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業務継続計画の策定について 平成28年8月25日 内閣府 政策統括官(防災担当)付 参事官(防災計画担当)付 主査 小寺 裕之
山口県 研修会 講演資料 業務継続計画の策定について 平成28年8月25日 内閣府 政策統括官(防災担当)付 参事官(防災計画担当)付 主査 小寺 裕之
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Ⅱ.「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を活用 した業務継続計画の策定
本日の話題 Ⅰ.業務継続計画の必要性と概要 Ⅱ.「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を活用 した業務継続計画の策定 【市町村のための業務継続計画作成ガイド】(平成27年5月) 【大規模災害時における地方公共団体の業務継続の手引き】(平成28年2月) Ⅲ.業務継続計画策定後の運用
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Ⅰ.業務継続計画の必要性と概要
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地方公共団体の被災事例① 【阪神・淡路大震災(震度7)】 平成7年1月17日 5時46分発生 【神戸市役所】
【阪神・淡路大震災(震度7)】 平成7年1月17日 5時46分発生 【神戸市役所】 発災当日は約41%の職員しか登庁できなかった。 庁舎の2号館では、6階部分の層崩壊等により、全面的な立ち入り禁止措置。 地震直後は図面や書類等の搬出も不可能であったため、 2月上旬に貿易センタービル、神戸市教育会館等に分散移転。 阪神・淡路大震災における 神戸市役所2号館(昭和32年竣工)の庁舎被害 神戸市役所の執務室の状況 (出典) 「地域防災データ総覧 阪神・淡路大震災基礎データ編」 (財団法人消防科学総合センター、平成9年) 「阪神・淡路大震災調査報告(鉄筋コンクリート造建築物)」 (阪神・淡路大震災調査報告編集委員会(日本建築学会、地盤工学会、土木学会等)、平成7年)
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地方公共団体の被災事例② 【東日本大震災(震度7・大津波)】 平成23年3月11日 14時46分発生 【岩手県大槌町役場】
【東日本大震災(震度7・大津波)】 平成23年3月11日 14時46分発生 【岩手県大槌町役場】 15時過ぎに巨大津波が襲来。庁舎前の職員は町長と課長職11人中7人が津波にさらわれた。町幹部職員中で生存したのは副町長、総務課主幹(総務課長に就任)、議会事務局長の3名のみ。 住民基本台帳の原本は流失し、電子データが保存されていたサーバーも被災したが、庁舎内で発見され、6月上旬には電子データの修復作業が完了した。 全壊した大槌町役場 大槌町役場内部 (出典)岩手県大槌町に対する職員派遣 写真提供:群馬県立文書館 レポート(和泉市)
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地方公共団体の被災事例③ 【熊本(震度7)】 平成28年4月14日~ 【熊本県宇土市】
【熊本(震度7)】 平成28年4月14日~ 【熊本県宇土市】 平成15年実施の耐震診断では、「震度6強程度の地震で大きな被害を受ける可能性が高い」と指摘されるほどだった。建て替えの議論はあったが、財源がなかった。 東日本大震災後、文部科学省が学校の耐震化を急ぐよう、各自治体に求めた。市庁舎建て替えを後回しにして、子供が通う小・中学校の耐震工事を進めた。 4月14日震度5強の揺れに襲われた。さらに、同月16日未明の本震では「震度6強」を観測した。15年の耐震診断で危惧された通り、庁舎は大きく損壊した。 市役所庁舎の被害状況 写真提供:宇土市HPより
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(出典)「大島の応急復旧に向けた取組について」(東京都)
地方公共団体の被災事例④ 【台風第26号による大雨】 平成25年10月16日発生 【東京都大島町】 16日未明から1時間100ミリ を超える猛烈な雨が数時間降り続き、24時間の降水量が800ミリを超える大雨となった。 大規模な土砂災害により、甚大かつ広範囲な人家被害及び人的被害が発生。 町長、副町長は島外に出張中。 土砂災害警戒情報が東京都からFAXで送られてきた午後6時ごろは、防災担当者が帰宅して不在で、初動が大幅に遅れた。 現地の状況1 現地の状況2 (出典)「大島の応急復旧に向けた取組について」(東京都)
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地方公共団体における業務継続体制の必要性 ①
全国の自治体で、大規模な地震が発生する可能性がある。 熊本地震発生前の長期評価 ※地震調査研究推進本部HPより
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地方公共団体における業務継続体制の必要性 ②
地震以外でも行政の被災は起こり得る。 ○水害(洪水、高潮等) ○土砂災害 提供:国土交通省関東地方整備局 出典:朝日新聞デジタル 出典:産経ニュース 平成27年9月関東・東北豪雨(常総市) 出典:平成17年版消防白書
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大規模な地震が発生した場合をイメージすると・・・
例えば・・・ ○夜間に発災、非常参集要員は、本当に参集できるか? ○建物、設備、機器はどのくらい使えるか? ○防災担当者が出張中、すぐに災害対応できるか? ○電話、電源は使えるのか? ○飲料や食料、トイレは確保できるのか?
