電子物性第1 第10回 ー格子振動と熱ー 電子物性第1スライド10-1 目次 2 はじめに 3 格子の変位 4 原子間の復元力 5 振動の波

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電子物性第1 第10回 ー格子振動と熱ー 電子物性第1スライド10-1 目次 2 はじめに 3 格子の変位 4 原子間の復元力 5 振動の波 電子物性第1 第10回 ー格子振動と熱ー 目次 2 はじめに 3 格子の変位 4 原子間の復元力 5 振動の波 6 周波数の分離 7 音響フォノンと光学フォノン 8 まとめ

はじめに 電子物性第1 第10回 固体(結晶など)中の原子は熱のため振動している。 周りの原子と力を及ぼしあって振動 ⇒格子振動 格子の変位 質量Mとmの2種原子からなる結晶を仮定する。 各原子の変位を、 質量Mの原子、u1、u3、... 質量mの原子、u2、u4、... と表す。 電子物性第1 第10回  -格子振動と熱- 電子物性第1スライド10-2 はじめに 固体(結晶など)中の原子は熱のため振動している。 周りの原子と力を及ぼしあって振動 ⇒格子振動 格子振動(波の性質)が熱を伝える。 格子振動が電気伝導に影響する。 格子振動の様式(2つある)について考える。 ① 結晶の格子の振動の様式について考える。

格子の変位 質量Mとmの2種原子からなる結晶を仮定する。 各原子の変位を、 質量Mの原子、u1、u3、... はじめに 固体(結晶など)中の原子は熱のため振動している。 周りの原子と力を及ぼしあって振動 ⇒格子振動 格子振動(波の性質)が熱を伝える。 格子振動が電気伝導に影響する。 格子振動の様式(2つある)について考える。 原子間の復元力 隣の原子との間で変位の差に比例する力を受けるとして、 バネ定数 右との変位差 左との変位差 力は、 加速度 電子物性第1スライド10-3 格子の変位 質量Mとmの2種原子からなる結晶を仮定する。 各原子の変位を、 質量Mの原子、u1、u3、... 質量mの原子、u2、u4、... と表す。 ① 格子の変位を場所によって表そう。

原子間の復元力 隣の原子との間で変位の差に比例する力を受けるとして、 力は、 加速度 右との変位差 左との変位差 バネ定数 バネ定数 格子の変位 質量Mとmの2種原子からなる結晶を仮定する。 各原子の変位を、 質量Mの原子、u1、u3、... 質量mの原子、u2、u4、... と表す。 振動の波 格子振動の波(波数K)を考え、 各原子の変位は、 空間の波 時間の波 電子物性第1スライド10-4 原子間の復元力 隣の原子との間で変位の差に比例する力を受けるとして、 力は、 加速度 右との変位差 左との変位差 バネ定数 バネ定数 ① 隣の原子と変位の差に比例する復元力。

振動の波 格子振動の波(波数K)を考え、 各原子の変位は、 時間の波 空間の波 原子間の復元力 周波数の分離 電子物性第1スライド10-5 隣の原子との間で変位の差に比例する力を受けるとして、 バネ定数 右との変位差 左との変位差 力は、 加速度 周波数の分離 振動(振幅A、B)が存在する条件は、 振動の周波数 が特定の値。 複号のため2種類ある。 Kの関数。 電子物性第1スライド10-5 振動の波 格子振動の波(波数K)を考え、 各原子の変位は、 時間の波 空間の波 ① 空間の波と時間の波で考えよう。

周波数の分離 振動(振幅A、B)が存在する条件は、 Kの関数。 振動の周波数 が特定の値。 複号のため2種類ある。 振動の波 格子振動の波(波数K)を考え、 各原子の変位は、 空間の波 時間の波 音響フォノンと光学フォノン 波数Kに対し、角周波数ω が2つある。 E = hω から、 エネルギーが2種類 音響フォノン 光学フォノン の2つに分かれる。 電子物性第1スライド10-6 周波数の分離 振動(振幅A、B)が存在する条件は、 Kの関数。 振動の周波数 が特定の値。 複号のため2種類ある。 ① 計算すると、振動数は、2つに分かれる。

音響フォノンと光学フォノン 波数Kに対し、角周波数ω が2つある。 E = hω から、 エネルギーが2種類 音響フォノン 光学フォノン 周波数の分離 振動(振幅A、B)が存在する条件は、 振動の周波数 が特定の値。 複号のため2種類ある。 Kの関数。 まとめ 格子の振動も一種の量子(1個、2個と数えられる)。 光学フォノンは、ある値以上のエネルギーをもつ。 (光との相互作用もあって重要) フォノンの伝播は熱伝導(特に絶縁体で重要)に寄与。 (きれいな格子ほどよく伝わる。) 電子物性第1スライド10-7 音響フォノンと光学フォノン 波数Kに対し、角周波数ω が2つある。 E = hω から、 エネルギーが2種類 音響フォノン 光学フォノン の2つに分かれる。 ① 音響フォノンと光学フォノンと呼ばれる。

まとめ 格子の振動も一種の量子(1個、2個と数えられる)。 光学フォノンは、ある値以上のエネルギーをもつ。 (光との相互作用もあって重要) 音響フォノンと光学フォノン 波数Kに対し、角周波数ω が2つある。 E = hω から、 エネルギーが2種類 音響フォノン 光学フォノン の2つに分かれる。 スライドを終了します。 電子物性第1スライド10-8 まとめ 格子の振動も一種の量子(1個、2個と数えられる)。 光学フォノンは、ある値以上のエネルギーをもつ。 (光との相互作用もあって重要) フォノンの伝播は熱伝導(特に絶縁体で重要)に寄与。 (きれいな格子ほどよく伝わる。) ① 光学フォノンが重要。フォノンによる熱伝導もある。