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平成16年10月27 企画・調整部平和構築支援室 戸田 隆夫
JICAの平和構築支援 平成16年10月27 企画・調整部平和構築支援室 戸田 隆夫 ・養成研修で「復興支援/平和構築」コースは初めて ・研修内容は、事前に配布している課題別指針「平和構築支援」をコンパクトにした内容となっている。 ・PNAの詳細については、国内研修後半に予定している「PNA概論」、演習にて、ほぼ一日の時間を割いて説明される。
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PNA (Peacebuilding Needs and Impact Assessment)概要 新たな課題と取り組み
JICAの平和構築支援の考え方 平和構築の考え方と枠組み 開発援助と平和構築(7つの重点分野) 紛争予防配慮 PNA (Peacebuilding Needs and Impact Assessment)概要 新たな課題と取り組み 本日の研修内容は、スライドにあるとおり、まず、JICAの平和構築支援の考え方を紹介します。この中では、平和構築の考え方と枠組みについて歴史的な変遷にも触れつつ説明し、開発援助と平和構築では、近年の紛争の特徴と紛争の要因を概説し、開発援助が平和構築支援の中でどのような役割を持つのか、を平和構築支援の重点7分野を紹介しながら説明します。紛争予防配慮ではその基本的考え方を紹介し、具体的なツールとしてPNA (Peacebuilding Needs and Impact Assessment)の考え方を概説します。 次に、JICAが平和構築支援を実施していく上でどのような課題があり、どのような取り組みがなされているか、について説明します。ここでは、事業レベル、体制について触れたいと思います。
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平和構築の考え方の変遷 「平和への課題(An Agenda for Peace)」92年 国連 →紛争前勃発前から紛争終了後を含めた包括的な紛争解決のための枠組みを提示 「カナダ平和構築イニシアティブ」96年 カナダ →「平和構築」のプロセスを紛争予防、紛争解決、紛争後の復興に分けて説明 DAC「紛争、平和と開発協力ガイドライン」97年 →予防外交、軍事行動、経済制裁などの方策に加えて、開発援助も紛争予防と平和構築において役割を果たすべきと説明 1992年、ブトロス・ブトロス・ガリ前国連事務総長は「平和への課題(An Agenda for Peace)」という報告書を公表しました。この中で、国連は、紛争勃発後、停戦合意が結ばれて初めて開始される平和維持(Peace-keeping)活動に限らず、紛争前の予防外交(Preventive diplomacy)から、平和創造(Peacemaking)、紛争後の平和構築(Post-conflict Peace-building)という、紛争勃発前から紛争終了後を含めた包括的な紛争解決のための枠組みを提示しました。この時点では「平和構築」という概念は紛争後(Post-conflict)という狭い範囲で定義されています。 1996年、カナダ政府は「カナダ平和構築イニシアティブ」を発表し、「平和への課題」で登場した「紛争後の平和構築」の概念を更に拡大しました。つまり、平和構築を「武力紛争の前後、最中を問わず、国家内の平和の可能性を高め、武力紛争の可能性を低くする努力」と定義し、併せて、平和構築のプロセスを紛争予防、紛争解決、紛争後の復興に分けて説明したのです。 開発援助の世界では、1997年、開発援助委員会(DAC)が「紛争、平和と開発協力ガイドライン」を発表し、暴力無しに紛争を回避できる能力を強化することは持続可能な開発の基礎であり、開発援助も(予防)外交、軍事(行動)、経済(制裁)等の方策に加えて紛争予防と平和構築において役割を果たすべきであるとしました。同ガイドラインにおいては、平和構築を紛争前、紛争中、紛争後における長期的な予防手段と迅速な対応の両方を含む概念として紹介しています。更に、紛争の各段階における開発援助の役割をまとめ、今後開発援助機関が具体的にどのようなアクションを取るべきか、についても明示しました。 以上のような変遷を経て、現在では、平和構築の概念は、紛争予防、平和創造(Peacemaking)、そして復興支援までを網羅する全体的なアプローチであり、和平達成において従来から重視されている多国籍軍や国連PKOによる軍事的枠組みや、予防外交、軍縮、調停などの政治的枠組みに開発援助を加えた3本の柱による包括的な取組であるとされています。
