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原田徳彦 新田貴之 杉村敦彦 寺西信 山田健仁 百田正広 神田徳夫 池田信彦 (徳山工業高等専門学校)
情報電子工学実験の 導入期における実践例 原田徳彦 新田貴之 杉村敦彦 寺西信 山田健仁 百田正広 神田徳夫 池田信彦 (徳山工業高等専門学校)
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徳山高専情報電子工学科の目標 情報通信システム コンピュータを核とする多様なシステム コンピュータ応用 情報処理システム 機器システム
情報電子工学科では、コンピュータ教育を基礎とし、情報通信システム、コンピュータ応用機器システム、情報処理システムなどの多様なシステムの設計開発を行える人材の養成を目標としています。 コンピュータ応用 機器システム 情報処理システム
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カリキュラム 1・2・3学年 コンピュータ、電気電子 4・5学年、専攻科 コンピュータシステム
1・2・3学年 コンピュータ、電気電子 カリキュラム 4・5学年、専攻科 コンピュータシステム カリキュラムでは1,2,3年の間にコンピュータのハードとソフト、電気電子関連の基礎を学びます。4,5年と専攻科では、さらに通信技術や計測制御技術、情報処理技術を学び、コンピュータの応用分野を幅広く学びます。
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こちらはカリキュラムの系統図です。今回報告致します情報電子工学実験はこの3学年における科目です。3年までに学習する内容を理解し、4年のコンピュータシステム実験につなぐ役割持っています。
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情報電子工学実験の目的 理 論 実 験 情報電子工学実験の目的についてですが、今日の技術の発達を見れば、理論と実験は互いを基礎とし、高度に発展していることが分かります。教育においてもこのようなプロセスを縮約できないものでしょうか。学生が実験から理論が分かり、理論から実験が分かる。これが工学実験の目的です。
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従来の工学実験における問題点 実験12テーマを各班で 毎週ローテーション 実験テーマ連携困難 工学的理解の妨げ 1.電子部品(LCR)
2.回路網の定理 3.オシロスコープを用いた波形観測 4.直並列共振回路 5.電源回路(整流回路、平滑回路) 6.ダイオードの静特性 7.トランジスタとFETの静特性 8.交流ブリッジ 9.電力の測定 10.論理回路 11.微分・積分回路 12.ワンボードマイコンの操作法および入出力方法 実験12テーマを各班で 毎週ローテーション 実験テーマ連携困難 従来の工学実験では、前期にこちらの12テーマを12班によるローテーションでおこなっておりました。そのため、各班で実験の最初のテーマはまちまちであり、実験テーマを機能的に連携することは困難でした。これでは座学で学んだ理論を単に確認するに過ぎません。 工学的理解の妨げ
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工学実験改善プロジェクト 学生の現状 基本的事項が身に付いていない 勉学意欲が低い 実験の目的(理論とのつながり)を理解していない。
現状を踏まえた実験テーマの作成 そのため、学生の現状として、基本的事項が身についていない、勉学意欲が低い、実験の目的である理論とのつながりを理解していないなどが見られました。そこで現状を踏まえ、実験担当教官が全員で実験テーマを作成しなおすことになりました。
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導入期における一斉実験 クラス一斉に同じ実験を行う テーマの順序立てができ、テーマ毎に連携し、学生の習熟度を上げる工夫ができる。
装置や指導上の問題点を発見しやすい。 報告書への対応が一斉にでき、さらに個々の報告書に対しての細やかな個別指導が可能。 実験テーマを作成しながら、同一のテーマをクラス一斉で行えることに気づきました。従来は実験回路をこちらで準備していましたが、学生自身がブレッドボードに回路を作れば準備は大変ではありません。また、導入期には高価な実験装置も必要ありません。 一斉実験にすればテーマの順序立てができ、テーマ毎に連携し、学生の習熟度を上げる工夫ができます。また、装置や指導上の問題点を発見しやすい。報告書への対応が一斉にでき、さらに個々の報告書に対しての細やかな個別指導が可能。などの利点があります。
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実験テーマの設定 オシロスコープの取り扱いに習熟する。 受動素子(RC直列回路、RCパルス応答、周波数応答)
論理素子(トランジスタによる論理動作、TTLの動作) 増幅素子(トランジスタの増幅動作、OPアンプの動作) 一斉実験の最初は、オシロスコープの原理を理解しその取扱に習熟することを目的としました。つづいて、理解を積み重ねるために、おおまかに受動素子、論理素子、増幅素子の順で実験テーマを設定しました。
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一斉実験テーマ 1.オシロスコープの使い方 2.電子部品1(抵抗の基礎実験) 3.電子部品2(コンデンサとコイルの基礎実験)
4.コンデンサの特性測定(RC直列回路) 5.RC回路のパルス応答と周波数応答 6.オシロスコープの操作のテスト 7.ダイオードの静特性 8.トランジスタ、FETの静特性 9.ダイオード、トランジスタを用いた論理回路 10.ICによる論理回路 11.小信号増幅回路 12.オペアンプの基礎実験 一斉実験のテーマは最終的にこのような順番になりました。
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こちらは1章のオシロスコープの使い方の実験テキストの一部です。オシロスコープの掃引時間を長くし、1Hzの正弦波を見るとこのように輝点がゆっくりと移動します。このような観察によりオシロスコープの表示が掃引によるものであることが実感できます。
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こちらは抵抗の基礎実験の一部です。直列抵抗による分圧の現象を見るための実験です。図のような回路において、1つ1つの抵抗にかかる電圧をみるのですが、マルチメータは使わずにLEDを抵抗の両端に接続します。抵抗値が高い場合にはLEDが発光します。抵抗にかかる電圧をLEDをとおして実感することがねらいです。
