2011年8月9日の巨大フレアに伴う Ha線モートン波とEUV波現象、および プロミネンス/フィラメント振動について (Asai et al

Slides:



Advertisements
Similar presentations
太陽面爆発の発現機構の解明 前回シンポ討論からの課題 清水 敏文 (ISAS/JAXA)
Advertisements

VarSITI-ISEST/MiniMax24 の取り 組み と 国内の活動状況 浅井歩, 清水敏文, 片岡龍峰, Zhang, J., Temmer, M., Gopalswamy, N. 太陽研連シンポジウム 2015 年 2 月 16 名古屋大学.
今太陽活動周期 (Cycle24) における黒点群とフレア活動 石井貴子 (京大・理・天文台) SMART/FISCH Hida Obs., Kyoto-U.
Magnetic Reconnection in the Magnetotail: Geotail Results
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
太陽フレアの磁気リコネクション流入流の発見
2005年8月24日の磁気嵐を 引き起こしたフレア・CMEと、 活動領域NOAA 10798のアネモネ構造
ビッグデータ解析手法を用いた 宇宙天気予報アルゴリズムの開発
Hα center Hα +0.8Å Hα -0.8Å Nov 03, :35 – 04:47 UT Moreton Wave
X線による超新星残骸の観測の現状 平賀純子(ISAS) SN1006 CasA Tycho RXJ1713 子Vela Vela SNR.
衝撃波によって星形成が誘発される場合に 原始星の進化が受ける影響
宇宙空間物理学の課題 Space Physics
2001年4月10日のフレアにおける、磁気ヘリシティ入射
2001年4月10日のフレアにおける、 磁気ヘリシティ入射率の研究
山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介
太陽コロナ質量放出の 3次元MHDシミュレーション
D. M. Rust and B. J. LaBonte 2005, ApJ, 622, L 年6月6日 太陽雑誌会(速報)
GRS 等におけるジェット噴出と X 線強度変動の相関
100KeV以上のeventのHXRと電波の power-law indexの比較 NSRO
Nova in M31: b b: 山中雅之(広島大)、新井彰(京産大)、かなた望遠鏡グループ
飛騨データ解析ワークショップ (2) Ayumi Asai 2014/12/16.
そもそも、私は分担者やその共同研究者ではない
High-amplitude, long-term X-ray variability in the solar-type star HD 81809: The beginning of an X-ray activity cycle? F. Favata, G. Micela, S.L. Baliunas,
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
下条 圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所
2003年12月2日 課題研究ガイダンス (3分) S2 太陽物理 柴田一成 花山天文台 北井礼三郎 飛騨天文台.
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
銀河物理学特論 I: 講義2-2:銀河バルジと巨大ブラックホールの相関関係 Magorrian et al
Real-time Frame Selector 2 and Convective Structure in Emerging Flux Region 高津 裕通.
これまでの研究のまとめ: 「太陽フレアのリコネクションレートの統計解析」 今後の研究
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの力学的安定性 星間ガスの力学的な安定性・不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
磯部洋明 京都大学花山天文台 波動加熱勉強会 2004年2月23日
水(?)はプレート間カップリングを 変化させるか? ー 茨城・福島沖の場合 ー 名古屋大学 山中 佳子 昨年度のシンポジウムで
マイクロ波と硬X線での プリフレア相の様子
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
2004年1月20日 新潟大学理学部物理 談話会 フレア、ジェット、ガンマ線バースト 柴田一成 京大理花山天文台.
Alfvén波の共鳴吸収・ 位相混合とコロナ加熱
フレア・CMEトリガーメカニズムの数値シミュレーション
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
飛騨データ解析ワークショップ (1) Ayumi Asai 2014/12/9.
Ellerman Bombを伴う浮上磁場領域の 偏光磁場観測
磁気浮上領域での太陽ジェットと エネルギー解放
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
第24太陽周期はどうなるのか 1.観測速報 石井 貴子1、磯部 洋明2、 北井 礼三郎1,2、柴田 一成1,2 1京都大学・理・天文台
フレアの非熱的成分とサイズ依存性    D1 政田洋平      速報@太陽雑誌会(10/24).
太陽フレアと彩層底部加熱に関する 観測的研究
銀河物理学特論 I: 講義2-1:銀河中心の巨大ブラックホールと活動銀河中心核
太陽フレアにおける Plasmoid-Induced-Reconnection の MHD シミュレーション
新潟大学集中講義 ープラズマ物理学特論ー (天体電磁流体力学入門) 2004年1月19日ー1月21日
銀河物理学特論 I: 講義3-5:銀河の力学構造の進化 Vogt et al
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2012年4月13日.
下降流(Downflow)の観測と磁気リコネクション
浮上磁場はこれからだ 茨城大学 野澤恵 2006/6/15 13:30-14:00 東大地球惑星
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
素材集.
フレア・CMEのトリガー機構と エネルギー解放過程
MHD Simulation of Plasmoid-Induced-Reconnection in Solar Flares
星間物理学 講義6資料: 衝撃波1 超新星残骸などに見られる衝撃波の物理過程について
Igor Petenko et al. Geophysical Research Abstracts Vol. 15, EGU , 2013
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2012年4月13日.
浮上磁場に伴う磁気リコネクションのMHDシミュレーション(ES)
Preflare Features in Radios and in Hard X-Rays
フレアリボン内の微細構造で探るエネルギー解放機構
磁気リコネクションによる Alfven波の発生
原始星からのX線発見と課題 (r-Ophの)T-Tauri星からX線放射とフレアーの発見
「ひので」EIS*によって観測された、フレアに付随する強いブルーシフト現象について
すざく衛星によるSgr B2 分子雲からのX線放射の 時間変動の観測
太陽フレアの基礎 磯部洋明 京都大学宇宙ユニット.
Presentation transcript:

