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昇降機の保守と管理 社団法人 日本エレベータ協会 メンテナンス委員会 初版: 2011年3月1日 改訂: ー
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はじめに 昇降機は、都市の高度利用がますます進展する中で、建物の高層化が進み、高齢化社会を背景にバリアフリーが必須となっている現代社会において、社会活動や日常生活に不可欠な縦の交通機関となっている。 そのため、昇降機の維持管理の重要性が問われている。このPPTは、昇降機の維持管理に必要な事項等について述べる。
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1 昇降機の変遷 2 昇降機の構造と安全装置 3 昇降機の維持管理のための基礎知識 4 日常管理 5 非常時の対応について
説明項目 1 昇降機の変遷 2 昇降機の構造と安全装置 3 昇降機の維持管理のための基礎知識 4 日常管理 5 非常時の対応について 6 昇降機の保守点検 7 関係法令に基づく定期検査等 8 改修工事(リニューアルの必要性)
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1 昇降機の変遷 わが国における昇降機の始まり (1)エレベーター 初の電動式は1890年(明治23年)に東京浅草の「凌雲閣」に設置。
1 昇降機の変遷 わが国における昇降機の始まり (1)エレベーター 初の電動式は1890年(明治23年)に東京浅草の「凌雲閣」に設置。 (2)エスカレーター 1914年(大正3年)東京日本橋の「三越呉服店」(現在の三越)に設置。 三越呉服店 凌雲閣
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高速化、省エネ化、大容量化、安全性・信頼性向上、 特殊エレベーターの登場 (2)エスカレーター 可変速度、車椅子仕様
1 昇降機の変遷 社会ニーズに応え日々進歩 社会環境の変化 (1)エレベーター 高速化、省エネ化、大容量化、安全性・信頼性向上、 特殊エレベーターの登場 (2)エスカレーター 可変速度、車椅子仕様 1960 1970 1980 1990 ビル増大 (高度成長期) ビルの高層化 ビルの高さ制限緩和 福祉重視 ビルの超高層化、 大型化
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1 昇降機の変遷 (1)-1 エレベーターの高速化 年代 1971年 1974年 1978年 1991年 1993年
1 昇降機の変遷 (1)-1 エレベーターの高速化 ビルの高層化に対応したエレベーターの高速化(国内) 年代 ビルの高さ 速度 1971年 169m 京王プラザホテル 360m/分 1974年 200m 新宿住友ビル 540m/分 1978年 240m サンシャイン60ビル 600m/分 1991年 243m 東京都庁第1庁舎 1993年 296m 横浜ランドマークタワー 750m/分
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1 昇降機の変遷 (1)-2 エレベーターの省エネ化 年代 年代 ①パワーエレクトロニクスの進歩に伴うモーター制御方式の向上
1 昇降機の変遷 (1)-2 エレベーターの省エネ化 ①パワーエレクトロニクスの進歩に伴うモーター制御方式の向上 年代 低速エレベーター 高速エレベーター 近年 交流1段・2段速度方式 ワードレオナード方式(MG方式) 交流帰還制御方式 サイリスタレオナード方式 可変電圧可変周波数制御方式(インバーター制御) ②巻上げ機のギヤレス化によるエネルギー効率の向上 年代 巻上機の種類 特徴 近年 ウォームギヤ ウォームとウォーム・ホィール間のすべり摩擦のロスによりヘリカルギヤに比べ伝達効率が劣る。 ヘリカルギヤ 全てのギアが斜めであり、噛み合い部でのロスが少なく伝達効率がウォームギヤに比べ優れている。 ギヤレス ギヤを使わないため伝播のロスがない。
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1 昇降機の変遷 (1)-3 エレベーターの大容量化 年代 2002年 泉ガーデンタワー 2010年 梅田阪急ビル オフィスタワー
1 昇降機の変遷 (1)-3 エレベーターの大容量化 建物の大型化に伴い、輸送能力の向上による移動の効率化が求められるようになった。 年代 ビル名 定員 積載 2002年 泉ガーデンタワー 75名 4,900Kg 2010年 梅田阪急ビル オフィスタワー 80名 5,200Kg
