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情報経済システム論:第15回 担当教員 黒田敏史 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション 構造推定アプローチによる政策シミュレーション
構造推定により消費者の需要関数を推定する事で、外生的な変化に対する消費者余剰の変化を検証することが可能になる 日本の通信市場における以下の2つの例を紹介する 1・Kuroda (2009) "Does net neutrality contribute to the migration to FTTH? a lesson from Japan’s experience“ 2・黒田敏史,「両面市場モデルによる携帯電話コンテンツ配信プラットフォームの価格構造の分析」東京経済学会誌、267、2010. 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):主要な結論
ADSL利用者の減少とFTTH利用者の増加は価格や速度の変化ではなく、コンテンツサービスがもたらす間接ネットワーク効果によって説明される 間接ネットワーク効果を考慮しない弾力性の推定値は価格弾力性を過剰推定し、市場を過大に画定する コンテンツ事業者の垂直統合へのインセンティブは間接ネットワーク効果の強さで劣るADSL事業者が最も強く、垂直統合によって顧客のFTTHへの移行を妨げる可能性がある 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):分析の背景 ブロードバンド市場の成熟 問題意識
世界一安いアクセス料金ではあるが、2005年以降下げ止まっている ブロードバンドを活用した様々なコンテンツサービスが登場(iTunes Store、 ニコニコ動画、Final Fantasy XI) ADSLの加入者数が減少し、FTTHの加入者数が上昇 問題意識 アクセス市場におけるADSLからFTTHへの移行をどのように考えるか ネットワーク効果がアクセス市場にどのような影響を与えているか 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):ブロードバンドとネットワーク財
それだけでは価値を持たないコンポーネントを組み合わせることでシステムとして機能する一連の財をネットワーク財と呼ぶ ブロードバンド市場をブロードバンドアクセスとブロードバンドコンテンツによって構成されるシステムと見なす 本論文の対象となるブロードバンドアクセス ADSL、FTTH、CATV 本論文の対象となるブロードバンドコンテンツ 音楽配信、動画共有、オンラインゲーム 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):家計の行動
家計はADSL、CATV、FTTHのいずれか一つのブロードバンドアクセスを利用する、もしくはどれも利用しないかを加入による効用を比較して、毎期意志決定を行うと仮定 サービスjに加入する家計iの効用は アクセス間には互換性があるため、利用可能なコンテンツサービスは選択肢間で変わらない。( ) アクセス間でコンテンツから得られる効用が異なるかどうかを検証する( ) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):家計の行動
Ida, Kuroda(2006)と同様にブロードバンドを利用するかしないかを決定してから、どのサービスに加入するかどうかを決定するNested-Logitモデルを用いるため、誤差項εは一般化極地分布を仮定。 ブロードバンドアクセスサービスjが利用される確率は 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009) パネルデータを用いるため、Berry(1994)に従い選択確率を線形回帰式に変形する
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政策シミュレーション ブロードバンド加入者数には、総務省公表の2005年第3四半期から2007年代第4四半期までの10期にわたる県別加入者数を利用 音楽配信事業者数は日本音楽著作権協会許諾数に日本レコード協会発表のオンライン販売額に占める固定インターネット比率割合を乗じて推定。動画共有サイト数は「インターネット白書2007」、オンラインゲームは「オンラインゲーム白書」よりカウント。
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政策シミュレーション 各回線種別・都道府県別のサービス料金、速度に関しては、各都道府県毎の県庁所在地で利用可能なビット単価の最も安いサービスの料金を物価水準で実質化 FTTH料金は「平成15年住宅・土地統計調査」の集合住宅比率を用いて、戸建て向け料金と集合住宅向け料金を加重平均
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政策シミュレーション Kuroda (2009):操作変数
