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視線に基づくサブゴールを用いた 歩行者の行動モデル
DICOMO 2005 視線に基づくサブゴールを用いた 歩行者の行動モデル ○柳沢 豊 山田 辰美,平田 圭二,佐藤 哲司 NTT コミュニケーション科学基礎研究所
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背景 歩行者の軌跡を分析し,行動(移動)の意味を 理解しようとする研究が進んでいる. 地形が歩行者の移動経路にどのような影響を 与えるか?
建築物内での動線の最適化 店舗内を移動する来客の行動分析 空港や駅構内での防災・防犯シミュレーション 地形が歩行者の移動経路にどのような影響を 与えるか? 歩行者モデルの構築
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従来のモデル 地形と他の歩行者から受けるローカルな力に 基づき,歩行者の移動方向と速度を決める. 電磁気を帯びた粒子の動きに基づくモデル
流体の運動に基づくモデル Social Force Model: 地形からの斥力と, 他の歩行者から受ける引力/斥力に基づくモデル [Helbing95] 歩行者の移動経路を説明するモデルとしてある程度有効
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Social Force Model (SFM)
歩行者に働く力を4つの独立した力の和で与えるモデル. ゴール地点から受ける引力: F1 障害物から受ける斥力: F2 他の歩行者から受ける斥力: F3 他の歩行者から受ける引力: F4 現在の速度ベクトル ゴール地点へ向かう単位ベクトル 定数 現在位置 PG Pt F1: 引力 = (V0 et – vt ) / τ ゴール地点 一定速度まで加速し,その後は等速運動をする.
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Social Force Model (SFM)
歩行者に働く力を4つの独立した力の和で与えるモデル. ゴール地点から受ける引力: F1 障害物から受ける斥力: F2 他の歩行者から受ける斥力: F3 他の歩行者から受ける引力: F4 障害物からの最短距離 障害物からの向き (単位ベクトル) 障害物 d vr ゴール地点 F2: 斥力 = vr U e -d/R R, U は定数 障害物に近いほど強い斥力を受ける.
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Social Force Model (SFM)
歩行者に働く力を4つの独立した力の和で与えるモデル. ゴール地点から受ける引力: F1 障害物から受ける斥力: F2 他の歩行者から受ける斥力: F3 他の歩行者から受ける引力: F4 障害物 対向歩行者に近づくほど強い斥力を受ける. F3: 斥力 ゴール地点 対向歩行者
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Social Force Model (SFM)
歩行者に働く力を4つの独立した力の和で与えるモデル. ゴール地点から受ける引力: F1 障害物から受ける斥力: F2 他の歩行者から受ける斥力: F3 他の歩行者から受ける引力: F4 障害物 順行歩行者 一定の引力を受ける. F4: 引力 ゴール地点 対向歩行者
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Social Force Model (SFM)
直線移動 シミュレータ 障害物(点) 障害物(線)
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問題点 障害物なし 従来モデルでは,スタート地点とゴール地点の間に障害物があると,スタックが生じる. ローカルミニマム問題 スタート地点
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問題点 障害物あり 従来モデルでは,スタート地点とゴール地点の間に障害物があると,スタックが生じる. ローカルミニマム問題
障害物からの斥力と,ゴール地点からの引力が均衡する スタート地点 ゴール地点 障害物あり
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解決法 実際の歩行者はどうやって回避するのか?
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解決法 カフェ「ペパーミント」 ゴール地点 現在位置 ある日の風景
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解決法 通常は目的地への 最短距離を進む 到着!
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解決法 障害物面 ゴール地点 現在位置 ある日の翌日の風景
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解決法 ゴール地点を中心に,視界内を左右に走査して 障害物の切れ目を探す.
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解決法 サブゴール地点の追加
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解決法 歩行者の視界(視点)から,障害物を避け得る 仮のゴール(サブゴール)地点を設定する. アプローチ
ステップ1:実際の歩行者がどこにサブゴール地点を決めているかを実験的に求める. ステップ2:実験で得た歩行者の位置と視界,障害物との関係から,サブゴール地点決定ルールを得る.