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1 昇降機の変遷 (1)-4 エレベーターの信頼性・安全性向上 エレクトロニクスの進歩に伴う制御の信頼性向上及び 安全性能の向上 年代 制御
1 昇降機の変遷 (1)-4 エレベーターの信頼性・安全性向上 エレクトロニクスの進歩に伴う制御の信頼性向上及び 安全性能の向上 年代 制御 近年 リレー方式 リニアIC、論理ICの採用 マイクロコンピューターの採用 システムLSIの採用
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1 昇降機の変遷 (1)-5 特殊エレベーターの登場 社会ニーズの変化に応じたエレベーターの登場 機種 特徴 ダブルデッキエレベーター
1 昇降機の変遷 (1)-5 特殊エレベーターの登場 社会ニーズの変化に応じたエレベーターの登場 機種 特徴 ダブルデッキエレベーター 2個のかごを上下に連結し輸送能力の向上と昇降路スペースを削減。 階間が異なるビルの対応として階間調整機能付きのものもある。 斜行エレベーター マンション等の立地の多様化に対応した「斜めに走行する」エレベーター。
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1 昇降機の変遷 (1)-6 外部連作装置 (1)-7 保守会社の遠隔装置 年代 連絡方法 近年 ブザー鳴動 インターホン
1 昇降機の変遷 (1)-6 外部連作装置 年代 連絡方法 近年 ブザー鳴動 インターホン インターホン+保守会社との直接通話機能 (1)-7 保守会社の遠隔装置 年代 内容 近年 故障、停電、閉じ込め等の通報 上記に加え「変調」の通報、「遠隔点検」機能。 上記に加え「地震時の点検、復旧」機能
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1 昇降機の変遷 (2)-1 可変速度エスカレーター (2)-2 車いす仕様エスカレーター
1 昇降機の変遷 (2)-1 可変速度エスカレーター 一般的な速度は、30m/分であるが、利用状況により速度を変更。 変更の例 利用者の多い駅のラッシュ時の高速運転。 利用者の少ない時や、高齢者に配慮した低速運転。 (2)-2 車いす仕様エスカレーター 車いす利用者の方が円滑に移動できるよう、車いすを搬送する機能があるもの。
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2 昇降機の構造と安全装置 2.1 エレベーターの構造(駆動方式の比較) ロープ式(機械室あり)の例 ロープ式(機械室なし)の例 油圧式の例
2 昇降機の構造と安全装置 2.1 エレベーターの構造(駆動方式の比較) ロープ式(機械室あり)の例 ロープ式(機械室なし)の例 油圧式の例 釣合おもり 主ロープ かご 巻上機 ジャッキ パワーユニット 圧力配管
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2 昇降機の構造と安全装置 2.2 エレベーターの構造図
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2 昇降機の構造と安全装置 2.3 エレベーターの安全装置等 建築基準法施行令第129条の10で定められている安全装置 項 名称等 目的
2 昇降機の構造と安全装置 2.3 エレベーターの安全装置等 建築基準法施行令第129条の10で定められている安全装置 項 名称等 目的 第1項 ブレーキ 非常時にかごを急制動し停止。 かごの停止を保持する。 調速器 かご速度の異常を検知し制動する。 非常止め装置 レールを把持(はじ)してかごをとめる。 リミットスイッチ 終端階を行き過ぎた場合に、かごを停止させる。 緩衝器 かご又は釣合おもりの昇降路底部への衝突ショックを和らげる。 第2項第一号 減速度の規定 昇降路端部への衝突をせず、安全に減速・停止させる。 第2項第二号 挟まれ防止装置 かご上での保守点検作業者の安全を確保する。 第3項第一号 戸開走行保護装置 戸が閉じ切る前にかごが動いた時等にかごを制止させる。 第3項第二号 地震時管制運転装置 一定の揺れを検知し、がごを最寄階に停止させる。 第3項第三号 非常通報装置 非常時にかご内の人が外への連絡に供するもの。 第3項第四号 過負荷検知装置 積載の110%を超える前に警報を発し、戸閉を阻止する。 停電灯 停電時に、自動で作動する照明装置。
