連星 Gold Mine を用いたDECIGO精密宇宙論

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連星 Gold Mine を用いたDECIGO精密宇宙論 第9回 DECIGO Workshop @ 国立天文台 2010年11/25(木)    京大理 天体核       八木 絢外

§1 INTRODUCTION ダーク・エネルギー問題 TypeIa SN の観測 現在の宇宙は加速膨張。 光度距離 原因は不明。 ・解決策  ダーク・エネルギー問題 現在の宇宙は加速膨張。  原因は不明。  ・解決策 ① G.R.の範囲内で未知の物質場   (Dark Energy)を導入 ② 重力理論の修正 e.g. スカラー・テンソル理論  ③ 非一様宇宙モデル    DECIGOでどこまで検証可能か? TypeIa SN の観測 光度距離 加速膨張あり 加速膨張なし 赤方偏移 Riess et al. (2004)

§2 連星 Gold Mine を用いた精密宇宙論 Cutler & Holz (2009) ・NS/NS連星合体の個数: 105-106個/年 [Cutler & Harms (2006)] DECIGO/BBOはほぼ全部見える! ⇒ “cosmological gold mine” [Cutler & Holz (2009)] DLとzが決まれば宇宙論が可能。 ΔDL/DL GW Cosmology with Standard Siren! error~ 数% (I) DL 振幅から決まる。 Systematic error 小 ⇒ EM観測よりも有利 z

(II) z 角分解能 Massと縮退 ⇒ zは決まらない。 ⇒ EMの情報を使う。 連星のhost galaxyをidentifyできれば、zがわかる。 error cube中の銀河数 z Error cube中の銀河の数は平均的に1個以下 ⇒ host galaxyをidentifyできそう! ⇒ zも決まる。 ⇒ 重力波で宇宙論解析ができる! z

Dark Energy 状態方程式の決定精度 (w0,wa)=(-1,0) ⇒ 宇宙項Λ 現在の精度 BBO Δw0~0.2 Δwa~1.0 Δw0~0.02 Δwa~0.15 左より1桁良い!! さらに、DECIGO/BBOの精度は将来のEM観測よりも良い!

§3 連星GWによる重力理論の検証 例 Brans-Dicke理論 ・ スカラー・テンソル理論の代表格 by Cassini  ・Brans-DickeパラメータωBD→∞でG.R.に一致。                           (このとき、φ→const.)。 ・現在の最大の制限(太陽系実験): (Bertotti et al. 2003)  ・(   の四重極放射)+(φの双極放射)   ⇒ 連星の軌道進化がG.R.からずれる。   ⇒    がG.R.からずれる。 §3 連星GWによる重力理論の検証 Yagi & Tanaka (2010) by Cassini

修正重力理論における重力波形 ・修正重力理論では、重力波形の位相がG.R.からずれる。 連星からの重力波形 振幅 修正重力理論 時間 (秒) 一般相対論 振幅 修正重力理論 修正重力理論 時間 (秒) ・DECIGOでこの「ずれ」をどれだけ精度良く測定できるか?  ⇒ Fisher 解析

Brans-Dicke 理論への制限の比較 DECIGOの制限が強い理由の一つはevent数の多さ LISA Yagi & Tanaka (2009) (1.4+103)M◉, S/N=10 DECIGO K.Y. & Tanaka (2010) (1.4+10)M◉ 105個 Adv. LIGO Will (1994) (1.4+10)M◉, S/N=10 土星探査衛星 Cassini Bertotti et al. (2003) 4桁 強! 2×102 7×103 4×104 (現在最大) 4×108 ωBD

§4 非一様宇宙モデル (Void モデル) ・非一様モデルとΛCDMをもっとはっきり区別できる観測量が欲しい。        (密度は単調増加) ・密度や曲率の勾配          ⇒ みかけの加速膨張 ・SNの観測や、CMBやBAOのピークも説明できる。 ・我々は、Gpc程度の Voidの(ほぼ)中心にいる。 Garcia-Bellido & Haugboelle (2008) ~Gpc ・非一様モデルとΛCDMをもっとはっきり区別できる観測量が欲しい。

Redshift Drift Δtz ・Void model ⇒ Δtz<0 ・Quasorを利用した将来観測 膨張の加速度をより顕著に反映 ・Void model ⇒ Δtz<0 [Chul-moon Yoo et al. (2010)] ・Quasorを利用した将来観測 ⇒ 10yr観測で(ある種の)void modelを棄却できる。 Quartin & Amendola (2010) (ただし、high-zのみ) ・DECIGOの目的の一つはz-driftを測ること [Seto et al. (2001)] ・NS/NS連星からのGW  ⇒ 非一様モデルの検証 [c.f. Ultimate DECIGOを用いたz-driftの測定 (Takahashi & Nakamura 2005)]

結果 BBO,5yr Δtz > 0 を検証できる!! 典型的な非一様モデルの検証もできる! 1010Δtz /year -3 -2 -1 1 2 4 6 8 10 12 14 ΛCDM Void Δtz > 0 を検証できる!! 典型的な非一様モデルの検証もできる! DL(Gpc)

DECIGO Cosmologyはとても強力!! §5 まとめ ・連星 Gold Mine ⇒ DECIGO/BBOによる精密宇宙論 ・Dark Energyの状態方程式、修正重力理論、非一様宇宙モデルの 検証が可能。 ・ ある種の高次元モデル(RS-II)において、余剰次元のサイズを table-top実験より2桁程度強く制限することも可能。 ・今日紹介した話は連星のz分布のみを反映。 空間分布まで考慮すると・・・ e.g. Matterの分布 太陽系の固有運動 [神田さん他] [K.Y., N.Tanahashi & T.Tanaka (in prep.)] DECIGO Cosmologyはとても強力!! コンパクト連星はサイエンスの宝庫!

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