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日本政府の取り組み ODAの役割 外交的な取り組み PKOへの協力 1992年の「ODA大綱」 1999年の「政府開発援助に関する中期計画」
2000年の「紛争予防のためのG8宮崎イニシアティブ」、「紛争と開発に関する日本からの行動-アクション・フロム・ジャパン」、「ジャパン・プラットフォーム」 2003年の「新ODA大綱」 外交的な取り組み カンボジア、東ティモール、アフガニスタン、スリランカ等 PKOへの協力 8つのPKOと3つの人道的な国際救援活動、5つの選挙活動に協力 それでは、世界で平和構築支援への取り組みが議論され整理されていく中で、日本政府は平和構築支援分野でどのような方針を持って協力してきたのでしょうか。まず、1992年のODA大綱では、その基本理念において「平和国家としての我が国にとって、世界の平和を維持し、国際社会の繁栄を確保するため、その国力にふさわしい役割を果たすことは重要な使命である。」と発表しました。1999年に発表された「政府開発援助に関する中期計画」では、紛争は「人道上の問題を引き起こすと同時に、それまでの開発努力の成果や環境を破壊するとしている。紛争の予防、解決、紛争後の平和構築と復興は、開発の観点からも国際社会の大きな課題である」としています。 2000年には多くの動きがあり、「紛争予防のためのG8宮崎イニシアティブ」や「アクション・フロム・ジャパン」の発表「ジャパン・プラットフォーム」の立ち上げなどがありました。これらのなかでは開発援助における紛争予防の観点の強化やギャップのない支援の実施、また、オールジャパンとして政府、経済界、国際機関、開発援助機関、NGOが一体となって取り組むことなどが強調されています。2003年8月には新ODA大綱が発表され、ODAの目的として「平和の構築」を掲げています。 外交的な取り組みでは、カンボジア、東ティモール、アフガニスタン、スリランカなどの国の支援国会合を日本で開催するなど、積極的な役割を担いました。また、具祝問題にも積極的に取り組んでいます。 PKOへの協力についても我が国は大きな貢献をしており、特に国連東ティモール支援団にはこれまでで最大の要因を派遣しました。
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平和構築支援の枠組み 軍事的枠組 多国籍軍 国連PKO 政治的枠組 予防外交 平和構築支援 軍縮・武器規制 開発援助 和解 社会的弱者支援
和解 社会的弱者支援 ガバナンス 人道緊急支援 治安回復 社会基盤整備 経済復興支援 平和構築支援の枠組みを図解するとこうなります。 軍事的枠組みの中には例えば多国籍軍や国連PKO等があります。政治的枠組みには予防外交や武器などの輸出入規制、軍縮等が入ります。開発援助には和解、ガバナンス、治安回復、社会基盤整備、経済復興支援、社会的弱者支援、人道緊急支援があります。
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平和構築支援のプロセス 紛争 停戦 緊張 多国籍軍 軍事的枠組み 国連PKO 予防外交 政治的枠組み 調停・和平交渉 復興支援 開発援助
開発支援 復旧 開発支援 紛争予防配慮
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平和構築支援のサイクル 紛争勃発 予防外交 人道支援 和平交渉 平和維持 開発 復興支援 紛争予防
これは、緊張の高まる時点から紛争終結後まで、軍事、政治、開発援助がどのように関わるのかを時系列に現したものです。 これは、あくまでも一般的な事例に沿ったもので、もちろん場合によっては必ずしもこのような流れにならないときもありますので、その点は注意してください。まず、軍事的枠組みによる多国籍軍や国連PKOは紛争勃発直後や停戦前後での活動になります。政治的な枠組みによる予防外交や調停・和平交渉も、主に紛争勃発前と紛争中、紛争終了後に活発になります。開発援助の枠組みで実施される開発支援は紛争勃発前にも実施されますが、紛争終了直後は復旧を目的とした支援が実施され、中長期的な視野を持った復興支援、開発支援へと引き継がれていきます。紛争予防配慮は、開発支援においても復旧、復興支援においても大切な視点です。 復興支援 紛争予防
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開発援助と平和構築 近年の紛争の特徴 開発途上国における国内紛争の増加 市民の犠牲者の増加 紛争の要因の多様化・複雑化 構造要因 引き金要因
