Presentation is loading. Please wait.

Presentation is loading. Please wait.

口蹄疫問題と危機管理体制 鹿児島経済同友会 10月例会 国際的対応が求められる最も重大な家畜伝染病

Similar presentations


Presentation on theme: "口蹄疫問題と危機管理体制 鹿児島経済同友会 10月例会 国際的対応が求められる最も重大な家畜伝染病"— Presentation transcript:

1 口蹄疫問題と危機管理体制 鹿児島経済同友会 10月例会 国際的対応が求められる最も重大な家畜伝染病
鹿児島経済同友会 10月例会 口蹄疫問題と危機管理体制 国際的対応が求められる最も重大な家畜伝染病 鹿児島大学農学部獣医学科病態・予防獣医学講座 獣医公衆衛生学分野教授 岡本嘉六 治る病気なのに殺処分とは?  ⇒ 死亡率が高い 種牛の事例から伝播力は弱い?  ⇒ 牛は100%感染 なぜ殺すのか?  ⇒ 蔓延防止による最小限の犠牲 ワクチンで予防すれば?  ⇒ 感染を完全に防げない 貴重な種牛は治療すれば?  ⇒ キャリアーとなる恐れ 抗病性品種の育成?  ⇒ 可能ならやってください

2 口蹄疫ウイルスの生態 牛疫と並んで「疫」が付けられている口蹄疫は、家畜伝染病の中で最も恐れられてきたが、牛疫が全世界から一掃されようとしているにもかかわらず、口蹄疫は今も世界各地で猛威を振るっている。 口蹄疫ウイルスの多様性と感受性動物種の多さが、口蹄疫制御の大きな障害になっている。自然宿主は判っていない。 牛疫(Rinderpest): ペストと言えば中世の暗黒時代の疫病であり、家畜生産においてそれに匹敵する被害を及ぼしてきた。「疫」が付けられている監視伝染病には、口蹄疫、牛肺疫、小反芻獣疫を含めて4種がある。 ウイルスは生きた細胞の中でしか増殖できない。狂犬病を例にとれば、キツネ集団などで感染が繰り返されることによりウイルスが維持されており、それと遭遇した猟犬が都市部にウイルスを持込み、人間を含む様々な動物への感染源となる。 自然宿主 キツネ アライグマ スカンク コウモリ 人間社会の イヌ ネコ 種々の野生動物 人間 牛、馬、豚

3 口蹄疫は 何時ごろから存在したのか? 1898 口蹄疫ウイルスの発見(Loeffler and Frosch)
口蹄疫は 何時ごろから存在したのか? BC 350 アリストテレスが口蹄疫、牛疫と推測される記述 1546 イタリアにおける牛での流行(科学的記述の最初) 1776 計画感染による口蹄疫予防の試行   1744 牛疫の計画感染、 1796  Jenner 人痘法から牛痘法へ 1898 口蹄疫ウイルスの発見(Loeffler and Frosch) 46    35   27    10  5.1  4.4  3.7   2.1億年  500万年 ・・・ 8000年前      地球誕生 原始生物・ウイルス ラン藻類・光合成 緑藻類・真核生物 脊椎動物 陸上植物 陸上動物 哺乳類 人類の誕生 豚の家畜化 牛の家畜化 野生動物の間で生まれた口蹄疫ウイルスが家畜化された動物にも持ち込まれた・・・

4 World Reference Laboratory
野生動物 人間社会 自然宿主は? 感受性動物種が多い 環境中で長期生残 様々な経路で感染 牛科 アフリカ水牛 80%、5年以上 カモシカ 牛: 3年半 指標動物 羊: 9ヶ月 山羊: 4ヶ月 維持動物 イノシシ科 シカ科 カピバラ科 ラクダ科 ラクダ、ラマ、ビクーニャ ゾウ科 アルマジロ科 ハリネズミ科 20科70種が感受性 増幅動物 予防・制御の困難性 (人間) 環境 (培地中で) 家畜においてキャリアーとなる個体割合は不明 有機物存在下での生存期間は極度に長くなる 凍結: 半永久的 4℃: 1年以上 22℃: 8~10週間 37℃: 10日間 World Reference Laboratory 現在知られている口蹄疫ウイルスの循環

5 口蹄疫の血清型 O型: 1922年にフランスのOise地域で分離。ヨーロッパを中心に世界各国で発生、49%を占める。
A型: ドイツAllemagne地域で分離。全体の25%を占める。アジア、アフリカ、南米の一部で流行。 C型: 1926年にドイツ・レフラー研究所で発見(Germany/c.26)。 南アジア、東アフリカで流行。 SAT1型: 1948ボツワナ共和国で分離?( SAT1 Bechuanaland BEC/1/48)。アフリカ、アラビア半島で流行。 SAT2型: 1957年ケニアで分離? (SAT2 Kenya KEN/3/57)。アフリカ、アラビア半島で流行。 SAT3型: 1957年南アフリカで分離? (SAT3 South Africa SA/57/59)。 Asia 1型: 1954年パキスタンで分離(Asia1 PAK/1/54)。 アジア、南東ヨーロッパで流行。 SAT: Southern African Territories これらの7種の血清型のそれぞれに、サブタイプ(亜型)が存在しており、免疫学的に交差しないことから、予防接種による制御を難しくしている。多種のワクチンを備蓄できるか? 年2回の接種経費を負担できるか? 不顕性感染・キャリアー対策をどうするか?