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⇒ 災害により、活動のための資源が制約される
実際には・・・ ○職員は、半日で、半分しか集まらない。 ○庁舎は大丈夫だが、漏水して、本来の災害対策本部 室が使えない。 ○棚やロッカーを固定しておらず、室内が散乱して、すぐ に使える状態ではない。 ○誰も指示してくれず、どうしてよいか分からない。 ○非常用発電機は、起動したものの燃料不足で3時間し かもたない。 ○電話は、話し中で全くつながらない。 ⇒ 災害により、活動のための資源が制約される
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地方公共団体における業務継続体制の必要性 ③
災害による資源制約下においても、 最低限必要な重要業務を継続させる必要 ⇒適切に業務を継続させるための体制をあらかじめ整えておくことが重要 「最低限必要な業務を、いかに継続させるか」 「重要業務の継続に必要な資源を、いかに確保し、最適配分するか」 課題 地域防災計画等に、職員や施設・設備等が被害を受けた場合の対応までは規定していない 職員の安全確保、生活、安否確認などについて考えられていない 優先的に継続すべき通常業務や執行体制が決まっていない 防災部局以外の当事者意識の欠如(防災部局任せ) マニュアル・訓練の不足 地域防災計画やマニュアル等を災害時に適切に実行できるよう、不足している観点・内容を補うもの → 業務継続計画(BCP)
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業務継続計画とは ① BCPとは 業務継続計画(Business Continuity Plan)とは、災害時に、人、物、情報等利用できる資源に制約がある状況下において、優先的に実施すべき業務(非常時優先業務)を特定するとともに、業務の執行体制や対応手順、継続に必要な資源の確保等をあらかじめ定める計画 BCPの効果 非常時優先業務を絞り込み、それに必要な執行体制及び執務環境を確保することにより、 ①非常時優先業務の初動レベルが向上 ②非常時優先業務の立上げ時間が短縮
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業務継続計画とは ② 想定状況 外力(大規模災害)の発生 被災(職員の負傷、庁舎の損壊等)により、業務の遂行能力が低下
業務継続計画とは ② 想定状況 外力(大規模災害)の発生 被災(職員の負傷、庁舎の損壊等)により、業務の遂行能力が低下 災害応急対策等の追加的業務が発生 業務 業務の絞込み 業務 BCPにより 外力により 業務 要員 要員 要員 要員をしっかり確保 非常時に実施すべき業務を絞り込む必要(非常時優先業務の決定) 非常時優先業務に優先的に配分する要員の確保、そのための体制を整備する必要(執行体制の確保) 非常時優先業務を効率的に行うことができる庁舎、宿泊施設等を確保する必要(執務環境の確保) 特に、庁舎等が壊滅的被害を被った場合に、代替拠点を確保する必要(代替拠点の確保) 対応策の計画化
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業務継続計画策定のポイント①(文書体系) 業務継続計画の最終的な取りまとめパターンはさまざま
業務継続計画をどのような文書体系にするかは各市町村の実情に合わせればよく、 必ずしも独立した計画書でなくてもよい ただし、いずれの文書体系であっても、今発災したとしても業務を継続できる体制を整えることが必要であり、例えば必要資源の場合、①必要資源の現況評価や課題把握、②代替手段や短・中長期的な対策の検討、③継続的改善の仕組み、まで盛り込む必要があることに留意
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業務継続計画策定のポイント②(策定体制)
全庁的な体制で検討・策定する 施設管理 ・人事など関連する部局、幹部、首長の協力が不可欠であることから、 全庁的な体制で検討する。 必要性について庁内での理解と協力を得るために首長や幹部のお墨付きをもらう。 平時の枠組みに当てはまらない業務が多数発生する。それらの業務は 、トップダウンで速やかに担当部局を決め、他部局も協力しながら、対応に当たることが必要(そのための決定・調整の仕組みが必要) 。 BCPの策定自体を1つの研修、防災教育として考える。 災害が発生したら、自分、同僚、職場、庁舎、設備、地域はどのようになるのか、地に足を付けて考える。 完全な計画・マニュアルよりも、 毎年少しずつ改善していく。 出典:神戸大学 紅谷教授作成資料 (参考) 東日本大震災では、震災前から業務継続計画はあったものの、防災担当部局のみで策定していたために内容について全庁的な理解がなく、結果として計画を生かせなかった事例がある。
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業務継続計画の主管課の例 主管課は主に防災危機管理系と総務・人事・企画系の2種類に分かれている
市長直轄の部署や業務全般を俯瞰する部署(総務・人事系、経営企画系)が主担当となることで、関係部署間の調整がスムーズになる。 下表のほか、総務課と防災担当課が共管している市町村もある。 自治体例 主管課 A市(人口約20万人) 危機管理室5名体制(市長直属組織) B市(人口約18万人) 人事、保健・福祉関連部署から3人がプロジェクトチームとして企画調整課に配属。市長・副市長直属組織としてBCP作成に専念 C市(人口約42万人) 危機管理課3名 D市(人口約6万人) 企画経営課 E市(人口約29万人) 総務部担当係長以下7名 F市(人口約97万人) 市長直轄の危機管理室(課長含む3名体制) 一部コンサル委託有り G市(人口約63万人) 行政管理課 H村(人口約1万人) 総務課防災担当(1名) 出典:「地方自治体に於ける震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書」(平成26年3月 (一財)日本防火・危機管理促進協会)