構造要因 引き金要因 継続要因 近年の紛争の特徴としては、途上国における国内紛争の増加、市民の犠牲者の増加、また紛争の要因が、冷戦終了後、より一層多様化・複雑化していることが挙げられます。紛争の数は1989年に始まった冷戦終了のプロセスの中で一度急激に増加しましたが、その後は減少傾向にあります。これらの紛争の内、国内紛争の占める割合は1960年から徐々に増加しており、1997年以降2001年まで74の紛争が継続もしくは発生し、その内、国内紛争は66あったという報告もあるのです。 このような紛争の多くが開発途上国の中でも最も貧しい国や地域で発生していて、例えば、人間開発指数(HDI)の下位半分の国の内45%が、また下位3分の1の国の51%が、1992年から2001年の間に紛争を経験していると言われています。 開発途上国において国内紛争が多発する傾向に併せて市民の死傷者の数も増加しました。市民の犠牲者の数は第一次世界大戦では全死傷者の約4%でしたが、第二次世界大戦では約20%に増加し、90年代の紛争では80〜90%と言われています。また、兵士と市民の明確な境界線がなくなり、市民が紛争の当事者になる数も増えています。 開発途上国において国内紛争が増えている原因については、政治的・経済的・歴史的な側面から数多くの分析がなされていますが、現象は複雑であり、1つの側面から一般的な要因を導き出すことは困難です。DACを中心とする政府開発援助機関は、紛争の要因について社会的な構造要因、対立を暴力的な紛争にエスカレートさせる具体的な行動やきっかけとなる引き金要因、紛争を継続させようとする継続要因に分けて分析しています。これらの要因の多くが開発途上国によくある状況です。
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紛争の要因の例 富の偏在/貧富の格差 参加機会の不平等 多民族社会等の社会構成 対立の歴史 急激な経済の悪化 武器の流入 近隣諸国の介入
メディアによる煽動 民族間の憎悪 戦争経済の発生 小型武器の拡散 紛争要因の例としては、例えば、富の偏在、参加機会の不平等、グループ間の対立関係の歴史、急激な経済の悪化、大量な武器流入、 近隣諸国・地域機関の介入、 偏ったメディアによる対立グループ間の煽動激化、民衆間の憎悪・復讐心の増幅、 紛争が起こることによって利益を得るグループ、例えば紛争経済による紛争長者(War Lord)の増加、小型武器の拡散等があります。元々脆弱な国家・地域で起こった紛争の多くはその終了後も人的資源の欠乏、経済的な疲弊を引き起こし、容易に長期的な開発に向けた復興ができず、紛争状態に逆戻りしやすいとも言われています。 ここにあげられた紛争要因の例については、過去の紛争分析をする際に限らず、現在認められる、不安定要因の抽出の際にも参考にしてください。
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平和構築支援の内容 和解(難民/国内避難民帰還促進) ガバナンス支援(民主化、法整備、行政支援) 治安回復(除隊兵士支援、警察支援)
社会基盤整備(住宅、保健医療施設、 電気・水等のライフライン等) 経済復興支援(経済インフラ整備等) 社会的弱者支援(障害者、女性等支援) 人道緊急支援(周辺国・地域支援等) 復興・開発支援とは、一般的に①停戦合意あるいは和平合意の締結、②国家もしくは暫定統治機構の国際社会による認知、③日本政府の支援方針の確定、の3段階を踏んだ時点で開始され、紛争終結後の住民の基礎的なニーズを満たすための人道的な支援から、紛争によるダメージの復旧・復興、中長期的な開発までの一連のプロセスへの支援です。 JICAでは、復興・開発支援で重点的に取り組むべき分野として7つの分野を挙げています。それは、難民・国内避難民の帰還促進や平和教育を行う和解、失われた政府機能の回復や政府体制への支援を行うガバナンス支援、除隊兵士支援や治安部門改革などを実施する治安回復、住民の基礎的ニーズを充足するための社会基盤整備、経済的ニーズを充足するための経済復興支援、社会から疎外されがちな人々への支援を行う社会的弱者支援、紛争周辺国や周辺地域で行う緊急人道支援です。 これらの支援を行う際には、紛争を再発させないための紛争予防配慮の視点が大変重要となります。 紛争予防配慮の視点
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平和構築支援事業の例(1) 和解 帰還民支援(アフガニスタン、2002-、技プロ・委託型タイプB)
ガバナンス支援 選挙支援(インドネシア、1999・2004、専門家派遣) 法制度整備支援(カンボジア、1997-、重要政策中枢支援) JICAが実施している平和構築支援の事例を紹介します。実際はここで紹介されている例に限らず、多くの案件がありますが、ここでは代表例を紹介します。 和解分野では、アフガニスタンにおいて「帰還民支援」を2002年から実施しています。スリランカにおいては「難民・国内避難民再定住支援」がこれから開始される予定です。 ガバナンス分野では、インドネシアにおける選挙支援として1999年と本年、専門家を派遣しております。カンボジアにおいては、重要政策中枢支援として、1997年から法制度整備支援を実施しており、日本国内には支援委員会を設置し、カンボジアには長期・短期専門家を100名以上派遣しています。
