3.宇宙はどんな世界 天文学、宇宙物理学に関する基礎知識.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 宇宙は何からできてくるか ? 理学部 物理 森川雅博 宇宙を満たす未知のエネルギー:暗黒エネル ギー 局在する見えない未知の物質:暗黒物質 銀河・星・ガス 何からできているか … 2006/7/25.
Advertisements

09S1-051 若佐菜摘 1. 銀河 巨大銀河 (B バンドの絶対等級で約 -18 等より明るい ) 矮小銀河 (B バンドの絶対等級で約 -18 等より暗い ) ※ B バンドとは … 観測に用いる波長帯 ( バンド ) に固有の名前がつけられており B バンドは可視光の波長 0.445μ mが中心のバンドである。
硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
太陽系 地球 太陽 X線天文衛星 ©JAXA ©NASA ©JAXA 銀河~恒星の ~10 15 m ~10 21 m ~10 7 m ~10 9 m ー X線X線 電子 熱制動放射 特性X線(輝 線) + イオン 遷移 エネルギー準位 高 低 ー X線X線 etc.. 電磁波の波長 長 短 電磁波のエネルギー.
東京大学大学院理学系研究科 ビッグバン宇宙国際センター 川崎雅裕 インフレーション理論の 進展と観測 「大学と科学」公開シンポジウム ビッグバン 宇宙の誕生と未来.
1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
慣 性 力 と 浮 力.
ところで一般相対性理論によれば、太陽を半径3 kmにまで 圧縮したらブラックホールになるらしい。どんな世界なのか?
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
第5回 分子雲から星・惑星系へ 平成24年度新潟大学理学部物理学科  集中講義 松原英雄(JAXA宇宙研)
天文学入門講座第4回 恒星 星座を形作る『恒星』の種類、星の一生についてお話しします
自己紹介 山﨑 孝治(やまざき こうじ) Koji Yamazaki
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
宇宙年齢10億年以前におけるSMBHの存在 遠方宇宙の観測で宇宙10億歳(z~6)未満で10億M⦿程度以上の活動銀河核中のSMBHの存在を確認 赤方偏移 z SMBH質量 [M⦿] URAS J ~2×109 M⦿ 宇宙7.5億歳(z~7)
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
第11回 星・惑星系の誕生の現場 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
2002/08/09 国立天文台天体観望会 M57 (惑星状星雲).
科学概論 2004年12月9日
原始惑星系円盤の形成と進化の理論 1. 導入:円盤の形成と進化とは? 2. 自己重力円盤の進化 3. 円盤内での固体物質の輸送
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
「Constraining the neutron star equation of state using XMM-Newton」
日本物理学会年次大会・総合パネル討論「現代プラズマ科学の 最前線:学際連携によるプラズマ理工学のさらなる展開」
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
恒 星 葛飾区郷土と天文の博物館 天文学入門講座 第5回 担当 高梨直紘.
天体の諸階層1 太陽系 Solar system.
松本浩典 京都大学理学部物理第二教室宇宙線研究室
地球惑星物性学1 ( ~) 参考文献: 大谷・掛川著 地球・生命 共立出版
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
太陽・惑星コーナー 星空コーナー 銀河宇宙コーナー
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
宇宙の一番星が見えてきた ─ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドで 発見された131億光年彼方の銀河は一味違う─
実習テーマの選定 ①星の年齢推定 :散開星団 ②天体までの距離推定 :球状星団 ③銀河系の構造 :星夜掃天 ④星雲の色と星の色 :星雲
土野恭輔 08s1-024 明星大学理工学部物理学科天文学研究室
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
超高エネルギー宇宙線の起源: GRBアウトフローにおける元素合成
宇宙観の変遷 膨張する宇宙 超新星と観測的宇宙論 天文学入門講座 「宇宙論入門」 2005年5月7日
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
今後の予定 4日目 10月22日(木) 班編成の確認 講義(2章の続き,3章) 5日目 10月29日(木) 小テスト 4日目までの内容
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
銀河・銀河系天文学 星間物理学 鹿児島大学宇宙コース 祖父江義明 .
水素核融合炉 7MeV/n.
実習課題B 金属欠乏星の視線速度・組成の推定
天体の諸階層1 太陽系 Solar system.
星の進化と元素の起源 -我々はどこからきたのか-
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
パルサーって何? 2019/4/10.
科学概論 2005年1月20日
銀河 galaxy 現在までの認識.
超新星爆発.
銀河座 12月番組 製作:高梨 ダークが支配 我が宇宙 2011年度 ノーベル物理学賞 解説.
恒 星 葛飾区郷土と天文の博物館 天文学入門講座 第5回 担当 高梨直紘.
講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するために使われる物理・化学・数学」
3.8m新技術望遠鏡を用いた 超新星爆発の観測提案 -1-2mクラス望遠鏡による成果を受けて-
宇 宙 その進化.
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
星間物理学 講義 3: 輝線放射過程 I 水素の光電離と再結合
強結合プラズマ 四方山話 − 水素とクォーク、高密核融合、 クーロンクラスター、そして粘性 −
P5 田中貴浩(教授)、細川隆史(准教授)、瀬戸直樹(助教) 担当:天体核研究室の教員
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
天文・宇宙分野1 梅村雅之 「次世代スーパーコンピュータでせまる物質と宇宙の起源と構造」
2011年8月金沢大学集中講義 「X線天文学」 第2回 相対性理論とブラックホール
CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
楕円銀河の銀河風モデル Arimoto & Yoshii (1986) A&A 164, 260
パリでも有名なABE.
中間質量ブラックホールの理解に向けた星の衝突・破壊に関する研究
科学概論 2005年1月27日
どんな天体がX線を出すか? MAXIのデータを1年半に わたり集積した全天X線画像
Presentation transcript:

