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Published byいおり かいじ Modified 約 7 年前
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2016年10月 第6回日本保険学会シンポジウム 民事紛争支援と損害保険「権利保護保険」 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 木村 彰宏
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1.はじめに 近年、日本の損害保険会社において「権利保護保険(注1)」の販売が開始されている。 ■2013年5月
弁護士保険Mikata プリベント少額短期保険株式会社 ■2015年12月 弁護のちから 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 変化しつつある日本の保険構造を踏まえ、一部の諸外国では先行していた民事紛争支援 という新しいマーケットに投入した商品「弁護のちから」のこれまでの取り組みと今後の展開 について報告する。 1 注1 「弁護士費用保険」ともいう。「権利保護保険」は日本弁護士連合会が商標登録している。
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2.権利保護保険「弁護のちから」開発の歴史
高度経済成長期から損害保険業界は自動車保険を軸に急成長してきたが、新種保険と して、弁護士保険が欧米の一部で開発され販売されているという情報は1980年代には 入手していた。 そして日本への導入も検討したが、以下の理由から見送っていた。 ①欧米と比較し弁護士に依頼するという文化が乏しいこと A:弁護士の敷居が高い。 B:弁護士に相談すると費用がかかる。 C:そもそもそのような文化風習がない。 ②弁護士からのネガティブな反応 保険商品になると、事案の難度に応じた弁護士報酬をもらえない懸念。 ③広域な弁護士ネットワークの構築 日本全国で提供できるネットワークが存在しない。 ④乱訴社会の誘発 人に対して「許す」「困ったときはお互いさま」といった文化の崩壊。 2
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3.環境の変化と民事紛争の増加 21世紀を向かえ、国際経済は大きな進化をみせ、海外との交流が盛んになり、
21世紀を向かえ、国際経済は大きな進化をみせ、海外との交流が盛んになり、 グローバル化、グローバルスタンダードという概念が浸透。諸外国では弁護士費用保険の 普及がすすんでいた。【資料1】 日本にも同様な変化が起り、その変化は保険にも影響、自動車保険では交通事故による 弁護士費用を補償する特約が誕生、日弁連にはLAC(注2)が設置され、多くの保険会社 が提携した。日常生活におけるトラブルも増加傾向にあった。 3 注2 日弁連リーガルアクセスセンターの略
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4.開発から普及へ 日常生活におけるトラブルが増加することにより「個人」レベルでは解決できず泣き寝入り
している被害者を救済するために、「費用」だけでなく個人が判断しずらい「弁護士選任」の 2つの課題を解決するための商品の開発を決定した。 【資料3】 4
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4.開発から普及へ 開発には日本のいい文化をなるべく壊さないようにという思いを抱きつつ、日弁連の弁護士
先生の皆様の多大なるご協力もいただきながら、幾度となく検討を重ねていった。 海外の事例も参考にして、日本にて販売した場合のマーケットに与えるインパクト、弁護士 ネットワーク、マーケッティング、逆選択等 数多くの課題を順次解決していった。 ・弁護士ネットワーク → お客さまから要望があった場合は LAC を利用する。 ・逆選択 → 団体専用商品とすることでマーケッティングと逆選択の課題を解決。 そして、個人の法律上の権利を保護することが出来る『弁護のちから』が誕生し 2015年12月から販売を開始している。 当初は、いわゆる財物保険(火災保険)や賠償責任保険(自動車保険)に慣れている消費者 から「商品内容が分かりにくい」等々のご指摘をいただき、補償範囲を限定したり、具体的な 事例を身の回りで発生する可能性が高いものにするなど、創意工夫を重ねていった。 5
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4.開発から普及へ 弁護のちからは「弁護士費用補償」「ケガの補償」「個人賠償責任補償」の3つの補償で 基本構成されている。 6
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4.開発から普及へ 現在、販売は好調であるが、今後はモニタリングを通じて商品等を改定していく。 ①高いレベルのリーガルサービス。
①高いレベルのリーガルサービス。 →日弁連LACへのフィードバック等、綿密な連携を維持する。 ②日本への文化風習を維持。 →海外に誇る日本の文化を保持する。 ③時代に適合した補償内容を模索。 →国際対応等、必要なものを検討していく。 ④制度の健全維持 →保険が悪用されないように監視していく。 『弁護のちから』の補償提供が、私たちの日常生活の安心、安全の一助になるように 願っている。 7
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