6章 セカンダリー・マーケットのCBA 09/05/21
6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 6.1 効率的セカンダリー・マーケット 6.2 歪みのあるセカンダリー・マーケット 6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 09/05/21
6.1 効率的セカンダリー・マーケット 釣りvs.釣具=補完財 セカンダリー・マーケットはどのように考慮すべきか。 6.1 効率的セカンダリー・マーケット セカンダリー・マーケットはどのように考慮すべきか。 セカンダリー・マーケットでプライマリー・マーケットを捉えることができるか。⇒ それは、補完財であるか代替財であるかに依存する。 (例) プライマリー・マーケット=釣りの市場 セカンダリー・マーケット=釣り道具の市場&ゴルフの市場 釣りvs.釣具=補完財 釣りvs.ゴルフ=代替財 09/05/21
価格変化を伴わない効率的なセカンダリー・マーケット <釣りの市場=プライマリー・マーケット> qF=釣りに行く回数(日数) PF PF=釣りに1回行く実効価格 MCF0=放流プロジェクト前の限界費用 MCF1=放流プロジェクト後の限界費用 PFO= MCF0 PF1= MCF1 DF qF0 qF1 qF 09/05/21
価格変化を伴わない効率的なセカンダリー・マーケット <釣りの市場=プライマリー・マーケット> ΔCS= Ⅰ+Ⅱ PF B= ΔCS= Ⅰ+Ⅱ PF0 Ⅰ Ⅱ PF1 DF qF0 qF1 qF 09/05/21
<釣具の市場=セカンダリー・マーケット> qE =釣具の量 PE PE =釣具の価格 DE0 =放流前の釣具の需要曲線 DE1 =放流後の釣具の需要曲線 PE = PE0 ; 水平な供給曲線 PE0 DE0 DE1 qE0 qE1 qE 09/05/21
<釣具の市場=セカンダリー・マーケット> B= ΔCS= (Ⅰ+Ⅱ) +(Ⅲ+Ⅳ) PE と計算してよいであろうか。 ⇒ No ⇒ 重複計算である。 Ⅲ Ⅳ PE0 DE0 DE1 qE0 qE1 qE 09/05/21
<セカンダリー市場が プライマリー市場の便益を重複計算する例> <セカンダリー市場が プライマリー市場の便益を重複計算する例> u=min(qF, qE) ; 効用関数 PFqF+PEqE=M ; 予算制約式 PE0=1 ; セカンダリー財の価格は1 PF0=放流前の釣りの実効価格 PF1=放流後の釣りの実効価格 09/05/21
等価変分EVと補償変分CV qE qE=qF M/PE0 M/(PF0+PE0) PF0qF+PE0qE=M PF0 / PE0 qF 09/05/21
等価変分EVと補償変分CV PE=PE0=1 のケース qE qE=qF EV=M(PF0-PF1)/(PF1+1) CV=M(PF0-PF1)/(PF0+1) EV M CV M/(PF1+1) M/(PF0+1) PF0 PF1 qF PF0qF+qE=M 09/05/21
プライマリー・マーケットにおけるCV, ΔCS, EV qF=M/(PF0+1) PF qF=M/(PF1+1) Ⅰ= M(PF0-PF1)/(PF0+1)= CV Ⅰ+Ⅱ= ΔCS Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ= M(PF0-PF1)/(PF1+1)= EV ・ PF0 Ⅲ Ⅰ Ⅱ ・ PF1 qF =M/(PF+1) M/(PF0+1) M/(PF1+1) qF 09/05/21
セカンダリー・マーケットにおけるCV, ΔCS, EV Ⅳ= M(PF0-PF1)/(PF0+1)= Ⅰ= CV PE Ⅳ+Ⅴ= Ⅰ+Ⅱ= ΔCS ←(注1)or(注2) Ⅳ+Ⅴ+Ⅵ= M(PF0-PF1)/(PF1+1)= EV Ⅳ Ⅴ PE0 =1 qE =M/(PF1+PE) Ⅵ qE =M/(PF0+PE) qE0 qE1 qE 09/05/21