ブロードバンド加入方程式に含まれている説明変数のうち、価格、ブロードバンド加入シェア、補完財数(音楽配信・動画共有サイト・オンラインゲーム)は誤差項と相関を持った内生変数であるため、少なくとも5つの独立した操作変数が必要 補完財参入式も、右辺のブロードバンド加入数が内生変数である。 ブロードバンドの費用面のデータを表す中継光ファイバのアクセスチャージ、DSLアクセスチャージを操作変数として利用 オンラインで配信されていない音楽・動画・ゲームの販売数量はブロードバンド加入率には影響しないが、ブロードバンドコンテンツ市場への参入行動には影響を与えると考えられるため操作変数として用いた 音楽・動画の販売数量は日本レコード協会提供の公開している四半期データを、ゲームはテレビゲーム産業白書に掲載されている家庭用ゲームソフトの月次販売本数を利用。 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):アクセス加入式推定結果
OLSと2SLSでモデルを推定。2SLS(1)は補完財を効用に含めない場合の推定結果。また、アクセス間で間接ネットワーク効果を現すパラメータが同一とする仮説についてF検定を行ったところ、1%水準で棄却。 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):価格弾力性・速度弾力性
サンプル毎の弾力性を計算し、各期・各県の加入者数でウエイトして計算。行が価格が変化する選択肢を表し、列は影響を受ける選択肢。 各サンプルの価格弾力性は なる。 上段は自己弾力性と交差弾力性であり、下段は自己弾力性の経年変化。 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):補完財弾力性
補完財弾力性は、価格・速度などの選択肢固有の属性とは異なり全選択肢の効用が変化するため、 となる。 補完財が加入数に与える影響は、未加入からの加入の効果(between)とアクセス間での相対的なシェアの変化(within)の効果が存在する 弾力性比は速度・サービスの弾力性を価格弾力性で除した値であり、投資効率の大小を表す。 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):ADSLの予測値 OLSは推定値に下方バイアスが存在する
2SLS(1)は減少傾向ではあるが、ランダムな増減を伴っており再現性が高いとは言い難い 2SLS(2)は当てはまりが良く・増減の方向も一致している 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):CATVの予測値 OLSはほぼ単調増加の傾向は再現しているが、下方バイアスを持つ
2SLS(1)はランダムな増減を示しているほか、直近の速度増加効果を過大に予測しており、速度弾力性の過剰推定の影響が出ている 2SLS(2)は増加を予測しており、当てはまりも良い 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):FTTHの予測値 OLSは増加を予測できているが、下方バイアスを持つ
2SLS(1)はFTTH加入者の増加を全く説明することができていない 2SLS(2)は増加を予測できており、当てはまりも良い 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):FTTHの普及要因
2005年Q3から2007年Q4までの間に生じた効用の変化を各説明変数に分解 料金や速度による効用の変化は僅かであるが、コンテンツサービスによる間接ネットワーク効果はアクセスサービスの効用に大きく影響している 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):加入式の推定結果のまとめ
OLSに比べて2SLSの方が当てはまりが良く、2SLS(2)はすべての選択肢の増減をうまく再現している 価格弾力性は低い順にADSLの-2.641、CATVの-3.079、FTTHの-3.741 速度弾力性は低い順にCATVの0.2025、ADSLの0.2734、FTTHの1.059 速度に対する支払い意志額は8.1円/Mbps アクセス間で間接ネットワーク効果のパラメータが有意に異なることから、コンテンツサービスの多様化がアクセス間のシェア変動を説明しうる すべてのコンテンツの増加によってブロードバンド加入者数は増加する FTTHはすべてのコンテンツサービスの増加によって加入シェアが増えるが、ADSLはオンラインゲーム、 CATVは音楽共有のみによって加入シェアが増加し、その他のコンテンツによって加入シェアが減少する 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009):ネットワーク効果と価格弾力性
間接ネットワーク効果を含めないでブロードバンドアクセス式を推定した場合、価格の下落によって当該選択肢の効用が直接的に増加する効果と、価格下落によりブロードバンド加入者数が増加したことによって補完財市場が拡大し、その結果補完財の多様性が増加することで生じるアクセスサービスの効用増が混同されるため、価格弾力性の推定値にバイアスが生じる。 SSNIPテストによって市場の画定を行う場合、間接ネットワーク効果を含めない弾力性の推定値は市場の範囲を過大に画定する。 MCとPCMは単一財生産の独占を仮定した場合の例 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009): 上記表は各アクセスを独占的に供給する仮想的な事業者がコンテンツ事業者1社に取引制限をかけた場合のアクセス市場からの利潤増(費用は前述の独占を想定したMCの推定値を利用) 仮想的ADSL独占事業者が動画共有1社を囲い込む事によるアクセス回線からの利潤増は月額約5,727万円であり、オンラインゲーム1社を囲い込む事による利潤増は5,226万円 取引制限が利潤増となるかはコンテンツ事業からの収益にも依存するが、加入者数の最も大きいADSLはコンテンツの取引制限によって失う利益も少ないため、最も強い取引制限のインセンティブを持つと言える 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2009): コンテンツサービスは上位の少数の事業者が市場の殆どの利潤を得ると言われており、平均的な事業者の価格費用マージンは低いと考えられるため、中位程度のコンテンツ事業者であれば囲い込みが合理的になりうる ADSL事業者によるコンテンツの囲い込みは利用者のFTTHへの移行を阻害する。