2011年8月9日の巨大フレアに伴う Ha線モートン波とEUV波現象、および プロミネンス/フィラメント振動について (Asai et al 2011年8月9日の巨大フレアに伴う Ha線モートン波とEUV波現象、および プロミネンス/フィラメント振動について (Asai et al. 2012, ApJ, 745, L18) 浅井歩1、 柴田一成1、石井貴子1、磯部洋明1、北井礼三郎1、 一本潔1、上野悟1、永田伸一1、森田諭1、西田圭佑1、 塩田大幸2、大井瑛仁3、秋岡眞樹4 (1: 京都大学、2: 理研、3: 茨城大学、4: NiCT) 日本天文学会2012年春季年会(A61a) 2012年3月22日@京都・龍谷大学

モートン波 彩層画像中を伝播する波動現象 (Moreton 1960) V~1000km/s Uchida Model (1968) Solar disk Uchida Model (1968) モートン波はコロナを伝播するMHD衝撃波と彩層との接地面 (Narukage+2002) 彩層画像中を伝播する波動現象 (Moreton 1960) V~1000km/s

EIT波(EUV波) 遅い速度(V~300km/s)、等方的な伝播  モートン波とは異なる物理的特徴 STEREO-B STEREO-A (Kienreich+2009) 遅い速度(V~300km/s)、等方的な伝播  モートン波とは異なる物理的特徴 コロナ質量放出(CME)やII型電波バーストとは良い相関

SDO/AIAによる観測 SDO衛星の打上(2010年3月)以降、コロナ擾乱(衝撃波)研究は格段に進展 CME本体とその前面の衝撃波面(?)が同時に観測された(Ma+2011) 従来のEIT波に加え、その前面に速いEUV波が見られた(Chen+2011)

2011年8月9日フレア Start 07:48UT, Peak 08:05 GOES: X6.9 NOAA 11263 (N17, W70) Ha images taken by SMART

SMART・Haモートン波 V~760km/s 指向性がある(南へ伝播) 高速のフィラメント噴出を伴う(~300km/s) 非常に短時間の現象 (6分間のみ観測) 760km/s

SDO/AIA・EUV波 193A~1MK plasma expansion of dome structure SDO/AIA 193A base-difference movie 193A~1MK plasma expansion of dome structure traveling isotropically

モートン波とEIT波の比較 760km/s 700km/s 580km/s 340km/s

SMART・プロミネンス振動 Vp~800km/s Vf~570km/s

まとめ(1) Haモートン波とEUV波との同時観測 EUV波には速いものと遅いものがある(遅いEUV波が従来EIT波と呼ばれたもの) 速いEUV波は速いMHD波動面 モートン波は非常に短時間の現象で速いEUV波の明るい波面にのみ付随

まとめ(2) モートン波が見えなくなるorモートン波が伝播しない方向でも「速い(暗い)EUV波」は伝播する リム・プロミネンス、ディスク・フィラメントでコロナ擾乱に伴い振動現象が観測された 速いEUV波(衝撃波、モートン波)の伝播速度で説明 速いEUV波は速いMHD波動 モートン波は特にその衝撃波面が彩層に設置している面

記者発表しました(2011年9月16日) ↑京都新聞紙面 ↑NHKニュース(京都ローカル)

EUV波 ahead 100.7° 700km/s earth

Field-line stretching model Delannee+1999, Chen+2002,2005 EIT waves are not waves, but an apparent motion caused by plasma compression at stable flux boundaries due to rapid magnetic field expansion.

in Ha ??

NHKニュース(京都ローカル)

速いEUV波(!?) 速さ:~1000km/s モートン波に付随して強い波面が見られることがある 等方的に伝播 彩層(Ha線など)モートン波観測が重要! 2011年8月9日X6.9フレアでは?