6 FMD Reference Laboratories Information System - ReLaIS
動物園で発生 清浄 ワクチン接種の清浄多発地帯 風土病化 流行、散発発生 口蹄疫ウイルスが野生動物や家畜の中に根付いて、常時ウイルス循環がある地域が、1~7 のpool(ウイルス供給地帯)として図示されている。中間色があって見にくいが、これらのウイルス供給地帯における新たなサブタイプの誕生を止めることが可能か? FMD Reference Laboratories Information System - ReLaIS

7 2001年に流行したO型ウイルスのサブタイプ(亜型)
WRLFMD FMDV O Topotypes 2001年に流行したO型ウイルスのサブタイプ(亜型) 東アフリカ 中近東・南アジア 東南アジア 西アフリカ 欧州・南米 中国 インドネシア IAH Samuel, A.R. & Knowles, N.J Foot-and-mouth disease type O viruses exhibit genetically and geographically distinct evolutionary lineages (topotypes). J. Gen. Virol. 82:

8 中国ではAsia-1型が2005~6年に流行し、近隣諸国への拡大が懸念された
2003~6年 サブタイプの 遺伝的近縁性 Group 2 Group 3 Group 4 Group 6 Group 1 Group 5 Group 2 Group 6 不明 Group 1+2 Group 2+6 Group 3 1954年にパキスタンで初めて分離されたAsia 1型は6種類のサブタイプに分けられるが、それらの中でも遺伝子が微妙に違う多くのウイルス株が存在する。すなわち、変異を繰り返しており、ワクチンの有効性に関わる。 Group 4 Group 1 Group 5 EMPRESTADs

9 バッファローの不顕性感染 南アフリカにおける口蹄疫の三角関係 アンテロープの口蹄疫 牛の口蹄疫
アンテロープ(レイヨウ;Antelope) は、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りで、インパラを含む約90種がいる。 アンテロープの口蹄疫 牛の口蹄疫

10 牛の推定飼育密度 牛肉よりもアヒル肉が最高級の中国では飼育密度は高くないが、シヴァ神の乗り物とされているインドの飼育密度は際立って高い。
EMPRESS 牛肉よりもアヒル肉が最高級の中国では飼育密度は高くないが、シヴァ神の乗り物とされているインドの飼育密度は際立って高い。 インドの牛は農耕に運搬にと大活躍し、大事なお客様を泊める寝室の壁などは道で拾い集めた牛糞が塗られているとか?

11 EMPRESS: Focus on Asia-1
水牛 主に役畜として飼育されている。アフリカバファローと同じ自然宿主かどうか? EMPRESS: Focus on Asia-1 中華料理は豚肉が基本である。全土で飼育密度が高い。増幅動物だが、自然宿主にならない。

12 アジアにおける口蹄疫ウイルスの自然宿主は?
保護 牛 インドの 循環 水牛 瘤牛(ゼブー) 野生動物? この他にも ヤク カシミア(山羊)

13 O型 A型 C型 Asia 1型 SAT1型 SAT2型 SAT3型
口蹄疫ウイルスの生態 ウイルスの誕生は数十億年前? 約8000年前の家畜化の際に野生動物から侵入? 現在のウイルス供給地帯は世界に6か所。 7種の血清型のそれぞれに多数のサブタイプがある。 偶蹄類を中心に20科70種の動物が感受性。 現在の自然宿主は? O型  A型  C型  Asia 1型  SAT1型 SAT2型 SAT3型 牛: 指標動物 羊/山羊: 維持動物 豚: 増幅動物 アフリカ・バファロー アンテロープ 家畜 野生動物?

14 常時ウイルス循環がある7ヵ所のウイルス供給地帯
致死的伝染病の世界流行 常時ウイルス循環がある7ヵ所のウイルス供給地帯 物資・人の移動 新たな国・地域へ侵入 過去における口蹄疫の初発原因 (1870~1993年) 2001年 アメリカ同時多発テロ事件 汚染肉・畜産物・厨芥 風による伝播・渡り鳥 家畜の輸入・移動 汚染資材、器具、人 ワクチン(不活化不充分) 野生動物 66 22 6 4 3 1 「農業テロ」の脅威 初発原因を把握できないことが予測される 米国はテロ対策のための行政改革を行い、国土安全保障省(DHS)を設置した。農業分野では、口蹄疫ウイルスが撒かれた場合を想定し、迅速診断できるよう全土に口蹄疫診断施設を増設した。

15 2007年にも発生したが、その日の内に殺処分を完了し拡大を止めた
英国における発生件数の推移 2007年にも発生したが、その日の内に殺処分を完了し拡大を止めた 口蹄疫は封じ込め可能である 口蹄疫の正しい知識 11 東京大学名誉教授山内一也 かつては症状を示した家畜の殺処分だけで頭数はあまり多くなく問題にならなかったが、1967年に2364農場で発生し43万頭が殺処分されたことでワクチン接種すべきという議論が起きた。しかし、口蹄疫発生が少なくなり、時折発生した場合、不活化されずに残ったウイルスがワクチンに含まれていたこともあって、EUは1992年にワクチン接種を禁止し、英国式殺処分の採用を決定した。

16 1967-68年の流行と2001年の流行の比較 1967-68年の流行 2001年の流行 10/25-6/4 222日 2/20-9/30
郡当たりの件数 郡当たりの件数 10/25-6/4 222日 2/20-9/30 221日 流行期間 感染施設数 2,364 129万 疾病制御目的での殺処分数 44万頭 (牛49% 、豚26%、羊25% ) 650万頭以上 (羊85%、牛12%、豚3%) 通知まで 4日以内 3週間 輸入汚染肉流通による24件の同時発生 不顕性羊の家畜市場を通した流通 発生要因 主として空気伝播であり、相対湿度、風速および風向きが拡散を助けた。 2月中旬から再導入した 18農場で再発生。 初期は羊との接触。 後半は感染動物と接触した人、機械および車両を介した地域的広がり。 拡大要因