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2 昇降機の構造と安全装置 2.4 エレベーターの災害時等の対策 不慮の事態に備え管制運転機能や付加装置を有しているものがあります。
2 昇降機の構造と安全装置 2.4 エレベーターの災害時等の対策 不慮の事態に備え管制運転機能や付加装置を有しているものがあります。 (1)地震時管制運転装置 一定以上の揺れを感知器で感知した場合、エレベーターをただちに最寄階に 停止させるとともに、以後の運転を休止させる機能で、乗客の閉じ込めや二次災害 を抑止するもの。 (2)火災時管制運転装置 火災発生時に、火災報知器と連動又は、監視盤の操作により、エレベーターを いち早く避難階に直行させ、かご内乗客を安全に避難させるとともに、以後の運転を 休止させる機能。 (3)停電時自動着床装置 エレベーターが走行中に停電した場合に、エレベーターを自動的に最寄階まで 運転する機能。 (4)防犯対策装置 かご内での犯罪を抑止するために、かご内を防犯カメラで監視する装置など。 (5)遠隔監視装置 エレベーターの異常状態等の発生時に、電話回線等の通信手段により、決めら れた場所へ信号を送る(通報する)装置。
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2 昇降機の構造と安全装置 2.5 エスカレーターの構造 人を運ぶことを目的に動力によって連続的に一方向に動くもの。 (1)エスカレーター
2 昇降機の構造と安全装置 2.5 エスカレーターの構造 人を運ぶことを目的に動力によって連続的に一方向に動くもの。 (1)エスカレーター 人を乗せる踏段面が水平で、階段状のもの。 (2)動く歩道 勾配が15度以下で踏段面に段差がないもの。
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2 昇降機の構造と安全装置 2.6 エスカレーターの構造図
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2 昇降機の構造と安全装置 2.7 エスカレーターの安全装置等 建築基準法施行令第129条の12で定められている安全装置等 項 名称等 目的
2 昇降機の構造と安全装置 2.7 エスカレーターの安全装置等 建築基準法施行令第129条の12で定められている安全装置等 項 名称等 目的 第1項 交差部固定保護板 隣接するエスカレーターや周壁への、利用者の激突・挟まれを防止する。 第4項 非常停止釦 乗降口に設けるエスカレーターを停止させる釦。 第5項 踏段鎖チェーン安全装置 踏段鎖チェーンの伸び・切断を検知する。 ブレーキ 非常時に急制動し停止させる。停止を保持する。 防火シャッター連動装置 防火シャッターの作動に連動し運転を停止させる。 スカートガード安全装置 人又は物の挟まれを検知し停止させる。 インレットガードスイッチ 移動手すり入込口に人又は物の入り込みを検知し停止させる。 停止距離 安全に停止させる距離。(30m/分の場合0.1~0.6m)
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2 昇降機の構造と安全装置 2.8 エスカレーターの安全対策 転落防止柵 落下物防止網 交差部可動警告板 交差部固定保護板 登り防止用
2 昇降機の構造と安全装置 2.8 エスカレーターの安全対策 転落防止柵 落下物防止網 交差部可動警告板 交差部固定保護板 登り防止用 仕切板 侵入防止用 仕切板 壁 注意喚起を促す ステッカー
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3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.1 昇降機の特性 昇降機を管理する上で特性を理解しておく必要がある。
3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.1 昇降機の特性 昇降機を管理する上で特性を理解しておく必要がある。 ①所有者と利用者が異なる場合が多く、子供から高齢者まで不特定の 人が自ら操作し、利用する全自動の乗物であること。 ②設置場所も多種多様であり、不特定多数の人が利用する公共性の 高い機械設備であること。 ③建築付帯設備として長期間にわたり使用される耐久消費財であること。 ④外観から想像されるよりはるかに多くの部品から構成されていること。 ⑤建物に直接組み込まれる部品が多数あり、製品の最終組み立て 工程が建物内で実施されること。