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平和構築支援事業の例(2) 治安回復 除隊兵士支援(カンボジア、1999-、専門家派遣、企画調査)
再定住地域農村開発計画(モザンビーク、 、開発調査) 社会基盤整備 対人地雷対策(カンボジア、1999-、専門家派遣、無償資金協力) 緊急復興支援調査(アフガニスタン、 、開発調査) 治安回復分野では、カンボジアにおける「除隊兵士支援」として、1999年より、専門家を派遣したり、企画調査を実施したりして、動員解除した兵士の社会復帰を支援しています。モザンビークにおいては、2000年から2002年まで、除隊兵士や南アフリカに出稼ぎから戻ってきた鉱山労働者のモザンビークにおける定住を促すため、開発調査「再定住地域農村開発計画」を実施しました。 社会基盤整備分野では、JICAは多くの支援を実施していますが、カンボジアにおいては、1999年より、対人地雷対策として無償資金協力や専門家派遣を通じて支援を行っています。また、2002年から1年間、アフガニスタン、カブール市で実施された緊急復興支援調査では、教育、保険、医療、放送等の分野において、復興計画を策定しました。
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平和構築支援事業の例(2) 経済復興支援 市場経済化セミナー(タジキスタン、2001、国別特設研修) 社会的弱者支援
CBR: Community Based Rehabilitation支援(ボスニア・ヘルツェゴビナ、2003-、CIDAとの連携・無償資金協力、専門家派遣) 経済復興支援分野では、タジキスタンにおいて国別特設研修の枠組みで「市場経済化セミナー」を2001年に実施し、10名の研修員を招聘した例等があります。 社会的弱者支援分野では、同じくボスニア・ヘルツェゴビナにおける地域密着型トリハビリテーションセンターに対する支援を行っています。これは、カナダのCIDAと連携した障害者支援です。日本側は、無償資金協力にて機材調達、施設建設を行い、医療統計等の専門家も派遣している。カナダ側は地域でのリハビリテーションサービス実施者の養成、CBRシステムの構築等を行っている。 人道緊急支援としては、UNHCRと連携して2000年から01年まで東チモールにおいてQuick Impact Project という形でディリ市の漏水防止対策や学校の飲料水供給、衛生施設改善を行ったことがあげられます。 人道緊急支援 Quick Impact Projects (東チモール、 、UNHCRとの連携)
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開発援助における紛争予防配慮 開発援助が紛争の原因あるいは促進要因とならないように配慮(負の影響)
紛争の原因/促進要因を積極的に取り除くために、より効果的な開発援助のあり方を追求(正の影響) 開発援助を実施する際に考慮されるべき紛争予防配慮としては、大きく2種類に分類されます。 まず1つ目に、開発援助が紛争の原因或いは促進要因にならないように配慮する、負の影響の排除があります。例えば、開発援助が特定の社会集団や地域に偏って実施されたり、特定のグループを排除するような形で実施された場合、援助が対象国の対立関係を悪化させ、対立グループ間の不公平感を増長し、紛争を起こす契機に繋がったり、既に存在している小規模な紛争を助長する可能性があるので、このような負の影響を及ぼさないように配慮しなくてはなりません。 一方、貧富の格差や参加の不平等などの紛争の背景にある要因を緩和することによって、開発援助が紛争再発の予防と紛争終結後の平和の定着に一定の役割を果たすことも可能です。これは、開発援助によって紛争の原因や促進要因を積極的に取り除くという点で、開発援助の紛争予防に対する正の影響と説明することができます。 では、それぞれ具体的にどのような取り組みがあるのか見てみたいと思います。
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紛争予防配慮の事例 (民族対立の場合) 負の影響の回避 特定の民族に偏った援助 正の影響の促進 民族和解を促進する援助