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平成27年12月1日現在、BCP策定率は都道府県で約89%、市町村で約37%。
地方公共団体の業務継続体制の確保状況 ① 平成27年12月1日現在、BCP策定率は都道府県で約89%、市町村で約37%。 【都道府県】 【市町村】 出典:平成21年11月 地震発生時を想定した業務継続体制に係る状況調査(内閣府(防災)及び総務省消防庁調査) 平成23年4月 地方自治情報管理概要(平成24年3月)(総務省自治行政局地域情報政策室調査) 平成25年8月 大規模地震等の自然災害を対象とするBCP策定率(速報値)(総務省消防庁調査) 平成27年12月 地方公共団体における「業務継続計画策定状況」 及び「避難勧告等の具体的な発令基準策定状況」に係る調査(総務省消防庁調査) 山口県:26.3%
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【参考】熊本地震後の新聞記事 平成28年5月18日読売新聞朝刊
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地方公共団体の業務継続体制の確保状況 ② 地方公共団体で業務継続体制が整っていない主な理由は次の3点。
①意識の問題 ②人員の問題 ③知見の問題 業務継続計画の策定状況 業務継続計画を策定していない理由 回答時点 2013年8月1日現在 対象 都道府県及び人口5万人以上の市区町村(東京都千代田区を含む)の計608自治体 回答数 422自治体(都道府県44/47、政令市19/20、中核市33/42、特例市24/40、道府県庁所在都市42/46、一般市町村284/436、東京特別区18/23) 回答率 回答率69.40% (注)その他のうち、9割は策定中又は策定予定 出典:「大規模地震・津波災害に強い地域づくりのために~人命、地域を守るためにDCPの策定を~ (日本政策投資銀行、平成26年3月)
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地方公共団体の業務継続体制の確保状況 ③ BCPの検討を開始した主なきっかけは次の3点。なお、市町村長によるトップダウン指示は1割に満たない。 ①担当部署等の問題発議(ボトムアップ) ②過去の被災経験の教訓から ③近隣自治体の取組にならって 業務継続計画の事業化検討のきっかけ (出典)平成26年3月 (一財)日本防火・危機管理促進協会調査報告
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地方公共団体の業務継続性の確保に向けた近年の取組
「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」策定 (平成22年4月) 地方公共団体における業務継続体制に係る検討を支援することを目的として、地震発災時の業務継続に必要な事項及び手法等をとりまとめたもの。 東日本大震災により、 一時的に行政機能が喪失する事象が発生 (平成23年3月) 有識者検討会による手引きの見直し 首都直下地震緊急対策推進基本計画 (平成27年3月決定) 地方公共団体について業務継続体制の確保が図られるよう、国が助言や情報提供を行うことを位置づけ。 【具体目標(今後10年間)】 業務継続計画の策定率100% (緊急対策区域内の全ての地方公共団体) 南海トラフ地震防災対策推進基本計画 (平成26年3月決定) 南海トラフ地震に係る地震防災対策の基本的な施策として、地方公共団体の業務継続性の確保、国による推進策(手引きの充実、研修の実施等)を位置づけ。 (推進地域内の全地方公共団体) 防災基本計画(平成23年12月追加) 地方公共団体は、業務継続計画の策定等により、業務継続性の確保を図るものとすると記述。 ①「市町村のための業務継続計画作成ガイド」 策定(平成27年5月) 従来の「手引きと解説」の内容が小規模な市町村にとって作業量が多いものとなっていたと考えられたため、人口が1万人に満たないような小規模市町村であってもあらかじめ策定していただきたい事項を抽出 ②「大規模災害時における地方公共団体の 業務継続の手引き」 改定 (平成28年2月) より実効性の高い業務継続計画の策定を支援するため、従来の「手引きとその解説」についても改定
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「市町村のための業務継続計画作成ガイド」の策定について 「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を策定(H27.5)
背景 市町村の業務継続計画の策定率が低迷し、災害対応の支障が懸念 内閣府では、これまで「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」(平成22年4月)を策定し、地方公共団体の業務継続計画策定に係る取組を支援 しかしながら、市町村の策定率は、わずか1割程度で、特に小規模市町村で低い傾向(平成25年消防庁調査) 《首長の不在や重要データの喪失等により支障を生じた事例》 ・ 台風第26号による大雨(平成25年) 大規模な土砂災害が発生。町長及び副町長は島外に出張中。防災担当者は帰宅し不在で初動が大幅に遅れる。 ・ 東日本大震災(平成23年) 被災により本庁舎が使用できなくなった市町村は28自治体。庁舎内の重要データが失われた市町村多数。 取組 職員が少ない小規模市町村であっても、容易に重要なポイントを整理できるガイドが必要 有識者で検討 「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を策定(H27.5) 《重要な6要素》 ガイドの特徴 人口が1万人に満たないような小規模市町村であってもあらかじめ作成していただきたい事項(重要な6要素)をまとめた 地震のみならずその他災害でも活用できる計画となるよう、被害想定は必ずしも前提としていない 現時点の状況及び今後の検討事項を、記入例を参考に様式に記入していくことで、重要な6要素が整理できるように構成 計画を策定する上で参考となる事例を整理 首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制 災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定 重要な行政データのバックアップ 電気、水、食料等の確保 非常時優先業務の整理
