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不確実性下の意思決定 ―統計的決定理論の様々な問題ー

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Presentation on theme: "不確実性下の意思決定 ―統計的決定理論の様々な問題ー"— Presentation transcript:

1 不確実性下の意思決定 ―統計的決定理論の様々な問題ー
統計数理研究所 椿 広計 2014統計関連学会連合大会企画セッション「裁判と統計学」 2014/09/15 統計関連学会連合大会

2 経営分野実用化:訴訟を覚悟するか? Bernard W
経営分野実用化:訴訟を覚悟するか? Bernard W. Taylor (2009), Introduction to Management Science, 10th ed., Global Edition, Pearson Education (US). S社はM区A公園のほど近くにある洋館を購入し、復 元したうえで、約10年の間Pホテルに貸してきた。 その古い洋館は、今や町の名所 20XX年にPホテルとの賃貸借契約が切れるので、S 社はこの敷地に高層マンションを建てる計画を発表 住民の反発を受ける M区はS社代理人に対して、もしM社が着工の許可をもと めれば、区はたぶん拒否するであろうとした。 S社はこの計画は条例やガイドラインに違反すること は何もないと確信 S社がM区に対する訴訟を起こした場合、確実に勝 訴するということではないと思われた S社は、一連の会議を開き、3つの選択肢を決定 ①区に着工許可をもとめる。 ②土地を売る。 ③M区が示した妥協条件に従って、低層オフィスビル の着工許可を求める。 後の二つの選択に関しては、土地を売れば9億円 得ることができる. 新しいオフィスビルを建てた場合の利益は将来の 当該地区発展に依存 将来この地区が発展の可能性は70%。その場合S社 は今後10年に13億円の利益を見込める。 当該地区があまり発展しない場合の利益は2億円にす ぎないと予想 2014/09/15 統計関連学会連合大会

3 区に着工を求めた場合 M区を相手どって裁判に持ち込む S社がマンション建設の許可をもとめた場合 区が申請を却下する可能性は90%
市の建築規定は曖昧 住民感情を配慮して裁判官は着工申請を却下する可 能性 勝訴しようと敗訴しようとS社は訴訟費用を3億円と見 積 勝訴の確率は40%に過ぎない 勝訴した場合の賠償額は約10億円になるであろうと計 算 さらにアパートからの利益の30億円もこれに上乗せ 裁判が上級審も含めて泥沼化する確率も10% 計画期間内の利益は0 法的費用がさらに2億円必要 確率50%で敗訴 土地の売却 土地の売値はその時点での地域の発展の見込みに依存 発展状況(確率50%)にあれば少なくとも9億円 発展しない場合には5億円の売却益が期待 低層オフィスビルの建設 地域が発展する確率も50%で、その場合の利益が12億円 もし発展しなければ高々1億円の利益に留まる S社がマンション建設の許可をもとめた場合 最も都合の良い結果は、すんなり許可が与えられること その場合は30億円の利益が見積もられる 認可の確率は10%に過ぎないと想定 区が申請を却下する可能性は90% 申請却下の場合次の選択肢を想定; S社はその時点で土地を売却 区の着工拒否は地価に悪影響を与える S社は、初めから売却を決めた場合に比べて2億円低い7億円しか 得られないだろうと推定 認可が得られないことが分かってから低層オフィスビルを 建設 その前に試算した利益と同じものが予想 すなわち、確率0,3で地域発展がなく、その場合には利益は2億円 確率70%で地域発展がおき、その場合の利益は13億円 2014/09/15 統計関連学会連合大会

4 決定木分析 2014/09/15 統計関連学会連合大会

5 論点1:確率的推論がどこまでできるのか? ベッドフォード,クック,「確率論的リスク解析」,金野訳,丸善,2012
論理的に真偽が確定するコトか? そうでなければ不確定性の議論は意味を持たない 事象の不確定性:客観確率の範囲 ある特定の卵が腐っているか否か? 明日の正午の東京の気温 2001年1月1日から2100年12月30日までの正午の東京の気温 特定のコインを投げ続けた結果得られる表裏の無限系列 全宇宙の過去から将来の状況 意思の不確定性:主観確率の範囲 来週の週末、私は地下室の掃除をする(つもりだ) 不確定性は、事象等の確定を観測することで消失:現実は?Bollen,1989 言葉や事象自体の「曖昧さ」とは区別 これは,テロだ!,これはテロかもしれない? テロ=暴力行為有無and政治的意図有無and直接対象を超えた範囲への影響の有無(CIA, 1981) テロらしさ=暴力らしさand政治的意図らしさand直接範囲を超えた影響の大きさ 2014/09/15 統計関連学会連合大会

