実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究

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Generalized Form Factors of the Nucleon in the Chiral Quark Soliton Model カイラルクォークソリトン模型に基づく 核子の一般化形状 大阪大学 原子核理論研究室 D 1 中小路 義彦.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
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◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 藤岡 宏之 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
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まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
2次元系における超伝導と電荷密度波の共存 Ⅰ.Introduction Ⅱ.モデルと計算方法 Ⅲ.結果 Ⅳ.まとめと今後の課題 栗原研究室
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目次 1. 原子における弱い相互作用 2. 原子核のアナポールモーメント 3. アナポールモーメントから何がわかるか?
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混合ガウスモデル Gaussian Mixture Model GMM
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実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究 OUTLINE 1. Introduction 2. Model and formalism 3. Numerical results 4. Summary and conclusions

? QCD相図(予想図) クォーク・グル―オンプラズマ相 超伝導相 ハドロン相 有効模型 The lattice calculations 1. Introduction QCD相図(予想図) The lattice calculations ? クォーク・グル―オンプラズマ相 有効模型 カイラル相転移? 非閉じ込め相転移? 超伝導相 ハドロン相

QCD相図(予想図) 純虚数化学ポテンシャル領域 格子QCD計算が可能

Roberge-Weiss周期性 純虚数化学ポテンシャル領域におけるQCDの性質 QCDの分配関数 θに関して、2π/3の周期性をもつ:Roberge-Weiss(RW)周期性  RW周期性を満たす有効模型を用いて、純虚数化学ポテンシャル領域を調べる。

The three-flavor PNJL模型 2. Model and formalism SU(3) PNJL Lagrangian (NC=3): ポリヤコフポテンシャル 平均場近似: 熱力学ポテンシャル: 熱力学ポテンシャルの最小を探す

Pseudoscalar and scalar mesons メソン質量を計算するために、6点相互作用を4点相互作用に近似する。 メソン 6点相互作用の効果により、           に関しては、フレーバーの混合が起こる。

Pseudoscalar and scalar mesons The random phase approximation(RPA): メソン

(K,κ)メソンと(η’,f0)メソンは縮退しない。 ストレンジクォークの効果 3. Numerical results  中間子質量の密度依存性  高密度領域において、中間子質量の縮退。  カイラル対称性の部分的な回復  軸性アノマリーの効果 ※(η,a0)メソンの縮退  (K,κ)メソンと(η’,f0)メソンは縮退しない。 ストレンジクォークの効果 

 中間子質量のθ(µ/T)依存性(純虚数化学ポテンシャル領域)  中間子質量がRW周期性(2π/3の周期性)をもつことが確認できる。   純虚数化学ポテンシャルを導入したことにより、対称性の破れが起こる。   中間子質量が構成子クォーク質量より大きくなる領域でくぼみの構造がみられる。 

 6点相互作用結合定数の影響  π, σに関して  結合定数の増大に伴い、中間子質量が小さくなる。   σ中間子については、θ=π/3の付近で、大きな変化が見られた。 

 η, η’に関して  η’メソン質量は、結合定数の変化に対して、零密度付近では変化しない。   アノマリーの効果は、カイラル対称性が破れているところでのみ現れる。  格子QCD計算とフィットさせることで、6点相互作用の結合定数の大きさを決められる。

Summary and conclusions  3フレーバーPNJLモデルを用いて、実数及び純虚数化学ポテンシャル領域におけるメソン質量の振る舞いを調べた。    実数領域において、高温・高密度領域においてカイラル対称性や軸性アノマリーの部分的な回復がみられた。    虚数領域において、メソン質量のRW周期性が確認できた。    メソン質量の6点結合定数依存性を調べた。    η’メソンの質量から6点相互作用の結合定数が決められることがわかった。