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市町村BCP策定研修会の開催(内閣府・消防庁、平成27年~)
市町村の担当職員を対象とした研修会を開催し、市町村におけるBCP策定を直接的に支援 市町村BCP策定研修会(内閣府・消防庁共催) 研修開催県 平成27年度:栃木県、茨城県、群馬県、長野県、和歌山県、佐賀県において実施。 平成28年度:山形県、千葉県、岐阜県、奈良県、宮崎県において実施。 ※開催希望のあった都道府県の中から、参加市町村数や県内BCP策定率等を踏まえ選定 研修内容:講義及び実習からなり、実習ではグループワーク等により実際にBCP策定作業の一部を実施する。また、庁内で検討が必要な事項については宿題として持ち帰るなどにより、BCPを策定するまでの作業を一通り実施する。 研修会の様子 参加者による発表
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Ⅱ.「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を活用した業務継続計画の検討
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業務継続性の確保に係る消防庁通知 ○地方公共団体における「業務継続計画策定状況」及び「避難勧告等の具体的な発令基準策定状況」に係る調査結果について (平成28年1月19日) (1) 業務継続性の確保について 災害時に地方公共団体が自らも被災し、人、物、情報等の資源に制約を受けた場合でも、優先的に実施すべき業務を的確に行えるよう、業務継続計画を策定していない市町村においては、業務継続計画作成ガイドを参考にして、早期に業務継続計画を策定すること。 既に業務継続計画を策定している団体においては、職員に対する教育、訓練等の実施により業務継続計画の実効性を確認し、高めていくこと。 なお、業務継続計画作成ガイドおいて示された業務継続計画の特に重要な6要素について定めていない項目がある場合は、その追加を検討するなど、内容の充実を図ること。
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業務継続計画の特に重要な6要素 ① 首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制
首長が不在の場合の職務の代行順位を定める。また、災害時の職員の参集体制を定める。 ・緊急時に重要な意思決定に支障を生じさせないことが不可欠。 ・非常時優先業務の遂行に必要な人数の職員が参集することが必要。 ② 本庁舎が使用できなく なった場合の代替庁舎の特定 本庁舎が使用不能となった場合の執務場所となる代替庁舎を定める。 ・地震による建物の損壊以外の理由で庁舎が使用できなくなる場合もある。 ③ 電気、水、食料等の確保 停電に備え、非常用発電機とその燃料を確保する。また、業務を遂行する職員等のための水、食料等を確保する。 ・災害対応に必要な設備、機器等への電力供給が必要。 ・孤立により外部からの水、食料等の調達が不可能となる場合もある。 ④ 災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 断線、輻輳等により固定電話、携帯電話等が使用不能な場合でも使用可能となる通信手段を確保する。 ・災害対応に当たり、情報の収集・発信、連絡調整が必要。 ⑤ 重要な行政データの バックアップ 業務の遂行に必要となる重要な行政データのバックアップを確保する。 ・災害時の被災者支援や住民対応にも、行政データが不可欠。 ⑥ 非常時優先業務の整理 非常時に優先して実施すべき業務を整理する。 ・各部門で実施すべき時系列の災害対応業務を明らかにする。
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① 首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制
ガイド 代行順位を第3位まで記入する。また、周知措置や運用状況等を記入する。 (留意事項) 職務代行者が全員不在になることがないように運用方法を定める。 職員の安全確保、疲労への対応等も考慮する。(交代制勤務の早期導入、管理体制の確保など)
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②本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
ガイド (留意事項) まずは所有施設をおおまかに書き出すことから始めるのもよい。 複数候補を選んでおき、災害の状況によって代替場所を決めるのでもよい。 津波、洪水、火災等で、本庁舎と同時被災の可能性のある施設は避ける。 (留意事項) 本庁舎の耐震化、ロッカー等の什器類の転倒防止措置等は大前提であり、それができていないときは、まずは本庁舎の改修等を優先する。 所有施設から選べない場合、いつまでに代替庁舎を決定するか目標を記入することが望ましい。 代替庁舎候補の設備等の整備を進めるのが望ましい。
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②本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
