデータをリアルタイム で送信)と再生ダウンリンクデータ送信(ICSレコーダーに保存されていたデータや過去のデータを再生送信)の2つの サービスを提供している。 中速系に関しては現在整備中で、ミッションチームとのデータ接続はUDPが用いられる。サービスとしてはリアルタイムデータ送信のみで、ISSとの通信が不可の時間帯のデータは得られることが出来ない。 信号処理部(DP) データ処理の流れ 4CPU並列処理 (R3081、25MIPS) OS:VxWorks 図3:信号処理部(DP)のデータの流れ スレーブ (SSC-Z) サブマスタ (GSC-A,B) スレーブ (SSC-H) マスタ (システム) SSC I/Fモジュールと スレーブCPUモジュール、 およびCOMモジュールと マスタ、サブマスタCPU モジュールは、VMEバスを 介さない専用データラインで 結ばれている。 (VMEバス負荷を減らす為) MDP GSC、SSCのデータは MDPを経由して、各CPU で2次加工処理が行われ る。2次加工処理では各 通信システムに合わせた パケットの生成を行い、 通信処理にデータを渡す。 また、SAAや太陽などの 環境から検出器を保護す るため、各検出器に対し て自動的、スケジュール 的に保護処理が行われ る。 CPUモジュール CPUモジュール CPUモジュール CPUモジュール 共有メモリ 共有メモリ 転送回路 転送回路 SSC RAM SSC RAM GSC 保護処理 GSC-IN 1秒分集めて処理へ SSC-IN 16ライン集めて処理へ SSC 保護処理 VMEバス GSCイベント処理 SSCイベント処理 Ethernet モジュール MEM モジュール EEPROM (6MB) SSC I/F モジュール 1553B モジュール サポートセンサ I/F モジュール 転送回路 COM RAM GSC I/F モジュール +1s +1s 中速系送信処理(Ethernet) 低速系送信処理(1553) 中速系、低速系の各通信処理では、JEMの通信量制限に基づき、配信データのパケット化を行う。各系それぞれ、可変長パケット、固定長パケットといった特徴をもつ。 中速系はFIFO処理で、最大で20秒程度のバッファーを持ち、これは一つの明るい天体の通過時間に相当する。低速系は、FILO処理で2MBのバッファーを持ち10分程度のデータを保持することが可能である。 75k-600kbps(平均200kbps)で通信 量制限。各データ毎にバッファ(FIFO)を持っ ており優先順序が毎秒交代する。 20k-50kbpsで通信量制限。 各データ毎に バッファ(2MB,FILO)を持ち、固定送信量と 可変割り当てがある。可変割り当ての優先 順位は毎秒交代する。 VSC,RLG、GPSR イーサーネット 中速通信系 GSCデータ (A系、B系) SSCデータ (A,B、HK系) ペイロードバス 低速通信系 信号処理部(DP)は、VMEバス上に4つの並列なCPUボード、 GSC,SSCのインターフェイスボード、ネットワーク関連のEthernet ボード、1553Bボード、サポートセンサシステムのボード、そし てソフトウエアを確保しておくメモリモジュールが設置されている。 4つのCPUボードは独立に動作し、内2枚がGSC,システム制御 (マスタ、サブマスタ)に使われ、残り2枚がSSCの制御(スレーブ1, スレーブ2)に使われる。  また、VMEバス間の通信軽減の為、Ethernetモジュールは、マ スタ、サブマスタモジュールと専用ラインで接続され、SSCインター フェイスモジュールはそれぞれスレーブモジュールと専用ラインで 結ばれている。 OSには、リアルタイムOSのVxWorksが使用されており、ミッション 制御を迅速に行うことができる。 GSC-A (20段) GSC-A固定分 可変割り当て GSC-B (20段) 全部送信 できた 通信量制限 SSC-H (55段) SSC-H固定分 SSC-Z (55段) GSC-A固定分 全部足して 割り当て通信量 FIFOが一杯の時は捨てられる。 SSC-Z固定分 +1s +0s 1秒分がバースト的に送信 1553の回収周期に合わせて回収  図4:信号処理部(DP)概観図(リリース2) 今後の予定 試験 今年度春に、リリース2が納品され、現在 その基本性能確認試験を行っている。 試験は、MDPを模した擬似データ発生装 置を用意し、DPに接続して行っている。 基本的な機能の確認を行い、今後長期 運転試験や負荷試験を行っていく。 また並行して、地上処理システムとの接続 試験を行っており、これらについては根来 らのポスターを見て頂きたい。 MDPの試作モデルその2はまだ開発中で 来年度にDP(リリース2)との接続試験を 行う予定である。 2004 2005 2006 2007 2008 2009 MDP擬似システム  (VMEモジュール)  任意のイベントを  任意のレイトで生成 DP Ether Sun 中速処理 DPリリース2試験 CDR 打ち上げ 1553 Linux 低速処理 MDP 製作 DPとの 接続試験 DP PFM/FM製作 DPシミュレータ GSC処理 SSC処理 をシミュレート 出力結果を比較 総合試験