(注1) qE =M/(PF1+PE)を(qF,PF)平面に描く。 qF =M/(PF+1)はqF =M/(PF1+PF)をPF方向にPF1– 1だけ平行移動した曲線である。 PF Ⅴ=Ⅱ PF0 Ⅱ PF1 qF =M/(PF+1) PF0 –PF1 –1 Ⅴ PE0 =1 qF =M/(PF1+PF) qE0 qE1 qF = = 09/05/21 M/(PF0+1) M/(PF1+1)
(注2) 積分を用いれば(注1)の議論は次のように示すことができる。 09/05/21
放流プロジェクトのプライマリー・マーケットでの社会的余剰の変化が測定できない場合は、セカンダリー・マーケットにおける社会的余剰の変化で測定することができる。 しかし、 その他のセカンダリー・マーケットが存在する場合(あるいは「釣具」が「釣り」の完全な補完財ではない場合)は、釣り道具の市場における社会的余剰の変化分がすべてを反映しているわけではない。 09/05/21
6.2 歪みのあるセカンダリー・マーケット 外部性の存在するケース 6.2 歪みのあるセカンダリー・マーケット 外部性の存在するケース 歪みのあるセカンダリー・マーケットに生じる影響は、プライマリー・マーケットでは補足できない部分が残る。 (例)川に落ちた釣り針 歪みのある課税がなされているケース 税収総額を一定にするという前提の下で、ある市場への税金の導入は、他の市場での税率を低下させることができるので社会的余剰がその分増加することになる。 09/05/21
6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 地域レクリエーション施設(スポーツスタジアムなど)の推進派は、セカンダリー・マーケットに大きな便益が生じる、とともにこれらのプロジェクトが乗数効果(multiplier effects)を生むと主張することが多い。 しかし、 地域社会の中のセカンダリー・マーケットに歪みがない限り、地域プロジェクトによるセカンダリー・マーケットへの影響、および乗数効果が生み出す収入をプロジェクトの便益として計算することには慎重でなければならない。 09/05/21
プロジェクトの収入が考慮されるべきであるのは、CBAにおいて考慮する主体がごく狭い地域の住民、あるいは限定されたグループである場合である。 <理由1> プロジェクトの収入が考慮されるべきであるのは、CBAにおいて考慮する主体がごく狭い地域の住民、あるいは限定されたグループである場合である。 たとえば、魚の放流プロジェクトにおいて、その狭い地域のホテルの料理屋の収入が増えるかもしれないが、それは他の地域での料理屋の収入の減少をもたらしているのである。 09/05/21
CBAにおいて考慮する主体がごく狭い地域の住民に限定する場合は、その地域外の住民に生ずる社会的余剰の増分は考慮の対象にならない。 <理由2> CBAにおいて考慮する主体がごく狭い地域の住民に限定する場合は、その地域外の住民に生ずる社会的余剰の増分は考慮の対象にならない。 たとえば、スポーツスタジアムを建設したときに、スポーツチームのファンが享受する社会的余剰の増分は便益として計算することはできない。 09/05/21
地域プロジェクトで地域の生産物に対する需要が増加する場合でも、価格が上昇しない限り生産者余剰は増加しない。 <理由3> 地域プロジェクトで地域の生産物に対する需要が増加する場合でも、価格が上昇しない限り生産者余剰は増加しない。 ただし、地域経済の拡大は、地域企業に規模の経済を享受できるとすれば、生産コストの低下を通じて生産者余剰が増加する。 09/05/21
<理由4> 地域のプロジェクトが大きなプラスの便益をセカンダリー・マーケットに生み出すのは、地域の失業率が高いかあるいは地域の遊休資源が存在していて、それらの移動には大きな障壁が存在する場合である。 09/05/21
6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 6.1 効率的セカンダリー・マーケット 6.2 歪みのあるセカンダリー・マーケット 6.3 地域社会の観点からの セカンダリー・マーケットの影響 09/05/21