ガイド 所有し、又は借り上げ可能な施設をリストアップする。(全ての施設である必要はない。) 各種災害について、「発生の可能性がない(極めて低い)」「対策が取られている」など危険度が低い場合は「〇」、危険度が高い場合は「×」を記入する。「その他」は、危険度が高い災害等があればそれを明記し、「×」を記入する。
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③電気、水、食料等の確保 ガイド 非常用発電機の有無、燃料備蓄量、電力供給先等を記入する。
水、食料、仮設トイレ、消耗品等の備蓄量を記入する。 (留意事項) 必要な機器の種類・台数などは市町村の規模等により異なるが、情報収集・交換のための機器(衛星携帯電話等の通信機器、FAX、テレビ、庁内ネットワーク等)への電源供給が重要であることに留意する。 軽油、重油等の燃料の備蓄量等は、消防法、建築基準法等により制限される場合もある。燃料の確保に当たっては、自ら備蓄(3日~1週間分程度)するのみならず、事前に事業者と災害時の燃料の供給に関する協定を締結することにより調達することも検討する。 水冷式非常用発電機の場合は、水道の供給停止により影響を受ける場合があるので留意する。 被災者用の備蓄物資とは別に、職員用の水、食料等の備蓄が必要である。(3日から1週間分) 消耗品等は、コピー用紙・トナー等の常時保管量を確認する。
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④災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保
ガイド 災害時の非常用回線を全て記入する。また、運用状況等を記入する。 (留意事項) 固定・携帯電話は回線断絶又は輻輳により実質的に使用不能となるほか、通信機器は予想外の事情で使えなくなることがあるため、多様な通信機器の確保が必要。 ツイッター等のSNSなども通信手段となり得るため、発災時の住民等への情報伝達手段の一つとして活用を検討する。 災害時には電話がつながれば電話が殺到するため、多くの回線と対応要員が必要となる。
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⑤重要な行政データのバックアップ ガイド 重要な行政データを特定し、バックアップ状況を記入する。 (留意事項)
電子データだけでなく、紙データについてもバックアップをとる。 同時被災しない場所に保管する(庁舎内の耐火金庫は、建物倒壊、地区内立ち入り禁止など部屋に入れなくなるような事態では使用不能となるので不十分)。 バックアップの頻度やタイミングについても、被災直前のどの時点までのデータの復旧可能かに関わるので配慮が必要である。 クラウドサービスの積極的な活用に取り組む。
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⑥非常時優先業務の整理 ガイド 災害時に優先的に実施する業務を、少なくとも「A:発災直後」「B:概ね3日目まで」「C:1週間まで」に区分し、非常時優先業務として整理し、記入する。この区分では、優先順位を踏まえた順番を考えることが重要。 庁舎管理等の管理事務についても必ず記載する。 事務室の後片付け、庁舎・設備の保守点検、修理業者との調整が必要。 住民向けはもとより、報道機関向けの情報発信も重要。 (留意事項) 候補となる業務を独自に一から列挙することは作業負担が大きく、漏れも発生するので、先行事例を活用するとよい。その際には、規模だけでなく想定災害が似ている市町村(津波の被災想定地域、中山間地等)を選択する。 非常時優先業務を整理した後は、参集可能な職員数で実施できるかを時系列に整理し、検証していくことが望ましい。
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【参考】非常時優先業務とは 非常時優先業務とは 業務目標開始時間とは ○災害時に優先して実施すべき業務 ○応急業務と通常業務が対象
ガイド 手引き 非常時優先業務とは ○災害時に優先して実施すべき業務 ○応急業務と通常業務が対象 ○中断による影響等を考慮して整理 業務目標開始時間とは ○非常時優先業務の開始・再開の目標とする時期 ○「開始・再開」とは単に一部に着手することを意味するのではなく、一定程度の業務が実施される状態を指す。 ○あくまで業務の優先順位を決めるための尺度であり、あまり精緻に考える必要はない。 資源等の制約を伴う状況下で業務継続を図るため、優先的に実施する業務を時系列で絞り込み 発災後しばらくの期間は、各種の必要資源を非常時優先業務に優先的に割り当てるために、非常時優先業務以外の通常業務は積極的に休止するか、又は非常時優先業務の継続の支障とならない範囲で業務を実施
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【参考】非常時優先業務とは 「災害時に優先して実施すべき」 とは 手引き
「災害時に優先して実施すべき」 とは 地域防災計画に定められている応急業務は、原則としてすべて対象となる。 優先的に実施すべき通常業務は、主に以下の視点で検討する。 視点 具体例 【視点1】 地域社会への影響 停止すると地域住民の生活の安全・安心や地域内の経済活動等を阻害する業務 -生活に必要な介護・生活保護等のサービスが提供されないことにより、市民生活が円滑に行われない、住基関係のシステムが提供されないこと等で、住民票の取得ができず、必要な手続が行えないなど 【視点2】 法律の適切な執行 法令等により実施しなければならない業務 【視点3】 他業務への影響 当該業務の停止が、他の非常時優先業務に影響する業務 -職員の労働環境の確保や、契約手続き、システムの復旧など
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【参考】非常時優先業務の整理方法 非常時優先業務の具体的な整理の方法 手引き