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報告内容 SFM で必要な各種定数の取得 (障害物なし/障害物あり歩行の軌跡取得)
軌跡と視点の関係を調べる実験の実施 (歩行時の注視点取得) 実験的に得た数値をもとに,サブゴール地点を決めるルールを SFM に導入 F1 = (V0 et – vt ) / τ F2 = vr U e -d/R
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実験の概要 実験環境:5m x 20m の空間に歩行路を用意. 被験者:年齢20~30歳の男女10名
スタート地点とゴール地点を予め指示する. 移動経路,速度等は指示しない. 障害物がない場合とある場合で各4回ずつ移動 被験者:年齢20~30歳の男女10名 1パターン毎 4回試行 x 10名 = 40本の軌跡
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実験環境 歩行軌跡の取得 視点の取得 SICK社製レーザースキャナx3台で足の位置を取得 東大柴崎研開発の計算ソフトで重心位置を計算
眼球運動計測装置を被験者に装着し,視点を取得
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位置センサ 実験環境 カメラ 外壁
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軌跡データ 障害物なし 障害物あり
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SFM のパラメータ取得 20回分の歩行軌跡の平均値を取得 U と R は? V0 = 1.08 (m/s) τ = 0.1 (s)
サブゴール地点の決定ルールを得た後に計算 V0 = 1.08 (m/s) τ = (s) 参考: Helbing らの値 V0 = 1.34 (m/s) τ= (s) F1 = (1.08 et – vt ) / 0.1
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視点データの取得 眼球運動計測装置 EMR-8B © 2005 nac Image Technology., Inc 注視点
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視点データ(障害物無し) 注視点(視線) 障害物なし
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視点データ(障害物あり) 注視点(視線) 障害物あり
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視点データの取得 カメラ画像 (位置確認用) 作業用ツール データ確認 と編集 注視点画像
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視点データの取得 作業用ツール データを手動で取得 現在位置 注視点
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視点と軌跡の関係 スタート地点 ゴール地点 移動開始前にゴール地点を見る (誤差の少ない6人分のデータを分析) 注視点 ゴール地点 注視点
サブゴール地点に関しても同様 (方向を変更する前に次のサブゴール地点を見る)
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視点と軌跡の関係(2) 障害物 スタート地点 ゴール地点 障害物の中心と左右の端点を見る(走査する). スタート地点 ゴール地点
端点外側 0.8~1.2m の 地点へ向かう(サブゴール)
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視点と軌跡の関係(3) スタート地点 ゴール地点 サブゴールへ 2m 前後近づくと,ゴール地点を 見る(ゴール地点をゴールに設定しなおす)
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視点と軌跡の関係(備考) スタート地点 ゴール地点 外壁面(進行方向の延長上)を注視することがある.
真のサブゴール地点? 外壁面(進行方向の延長上)を注視することがある. サブゴール地点を外壁面上に設定している可能性あり → しかし,あたかも障害物のすぐ脇に サブゴールが設定されているかのように振舞う.
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サブゴールの決め方(結論) 現在位置とゴール地点との間に障害物がある時 ゴール地点を中心に,左右に視界を調べ, 障害物の切れ目を探す.
障害物の端点から,外側に 1.0 m の点を サブゴール地点に設定する. サブゴール地点に 2.0 m まで近寄ると,次の サブゴール地点を探す.
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SFM のパラメータ取得~追加~ ルール通りサブゴール地点を決定したとき,最も実際の軌跡に近くなるように U, R を決定.
U = 10.0 (m2/s2) R = (m) 参考: Helbing らの値 R = (m) F2 = vr 10 e -d/0.1 ほぼ一致
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歩行者シミュレーション 導入後 サブゴール 導入前
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まとめ 障害物を自然に回避できる歩行者モデルを提案 今後の展開 サブゴール地点を設定する方法の導入 サブゴール地点の決め方を実験的に取得
軌跡と地形から,注視点を逆推定する. 例えば,特定の場所(案内板/広告)に目を向けさせたいとき,どのように障害物を配置すればよいかを推定する.
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