17 疾病制御および福祉目的のために殺処分された頭数
(廃用) 危険な接触があった 隣接施設 危険な接触があった 非隣接施設 疑似による殺処分施設 感染施設 968,000 18.4 301,000 39.7 22,000 4.9 1,291,000 20.0 991,000 18.9 196,000 25.9 50,000 11.1 1,237,000 19.2 1,360,000 25.9 82,000 10.8 68,000 15.1 1,510,000 23.4 109,000 2.1 13,000 1.7 3,000 0.7 125,000 1.9 1,821,000 34.7 166,000 21.9 306,000 68.2 2,293,000 35.5 5,249,000 100.0 758,000 449,000 6,456,000 感染施設: 獣医師による臨床検査または検査所試験陽性結果によって口蹄疫が確認された施設。後に検査所試験陰性となった場合でも、陰性結果が必ずしも感染していないことを意味しないので、そのまま感染施設とみなされる。 動物福祉目的(廃用): 口蹄疫に関連した移動制限の結果として所有する家畜の福祉問題に直面した農家のための廃用計画 「動物福祉(廃用)計画(Livestock Welfare (Disposal) Scheme)」、「子羊の権利計画(Light Lambs Scheme)」

18 2月20日の発生から42日後のピーク時には、60万頭が殺処分待ち、20万頭余が廃棄待ちとなり、悪臭等の苦情とともに動物福祉面からの抗議が起きた。
頭数 殺処分済み 殺処分待ち 廃棄済み 廃棄待ち 英国における処分問題

19 備蓄ワクチン接種 300万ドーズ

20 輸入ワクチン 1,000万ドーズ

21

22 死亡した子羊の心臓。心外膜を通して青白く見える心筋の壊死。
Chen, Shih-Ping : Epidemiology, pathogenesis and surveillance of the pig adapted strain of foot and mouth disease in Taiwan. P29 Fig1.1 P31 Fig1.2: (d) 陳旧な病巣。細菌の二次感染が起きた潰瘍部。(e) 感染母豚の流産 P32 Fig1.3 哺乳豚の(a)心筋壊死、(b)肺水腫 CFSPH 死亡した子羊の心臓。心外膜を通して青白く見える心筋の壊死。 ウイルス増殖による 蹄が離脱し歩行不能に陥った育成豚 口蹄疫は死に至る病気!

23 口蹄疫の発生数と処分状況 国数 症例数 死亡数 と殺数 殺処分数 動物数 2005 2006 2007 2008 2009 2010 9
14 16 15 12 2.361 13,050 6,838 3,257 4,662 8,382 1 1,118 386 71 770 25 7,827 6,550 427 46 47 29,701 6,040 9,134 3,538 7,014 242,886 49,897 98,924 551,366 304,039 80,194 273,274 日本 中国 韓国 台湾 香港 モンゴル ロシア カザフスタン 南アフリカ ジンバブエ ナミビア 614 3,990 139 126 1,240 915 180 140 507 189 144 25 211,608 21,486 6,382 169 1,306 1,935 21,511 2,730 2,132 13,374 3,708 3,568 3,986 1,812 発生国は減っていない 症例数は減っていない 死亡数はわずか 食用と殺数はわずか 疾病制御以外の処分 ワクチン接種国(継続飼育) 発生地域の感受性動物数

24 2007年における動物別の発生状況 牛 豚 山羊 羊 山羊 / 羊 野生動物 水牛 546,793 3,684 9,005 31,568
動物種 動物数 症例数 死亡数 殺処分数 と殺数 山羊 山羊 / 羊 野生動物 水牛 546,793 3,684 9,005 31,568 3,885 1,300 26 9,045 36 586 512 599 69 59 8 303 134 73 29 5,015 3,472 55 273 324 1 321 79 26 動物数: 発症した家畜と同一施設で飼育されていた感受性動物数。 と殺数: 未発症の個体を食用にした数。 殺処分数されるのは一部であり、大半はワクチン接種を受けて飼育が継続されていることが判る。牛、山羊、羊でとくに顕著である。

25 口蹄疫は最も伝播力が強い動物疾病の一つである
● ウイルスの増殖サイクルが短い ● 潜伏期間が短い ● 感染動物から高濃度に排出 ● 種々の動物種に感受性が高い ● 低温下では環境中で長期間生残 畜産被害が大きい ● 若齢動物の致命率は高い → 哺乳豚ではほぼ100% ● 生産の継続性がなくなる → 子牛は半数が死亡することもある ● 乳牛では来年の出産まで泌乳が止まる ● 肉牛では増体量と肉質が悪く採算がとれない ワクチンが奏功しにくい ● 7種の血清型(A、O、C、SAT1、SAT2、SAT3、Asia1)のそれぞれに抗原性が異なるサブタイプがある。それらに対するワクチンは交差反応に乏しく、ウイルスの多様性が制御を困難にしている。 山内一也名誉教授 口蹄疫の正しい知識 3 1967年の英国流行では、一個体から20~60(平均38.4)個体が感染。 インフルエンザでは2~3、SARSでは2~5、麻疹では12~18。 畜産物の国際貿易における最大の障害

26 国内侵入時の危機管理 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance 遡及調査 追跡調査
封じ込め失敗 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance A 1 B 2 殺処分 C 3 殺処分 殺処分 4 D E 5 遡及調査 追跡調査 肉眼病変の経過日数から推定される感染日前後に関係があった施設の獣医師による立入調査 肉眼病変の経過日数から推定されるウイルス排出期間に関係があった施設の獣医師による立入調査

27 宮崎県は初動調査状況を公表すべきである!
第一発見農場が国内初発農場とは限らない ● 4月9日に第1報があった都農町の繁殖牛農家 ● 4月23日 都農町の水牛農家(第6件目、3/31陽性) ● 4月28日 えびの市の肉用牛農場( 9件目) A牧場系列 当時の調査結果が公表されていない(または、調査が行われていない)ため、国内初発農場は特定されていない。 口蹄疫疫学調査チーム第4回検討会の概要 これまでの現地調査、抗体検査等の結果から、ウイルスの侵入が最も早かった農場は3月31日の検査材料でPCR検査で陽性であった6例目の農場であり、ウイルスの侵入時期は3月中旬頃と推察。 1例目の発生が確認された4月20日時点では、少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察される。・・・・・ えびの市での発生事例については、川南町の関連農場から出発した家畜運搬車両等が関連していた可能性があり、・・・ 宮崎県は初動調査状況を公表すべきである!  法律で定められた調査が行われたのか?