選定の方法は次の3種類。いずれかを選択し、又は組み合わせて検討する。 地方公共団体の業務は共通的なので、②をうまく活用すると効率的 ①基準表からの整理 業務開始目標時間と非常時優先業務との対応の考え方を基準表に整理し、発災後の業務開始目標時間ごとに該当する応急業務及び通常業務を対応付け、非常時優先業務の一覧を作成する方法 ②公開されている先行事例からの整理 既に業務継続計画を策定している地方公共団体の事例を参考にして整理する方法 ③業務一覧からの整理 すべての業務を列挙し、その業務が停止した場合の影響や実施すべき時期を検討して整理する方法
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重要6要素に加えて・・・
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受援計画の策定① 災害対策基本法の改正(平成24年6月)により、地方公共団体間応援の対象業務を、消防、水防、救助等の人命に関わるような緊急性の極めて高い応急措置から、避難所運営支援、巡回健康相談、施設の修繕のような災害応急対策一般に拡大 防災基本計画においても、地域防災計画等に応援計画や受援計画をそれぞれ位置付けるよう努力規定を記載 【防災基本計画(共通編)】 ○地方公共団体及び防災関係機関は,災害の規模や被災地のニーズに応じて円滑に他の地方公共団体及び防災関係機関から応援を受けることができるよう,防災業務計画や地域防災計画等に応援計画や受援計画をそれぞれ位置付けるよう努めるものとし,応援先・受援先の指定,応援・受援に関する連絡・要請の手順,災害対策本部との役割分担・連絡調整体制,応援機関の活動拠点,応援要員の集合・ 配置体制や資機材等の集積・輸送体制等について必要な準備を整えるものとする。 発災後に市町村が実施する業務の推移
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受援計画の策定② 受援計画は業務継続計画と相まって、発災時に速やかに実施しなければならない膨大な非常時優先業務を遂行するための大きなツールとなる。 非常時優先業務の整理が済んでいると、受援対象業務の検討が進めやすい(業務継続計画と同時あるいは後に策定するとよい。) 策定に当たっては、全国知事会による報告や先行事例(神戸市等)が参考になる。 神戸市災害受援計画(総則)目次【抜粋】 Ⅰ 計画の基本方針 1. 計画の目的 2. 策定機関 3. 計画の対象となる危機事案 4. 計画の発動時期 5. 計画の位置づけ 6. 計画策定の考え方 7. 計画の追加・修正と習熟 Ⅱ 計画の前提条件 1. 阪神・淡路大震災と東日本大震災時に受援側・支援側として得た経験と教訓 2. 対象期間 3. 業務継続計画(BCP)の内容を取り入れた受援対象業務の選定 Ⅲ 基本的な内容 1. 受援計画を構成する要素 2. 応援の要請・受入 3. 災害ボランティア・NPO等の受入 4. 費用負担 5. 業務の効率化(システムの活用) 6. 応援の撤退要請 7. 長期化への対応 8. 職員の研修 出典:神戸市災害受援計画(神戸市、平成25年3月) 「地方公共団体の危機管理に関する研究会」神戸市資料(平成27年7月)
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必要に応じて設定・検討する項目 ○ 業務継続の基本方針 ○ 対象組織 ○ 被害想定 ○ その他必要資源 手引き
○業務継続の基本方針を定め、組織全体で意思統一を図ったうえで、検討作業に着手することが望ましい。 ○例えば、住民の生命・生活・財産等の保護など、業務継続計画策定の目的が端的に表されるものが望ましい。 ○ 対象組織 ○出先機関等を対象に含めるかを検討 (本庁と出先機関を一体的に策定する場合と、別々に策定する場合のメリット及びデメリットは手引きとその解説を参照のこと) ○ 被害想定 ①被害想定やハザードマップ等を参照し、少なくとも本庁舎が最も被害を受ける災害を想定すること。 ②実際の災害やその被害は想定どおりではなく幅があり、想定を上回る可能性も念頭におく。 ③特定の災害を想定するのではなく、必要な資源(人、庁舎、電力等)に制約が生じることを考え、 対応策を検討する方法もある。 ○ その他必要資源 ○都市ガス、エレベーター、空調、公用車(移動手段)等 整理するための様式例が手引きにあるため、必要に応じて参照 手引きの様式例を活用してもよい。
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市町村の策定事例① 被災自治体(兵庫県佐用町:人口約2万人) 「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」を踏まえ作成
過去に台風による水害(平成21年台風第9号)により役場も含めて被災した経験があり、地震と水害に対応 地震時と水害時の参集想定 ≪目次≫ 第1章 業務継続の基本方針等 第1節 業務継続計画策定の背景 第2節 業務継続計画とは 第3節 業務継続計画の必要性 及び地域防災計画等との関係 第4節 業務継続体制を検討するための体制 第5節 業務継続方針の設定 第6節 各課の業務 第7節 用語 第2章 業務継続体制の検討 第1節 計画の対象及び体制 第2節 地震時の組織体制 第3節 水害時の組織体制 第4節 被害状況の想定 第5節 非常時優先業務の選定 第6節 必要資源に関する分析と対策の検討 第7節 非常時の対応の検討 第3章 業務継続体制の向上 第1節 教育・訓練等 第2節 点検・是正 第3節 受援計画 出典:佐用町業務継続計画
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市町村の策定事例② 中規模自治体(一般市)(北海道石狩市:人口約6万人)
業務継続計画の策定の流れの例が分かりやすくレポートとしてまとめられている。 出典:石狩市業務継続計画(BCP)策定レポート
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市町村の策定事例③ 中規模自治体(一般市)(大阪府箕面市:人口約12万人)