逆に言えば、「ネットワークの中立性」はFTTHの普及に寄与する可能性がある。 ←代表的な動画共有サービスの一つであるニコニコ動画の2007年代4四半期における売り上げは約1~1.50億円、収支は赤字 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):携帯電話プラットフォームの実証分析 手法の貢献 政策効果の分析とシミュレーション
携帯電話事業者による決済代行サービスを考慮した多面的市場のモデルを構築 ネットワーク効果の推定結果から、携帯電話事業者の決済代行手数料を推定 加入者とコンテンツ事業者の間の価格バランシングを明らかに 政策効果の分析とシミュレーション モバイルナンバーポータビリティ(MNP)が携帯電話プラットフォームに与えた影響を分析 プラットフォームのオープン化(決済手数料への政策介入)が加入者料金に与える影響を分析 2017/3/8 情報経済システム論
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携帯電話インターネット 利用プラットフォーム
政策シミュレーション Kuroda (2010):携帯電話プラットフォーム ユーザとコンテンツ事業者は携帯電話事業者の提供するインターネット利用プラットフォームを通じて取引を行う 携帯電話事業者はユーザからプラットフォーム加入料pa、決済代行手数料pc*tを受け取る プラットフォームに属するユーザとコンテンツ事業者の間には間接ネットワーク効果が働く コンテンツ事業者 ユーザ コンテンツ(N) 携帯電話インターネット 利用プラットフォーム 情報料(pc) 決済代行手数料(pc*t) プラットフォームへの加入料金(pa) コンテンツ作成支援? 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):プラットフォーム利潤最大化問題 携帯電話事業者のプラットフォーム利潤最大化問題
携帯電話事業者jは、ユーザからの利用料収入と決済代行手数料収入の合計を最大化する 利用料からの利潤 paj:ユーザのプラットフォームjの加入料金 faj:ユーザがプラットフォームjに所属するための限界費用 H:人口 sj :事業者jの加入率(価格ベクトル、コンテンツ事業者数ベクトルの関数) 決済代行サービスからの利潤 R:コンテンツ1種あたりの売り上げ tj :コンテンツの売り上げから徴収する決済代行手数料(率) fcj:1種のコンテンツがプラットフォームjに所属するための限界費用 Nj:コンテンツの種数(手数料、ユーザ数の関数) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):多面的市場の1階条件 2式を解いて、利潤最大化を行った際のマージンを得る
市場支配力によるマークアップ ネットワーク効果によるマークアップ ネットワーク効果による値引き 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):マージンの推定に必要な情報 加入者マージン 決済代行サービスマージン
プラットフォームへの加入率→TCAデータより観察可能 加入需要の価格弾力性(限界効果)→ユーザ行動を推定 加入需要のコンテンツ弾力性(限界効果)→ユーザ行動を推定 決済代行サービスマージン 1コンテンツあたりの売り上げ→総市場規模と企業数を観察可能 決済手数料→NTTドコモの9%のみが知られている コンテンツ数の手数料弾力性(限界効果)→企業行動を推定 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション プラットフォーム選択 Kuroda (2010):ユーザ行動 プラットフォームjに所属する効用を と置く
消費者は、最も効用の大きいプラットフォームに加入すると仮定 消費者がプラットフォームjに加入する確率は、 誤差項の分布を仮定する事で、プラットフォームjの選択確率を得る 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):コンテンツ消費
コンテンツの消費は、加入するプラットフォームによらず、一定額Exを支払うと仮定する 事業者毎の一人あたりコンテンツ売り上げについての情報が無いため ユーザはコンテンツ支出額が一定であっても、多様性から効用を得るとする 支出額一定の下、コンテンツiを だけ消費することから得られる部分効用 を最大化する問題を考える pci:コンテンツiの価格、ρ:コンテンツ間の代替性 (0<ρ<1) 2017/3/8 情報経済システム論
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分析モデル 部分効用最大化 1階条件より 予算制約条件から、 価格指数 と置く コンテンツ事業者の対称性( )を仮定すると、
価格指数 と置く コンテンツ事業者の対称性( )を仮定すると、 コンテンツによる部分効用は、 となり、 より、部分効用はコンテンツ数の非線形単調増加関数