インフラ建設支援時の地域・民族分布 除隊兵士社会復帰時の住民との軋轢 正の影響の促進 民族和解を促進する援助 異なる民族間での共同作業の促進・機会の提供、平和教育の推進 開発援助による負の影響を回避するためには、特定の民族に偏った援助をしないようにすることが重要です。例えばインフラ整備等の支援を行う際には支援対象地域の民族分布を考慮する必要があります。民族対立を経験している国、あるいは、除隊兵士の社会復帰支援を行う際には、これらの人々を受け入れる地域に元々住んでいた住民にも配慮したプログラムを策定しないと除隊された元兵士と地域住民の間に軋轢が生じる可能性があります。 正の影響の促進とは、例えば、異なる民族間が共同作業できるような機会を提供することがあげられます。復興支援の中で「和解」の視点を意識することは、紛争予防に正の影響を生み出すことを促進します。
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=Peacebuilding Needs and Impact Assessment
PNAとは(1) =Peacebuilding Needs and Impact Assessment (平和構築ニーズアセスメント手法) 紛争の要因や再発要因、復興時特有のニーズに包括的に対応し、 事業の計画・実施・モニタリング・評価において、「紛争(の再発)を予防し、平和を促進する視点=紛争予防配慮」を反映する手法 紛争予防配慮の視点を開発援助の中に組み込んでいくために、その手法としてPNAがあります。PNA(Peacebuilding Needs and Impact Assessment)とは、紛争の要因や再発要因、復興時特有のニーズに包括的に対応し、事業の計画・実施・モニタリング・評価において、「紛争(の再発)を予防し、平和を促進する視点=紛争予防配慮」を反映する手法です。 PNA分析によって、①プログラム・プロジェクトが平和構築に与えうるマイナスの影響、②積極的に平和の構築を促進するために必要とされる事項を提示する事ができます。 では、具体的なPNAの流れを簡単に説明します。
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PNAとは(2) プロジェクトレベル ⑥ステークホルダー分析 ⑥対象地域での現状把握 国レベル ⑤平和構築支援プログラム ①背景・現状分析
②紛争分析 ③支援策一覧抽出 ④スクリーニング 紛争予防配慮 支援メニュー 紛争予防配慮 ●次に、PNAの主なフローについて簡単に説明します。もっと見やすい図は、PNAマニュアルの8ページの図3に書いていますので、そちらをご参照ください。 ●PNAは大きく分けて、国レベル(国別事業実施計画の開発課題マトリックス)と、対象地域レベル(個別のプロジェクト)のアセスメントに分けられます。 ●国レベルは、主に5つのステップからなります。 ステップ①の「背景・現状分析」では、紛争勃発の背景→紛争勃発→紛争終結→現状→今後の見通しまで、一連の流れを整理します。 →具体的には: ・紛争が勃発した背景 ・停戦・和平合意までの経緯 ・和平合意以降の動向 ・現状 ・紛争地域/民族・宗教の構成 ・国内避難民・難民等のマッピング ・ステークホルダーの分析 ・平和構築支援体制 ・今後の見通し当 ステップ②の「紛争分析」では、 →紛争要因のうち解決されていない要因 OR 紛争の結果生みされ、対処しなければ紛争の要 因となりかねない要因と、その他紛争経験国・地域特有のニーズを分析します。 ステップ③の「支援策一覧抽出」では、先ほど説明があった7つの分野の支援メニューを参考に、支援策一覧を抽出します。 ステップ④の「スクリーニング」では、平和構築の視点以外の側面からスクリーニングを行い、支援策一覧の中からJICAとして優先度の高いプログラムを抽出します。他の側面とは、 ・先方政府の方針 ・他ドナーの動向 ・我が国の外交政策 (・治安) (・予算) の観点から、支援策を必要性等をスクリーニングします。 ステップ⑤の「平和構築支援プログラム策定」では、優先度の確認された支援策を、複数の平和構築支援プログラム案として、まとめます。 この時には、紛争予防配慮:紛争要因(未解決・再発要因)を助長しないよう&なるべく積極的に解消するような視点を盛り込む必要があります。 そして、これを国別事業実施計画に反映します。 ・重点分野及び重点課題 ・プログラム ・重点分野への統合 ・横断的留意点に紛争予防配慮の視点を導入 ●プロジェクトレベルは、主に3つのステップからなります。 ステップ⑥の「対象地域での現状把握」では、対象地域において、国レベルで紛争の要因やニーズが、プロジェクト対象地域においてどのように現れているか、について分析します。 その上で、プロジェクトが状況を悪化させる可能性があるかないかにつき、検証した上で、もし悪化させる可能性があれば、対応策を検討します。(=紛争予防配慮アセスメント) さらに、ステップ⑦の「ステークホルダー分析」では、主要なステークホルダーを抽出し、また和平を促進しうるアクター(例えば女性グループ等)を確認します。 その上で、ステークホルダーの選定が妥当であったか、PNA協議のプロセスが透明性が確保されていなか、検証します。 その上で、最後のステップとして、プロジェクト概要を作成します。 (デスクベースと現地調査) このようにして、PNAによって、紛争の負の影響を回避し、正の影響を促進しうる国別事業実施計画やプログラム、プロジェクトを形成します。 ●具体的な成果品は、国レベルのPNAについては、P16の表1、プロジェクトレベルのPNAについては表3になります。 支援 メニュー 実施計画策定 国別事業実施計画 要望調査 案件採択 案件実施