28 口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針 1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置
1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 4月9日の時点で口蹄疫を疑うのは無理だったが、4月16日に検体を動物衛生研究所に送付した時点ではこの項目が適用される。 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置 ア 家畜防疫員は、通報があったときは、・・・緊急的な措置について次に掲げる指導等を行う。 (ア)異常畜の所有者に対する指導事項  e 急病等の緊急かつやむを得ない場合以外は外出をせず、農場及びその関連施設の外に物を搬出しないこと。また、外出する場合は消毒等を行うこと。 農家の行き来があったとされている。 オ 家畜防疫員は、一般臨床所見を中心に検査を実施するとともに、疫学的調査も併せて行う。 キ 本病が否定できない場合には、家畜防疫員は次に掲げる対応を行う。 その後の推移からして、検討しなかったと判断されても仕方ない。 (エ)病性決定までの間、殺処分の場所、焼却又は埋却の別等その後の防疫の段取りを検討する。

29 2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 3 発生地における防疫措置 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査
4月20日の口蹄疫確定した時点から緊急事態が始まるが、知事が非常事態宣言を出したのは1ヶ月遅れであり、その間は平時の対応が採られた。 2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 ア 家畜保健衛生所等に口蹄疫現地防疫対策本部、都道府県に口蹄疫都道府県防疫対策本部及び農林水産省に口蹄疫中央防疫対策本部をそれぞれ設置する。 対策本部会議初日 農水省:4月20日 宮崎県:4月21日 国:5月17日 その連携は? 3 発生地における防疫措置 (1)一般緊急措置 イ 家畜防疫員は、家畜の所有者に対し、・・・所有者の義務、都道府県等の協力方針、行政不服審査法に基づく不服申立てに制限がある旨等について説明する。 (2)と殺の指示及び評価 ウ 殺処分に先立って、評価人の評価を基に、家畜防疫員はへい殺畜等手当金交付規程による・・・評価書を作成し、殺処分を進める。 殺処分は罰則を含む強制力のある規定であるが、評価額を巡る補償問題で暗礁に乗り上げた。補償交渉は流行が終わってからでも可能では? 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査 ア 家畜防疫員が現地調査を行った結果、本病が否定できない場合には、家畜防疫員は過去21日間の家畜の移動及び過去7日間の人の出入りその他の接触を調べ、・・・都道府県畜産主務課に通報する。

30 5 移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限
 都道府県は、・・・移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限を、移動制限区域と搬出制限区域に区分して行うほか、発生地については、・・・通行の制限又は遮断を行う。 (1)通行の制限又は遮断 ア 範囲  発生地及びその周辺に限定する。 イ 規制の期間  72時間以内(応急的な防疫措置、すなわち、予備的消毒、家畜の殺処分、その他病原体の拡散防止のための当面の措置が完了するまでの期間とする)に限定する。 移動および搬出の制限区域は、畜産業を対象としたものであり、一般車両の通行規制は限定されている。都城市における発生時の通行制限は地域の協力によって実施された。 2000年の発生時には、半径20kmの移動制限、50kmの搬出制限が行われたが、今回は最小限に留められた。 (2)移動制限区域 ア 区域の範囲 (ア) 原則として、発生地を中心とした半径10㎞以内の区域を定める。ただし、発生状況、疫学的背景等を考慮して、動物衛生課と協議の上、半径5~30㎞の範囲まで拡大し、又は縮小することができる。 イ 制限期間 発生の確認後速やかに規制し、その制限期間は、原則として、最終発生例の 殺処分完了後21日間とする。この期間は、発生の推移に応じて増減する。 ウ 制限内容 (ウ) と畜場及び家畜市場は閉鎖する。 ウイルスが家畜、飼料、作業者、車両に付着して拡散する可能性が最も大きい。

31 6 立入検査、血清疫学調査等 8 感染源及び感染経路の究明 第3 防疫対応の強化
関係都道府県は、・・・・移動制限区域及び搬出制限区域から発生前21日以内に偶蹄類の家畜を導入した場所のほか、必要に応じ動物衛生課が指示した場所について、速やかに立入検査を行い、又は診療獣医師の協力を得て、臨床上の異常の有無の確認、家畜の移動の有無等の疫学的調査を行う。また、・・・・必要に応じ動物衛生課が指示する方法により血清疫学調査を実施する。 8 感染源及び感染経路の究明 調査方法等は、通知に詳述されている。 本病の感染源及び感染経路を究明し、発生予防に資するため、都道府県畜産主務課は、動物衛生課と連携し、動物衛生研究所等の協力を得て、4及び6の調査及び検査結果を基礎とし、家畜、人及び車両の移動、飼料の利用、物品の移動、渡り鳥等の野生動物との接触の可能性、気象条件等を網羅的に調査する。 口蹄疫が確定しても、隣県はおろか、県内の農家も報道によって知った(早朝作業時の町内放送・・・)。 第3 防疫対応の強化 本病は、発生予防からまん延防止に至るまで、様々な関係機関が連携して対応することが必要となる。このため、日頃より本病発生時の通報・連絡体制を確認するなど、農林水産省、都道府県及び市町村の各段階で、危機管理体制の構築に努める。また、都道府県は、万一の発生の際に、円滑な防疫措置を講じることができるよう、隣接都道府県及び都道府県内関係者の参加を幅広く求め、防疫措置についての打合わせ及び発生時を想定した防疫演習を実施し、まん延防止体制の調整、周知、点検及び改善に努める。 隣県への連絡はなかった