6 行動の不確かさと主観確率 Savage流の仮想的ギャンブルによる主観確率の測定
「明日株価が下がる確率」 期待効用の均衡 2つの事象の効用の均衡: 明日100ドル受け取る 株価が下がれば300ドル、そうでなければ0ドル受け取る 主観確率=1/3 一人称事象に対する不合理⇔自分が明日死ぬ確率=0 効用と確率との同時識別可能性はない! 彼が考える私が明日死ぬ確率≧私が考える自分が明日死ぬ確率 法廷では異なる主観確率が提示:客観確率の役割は限定的 2014/09/15 統計関連学会連合大会

7 前提:所謂ベイズ決定の最適性 Wald, A. (1947) An Essentially Complete Class of Admissible Decision, AMS,18(4), 証拠の観測:x=(x1,…,xn)∊M 未知母数を持つ確率分布に従う:f(x|θ)∊FΘ, θ=(θ1,…,θp)∊Θ 意思決定:d(x)∊D 損失関数:L[θ, d(x)] リスク関数(期待損失関数):r[θ|d(x)]=∫ML[θ, d(x)]dFθ(x) 意思決定の本質的完全類:C 全ての決定関数d(x)∊Dと全ての未知母数θ=(θ1,…,θp)∊Θに対して, d*(x)∊C が存在し,d(x)より期待損失が小さくなる:r[θ|d*(x)]≦ r[θ|d(x)] x, θの同時分布:p(x, θ)= f(x|θ)g(θ), θの任意の累積分布:H(θ) gは,ある人にとって本当の事前分布 所謂ベイズ解:dB(x, H)=argmind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ) Waldの定理:Hを任意の累積分布としたベイズ解dB(x, H)のクラスが本質的完全類 事前分布のHによる修飾は,ある人にとって本当らしくなくても誰かにとっては,合理的決定 2014/09/15 統計関連学会連合大会

8 論点2:現実問題の抱える不確実性 完全類定理 証拠の従う分布だけでなく,ベイズ決定構成要素である
決定理論を構成する要素を誤差なく規定できるのならば、 ベイズ決定方式を用いるのが合理的だが,・・・?? 証拠の従う分布だけでなく,ベイズ決定構成要素である 事前確率も、 損失関数も、 「不確実性」を持ってしか定める事はできない その不確実性のモデル化?? 2014/09/15 統計関連学会連合大会

9 事前分布(主観分布?)の不確かさとミニマックスアプローチ
一般のベイズ解 dB(x, H)=argmind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ) dB(x, H)のベイズリスク:mind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ) 最も不利なPriorの修飾H0 H0 = argmaxH mind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ) Least Favorable Prior Distribution 真のPriorが極めて不確かな時,最も不利なPriorに基づく決定関数を用いて, 最大損失を最小化することを狙う 危険回避的(minimax)解は,最も不利な事前分布に対するベイズ解 Wald (1952), Basic Ideas of a General Theory of Statistical Decision Rules, Proc. Int. Congress of Math., , Harvard Univ. Press. 2014/09/15 統計関連学会連合大会

10 事前確率の想定の不確かさ 危険回避的な事前分布の制約付き最適化
Equally Likely はEqual Probabilityを意味しない 事前確率1/2より不確かな事前情報 事前確率は変量で,その期待値が1/2 dB(x, H)=argmind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ)=argmind∫ΘL[θ, d(x)] f(x|θ) g(θ)dH(θ) 例えば,期待値不変な事前分布の修飾のクラス:H H∊H ⇒∫Θ g(θ)dH(θ) = 1 and ∫Θ θg(θ)dθ= ∫Θ θg(θ)dH(θ) 要するに元のpriorと期待値が同じpriorというクラスを考える (制約付きの) H に属する最も不利なpriorの修飾 H0 = argmaxH ∊H mind∫ΘL[θ, d(x)] p(x, θ)dH(θ) 2014/09/15 統計関連学会連合大会

11 論点3:意思決定の不確かさと制御性 多プレーヤー問題 決定樹はゲームの樹 先の決定樹:意思決定者と確率的に現象を発生させるNature
他の意思決定者とのゲーム論的構造を無視 他の意思決定者が利得最適化行動を自身の[損失関数×主観確率]の下で行う 裁判に勝,主観確率と考えているから市は認可しない? プレイヤー間のギャップがある前提での意思決定? 相手はこの種の損失関数,主観確率を有しているであろうことを推論するメタ行動 2014/09/15 統計関連学会連合大会

12 始まりの終わりに:裁判では? 事象の認定(らしさの計測) 相対する2つのプレイヤーは異なる事前分布を想定 裁判官は法廷は,その中で決定を行う
それをデータ(尤度)が圧倒することは稀? No-Data問題 損失関数も異なるかもしれない 裁判官は法廷は,その中で決定を行う 危険回避的行動をとるべき案件 危険中立的行動をとるべき案件 2014/09/15 統計関連学会連合大会


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