大規模災害時に災対本部長の宣言により通常業務を全て停止できる条例を制定 その時確保可能な職員数で可能な範囲内の対応を行うことを前提とし、被害想定や参集想定は行っていない。 防災担当部局以外に、防災業務に対する当事者意識を啓発 (5)各対策部の責務 大規模地震に限らず、災害対策本部が設置される規模の災害発生時(または災害発生が予測される場合)においては、各対策部が自律的に行動することが要求される。 防災担当課の人員は平常時の業務量に合わせて配置されており、このBCP策定時点において次長級職員まで含めても5名である。その全員が無事に参集できる保証はなく、かつ、発災から一定時間が経過すれば、他の対策部職員と同様に交替体制を取る必要がある。つまり、災害対策本部に常駐できる防災担当職員は2名程度と見込むのが現実的である。 それに比して、対策部の数は10。緊急に着手すべき業務は無数にある。 各対策部における業務の指示、手順の教示、あるいは実動の補助などを防災担当職員に求めても、到底対応できないことを全職員が共通認識として持ち、各々が対策部長をトップとした指揮命令系統で自律的に行動することが、このBCPを実効性あるものにする基礎の基礎である。 そして、平常時に防災活動に無関心、無関係であっては、災害時にだけ自律的に災害対策業務を実施し、かつ実効性を発揮することはできない。 各対策部においては、平常時から、地震時BCPの成長パーツ及び実動マニュアルの作成、検証、見直し作業を通じて、「災害時、実際に自分が行動できるかどうか」という視点で防災体制を自らの手で構築していくことが必要である。 出典:箕面市地震時業務継続計画 出典:箕面市ホームページ
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Ⅲ.業務継続計画策定後の運用
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業務継続計画は、策定したらそれで終わりではなく、むしろスタート
業務継続計画の実効性確保のために 業務継続計画は、策定したらそれで終わりではなく、むしろスタート 計画策定時に検討した内容(特に参集予測、連絡先など)は、そのままだと人事異動等によってすぐに形骸化し、実効性を失ってしまう 教育により職員のスキル・意識を維持 訓練により課題を洗い出し、その対策を推進 必要資源の確保対策についても、計画どおり進んでいるか、定期的(少なくとも年に一度)にフォローアップを実施 ⇒ 業務継続計画の見直し(改定)もさること ながら、まずは対策を少しずつでも進める。
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訓練の例 通常の防災訓練ではあまり想定していない資源制約を条件に入れた訓練を実施
訓練実施後には、必ず評価を行い、改善すべき点があれば、計画の見直しを検討 垂水市業務継続計画【大規模災害対応】の実効性を担保するための訓練を行う。所属長は、次の例に則した訓練計画を作成し実施する。 ア 家族との連絡訓練を行う。 イ 電算処理不能を想定した手作業による業務訓練を行う。 ウ 垂水市地域防災計画に示された分掌業務の訓練を行う。 エ 主に委託業務等に不都合が生じた場合を想定し、応援職員や限られた人員での訓練を行う。 オ 業務未経験職員に、各課マニュアルを使用した継続業務を体験させる。 ウ 訓練項目(例) (ア)訓練の内容 実際の訓練が、訓練の目的に合致したものであったかを評価し、次回の訓練に向けた課題、改善点等を挙げる。 (イ)手順 災害時に、休止業務・優先継続業務ごとに、どのように休止・継続したか、災害対策業務をどのように行ったか、これらの手順において評価し、「分かりにくかった点」、「誤っていた点」を挙げる。 (ウ)執行環境 施設、設備、資機材、情報・通信等について評価し、訓練の障害となっている点を挙げる。(例:必要数量の不足、機能不足・不備、操作面の問題・課題等) (エ)人員 従業者数、応援職員、適正配置等について評価し、訓練の障害となっている点を挙げる。(例:人数の過不足、資格・経験の必要性の問題・課題等) (オ)各課マニュアル 応援職員による各課マニュアルを使用した業務を評価し、「分かりにくかった点」、「誤っていた点」を挙げる。 (カ)その他 その他訓練に参加して気付いた点を挙げる。 出典:垂水市業務継続計画【大規模災害対応】(垂水市、平成26年12月)
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行動計画の作成 整理した非常時優先業務(特に初動期)を的確に実施していくためには、あらかじめ緊急時の対応手順(行動計画)を作成しておくことが望ましい。 No. 開始時間 活動内容 備考 1 発災直後 来訪者・職員の負傷者対応・避難誘導 来訪者・職員等の負傷、閉込めを救助し、応急措置 目視、各部署からの緊急通用等により火災や庁舎倒壊の危険がある場合、○○が屋外避難を指示 屋外避難が必要ない場合、来訪者を○○へ誘導 危険箇所は立入禁止として特定し、表示・周知 「避難誘導計画」、「建物安全チェックリスト・発災直後用」を使用 2 職員の安否確認 部署責任者が在庁職員の安否を点呼等により確認 外出、休暇等により在庁していない職員は、自らの安全を確保した後、速やかに安否連絡。帰庁・出勤できる時間の目処も連絡 全庁の職員の安否確認状況を○○担当が集約 「安否確認実施要領」のとおり 3 庁舎の被害状況の確認 各部署が被害状況を確認し、所定様式により災対本部○○担当に報告 災対本部○○担当は、各部署の報告をとりまとめ、○○とともに安全性を評価し、首長に報告 「建物安全チェックリスト・第一次用」を使用 「被害報告書様式」を使用 出典:東北大学災害科学国際研究所丸谷研究室資料
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教育の例(職員行動マニュアルの作成) 危機管理部局以外の職員が発災時に的確に行動ができるよう、全職員に行動マニュアルを携行させる。ただし、