32 指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施の留意事項
平成16年12月 農水省消費・安全局長通知(平成17年最終改正) 6 防疫対策本部 次に掲げる組織により防疫に当たることとする。  本部長の下に次の各班を置くとともに、管内の市町村、関係機関及び団体による管内連絡会議を逐次開催し、防疫の円滑な推連を図る。 総 務 班: 関係機関との連絡調整、管内連絡会議の開催、管内の防疫活動の計画・調整、現地で必要な人員・資材の確保、文書管理、経理及び防疫資材の出納事務を行う。 病性鑑定班: 届出、調査等により入手された情報により現地に急行し、検診する。また、病性鑑定のための採材、搬送等を行う。 発生地班: 発生農場に常駐し、当面の防疫が一段落するまでの防疫措置(立入禁止、殺処分、消毒等)を指揮する。 評 価 班: 殺処分家畜等の評価を行う。 検 診 班: 発生地周辺地域の緊急検診及び摘発検査を実施する。 追 跡 班: 発生家畜と関係のある家畜の疫学調査及び防疫上の指示を行う。 移動規制班: 移動の規制、と畜場、家畜市場等の監視、移動許可書の発行等制限地域内の防疫措置に係る指導を行う。 宮崎でこれらの組織が初動調査においてどのように活動したのか? そもそも、班分けするほどの人数がいたのか?

33 初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった!
蔓延防止の危機管理 牛は感受性が高くほぼ100%感染する(指標動物)。 豚は牛より感受性が低いが、発症すると牛の1000倍以上のウイルスを排出する(増幅動物)。 4月28日に宮崎県畜産試験場川南支場 の豚の感染が判明。県有施設は民間農場よりも衛生管理が劣っているから(?)、周辺農場への感染はない ⇒ 緊急対策は講じられず ゴールデン・ウイーク突入 ⇒ 発生地帯を縦断する国道10号線等は、口蹄疫ウイルス拡散の絶好の通り道となった 初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった! 指標動物 維持動物 増幅動物

34 南日本新聞 4月24日: 獣医師には常識

35 :その他 :豚 :牛 発生戸数 県家畜改良事業団 西都市 16 14 県畜産試験場・えびの市 12 都城市 10 日向市 宮崎市 8 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

36 発生頭数 処分頭数 補償交渉 千頭 30 25 20 :豚 15 :牛 10 5 25 20 15 10 5 4/20 4/28 5/1
25 処分頭数 20 補償交渉 15 10 5 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

37 補償交渉から埋却地問題へと難問が続く 10 万頭 8 :豚 :牛 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20
4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

38 牛 半月以上もウイルスを排出し続けた 豚 戸数 12 :15以上 10 :8~14 :4~7 8 :1~3 6 4 2 8 6 4 2
半月以上もウイルスを排出し続けた 8 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

39 口蹄疫発生農場の凡その位置関係 約10km 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 戸数 23 251 83 380 頭数
153 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 230 138 72 戸数 23 251 83 380 頭数 1,282 3,472 5,057 145,239 155,050 48 182 203 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 212 136 60 196 220 234 154 53 189 103 108 107 160 199 156 225 215 142 155 151 89 88 173 82 90 40 47 139 43 92 149 37 45 109 75 87 29 26 80 74 93 川南町 106 187 32 218 54 58 38 46 226 34 81 186 70 94 30 44 64 23 高鍋町の飼養状況 210 50 25 91 36 79 76 78 35 39 86 61 192 42 71 55 56 77 98 戸数 3 63 13 8 87 頭数 66 1,191 11,135 14,772 27,166 198 51 52 59 40 31 104 67 約10km 57 174 21 96 24 99 137 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 114 134 33 62 41 105 28 27 63 畜産試験場 84 95 148 49 211 65 85 69 207 180 201 110 147 162 209 66 97 120 150 194 117 165 116 217 231 224 219 127 214 176 159 152 123 121 181 206 115 100 木城町 135 132 190 102 118 122 232 126 179 223 125 145 193 113 161 221 191 129 185 73 133 167 172 204 128 175 112 111 208 163 140 西都市 尾八重 167 種牛6頭 101 高鍋町 124 144 143 171 157 158 213 177 130 178 164

40 10件目までは人と車 A牧場 20件目以降は空気感染
えびの市

41 7月5日報告まで 292件(肉牛+乳牛+豚) 1件(1+0+0) 5件(1+0+4) 30件(27+0+2、 8件(8+0+0)
日向市 6月10日~7月3日 1件(1+0+0) 7月5日報告まで 292件(肉牛+乳牛+豚) 木城町 5月21日~ 5件(1+0+4) 都農町 4月20日~6月30日 30件(27+0+2、 水牛1) 西都市 5月21日~7月6日 8件(8+0+0) 川南町 3月31日~6月30日 197件( 、 山羊1) えびの市 4月28日~6月4日 4件(3+0+1) 高鍋町 5月15日~6月30日 25件(18+1+6) 国富町 6月16日~7月8日 1件(1+0+0) 新富町 5月17日~6月30日 17件(15+1+1) 都城市 6月9日~7月2日 1件(1+0+0) 宮崎市 6月10日~ 3件(2+0+1)

42 危機管理体制 陸生動物衛生規約 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国 資格を得るための義務を負う。 日本農業新聞
7月16日 陸生動物衛生規約 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国 資格を得るための義務を負う。 1. 定期的および迅速な動物疾病報告の記録を保持する。 2. 次の事項を明言した宣言書をOIEに送付する。 a. 過去12ヶ月間に口蹄疫の発生がなかった。 b. 過去12ヶ月間にFMDV感染の証拠が全く見つからなかった。 c. 過去12ヶ月間に口蹄疫に対するワクチン接種を行っていない。 d. ワクチン接種を中止して以降、ワクチン接種動物を全く入れていない。 3. 以下の事項について文書化された証拠を提出する。 a. 第8.5.40条から8.5.46条に従った口蹄疫およびFMDV感染についての発生動向調査が実施されている。 b. 口蹄疫の早期の発見、予防および制御のための法的措置が実施されている。