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3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.2 昇降機の運行の5つのポイント
3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.2 昇降機の運行の5つのポイント 昇降機の所有者・管理者には、昇降機の運行について責任を持つことが求められています。 ①安全であること ②故障が少ないこと ③乗心地がよいこと ④意匠品が清潔な状態にあること ⑤寿命が長いこと
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3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.3 所有者・管理者の責任 (1)建築基準法上の責任 (2)民法上・刑法上の責任
3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.3 所有者・管理者の責任 (1)建築基準法上の責任 ①設置時に確認申請書を所轄の建築主事等に提出し確認を受けること。 (第6条又は第87条の2) ②設置後に所轄の建築主事等による工事完了検査を受けること。(第7条) ③常に適法な状態の維持に努めること。(第8条) ④定期的に検査・報告を行うこと。(第12条第3項) (国又は都道府県等が所有者の場合は、第12条第4項による点検。) (2)民法上・刑法上の責任 ①設置又は保存の瑕疵により第三者に損害を与えた場合の賠償責任。 (民法第717条) ②業務上必要な注意を怠って人を死傷させた場合の刑事罰。(刑法第211条)
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3.4 所有者・管理者、昇降機メーカー、保守会社の役割
3 昇降機の維持管理のための基礎知識 3.4 所有者・管理者、昇降機メーカー、保守会社の役割 昇降機は、長期にわたり、利用者に安全と安心を提供できるものとして維持されなければなりません。そのため各々が責任を果たすことが必要です。 (1)昇降機メーカー ①法令に適合し必要な性能が確保された昇降機を納入。 ②所有者・管理者に対し、昇降機の維持管理等に必要な情報提供。 (設計図書、確認申請書、取扱説明書) (2)昇降機の所有者・管理者 ①常に適法な状態にし、必要な性能が確保されるよう、適切な維持管理。 保守点検は高度な知識及び技能が必要なことから専門の保守会社に委託するのが一般的。 ②保守点検を委託した場合は、作業内容等の確認。 ③法令に基づく定期検査報告 ④日常点検(運転状態、意匠部の汚損等の状況等) ⑤利用者への正しい利用のPR等、安全利用に関する事項。 (3)保守会社 ①作業結果の報告(点検報告書、故障報告書、検査報告書) ②所有者・管理者が維持管理する上で必要な情報の提供。
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4 日常管理 維持管理のイメージ 維持保全 運行管理 日常管理 Vbvc 適法状態の維持 ・定期検査 ・保守点検 不具合発生時の対応
4 日常管理 維持管理のイメージ Vbvc 維持保全 運行管理 適法状態の維持 日常管理 ・定期検査 ・保守点検 ・日常の点検及び清掃 ・安全利用等のPR活動 ・安全な利用を促進するための措置 不具合発生時の対応 ・原因を究明し正常な状態に復旧 ・保守会社への連絡 ・利用者へ使用できないこと等の案内 ・復旧状況の確認 ・運転の停止・再開 非常時(事故・災害発生時等)の対応 ・事故原因の究明と対策(昇降機の不具合の場合) ・災害復旧 ・事故原因の究明と対策(管理上の問題の場合) ・応急手当等 ・関係者への連絡・報告 ・運行の停止・再開 改修工事 図書等の管理 ・現行法令適合化工事 ・仕様変更、付加装置取付工事 ・リニューアル工事 ・保守点検報告書等の保管 ・定期検査報告書の保管 ・確認申請書等の保管 ・機械室の戸のキー、運転キー等の保管
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4 日常管理 4.1 昇降機に関する事故 (1)昇降機の専門技術者以外(設備業者、管理者等)の昇降路・ 機械室への立ち入りは危険を招く
4 日常管理 4.1 昇降機に関する事故 (1)昇降機の専門技術者以外(設備業者、管理者等)の昇降路・ 機械室への立ち入りは危険を招く ①昇降路への転落事故(乗場解錠キーの使用) ②充電部での感電事故 ③回転部での挟まれ事故