持ち歩いてもらえるサイズにする 人事異動に伴い更新するのが前提なので、あまり手の込んだつくりにしない 盛り込むべき内容としては以下のものが考えられる 勤務時間外に発災した際の行動手順(フロー) 参集基準 参集時の持ち物 被害報告様式(自宅周辺や参集途上の状況) 連絡先一覧(職員・関係機関) 参集後に初動で実施する非常時優先業務(時系列で整理しておくとよい) 部署ごとに作成する(そのために、とりまとめ担当課でひな形を作成しておく) ※インターネット上に多数公表例あり
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業務継続計画の点検・是正 時点更新が必要なものは、随時修正 以下の観点からのレベルアップが可能か検討
参集予測 連絡先リスト 以下の観点からのレベルアップが可能か検討 地震以外も対象 段階的な被害想定・資源制約(軽微/甚大等) 出先機関も含めた策定 個別部門(下水道、ICT)の計画策定(組織規模が大きい場合) 関係機関(公営企業、一部事務組合、広域連合、協定締結企業等)がBCPを策定しているか確認(未策定の場合には、策定を働きかけ) 他の被災した地方公共団体での知見や教訓を踏まえて再点検。被災経験のある市町村のBCPも参考となる。(例:仙台市(東日本大震災)、佐用町(台風による水害))
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まとめ 業務継続計画とは・・・・ 業務継続計画の策定のためには・・・・ 業務継続計画の策定後には・・・・
既存の地域防災計画等に抜けている視点や内容を補うもの 具体的には、災害による資源制約下においても、最低限必要な重要業務を継続させるために、現状どのようになっていて、課題は何で、今後どのような対策を取ればよいのかを、担当課だけではなく全庁的な検討体制で整理・文書化し、合意を図るもの 文書化自体は、1つの計画書として取りまとめたり、地域防災計画やマニュアル等に必要な要素を盛り込むなど、様々な方法がある(業務継続計画やBCPという名前でなくてよい)。 業務継続計画の策定のためには・・・・ まずは重要6要素を中心に検討し、身の丈にあった計画を策定すればよい。 非常時優先業務の整理は、先行事例等をうまく活用し、作業負担を減らす。 被害想定は大雑把に考えてもよい。どちらかというと、災害の結果どのような資源制約が生じるかから考えた方が、想定外が生じにくい。 首長の指揮の下、全庁が主体的に関与する体制とする。 業務継続計画の策定後には・・・・ 教育・訓練の実施や必要資源の点検等を、少しづつでもよいので着実に進める。 自力だけでは対応できない大規模災害に備え、外部からの受援も視野に入れておく。
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【参考】業務継続の検討の参考となるWEBサイト
■地方公共団体の業務継続 地方公共団体の業務継続【内閣府】 石狩市業務継続計画(BCP)策定レポート【石狩市】 地方自治体における震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書【(一財)日本防火・危機管理促進協会】 府内市町村BCP策定の手引書(25年7月)【大阪府】 ■業務継続に係る行政機関向けのガイドライン等(国内) 政府業務継続計画/中央省庁業務継続ガイドライン【内閣府】 業務継続のための官庁施設の機能確保に関する指針【国土交通省】 地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン/地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(ICT-BCP)初動版サンプルほか【総務省】 下水道BCP策定マニュアル~第2版~(地震・津波編)【国土交通省】 新型インフルエンザ等対応中央省庁業務継続ガイドライン【内閣官房】 業務継続計画の策定の流れの例が分かりやすく報告としてまとめられている。 BCPを策定した市町村における策定のきっかけや策定体制、必要予算・人員等がまとめられている。 大阪府内の市町村用の手引きだが、 参考資料(Q&A、様式集、コンサル委託仕様書例など)は他県でも参考になる。なお、同手引きを指導した神戸大学・紅谷准教授のHPでは、自治体BCPの必要性についての庁内説明資料(ppt)が公開されており、こちらも大変参考になる。
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【参考】業務継続の検討の参考となるWEBサイト
■被害想定等 南海トラフ巨大地震の被害想定【内閣府】 首都直下地震の被害想定【内閣府】 日本海における大規模地震の被害想定【国土交通省】 「わがまちハザードマップ」【国土交通省】 平成27年9月関東・東北豪雨災害を踏まえ、市町村が取るべき水害対応のポイントを整理 ■水害対応の手引き 市町村のための水害対応の手引き【内閣府】 ■その他 業務継続に関連するリンク集【内閣府】 (注)国外を含めた様々なガイドラインや計画等が整理されている。 事業継続ガイドライン(第3版)【内閣府】 地方都市等における地震防災対策【内閣府】 大規模地震発生直後における施設管理者等による建物の緊急点検に係る指針【内閣府】
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ご清聴ありがとうございました。 【業務継続計画の策定に関する問い合わせ先】 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(防災計画担当)付
内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(防災計画担当)付 参事官補佐 大山 主査 小寺 TEL: (直通) FAX:
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