43 日本から国際獣疫局への報告 7月28日: 宮崎市の3件目の最後の発生地から半径10 kmの地域に おける最後の移動制限は、7月27日に解除された。疾病が存在しない ことは、発生地周辺半径3 km以内の地域および疫学的に関連する農 場で飼育されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動 向調査、ならびに、当該地域における全ての感受性動物を対象とした 臨床的発生動向調査によって証明された。 7月22日: 川南町周辺の緊急ワクチン接種地帯の移動制限は7月18 日に解除された。この地帯で飼育されていた全ての感受性家畜は、7 月17日までに殺処分された。全ての症例、擬似患畜およびワクチン 接種動物は6月30日までに殺処分された。 7月14日: 東諸県郡国富町の発生から半径10 kmの区域における移 動制限は7月8日に解除された。疾病が存在しないことは、当該地域 における全ての感受性動物を対象とした臨床的発生動向調査ととも に、発生地周辺半径3 km、ならびに、疫学的に関連する農場に飼育 されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動向調査に よって証明された。

44 8.5.8条 清浄資格の回復 1. ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国または清浄地帯で 口蹄疫またはFMDV感染が起きた時、ワクチン接種が行われていな い口蹄疫清浄国または清浄地帯の資格を得るために以下の待ち期 間の一つが求められる。 a. 第8.5.40条から第8.5.46条に従って殺処分( Stamping-out )政策 および血清学的発生動向調査が適用されている場合、最後の症例 から3ヶ月。または、 b. 第8.5.40条から第8.5.46条に従って殺処分政策、緊急ワクチン接 種、および、血清学的発生動向調査が適用されている場合、全ての ワクチン接種動物が食用と殺(Slaughter )されてから3ヶ月。 c. 第8.5.40条から第8.5.46条に従って殺処分政策、全てのワクチン 接種動物を食用と殺しない緊急ワクチン接種、および、血清学的発生 動向調査が適用され、FMDV非構造蛋白に対する抗体の検出に基づ く血清学的発生動向調査が残っているワクチン接種集団に感染がな いことを証明した場合、最後の症例または(最後に発生した出来事に 対処した)最後のワクチン接種から6ヵ月後。

45 関連産業の被害補償は? 口蹄疫による被害は発生地の飼育農家だけでなく、様々な関連産業に深刻な影響を及ぼした。直接畜産と関連している事業としては、 食肉センター: 制限地区に入ったことにより 5 ヶ月間の休業を余儀なくされ、多数の従業員の仕事がなくなった。パート雇用が多く、収入が途絶えたと思われる。 運送業: 家畜、飼料、食肉、乳製品等の輸送を中心とする業者の仕事が途絶えたり、激減した。 輸出業: 食肉輸出業者の倒産、副生物(牛原皮、豚原皮、油脂等)の輸出低迷 食肉加工販売業: 原料肉の品薄に加え、販売不振による価格の低迷が 観光: 延期、キャンセル、などが施設入場者数減 副産物情勢 ( 平成22年9月3日 更新)JA全農ミートフーズ株式会社

46 国連食糧農業機関: 口蹄疫緊急時対策の準備
国連食糧農業機関: 口蹄疫緊急時対策の準備 FAO: Preparation of Foot-and-Mouth Disease Contingency Plans 第8章 口蹄疫の緊急事態対策行動期間中の組織配置 責任と命令系統 主席獣医官(CVO: chief veterinary officer)は、口蹄疫緊急事態に対する事前準備および管理についての総合的な技術的責任を持たなければならない。所轄大臣には、勿論、最終責任がある。 近年、多くの国の獣医療組織は再編成され、縮小された。これには、とりわけ、獣医療組織の獣医療組織の地域化と中央政府からの地方委任が含まれ、獣医療組織の民営化と政府業務の降格、実務機能と政策立案機能の分離、ならびに、獣医学試験所と獣医療野外業務の行政責任の分離が含まれていた。 FAOの後半の指摘はサッチャー政権で起きたことを指しており、それによって牛海綿状脳症(BSE)の大流行、結核症の野生動物から家畜と人間への波及、2001年の口蹄疫大流行が起きてしまった。日本の獣医療組織は農水省と厚労省に分かれ、欧米諸国の獣医庁は存在せず、 「責任と命令系統」 は与えられていない。悪性伝染病の被害を抑えるためには、法的および組織的な「責任と命令系統」の明確化が重要である。民間レベルでも、全国組織の「家畜畜産物衛生指導協会(通称 衛指協)」が昨年解消し、鹿児島など5自治体に残るのみである。

47 実績、展望、戦略: 獣医療組織の統括のための手法
実績、展望、戦略: 獣医療組織の統括のための手法 OIE: Tool for the Evaluation of Performance of Veterinary Services(PVS) 国の獣医療組織は、衛生上の非常事態 が存在するか否かを決定できるが、そのよう な非常事態を宣言して行動を起こすための 権限を持っていない。 国の獣医療組織は、国内で発見された 既存の疫病や疾病に起因する衛生上の非常 事態に対処するため、必要な法的および資 金的支援 * を得ており、活動できる。 国の獣医療組織は、これまでに検出され ていない別の疫病や疾病に起因する衛生上 の非常事態に対処するため、必要な法的お よび資金的支援を得ており、活動できる。 国の獣医療組織は、関連する他の国の 公共施設とその利用者との連携し、衛生上 の非常事態に対処することを可能とする制度 上の指針を実行できる。 Ⅰ. 2. 非常事態への対処能力 *: 「法的および資金的支援」という表現は、国の獣医療組織が即時に行動を起こすために法的枠組みと財源を既に保持していることを意味する。

