中選挙区制と政党政治 一つの選挙区から複数の議員 派閥政治を生み出す構造 限られた有権者からの支持固め 政権を取るためには一つの政党から複数候補者を擁立 同一政党候補同士の競争が起きる 派閥政治を生み出す構造 同一政党候補との競争→いかにして違いを出すか 異なる派閥による利益誘導や政策調整 限られた有権者からの支持固め 定数3の選挙区に4人の候補だとすると A:40%、B:30%、C:20%、D:10%→少ない得票で当選 後援会や支持団体を確保することで選挙に「強く」なる 選挙を心配せずに政治が行える/特定の支持者や団体と癒着
派閥政治 一つの政党内に複数の派閥が存在 選挙区内の派閥化 小選挙区制移行後も残る派閥 派閥の機能→人事(閣僚ポスト)・資金配分・総裁選出 政党としてのまとまり⇔派閥としての独自性 派閥は権力闘争集団→政党内人事をめぐる抗争 一つの党としてまとめるための党議拘束 選挙区内の派閥化 後援会→候補個人を支援するネットワーク 利害調整→地元の利益をいかに反映するかが権力 小選挙区制移行後も残る派閥 人事、資金配分は失ったが一定のコミュニティとして機能
公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人 kazutos@eis.hokudai.ac.jp
政治と経済の関わり方 予算 経済構造への影響 社会生活の安定と繁栄 国家の目標や意志を体現し、政策として実現する 日本の国家予算101.5兆円・日本のGDP(名目)550兆円 税制→経済への影響大 経済構造への影響 福祉国家と新自由主義国家 自由貿易と保護貿易 市場と社会の管理:規制によるコントロール 社会生活の安定と繁栄 経済の低迷→失業者増→社会不安→ポピュリズム現象
利害調整は政治の機能の一部 政治家 住民 官僚制 政治は異なる利害を調整するメカニズム 官僚制と利害調整 自分の利益を誰が代表するのか→誰が話を聞くか 陳情→組織や団体が数≒票の力で自らの利益を主張 政治献金→資金を必要とする政治家を支援し取引をする 資金の有無による影響力の強弱 民主主義における「公平性」 官僚制と利害調整 政治家 投票 指示 住民 官僚制 規制・行政命令
予算を巡る政治 予算作成過程 補正予算 特別会計 政府方針:骨太の方針(経済財政諮問会議) 概算要求:各省庁が予算案を作成 箇所付け:政治家が自らの選挙区や重点政策 財務省による各省庁との折衝と暫定予算案 政治家による介入による調整→政府予算案 国会での審議を経て予算成立 補正予算 当初予算成立後の事由によって予算を変更 当初予算よりもチェックもプロセスも緩やか 特別会計 予算の審議を必要としない、歳入・歳出が一体化した会計 電源立地対策や空港整備勘定など
平成31年(2019年)度予算 三つの費目の合計で73.9%
経済構造を定める政治 福祉国家 新自由主義国家 社会保障制度を通じて国民生活の安定を図る国家 労災保険、老齢年金、失業保険、家族手当など 累進課税などを通じた原資の調達と分配 「結果の平等」→貧富の格差、個人差の平均化 新自由主義国家 小さな国家→安全保障や治安、通貨管理などに限定 個人の自由と財産に国家が関与しない 競争に基づく社会の活性化と軽い税制 「機会の平等」→教育などを通じた競争参入機会の平等
国際政治経済 グローバル化の進展 国際的な経済秩序形成 主権国家ごとに設定する規制や通貨の格差 経済移民:より高い賃金の国への移動 より有利な場所に人(移民)、物(貿易)、カネ(資本)が移動 経済移民:より高い賃金の国への移動 「空洞化現象」:低生産コスト国への移転→雇用喪失 タックス・ヘイブン:低い税率により外資誘致 国際的な経済秩序形成 資源ナショナリズム:自国の資源の国有化 資源生産国は資源消費国に左右される→グローバル需給関係 「資源の呪い」:天然資源依存→他産業の発展阻害・資源争奪内戦 WTOなどのグローバルなルール作り 経済的覇権争いによる混乱 ポピュリズムによる「自国第一主義」の台頭