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4 日常管理 (2)利用者の事故 エレベーター ①扉が開く際の戸袋等への手や指の引き込まれ ②扉が閉まる際の扉への激突・挟まれ
4 日常管理 (2)利用者の事故 エレベーター ①扉が開く際の戸袋等への手や指の引き込まれ ②扉が閉まる際の扉への激突・挟まれ ③かご床と階床との段差でのつまずき・転倒 エスカレーター ④移動手すりのインレットガード(入り込み口)に指や手を引き込まれ ⑤移動手すりに乗り転落 ⑥移動手すりから身を乗り出しての隣接機や周壁への激突・挟まれ ⑦踏段とスカートガード間、踏段間に挟まれ ⑧転倒 これらの事故は、年々増加傾向にあり、被災者はお子様や高齢者、酔客が多く、事故防止には正しい利用が不可欠。
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人口10万人あたりの年間事故発生人数 (東京消防庁管轄区域内でエスカレーターに関連して発生した救急事故)
4 日常管理 エスカレーターの事故 事故発生状況 通勤、通学に使用しない高齢者、4歳以下は他の年齢層に比べ利用率は低いと推測されるため事故発生率は相当高いといえる。 人口10万人あたりの年間事故発生人数 (東京消防庁管轄区域内でエスカレーターに関連して発生した救急事故) 受傷原因 「よろけた、バランスを崩した」が一番多く、その原因は酩酊が多い。 受動的要因によるものも14%ある。 受傷原因 率 よろけた・バランスを崩した 63.9% 足がつまづいた 6.1% 足がついて行かなかった 5.8% 足が滑った 5.4% 前の人が倒れた、落ちてきた 8.3% 人がぶつかった 2.6% 物が落ちてきた その他 5.3% 出典:「エスカレーターに係る事故防止対策について」(平成1 7 年3 月) エスカレーターに係る事故防止対策検討委員会
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4 日常管理 4.2 建物管理者が行う日常の維持管理 項目 内容 エレベーターの管理上のチェックポイントの例 管理組織と運営
4 日常管理 4.2 建物管理者が行う日常の維持管理 エレベーターの管理上のチェックポイントの例 項目 内容 管理組織と運営 ○管理責任者及び、非常時の対応体制を明確にしておく。 ○関係図書を整備し、整理保管する。 日常管理 ○日常の点検を行い、異常の有無を確認する。 非常の場合に対する 管理上の要点 ○対応者に、必要な知識を熟知させ、対応が円滑にできる よう指導及び訓練を行う。 ○必要な応急用具は、その所在を明らかにしておく。 ○機械室の戸等のキーの保管場所を明確にする。 利用者の安全利用に 関する広報及び指導 ○利用者に対し、取扱い要領、利用上の注意事項をPR・ 指導する。 その他 ○機械室や昇降路内部で建築関係等の作業をする場合は、 保守会社に連絡し、アドバイスや立ち会い等を求める。
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4 日常管理 (1)管理者による日常の点検 日常の点検は、できるだけ1日1回運行開始前に行うことが望まれる。 日常の点検項目の例 項目 内容
4 日常管理 (1)管理者による日常の点検 日常の点検は、できるだけ1日1回運行開始前に行うことが望まれる。 日常の点検項目の例 項目 内容 戸関係 ○戸の開閉はスムーズで、異常音・振動はないか。 ○開閉速度は良いか。 ○かご戸の先端についている戸閉め安全装置は正常に動作するか。 意匠関係 ○三方枠・乗場戸・かご戸、かご室パネル・操作盤及び乗場の押ボタン等の 汚れや損傷はないか。 ○かご床タイルの汚れや剥離はないか。 かご照明関係 ○かご内照明灯や停電灯の汚れ又は、球切れはないか。 掲示物関係 ○定員・積載荷重の銘板や、各種注意ステッカーなどが貼付けられているか。 また、汚損はないか。 起動・停止 ○加速・減速の異常、異常音・振動はないか。 ○着床時、かごと乗場のレベルに大きな段差はないか。 運行 ○乗心地は良く、異常音・振動はないか。 押ボタン 表示ランプ ○押ボタン・表示ランプのカバーの汚れや損傷又は、球切れはないか。 ○押ボタンは確実に動作するか。 インターホン ○ブザーは鳴るか。 ○管理人室と通話できるか。
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4 日常管理 (2)日常の清掃 日常の清掃は、エレベーターの各機器の機能維持の他に、建物の