48 Ⅱ.人的資源と金融資源 6. 専門の自立性 A. 発達水準(政治的立場) B. 発達水準(決定のための専門的裏付け)
Ⅱ.人的資源と金融資源 6. 専門の自立性 A. 発達水準(政治的立場) B. 発達水準(決定のための専門的裏付け) 健康と食品安全に係る 全農業分野の機関の長官 (該当する場合)、国の獣医 療組織の長およびその直属 の部下は、政治任命を受け た者*である。 健康と食品安全に係る 全農業分野の機関の長官 (該当する場合)、国の獣医 療組織の長は、政治任命を 受けた者のみである。 国の獣医療組織内に、 政治任命を受けた者はいな い。 国の獣医療組織によってなされる 技術的決定は、ほとんどの場合政治 的配慮に基づいて行われる。 技術的決定は科学的原則を組み 込んでいるが、あらゆる政治的配慮に 従うために修正しなければならない。 技術的決定は科学的原則に基づ いているが、政治的配慮に基づいて 再検討する必要があり、修正される可 能性もある。 技術的決定は科学的原則に基づ いてのみ行われ、政治的配慮に合わ せるための如何なる変更も行わない。 *: 政治任命(political appointments)という用語は、政権を担当する政治勢力による任命を意味し、大統領の意向を果たし、即刻の解任を前提とする。

49 5. 同等性協定*(Equivalency agreements)
Ⅳ.市場アクセス 市場を活用し維持するために支援を提供する国の獣医療組織の能力と権限 1. 法的基準への適合 2. 法的基準の策定 3. 調和 4. 認証 5. 同等性協定 6. 遡及可能性 7. 透明性 8. 地区割り 5. 同等性協定*(Equivalency agreements) 国の獣医療組織は、他の国々と同等性協定 を交渉するための能力も権限も持っていない。 国の獣医療組織は、他の国々と同等性協定 を交渉し、承認するための権限を持っている。 国の獣医療組織は、特定の製品と手順に関 して他の国々との同等性協定を実施している。 国の獣医療組織は、新しい製品と手順に関 して他の国々との同等性協定を締結する特別の 計画を実行している。 国の獣医療組織は、国際的な基準、指針お よび勧告に従って利用者の意見聴取を行い、そ の後に他の国々との特別な同等性協定に向けて 努力する計画を持っている。

50 ウイルス血症:血中抗体により除去されるまでの4~5日間持続 口、脚、乳頭の扁平上皮で増殖し、に水疱形成
感染動物におけるウイルスの広がり 咽頭と軟口蓋 侵入部位の皮膚や粘膜の上皮細胞 病変形成前のウイルス排出が危険 咽頭後部、下顎、耳下のリンパ節 所属リンパ節 ウイルス血症:血中抗体により除去されるまでの4~5日間持続 口、脚、乳頭の扁平上皮で増殖し、に水疱形成 少量のウイルス増殖は、心筋、骨格筋、リンパ節、副腎、すい臓、甲状腺、乳腺および罹患部位以外の皮膚を含む全身の様々な部位でも起こる。 ウイルス排出開始から水疱形成までの日数(平均) 若雄牛 咽頭 乳牛 乳汁 豚 咽頭 めん羊 咽頭 2~5   ( 2.7 ) 1~4   ( 2.2 ) 2~10   ( 5.0 ) 0~5   ( 2.5 )

51 反芻動物における主な感染経路 呼吸器感染 呼吸器系は、反芻動物の主要な感染経路であり、ごくわずかなウイルス量で感染を引き起こすことができる。
牛: 101.0ID50 、  (豚は102.6ID50 、すなわち、豚の400分の1で感染する) ID50: 感染動物の半数が発病に要する最少感染量の推計値 汚染エアゾールは、呼気によって最も頻繁に発生するが、ミルクタンカーからの排気、圧力ホースなどの使用によるしぶきなどの結果としても発生する。 経口感染 反芻動物は自然条件では経口的に感染することは滅多にない。 創傷感染 ウイルスは、皮膚や粘膜の創傷を介しても侵入することができる。創傷は、粗飼料給餌における草の種、腐蹄症、搾乳器による外傷、牛の拘束中における蹄の外傷などの障害によってできる。 人工授精 精液にウイルスが含まれる(感染した種牛は回復しても使えない)。 実験的には種々の経路で感染が成立する 村上洋介: 口蹄疫ウイルスと口蹄疫の病性

52 牛における病気の経過 感染から発症までの潜伏期間にウイルスを排出 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止
FAO:口蹄疫緊急時対策の準備 感染から発症までの潜伏期間にウイルスを排出 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止 1日程度 水泡形成: 好発部位は、舌、唇、歯肉、歯間部、鼻孔、蹄間部の皮膚、蹄冠帯、泌乳動物の乳頭部。 時折、鼻孔内部または鼻鏡部、眼瞼、陰門に出現。 1日以内 潰瘍・糜爛: 水泡の破裂。過度の流涎、舌鼓および採食廃絶、それに伴う体重の激減。重症例では、舌背面粘膜の大部分が脱落。急性の跛行(歩行困難)と運動の忌避。 10日程度 口腔病変は治癒に向かう。乳頭病変部は、二次感染による乳房炎を併発することがある。

53 ウイルスの排出 ウイルスは全身の皮膚・粘膜で増殖する あらゆる分泌物、排泄物に含まれる
直径21~25nm mm ウイルスは全身の皮膚・粘膜で増殖する あらゆる分泌物、排泄物に含まれる 牛の1日ウイルス排泄量は 105 ID50 (豚は 108 ID50)   ID50 は動物が発病に要する最少感染量 表皮の落屑 尿 膣分泌物 唾液 鼻汁 流産胎児 口腔内水泡 呼気 蹄水泡の 破裂 蹄水泡の破裂 精液

54 感染経路 口蹄疫は、感染力が非常に強い疾病であり、農場内、周辺農場お よび新たな地域へきわめて急速な拡大をもたらす様々な伝播様式 がある。主な伝播様式は次の通りである。 ● 感染動物と感受性動物との直接接触 ● 間接的手段による機械的伝播 ● 汚染した食品残渣を含む厨芥の豚への残飯給餌 ● エアロゾルによる拡大 (例外的な疫学的および環境条件下に おける遠距離の風による伝播) 指標動物 維持動物 増幅動物