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JICAの新たな平和構築支援(1) 独法化における位置づけ 復興への支援は新生JICAの目的
独立行政法人国際協力機構法第三条の目的に、「復興」という文言が追記 (旧事業団)「、、、これらの地域の経済及び社会の発展に寄与し」 (新機構法)「、、、これらの地域の経済及び社会の発展又は復興に寄与し」 JICAは、昨年10月の独立行政法人化に際して、独立行政法人国際協力機構法の目的に「復興」が入り、復興への支援は新生JICAの目的となりました。 復興への支援は新生JICAの目的
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JICAの新たな平和構築支援(2) 課題 <事業> なるべく早い段階からの支援の開始 開発に係る協力経験の活用 支援メニューの強化・拡充
<体制> 専門的人材の育成/確保(JICA内外) 安全管理(安全確認、対策、補償) 平和構築に関連する新たな課題は、事業レベルと組織体制レベルに分けられます。事業レベルではなるべく早い段階から支援を開始すること、開発援助機関として蓄積されてきた知見をどのように平和構築支援の中で活用していくのか、また、支援メニューをどのように強化・拡充するのか、と言う点が出されました。 組織体制については、専門的人材の不足が挙げられます。日本国内外で人道緊急支援に携わった経験のある人材はもちろん沢山いますが、開発援助の視点から広く平和構築支援の在り方やプログラム策定・管理を経験したことのある人は少ないのが現状です。また、平和構築支援を行う上で危険地域に勇んで出かけることはしませんが、JICA独自の基準を作成し、関係者を訓練し、補償制度を整備することが必要であるという結論に達しました。
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JICAの新たな平和構築支援(3) 取り組み <事業> 平和構築支援の課題別指針の作成 PNAの活用と改善
国別事業実施計画/協力プログラムへの反映 以上の課題を受けて、新たな取り組みとしては以下があげられます。 まず、事業レベルですが、平和構築支援の指針の作成、これは現在タスクチームを立ち上げ作成中で、独法化に併せて完成させるスケジュールです。また、先程説明したPNAの改善と活用も行っていかなくてはなりません。これまでもいくつかの国においてPNAは適用されてきましたが、今後も引き続き、平和構築支援対象国では、PNA分析結果を国別事業実施計画や協力プログラムに反映し、特に紛争予防に力を入れる必要があります。
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JICAの新たな平和構築支援(4) 取り組み <体制> 平和構築支援専門部署の設置
人材育成プランの実施 (職員研修、専門区分、専門家養成研修、データベース整備) 安全管理体制強化 (対策マニュアル、職員研修、補償制度) 組織体制でのとりくみは、まずは平和構築支援専門部署の設置があります。この部署を中核として平和構築支援課題チームを作り、紛争分析やプロジェクト形成へのアドバイス等を行うことが期待されています。 また、人材育成については既に人材育成基本プランが策定済で、今後は本日のような職員研修に加えて、職員専門区分・平和構築の設置、専門家養成研修の実施があげられます。JICAの人材登録制度「PARTNER」においては、2003年10月より、平和構築を新たな登録項目として新設しました。 補償制度については、JICAでは国家公務員の賞じゅつ金を参考として功労金制度を設け、平成15年4月1日から施行している。この制度では、定められた対象国に派遣されるものを対象に 保険金を付保している。 安全管理については、平成14年8月20日に新安全管理基準を設け、JICAが主体的に人員の派遣を決定できるようになっています。今後は安全対策マニュアルの作成と職員研修(安全対策)の実施にとりくんでいきます。 以上です。
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