4 日常管理 (2)日常の清掃 日常の清掃は、エレベーターの各機器の機能維持の他に、建物の イメージアップ、利用者のいたずらを防止する効果もあり、大切な 事項です。 日常の清掃のチェックポイントの例 項目 チェックポイント 意匠部分 (押ボタンカバー・かご室パネル・天蓋・照明器具) 各部の清掃はメーカー指定の清掃方法で行う。 戸の敷居溝 故障の多くは、戸開閉機構に集中している。この中でも、乗場・かご の敷居溝や戸袋などに異物が入って故障になるのが大部分をし めている。 乗場・床タイル 昇降路内に水が入らないよう充分注意する。 エレベーターのかごや昇降路内には、電気回路があるので、水が 入ると絶縁不良を生じ、故障の原因となる。
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4 日常管理 4.3 建物管理者による安全啓発等のPR活動 (1)正しい利用 ①正しい利用のPR ・昇降機は、公共性の高い乗り物であること。
4 日常管理 4.3 建物管理者による安全啓発等のPR活動 (1)正しい利用 ①正しい利用のPR ・昇降機は、公共性の高い乗り物であること。 ・正しく使用しない場合、故障や事故に繋がること。 また、自らだけでなく、他の利用者にも危険や迷惑が及ぶこと。 ②環境整備 ・かご内、外扉、乗場などは常に清掃する。 ・落書きをされたら直ぐに落とす。 汚れや落書きを放置すると、悪戯や傷付けなどの悪質な行動を 助長することになる。日常清掃や環境を整備することで、悪戯や 犯罪の防止にも繋がる。
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4 日常管理 (2)利用者へのPR 利用者へ正しい利用、間違った利用をPRし、事故及び故障の防止を 図ることが大切。
4 日常管理 (2)利用者へのPR 利用者へ正しい利用、間違った利用をPRし、事故及び故障の防止を 図ることが大切。 利用者へのPRの例(ステッカー) エレベーター エスカレーター
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5 非常時の対応について 5.1 人身事故が発生した場合 (1)応急手当等の必要な措置 (2)必要に応じて消防署及び 医療機関への連絡
5 非常時の対応について 5.1 人身事故が発生した場合 「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」の報告様式 (1)応急手当等の必要な措置 (2)必要に応じて消防署及び 医療機関への連絡 (3)被害者家族への連絡 (4)保守会社への連絡 (5)必要に応じて特定行政庁などの 官公庁に事故報告 昇降機の不具合による事故の場合は保守会社 に次の事項について報告を求め確認する。 ①原因究明がなされているか ②正常な状態に復帰したか ③再発防止策が施されているか
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5 非常時の対応について 5.2 地震の警戒宣言が発令された場合
5 非常時の対応について 5.2 地震の警戒宣言が発令された場合 大規模地震発生の可能性が高いときは、内閣総理大臣が「地震防災対策強化地域」に対して「警戒宣言」を発令する。 「警戒宣言」が発令されたら、災害防止のために、管理者は昇降機の休止を検討する。 注:警戒宣言の発令は現時点では「東海地震」に限られている。 注:「東海地震」における「地震防災対策強化地域」は、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県、 愛知県、岐阜県、三重県。
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5 非常時の対応について 5.3 地震が発生した場合 ○震度3程度の場合は、試運転を行い異常の有無を確認する。
5 非常時の対応について 5.3 地震が発生した場合 ○震度3程度の場合は、試運転を行い異常の有無を確認する。 ○震度4以上の地震後には、利用を中止し保守会社に連絡。 試運転による異常の確認方法の例(参考) ①かご内に人がいない状態で、最下階と最上階の間を一往復 ②かご内に乗り込み、最下階と最上階を一往復 この試運転にて異常のないことを確認できたら、エレベーターの利用を開始する。
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地震が発生した場合の所有者、管理者、利用者の対応