3.宇宙はどんな世界 天文学、宇宙物理学に関する基礎知識

1 星の一生 1. 星の誕生 * 恒星がガス(気体)でできていること * 宇宙空間にある気体(星間ガスと呼ばれる)の       密度の特に高い部分(分子雲と呼ばれる)が重力で集まり星になること * 星が輝くエネルギー源は星内部でおきる核融合反応であること * 散開星団について知る 2. 星のしくみと寿命 * ガス圧と重力がバランスして星の構造を保っていること * HR図の説明 * 星の寿命が星の質量に依ること 3. 星の最期 * 赤色巨星について * 比較的軽い星の最期(白色矮星、惑星状星雲) * 重い星の最期(超新星爆発、中性子星・ブラックホールの形成) 2 銀河について * 銀河が星の大集団であり、大別して渦巻(うずまき)銀河と楕円銀河に分かれること * 銀河の形が銀河内の星の運動に関係していること * 楕円銀河では、星が重力で集まろうとすることに星の無秩序な動きで対抗し    その形状を保っていること * 渦巻銀河は、円盤の形状をしており、円盤に沿った星の回転運動によって、    星全体が重力で集まろうとすることに対抗していること * 球状星団について知る

3 宇宙の進化 1. 宇宙膨張と宇宙の始まり * ハッブルの法則を紹介し、このことから宇宙膨張を知ったことを紹介する。 * 時間をさかのぼって考えビッグバンを導入する * 宇宙に始まりがあることから宇宙の地平線をしめす 2. ビッグバン後、わずかな物質密度揺らぎが重力で成長し    天体を形成したことをしめす 3. ビッグバン後、初期に存在していた元素はほとんどが水素であるが、    星の内部で元素が合成され、それらが星の死とともに宇宙全体にひろがって    いった。その結果、宇宙に存在する水素より重い元素は徐々に増えていった。    私たちのからだや地球、そして太陽系、宇宙全体に存在する多様な元素が    星の中で作られた。 4 太陽系 1. オールトの雲、海王星以遠天体(今後、名称が決まり次第変更;太陽系外縁天体)、    彗星等を紹介し、太陽系が単に惑星だけの集まりではなく多様な天体から    構成されていることとその広がりを示す。 2. 太陽からの距離により惑星の性質(タイプ)が異なることをしめす。

星(star) ここでは、太陽のように自ら光り輝く恒星(恒星)のこと。 星座の星々は恒星です。遥か遠くの太陽たち、です。  ここでは、太陽のように自ら光り輝く恒星(恒星)のこと。  星座の星々は恒星です。遥か遠くの太陽たち、です。 ひとこと:地球は自ら放射をしていない、ということはない。  太陽熱のため込み以外に、地球独自の熱源がある。 考えてみよう:地震は太陽熱エネルギーが変換されたものか?  そのエネルギーは、どこからやってきたものか?

宇宙に浮かぶ物質における、星という「相」 星という姿になった時、星が誕生、と表現する。 星という姿でなくなった時、星が死、と表現する。 星の姿になったりならなかったり、輪廻転生を繰り返している。

星が生まれる 重力で縮んでいく。 「外的な助け」で収縮が促進される場合がある。

星が「光る」

最終的には「圧力」と拮抗して、収縮は止まる 中が熱ければ、エネルギーが周囲に流れ出て「光る」。 しかしこれでは縮みきったらおしまい。 「光り続ける」ために、いつでも中が熱くなる「エンジン」を 持っている。→核融合反応

核融合です、核分裂ではありません! 陽子(水素原子核): (質量+エネルギー)が保存 正の電荷を持っているものどうし、 合体させるには高温高圧が必要 (質量+エネルギー)が保存

星の光度は、「桁違い」である! → 寿命は「大質量星ほど短い」 星「本来の」明るさは、本当に色々 星としての寿命 ∝ 光度 / 質量 星としての寿命 ∝ 光度 / 質量 → 寿命は「大質量星ほど短い」 金持ち程、はやく貧乏になる

星の中心部で「水素→ヘリウム」の核融合が行われている、比較的長期間安定して光り輝く段階: 「主系列星」 主系列星(太陽も、この段階)では、大質量ほど、高温であり (青白い色になる)、半径が大きい。 ただし、それは一桁程度の違いになるかどうか程度。光度は 桁違いに大きくなる(距離の効果を無視すれば、明るく見える)。

星も中年になると、老廃物がたまって太る。

ゴミ問題の下請け 赤色巨星は、表面温度は低いが(だから「赤色」)、光度は大きい。だから、太陽が赤色巨星化したら地球が干上がるのは、半径が増大(巨星化)するからではなく、光度が増大するからである。

中小質量星の最期

大質量星の最期 なかなかしぶとい。

最期は破滅的 私たちの存在は、先代の超新星に追うところ、大。 超新星爆発までに、鉄までの重元素合成を行い、 超新星の際に鉄以降のもっと重い元素を合成する。 超新星爆発は、星間物質の収縮を助ける場合もある。 私たちの存在は、先代の超新星に追うところ、大。

天文学ゼミ学生撮影

銀河系(私たちの住む、天の川として見ている系)の中、太陽系は中心から外れて位置している。

銀河形態の、ハッブルによる「音叉型」分類 銀河系はこのあたり? 扁平に見える方向からの図 円盤部分を正面に見た図

重力を「圧力」あるいは「ランダム運動」で支えると「球形」、 自転が卓越すると、遠心力がきいて「円盤状」になる。 太陽系は、銀河系円盤に乗り、銀河系中心を中心に 公転している。その周期は2億年程度。

「星空案内人になろう!」の教科書記述の訂正 p 261 問題解答 第3章の答え 問5は不要、削除