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政策シミュレーション Kuroda (2010):コンテンツ事業者の行動 市場均衡条件
プラットフォームjに所属するコンテンツ事業者は、1種のコンテンツを作成し、価格の一定割合tjを決済代行手数料として支払う 利潤最大化の1階条件より、 利潤が0になるまで参入が生じるとすると、均衡状態における各企業の生産量は、 市場均衡条件 プラットフォームの所属人数njと一人あたり支出Exを所与とすると、市場均衡では総支出=総収入が成立するので、 よって、均衡における企業数 を得る 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション コンテンツ数 これら2式からなる構造モデルの推定を行う Kuroda (2010):ユーザのプラットフォーム選択
Berry(1994)に習い、誤差項に入れ子ロジットモデルの分布を仮定し、得られた選択確率を線形モデルに変形する s0はどの携帯電話プラットフォームにも所属しない確率 sj|gは選択肢グループgに所属したときに、選択肢jに所属する確率 に正規分布を仮定 コンテンツ数 コンテンツ市場の均衡より、未知数 とおき、nと独立な正規分布に従うショックを とおく これら2式からなる構造モデルの推定を行う 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):推定の流れ 1・関数型の選択
ユーザのプラットフォーム選択行動、コンテンツ企業の行動を表す2式の構造モデルを、3SLSを用いて推定する 推定の手続き 1・関数型の選択 プラットフォーム選択行動における価格・コンテンツの関数型を選択 価格:線形、対数 コンテンツ数:線形、対数、二乗、事業者間の同一制約の有無 2・入れ子構造の選択 ユーザのプラットフォーム選択行動を表す入れ子構造のうち、最も当てはまりの高いモデルを用いる 3・MNPの効果の検定 MNPの導入が、ユーザのプラットフォーム選択行動、コンテンツ数に与えた影響の有無を検定する 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):推定の流れ 入れ子構造の選択
選択肢は、未加入、NTT、KDDI、ソフトバンクそれぞれにおける、ネット接続有り(NTT, KDDI, SB)、無し(NTTN, KDDIN, SBN)の2通りの合計7選択肢 入れ子の構造 MNL:誤差項の相関無し 入れ子1:未加入、加入[NTT, NTTN, KDDI, KDDIN, SB, SBN) 入れ子2:未加入、ネット無し[NTT, KDDI , SB]、ネット有り[NTTN, KDDIN, SBN] 入れ子3:未加入、NTT[NTT, NTTN], KDDI[KDDI, KDDIN], SB[SB, SBN] 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):契約者数と公式サイト数 分析期間は2002年4月から2009年3月末
携帯電話加入者数は(社)電気通信事業者協会(TCA)が公表する毎月の契約者数を利用 公式サイト数は各社IR資料、並びに総務省による競争評価にて公表されたデータを利用 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):契約者数データ TCAは毎月の事業者毎の携帯電話からのインターネット接続契約数も公表
2008年9月時点で携帯電話契約者の86%がネット接続も利用 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):契約者数と公式サイト数
MNP導入後の解約率の下落は一時的であり、導入後も各社の解約率は低下傾向 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):データと出典の一覧 上記変数の2乗と交差項も操作変数として利用 2017/3/8
情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):記述統計 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):関数型の選択(料金線形) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):関数型の選択(料金対数) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):入れ子の選択 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):MNPの効果 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010): 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):政策シミュレーション キャリブレーション 1社あたりの販売額 手数料
携帯電話コンテンツ事業者の業界団体である、モバイルコンテンツフォーラム(MCF)による、毎年のコンテンツ市場の市場規模の調査結果を利用 分析期間中の1社あたり一月売り上げの平均は1,722,692円 (2002年:3,191,114円、2009年1,477,513円) 手数料 NTTドコモはiモード開始時における、決済代行手数料を9%と公表 その後の変更や相対による割引の有無については不明、他事業者の水準についても不明 NTTドコモの手数料を9%と仮定し、一人あたり支出、コンテンツの代替性、コンテンツ作成の固定費用が事業者間で等しいとし、コンテンツ数の加入者係数の比から、他事業者の決済手数料水準を推定 より、 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):手数料の推定結果