5 非常時の対応について 地震が発生した場合の所有者、管理者、利用者の対応 (1)閉じ込めの確認 エレベーター内に利用者が閉じ込められていないか確認。 閉じ込められている場合は、保守会社にその事実を確実に伝達。 (2)復旧要請の電話連絡 地震発生の初期は、閉じ込められた利用者の救助が最優先事項である ため、復旧要請の電話連絡は一定時間おいてから連絡する。 また、同じ建物からの複数の連絡を避けるために連絡者を決めることや、 連絡したことを乗場に掲示するなど、保守会社の災害対応の負担軽減に 協力することで、全体復旧が早まることにも理解が必要。 (3)復旧の優先度等 閉じ込め救助、被災者救護の拠点病院等の復旧が優先されることを理解 することが重要。また、災害の規模によっては、1ビル1台の復旧となる こともある。
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5 非常時の対応について 5.4 火災が発生した場合 5.5 停電が発生した場合 ①所有者、管理者はエレベーターを休止させる。
5 非常時の対応について 5.4 火災が発生した場合 ①所有者、管理者はエレベーターを休止させる。 ②利用者はエレベーターを使わない。 火災時の避難にエレベーターを使用すると火災階に停止するなど大変危険。また、火災による停電、消火放水の影響により閉じ込められる恐れがある。 5.5 停電が発生した場合 ①閉じ込めの有無を確認。 ②復電後、エレベーターの運転に問題がないか確認。
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5 非常時の対応について 5.6 台風が接近した場合 5.7 閉じ込めが発生した場合
5 非常時の対応について 5.6 台風が接近した場合 風水害による被害を最小限にとどめるため、次の措置を講じる。 ①エレベーターのかご室は、なるべく上方階で風雨の吹き込み 難い階で休止させる。 ②屋外設置のエスカレーターは運転を停止する。 ③昇降機周りの排水設備を点検する。 (排水溝が異物で詰まり昇降機が冠水することがある。) ④昇降機が冠水した場合は、直ちに運転を停止し必要に応じて 電源等を遮断する。 注:過去に冠水等の被害を受けた昇降機は特に注意が必要。 5.7 閉じ込めが発生した場合 ①インターホン等にてかご室内と連絡をとり、状況を正確に把握 ②保守会社へ連絡。 無理な脱出や救出は危険が伴うので絶対に行わないこと。
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6 昇降機の保守点検 6.1 保守点検の必要性と内容 (1)保守点検の必要性 ・昇降機を常に安全で故障なく使用するには保守点検が
6 昇降機の保守点検 6.1 保守点検の必要性と内容 (1)保守点検の必要性 ・昇降機を常に安全で故障なく使用するには保守点検が 欠かせません。 ・適切な保守点検を行わなければ、次のことがいえる。 ①期待される寿命も全うし得ない。 ②故障も多くなり、利便性が下がるだけでなく、事故にも繋がる。 ③結果的に経済的な負担が増すこともある。
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6 昇降機の保守点検 (2)保守点検の内容 ●予防保全・・・適法状態・所期性能を維持し、故障や不具合を未然に防止するために行う 予防措置
6 昇降機の保守点検 (2)保守点検の内容 ●予防保全・・・適法状態・所期性能を維持し、故障や不具合を未然に防止するために行う 予防措置 (1)点検・保守 ①点検 機器や機能の状態を確認するもの。 ②保守 点検結果に基づき機器の手入れ(清掃、給油、調整、消耗部品等の取替)を行うもの。 (2)検査 ①法定検査 建築基準法又は労働安全衛生法に基づき、その時点での状態判定を行うもの。 ②社内検査 保守会社が独自に定期的に行うもの。 (3)修繕工事 点検及び検査の結果に基づき、性能低下をきたしている部位に対し、正常・良好な状態に回復させるため、消耗部品以外の部品、機器の取替、オーバーホール等を実施するもの。 ※FM契約の場合に含まれる工事(POG契約の場合は含まない)。 ●事後保全・・・故障や不具合が発生した場合に行う事後対応。 発生原因を究明し、改善措置を行い、正常な状態に復帰させる。 また、必要に応じ再発防止策を講じる。
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6 昇降機の保守点検 6.2 一般的な保守点検契約の種類と内容の比較 比較項目 内容 FM契約 POG契約 点検 機器の状態確認。 含む
