人類集団の歴史的変遷 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press.
人口から病気への影響 病気が存続できる最小の人口規模とヒトの生活様式 ヒトの遺伝的多様性と病気の発現 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press. 出典:重定南奈子(1992)侵入と伝播の数理生態学,東京大学出版会
病気から人口への影響 病気 本人の死亡(→死亡モデルにおける死因) 再生産年齢人口の罹患による出生率低下あるいは再生産年齢人口の死亡による出生数低下 治療や介護のための経済負担増加などによる希望子ども数減少など,間接的な影響
人口高齢化と疾病構造転換 正のフィードバックループによる先進国の現状 高齢者(=生活習慣病のハイリスク群)の増加→死因の上位が生活習慣病に 乳児死亡率の低下(=疾病構造転換の開始)→生存曲線の矩形化*→高齢者の増加 スウェーデン の 死亡曲線(初期人口10万とした年齢別死亡数) Vaino Kannisto (2000) Measuring the compression of mortality. 4000 Demographic Research , 3(6). 3000 1861-70 2000 C 50 1000 IQR 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 4000 Age 3000 1991-95 2000 C 50 1000 IQR ※ライフスタイルの変化による生活習慣病増加は修飾因子!! 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Age
生活習慣病と再生産 生活習慣病が,もし再生産に影響しているとすれば,環境淘汰圧として作用していることになる。 一般には,生活習慣病の発病時期は,再生産完了後が多いので,淘汰圧としての作用は希薄である。 しかし近年,発症年齢が低下しつつある(小児肥満とか)という指摘もあり,出生低下か死亡上昇のどちらかに寄与するなら,その病気には淘汰がかかるだろう(より正確に言えば,発病の感受性遺伝子をもったヒトは子孫を残しにくくなるので,その遺伝子が減ると考えられる)。
新興/再興感染症の基本構造 ベクターの影響 ヒト以外の宿主動物の影響 ヒトの生活自体の変化による影響 森林性の媒介 森林の野生動物 昆虫 森林に入ってきたヒトを刺咬 都市居住性の ヒト 媒介昆虫 ヒトの感受性の変化(遺伝的多様性,化学物質による修飾)を含む 右上スキームの,東アフリカでの実例 森林=ブラックマンガベイ←→アフリカヤブカ 移行帯=アカオザル←→アエデス・シンプソニ(シンプソンヤブカ?) 都市=ヒト←→ネッタイシマカ 新興感染症(エボラ出血熱,マールブルグ病,エイズなど),再興感染症(黄熱病など)の基本構造:都市域だけで対策し,一時的に発生率を下げても,ヒトが環境開発や都市域の拡大のために森に入ると,あっという間に患者数が増える