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こちらはコンデンサの基礎実験です。コンデンサへの電荷の充電と放電をこちらも発光ダイオードを用いて実感できるように工夫しています。また、コンデンサによる分圧もこの様な回路を組み、入力電圧を0がら徐々に上げながらオシロスコープで各電圧の変化を観察します。
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こちらは第10章のICによる論理回路の一部で、スイッチ回路で正論理または負論理の出力をみる実験を行います。回路基板は同じですが、基板の向きを変えるためスイッチを上げたときと下げたときの電位が逆転します。
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学生はそれぞれの回路で出力電位を観測し、なぜそうなるのかを考えます。その上で、それが正論理出力なのか負論理出力なのかを答えます。
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こちらは、第11章の小信号増幅回路です。まずこの様な回路から入力電圧に対する出力電圧の静特性をとります。
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次に入力電圧に交流の信号を加えた回路を組ませ、その信号増幅がなぜ起こるのかを先ほどの静特性にからめて理解します。
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このテキストを通して、初めて使う部品についてはこのような説明を加えています。また、原理はあまり詳しく書かず、実験後に自分で調べるように指導しています。
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一斉実験の実施 クラス(40名)を12班の編成 個人にブレッドボードとマルチメータ 各班にオシロスコープとファンクションジェネレータ
テーマ作成教官(1名)+実験担当教官(4名)+技官(1名)で指導 ほぼ毎週1つのテーマについて実験を行い、次週までにそのレポートを作成し教官に提出します。レポートを受け取った教官はその場でレポートをチェックします。テーマを作成した教官は集まったレポートを見ながら自分の希望どおり学生が理解しているかを確認し、改善すべき点があれば次年度までに修正します。
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オシロスコープの操作のテスト こちらは、オシロスコープの操作テストです。5分程度の時間を与え、ファンクションジェネレータから出力された数種類の波形を観察し、その特徴を書き記します。
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オペアンプの基礎実験 オペアンプの実験です。学生はこのようにブレッドボード上に回路を作成し観察します。
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一斉実験授業評価アンケート 一斉実験を導入して3年間の授業評価アンケートの結果を集計しました。
「先生は、実験中にアドバイスや注意をしますか。」の質問に肯定が85%でした。
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「先生は、実験の準備をよくしていますか」の質問には72%の肯定の回答がありました。
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「先生から、提出物についてコメントや注意、指導はありますか」の質問には肯定とする答えが75%ありました。
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「あなたにとって先生の説明は理解しやすいですか」の質問については45%の肯定の回答がありました。
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「あなたは、設定された実験テーマについてよく理解しましたか。」については33%の肯定の回答がありました。
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「あなたは、設定されたテーマに興味が持てましたか。」の質問に対して47%の肯定の回答がありました。
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「あなたは、班は適切な人数で構成されていると思いますか。」の質問に対しては83%の肯定の回答がありました。
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「あなたは、ブレッドボードの回路作成は便利だと思いますか。」の質問に対して93%の肯定の回答がありました。
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「不備な実験装置はありましたか。」の質問に対しては55%の肯定の回答がありました。
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「全員が同じに同じ実験を行うことは今後も続けるべきたと思いますか。」の質問に対しては83%の肯定の回答がありました。
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検討 一斉実験の方向性は肯定されている。 学生の理解が十分得られたと言えない。
個々の実験テーマについて総合的な理解へのつながりを再検討する必要がある。 学生が自ら疑問を持ち、考え、調べることも大切。 授業評価アンケートの結果から一斉実験の方向性は肯定されていますが、学生の理解は33%程度の肯定に留まっています。実験テーマ間の連携を強くし総合的な理解へと導きたいと考えています。一方で,学生は実験で得た問題を十分復習しているのかが疑問です。学生自らが自主性をもつよう指導することも考えなければなりません。
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まとめ 情報電子工学実験は,従来の座学の授業を補完する立場から,一斉実験を取り入れ工学的な理論を関連付けることにより,工夫し積極的に理解させる立場に変わってきた。 学生が自ら工学的発見を積み重ねていけるように、実験テーマを工夫し発展すべきである。
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