MNP前後でNTTドコモが9%を継続した場合と、手数料を変更した場合の2通りを計算 コンテンツ数の加入者弾力性から導かれた手数料水準では、 KDDIはMNP以前より負の決済代行手数料により、加入者からの黒字でコンテンツ事業者への決済代行サービスの赤字を賄っていたと考えられる MNPによるコンテンツ数の加入者数係数の変化が決済代行手数料の変化のみによるとすると、非常に大きな値引きが行われたと考えられる この変化を手数料のみによると考えるのはやや困難であり、コンテンツ作成費への補助や、一人あたり支出額等の影響を割り引く必要がある 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):マージン/限界費用の推定
1加入者・1コンテンツからのマージンを、推定されたモデルパラメータから算出する 手数料の値上げによるコンテンツ数の変化は、コンテンツ数の加入者係数を用いて、 となる NTTドコモの手数料は9%、KDDI,SBの手数料は、NTTドコモの手数料が9%でMNP前後で一定の場合の推定値を用いる 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):マージン/限界費用の推定 加入需要のマージン 決済手数料からのマージン
水平的外部性は消費者の加入需要において、ネット有りサービスとネット無しサービスを生産していることによるマージン(Appendix参照) 決済手数料からのマージン 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):価格バランシングの分析結果
加入者がコンテンツ事業者に与えるネットワーク効果による値引き分は、NTT216円、KDDI376円、SB534円 コンテンツ事業者が加入者に与えるネットワーク効果による値引きは大きく、加入者から得られる収入で、決済代行サービスの赤字分を埋め合わせている ただし、この推定結果では補助金額が非常に大きい(コンテンツ事業者1社あたりの販売額の数倍に及ぶ) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):MNP前後におけるマークアップの変化 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):MNP導入の効果の分析
MNPの導入は、NTT・KDDIの市場支配力によるマージンを低下させず 他方、決済手数料の引き下げを通じて、NTT・SBにおける決済代行サービス側のマージンが低下(補助金が増加)、KDDIの補助金は減少(ただし、依然としてNTT・KDDIのマージンは負) 決済手数料の引き下げの結果、消費者はコンテンツ数の増加による便益を得ている コンテンツの増加による便益に相当する加入料金の低下は、NTTでは¥847.42円、KDDIでは¥1,056.44。(SBは係数が有意ではないのため省略) 従って、MNPの導入は加入市場における価格競争に影響を与えなかったが、コンテンツ事業者へのwaterbed effectを経由したネットワーク効果によって、消費者に便益をもたらしたといえる 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):プラットフォームのオープン化
携帯電話プラットフォームのオープン化の効果を分析するため、携帯電話事業者による決済代行サービスがアンバンドリングされた場合の影響を分析 各事業者は決済手数料による収入を得られず、コンテンツ事業者は他の決済事業者を利用するため、コンテンツ数は不変と仮定 水平的外部性によるマークアップの低下が、手数料収入分を考慮しなくなったことによる値上げを上回るため、加入料金は下がる 水平的外部性によるマークアップの大幅な減少は、インターネット利用サービスから未利用サービスへの顧客の代替を防ぐため(?) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):結論
携帯電話事業者によるインターネット利用プラットフォームは、加入者とコンテンツ事業者の間にネットワーク効果が働く多面的市場となっている 携帯電話事業者によるネットワーク効果を考慮した値付けの結果、NTT、KDDIに関してはコンテンツ事業者の課金代行サービスの赤字を、加入者からの黒字で補っている プラットフォームのオープン化により、携帯電話事業者が決済手数料収入を考慮せずに加入者料金を決定する事で、加入者料金の値上げが行われると予想されるが、インターネット未利用サービスへの代替による収入減の存在により、オープン化によって料金の値下げが行われる(?) 2017/3/8 情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):Appendix 複数の加入需要が存在する場合 事業者の利潤 1階条件 2017/3/8
情報経済システム論
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政策シミュレーション Kuroda (2010):1階条件 2017/3/8 情報経済システム論
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