55 キャリアー状態の最大持続期間 動物種 最大持続期間 牛 羊 山羊 アフリカ・バッファロー 水牛 豚 3年半 9ヶ月 4ヶ月 5年
< 2ヶ月? 持続感染しない  臨床的回復後に、最大 50% の反芻動物は持続感染状態になる。感染は、咽頭および食道上部の組織で持続する。キャリアー状態は、動物の免疫状態の如何にかかわらず起こる。口・咽頭ぬぐい液から回収できるウイルスの量と頻度は、次第に減っていく。  アンテロープおよびラクダ科の動物は、キャリアーにならないか、または、短期間のみウイルスを運ぶことがある。  キャリアー動物の疫学的意義は、完全に解明されていない。

56 ウイルスの生存期間 感染動物はウイルス血症を起こすため、皮膚、臓器、筋肉、血液、乳、リンパ節、骨などすべての組織にウイルスが含まれ感染源となる。 死後硬直の際に乳酸が筋肉内に蓄積してpHが低下し、ウイルスは徐々に不活化される。牛の筋肉内pHは、2℃、48時間でpH5.5まで低下する。しかし、豚の一般的なと体処理条件ではpH5.7以下にはならない場合が多い。 大量のウイルスを含むリンパ節、骨髄、筋肉内の大きな血管に残存する血ぺいなどは、と殺後も乳酸によるpHの影響を受けないので、ウイルスは長期間残存する。牛の例では、リンパ節、骨髄、血餅中のウイルスは、4℃では3~7ヶ月間不活化されていない。 口蹄疫発生と同時に、食肉、乳、ならびにそれらの加工製品の国際取引が停止される。貿易摩擦を引き起こさないために、国際獣疫局(OIE)が口蹄疫などの悪性伝染病の病原体が当該地域に循環していないこと(清浄国)を証明する仕組み、検査法、手順などを定めている。

57 畜産物中での口蹄疫ウイルスの生存期間 対象物 環境状況 生残期間 牛肉 4℃ 3日 ー20℃ 90日 急速冷凍 240日 豚肉 1~7℃
1日 冷凍 >55日 骨髄 (牛)1~4℃ 30週 (豚)1~7℃ 6週 腸管 250日 リンパ節 120日 70日 舌(牛) 11年 牛乳 72℃, 30秒 生残 パルマハム 冷蔵 170日 塩漬ベーコン 190日 サラミ 常温 7日

58 環境中での口蹄疫ウイルスの生存期間 対象物 環境状況 生残期間 空気 湿度60%以上の秋~冬 60分以上 水 夏~秋 15日 冬~春 14週
土壌 3-7日 4週 21週 堆肥(牛) 1週 24週 汚泥 液状、12-22℃ 6週 敷料(ワラ等)  外気温 4週 衣服、靴 9週 飼料(ふすま)       (乾草)   外気温  20週 200日以上

59 家畜(精液・卵・胚、動物製剤を含む)の輸入
国外からの侵入経路 家畜(精液・卵・胚、動物製剤を含む)の輸入 1946年11月メキシコでの発生は、10月にブラジルから輸入した牛。 3週間後に発病 → 12月になって米国農務省が調査し口蹄疫と判定 → 国境を封鎖、獣医師を派遣(延3700名)、機材提供 → 1947年夏から秋;毎週5万8000頭殺処分 → 11月までに50万頭、ワクチン接種に変更 → 1950年8月末までに約6000万頭分のワクチン → 1952年8月に撲滅終了 日本の国内発生は1902年で終わったが、動物検疫所での摘発は、1920、1921、1922、1924、1933年と続いた。 畜産物(肉、肉製品、乳、乳製品) 2001年の英国の大流行は、輸入された汚染肉が含まれた残飯、または、船舶や飛行機の残飯を非加熱のまま豚に給餌したためと考えられている。 飼料(飼育機材を含む)の輸入 2000年の宮崎・北海道での発生は、中国から輸入された稲わらとされている。以降、指定工場で殺菌処理することを義務化。 野生動物 アフリカの自然公園ではアフリカ・バファローの集団が移動しており、二重柵を設けて家畜との接触を防いでいるが、共通の水飲み場が残されている。 旅行者(テロ) 具体例は知らないが、直近に発生国で農耕接触した場合、保菌の可能性がある。

60 国内の地域的拡大要因 直接接触: 家畜の移動・集合 媒介物: 車両・人・物による移動 空気感染 人工繁殖
直接接触: 家畜の移動・集合 1914年の米国最大の口蹄疫流行は、 10月にシカゴの家畜集積場とその他の市場に侵入した後急速に拡大した。1915年9月に終息するまでに、22州とコロンビア特別区における3, 500以上の群が感染した。同時期にシカゴで当局の警告を無視して開催された全国酪農展示会に出展された700頭以上最高級の登録家畜も感染した。 媒介物: 車両・人・物による移動 分泌液と排泄物(唾液、乳、糞便および尿)で汚染された家畜の飼料、敷料、機材、衣類などを含む様々な媒介物の移動。車両等の機材の共用、放牧地や堆肥場の共用、搾乳等の作業協力は、零細経営では一般的なことであり、大規模経営においては系列農場間で行われている。 空気感染 飼育密度が高い地域の大規模養豚場で発生すると、エアゾールが数百メートル風下に広がる可能性がある。 人工繁殖 感染した精液を用いた人工授精によって起きることがある。

61

62 口蹄疫は食糧難に喘ぐ発展途上国の貧困と関連している。国連食糧農業機関(FAO)が発展途上国を含めて最小限実施すべき防疫措置を取りまとめた本書(2002年刊)は、今回の流行を検証し、追加・修正すべき問題点を洗い出す上で参考になるだろう。全世界に広がる危険性がある越境性疾病を制御する国際事業に日本は貢献できるか? 下記に翻訳をリンク 口蹄疫緊急時対策の準備 緒言 第1章 国の口蹄疫緊急時対策計画の構成と内容 第2章 この疾病の特徴


Download ppt "口蹄疫問題と危機管理体制 鹿児島経済同友会 10月例会 国際的対応が求められる最も重大な家畜伝染病"

Similar presentations


Ads by Google