産業組織論A (12) 独占価格と需要の価格弾力性

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産業組織論A (12) 独占価格と需要の価格弾力性 2017/6/27 産業組織論A (12) 独占価格と需要の価格弾力性 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年6月27日

CS* 独占だが限界費用で価格付けした場合 円 完全競争の総余剰 W* M 完全競争の生産者余剰 PS*=0 PS*=W* PM C P* 産業組織論A 12 独占だが限界費用で価格付けした場合 円 CS* 完全競争の総余剰 W* M 完全競争の生産者余剰 PS*=0 PS*=W* PM C P* 限界費用曲線 MC 需要曲線 数量 Q M Q * 2017/6/27 産業組織論A 12

PSM 独占の経済厚生と死荷重 死荷重=W*-WM 円 独占の総余剰 WM=CSM+PSM CSM M PM C P* 限界費用曲線MC 産業組織論A 12 独占の経済厚生と死荷重 円 独占の総余剰 WM=CSM+PSM CSM M 死荷重=W*-WM PM PSM C P* 限界費用曲線MC 需要曲線 数量 Q M Q * 2017/6/27 産業組織論A 12

逆需要関数,限界収入,死荷重 逆需要関数P(Q)=9-Q 限界収入関数MR(Q)=9-2Q MR=7 MR=5 MR=3 MR=1 産業組織論A 12 逆需要関数,限界収入,死荷重 円 1 2 3 4 Q 逆需要関数P(Q)=9-Q 限界収入関数MR(Q)=9-2Q 9 MR=7 8 限界費用関数 MC(Q)=2のときの下を求める 競争的な生産量Q * 競争的な価格P * 競争的な厚生W* 独占的な生産量Q M 独占的な価格P M 独占的な厚生W M 死荷重DWL 7 MR=5 6 5 MR=3 4 MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ 5 2017/6/27 産業組織論A 12

逆需要と限界収入 逆需要関数P(Q)=40-Q 費用関数C(Q)=50+Q2 MR=7 平均費用関数AC(Q)=C(Q)/Q=50/Q+Q 円 1 2 3 4 Q 逆需要関数P(Q)=40-Q 40 費用関数C(Q)=50+Q2 MR=7 8 限界費用関数 MC(Q)=2のときの下を求める 競争的な生産量Q * 競争的な価格P * 競争的な厚生W* 独占的な生産量Q M 独占的な価格P M 独占的な厚生W M 死荷重DWL 平均費用関数AC(Q)=C(Q)/Q=50/Q+Q 7 MR=5 6 限界費用関数MC(Q)=ΔC/ΔQ=2Q 限界収入関数MR(Q)=40-2Q 5 MR=3 4 MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ 20 2017/6/27 産業組織論A 12

費用,平均費用,限界費用 逆需要関数P(Q)=40-Q 費用関数C(Q)=50+Q2 限界収入関数MR(Q)=40-2Q 産業組織論A 12 費用,平均費用,限界費用 円 1 2 7 4 Q 逆需要関数P(Q)=40-Q 費用関数C(Q)=50+Q2 限界収入関数MR(Q)=40-2Q 限界費用関数MC(Q)=ΔC/ΔQ=2Q 40 MR=7 8 限界費用関数 MC(Q)=2のときの下を求める 競争的な生産量Q * 競争的な価格P * 競争的な厚生W* 独占的な生産量Q M 独占的な価格P M 独占的な厚生W M 死荷重DWL MC(Q)=2Q 7 MR=5 6 5 MR=3 4 AC(Q)=50/Q+Q MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ 平均費用関数AC(Q)=C(Q)/Q=50/Q+Q 5 2017/6/27 産業組織論A 12

独占企業の生産量と価格付け 逆需要関数P(Q)=40-Q 費用関数C(Q)=50+Q2 P(Q)=40-Q 産業組織論A 12 独占企業の生産量と価格付け 逆需要関数P(Q)=40-Q 円 1 QM=10 7 4 Q PM=30 AC(Q)=50/Q+Q MC(Q)=2Q P(Q)=40-Q MR(Q)=40-2Q 費用関数C(Q)=50+Q2 限界収入関数MR(Q)=40-2Q 限界費用関数MC(Q)=ΔC/ΔQ=2Q MR=7 8 限界費用関数 MC(Q)=2のときの下を求める 競争的な生産量Q * 競争的な価格P * 競争的な厚生W* 独占的な生産量Q M 独占的な価格P M 独占的な厚生W M 死荷重DWL 7 MR=5 6 5 MR=3 4 MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ 平均費用関数AC(Q)=C(Q)/Q=50/Q+Q 5 2017/6/27 産業組織論A 12

費用曲線,収入曲線,利潤曲線 π(Q)=R(Q)-C(Q) =(40-Q)Q-(50+Q2) =-2Q2+40Q-50 産業組織論A 12 費用曲線,収入曲線,利潤曲線 円 1 QM=10 7 4 Q R=300 π(Q)=R(Q)-C(Q) =(40-Q)Q-(50+Q2) =-2Q2+40Q-50 =-2(Q-10)2+150 C(Q)=50+Q2 R(Q)=(40-Q)Q MR(Q)=40-2Q C=150 πM=150 RとCの傾きは同じ 逆需要関数P(Q)=40-Q 費用関数C(Q)=50+Q2 限界収入関数MR(Q)=40-2Q 限界費用関数MC(Q)=ΔC/ΔQ=2Q MR=7 8 限界費用関数 MC(Q)=2のときの下を求める 競争的な生産量Q * 競争的な価格P * 競争的な厚生W* 独占的な生産量Q M 独占的な価格P M 独占的な厚生W M 死荷重DWL 7 MR=5 6 5 MR=3 4 MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ 平均費用関数AC(Q)=C(Q)/Q=50/Q+Q 5 2017/6/27 産業組織論A 12

需要の価格弾力性と独占価格 限界費用と限界収入で独占価格が分かる もっと,身近な経済概念で独占価格を表現 需要の価格弾力性εを用いる.「1%価格が変化したときに需要量が何%変化したか」を表す 限界収入MRを変換する 需要量の変化率(%) ε=需要の価格弾力性=(-1)× 価格の変化率(%) ΔR Δ(PQ) MR= = ΔQ ΔQ 2017/6/27 産業組織論A 12

限界収入の変換1 限界収入 Δ(PQ)/ΔQを考える 生産量が1単位追加したときの収入の増加 生産量を追加したときに既存の価格Pで販売できるときの収入 P 価格下落 ΔP/ΔQ により単価が下がる P ΔP/ΔQ 収入変化は価格変化と数量変化をもたらす これをMR=ΔR/ΔQに代入する ΔR=Δ(PQ) =(ΔP)Q+ P(ΔQ) 2017/6/27 産業組織論A 12

限界収入の変換2 限界収入MRを変換する 最後の等式はPで割ってPを掛けている ΔR Δ(PQ) (ΔP)Q+ P(ΔQ) (ΔP)Q ΔQ ΔQ ΔQ ΔQ Q ΔP = P+ P P ΔQ 需要の価格弾力性の逆数 1/εがMRの式にある ΔQ/Q PΔQ ε=(-1)× =(-1) ΔP/P QΔP 2017/6/27 産業組織論A 12

限界収入と需要の価格弾力性 限界収入MRを変換する 限界費用と価格と需要の価格弾力性の関係 1 1 1 1 MR=P+P × (-1)× = P - P ε ε 1 MC= P - P ε P - MC 1 = P ε マージンが需要の価格弾力性の逆数に等しい 2017/6/27 産業組織論A 12