緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)

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何でもおたずねください 長崎がん相談支援センター 長崎がん相談支援センター 吉原律子・平山美香・木場英郎 緩和ケア普及のための地域プロジェクト 野田剛稔・藤井 卓 白髭 豊・ 鳥山ふみ子 長崎がん相談支援センター.
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外来化学療法室におけるSTAS‐Jの活用と今後の課題
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     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
表1.入院医療から在宅療養への移行期での評価
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Presentation transcript:

緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として) 国立がんセンター東病院 臨床開発センター 精神腫瘍学開発部 小川朝生

緩和ケアチームの要請 がん患者の97%が亡くなる一般病棟での緩和ケアの普及・実践の必要性 2002年4月に緩和ケア医、精神科医、専従看護師をコアメンバーとした「一般病棟における緩和ケアチーム診療加算」の実施

緩和チームの役割 終末期の緩和ケアだけではなく、 診断の時から始まる緩和ケアを 実践し、普及すること 抗がん治療 診断 死亡 緩和ケア

緩和ケアチームが提供すべきケア 身体症状マネジメント 精神症状マネジメント 患者の自己決定のサポート 周囲のサポート体制の評価 予後の評価 退院に向けたプランニングサポート (Weissman, 1997)

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 精神症状マネジメント 身体症状マネジメントの支援 チーム医療 教育 地域連携

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 精神症状マネジメント せん妄・認知症の評価、マネージメント 不安・抑うつの評価、マネージメント 自殺の危険性の評価、対応 意思決定に際しての同意能力の評価 向精神薬の使用に関する助言、副作用管理 精神療法の提供 家族への援助 安楽死や自殺幇助の要請への対応 患者-医療者間の葛藤の解消

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 身体症状マネジメント支援 疼痛アセスメント 鎮痛補助薬使用に関する助言 抗てんかん薬(gabapentin, carbamazepine, clonazepamなど) 抗うつ薬(amitriptyline, amoxapine, など) 制吐薬使用に関する助言 prochlorperazine, haloperidol, olanzapineなど

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 チーム医療 チーム・ビルディング 職種間のコミュニケーションを促進 multidisciplinary からinterdisciplinaryへ 医療スタッフ間の葛藤の解消 医療スタッフのメンタルヘルス維持(burn outへの対応) ケアの目標設定 コミュニケーションスキル トレーニング

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 教育 精神症状関するスタッフへの知識の提供・教育 「精神症状」が存在することを伝える 精神症状に関する知識の提供 「患者に何が起きているのか分からない」 「自殺、転倒、自傷行為のリスクが分からない不安」 向精神薬の薬効・効果に関する知識の提供・教育 「薬の反応が分からない不安」 見通しを伝える ソーシャルサポートに関する知識の提供・教育 介護保険

緩和ケアチームにおける精神科医の役割 地域連携 かかりつけ医を中心とした緩和医療の供給体制の整備 在宅療養への移行を踏まえた精神症状マネジメントの地域連携 介護保険 地域ネットワークの整備 家族ケア・遺族ケア

チームの立ち上げの工夫 現場のニーズに合わせたサービスの提供 クライアントは患者、主治医、病棟看護師 敷居を下げる 依頼方法を簡略化 「ご用聞き」も一つの方法 スピーディな対応 わかりやすい対応 柔軟な対応 継続的な回診、小回りのきくミーティング

チーム立ち上げの工夫(2) 宣伝 院内パンフレット、ポスター 定期的な勉強会を開催 スタッフが病棟に入り啓発活動 各診療科の回診、カンファへの参加