6 昇降機の保守点検 6.2 一般的な保守点検契約の種類と内容の比較 比較項目 内容 FM契約 POG契約 点検 機器の状態確認。 含む 保守 点検結果に基づき機器の手入れ。 (清掃、給油、調整、消耗部品等の取替) 事後保全 故障や不具合が発生した場合に行う事後対応。 機器交換は含まない 修繕工事 性能が低下した部位に対し、正常・良好な状態に回復する工事。 含まない 法定検査 関係法令に基づく検査。 特記 意匠品 交換、補修、清掃等。 災害 地震等の災害で損傷した場合の復旧工事。 ・法定検査については、契約書で約定しない限り一般的に含まれない。 ・POG契約は、修繕工事が含まれないため長期的な修繕工事計画に基づく予算措置が必要 である。また、故障に伴う機器の交換で突発的な費用の発生もあり得る。 一方、FM契約は、それらが契約に含まれるため、支出の平準化ができ予算化が容易。
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6 昇降機の保守点検 6.3 遠隔監視・遠隔点検 個々のエレベーターと保守会社の情報センターを電話回線などで結び、「異常の常時監視」「遠隔で点検」を行うもの。 機能 遠隔監視 ・かご内と情報センターの直接通話機能。 ・異常の有無を常時監視し異常発生時に通報する機能。 (閉じ込め、起動不能、停電等) 遠隔点検 上記「遠隔監視」に加え次の機能などがある。 ・運行状態の異常の有無を点検する機能。 (かごの運行状態等) ・機器の変調(前兆)及び診断をする機能。 (機械室機器の状態、戸の開閉装置の状態等) 正常領域 変調領域(前兆領域) 故障領域 変調(予兆)とは 変化レベル 時間
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6 昇降機の保守点検 6.4 長期修繕計画 常に適法状態と所期性能を維持するためには、定期的な修繕工事が必要である。次のことを考慮し長期修繕計画を立てる。 ・特性(使用目的、付加仕様等)・・・重要度の高い昇降機ほど的確な修繕計画が求められる。 ・稼動頻度、設置環境を確認する。 ・定期的に計画の見直し。(当初の見込みとの違い、稼動頻度の変化等を確認する。) 25年間の年平均
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6 昇降機の保守点検 6.5 保守点検費用の構成要素 保守点検を行うには、専門技術者が行う保守点検の人件費、部品費以外にも多くの費用がかかる。 保守点検費用の構成要素の一例 構成要素 専門技術者が行う保守点検の費用 ・専門技術者の作業費 ・部品費 ・運搬費、交通費 上記以外の費用 ・計画的な保守点検を行うための情報管理。 (作業計画、作業履歴、故障履歴等) ・品質を高めるための研究開発。(専用治具の開発等) ・作業時間を短縮するための研究開発。 (作業手順の研究、標準化等) ・情報センターの運営。 ・部品供給システム。 ・故障の対応(バックアップ体制等) ・専門技術者の技術教育等。
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6 昇降機の保守点検 6.6 保守会社の選定 昇降機の保守点検は、専門性が高いため、専門的な技能、技術及び知識が必要。しかし、現実は特に感心を払わずに保守会社を決めたり、保守点検料の多寡(高い安い)のみで選定するケースがある。 保守会社の選定時に考慮すべき主な事項 ①業者の信用力 :経営状態など ②専門技術者の確保及び教育:資格者の人数や教育訓練の体制など ③保守点検の品質確保体制 :法令や社内規格等への適合のチェック体制など ④保守拠点 :近隣の保守拠点の設置や専門技術者の配備など ⑤緊急対応体制 :災害時の緊急対応体制や部品ストックなど
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6 昇降機の維持管理に要求されるもの 必須事項 法令に適合していること 保守会社により 差が生じる事項
6 昇降機の維持管理に要求されるもの 必須事項 法令に適合していること ○所期性能を維持していること(物理的劣化を最小限に抑える) ・適切な時期、周期での点検の実施 ・適切な基準に基づいた保守の実施 ・適切な時期に修繕工事の実施 ○安心して利用できること ・故障が少なく、快適に利用できること ○故障の未然防止 ・過去の故障等の統計分析による対策 ○故障、災害、事故発生時の迅速な対応 ・24時間365日の対応 ・バックアップ体制 ・部品の供給体制 ○維持管理に対する助言 運行管理、修繕計画、改造及び改修工事、 行政手続(事故報告、改修工事時の確認申請等) 保守会社により 差が生じる事項
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6 昇降機の保守点検 6.7 昇降機の保守点検内容の引継ぎ
6 昇降機の保守点検 6.7 昇降機の保守点検内容の引継ぎ 昇降機の所有者・管理者は、作業結果の報告書を適切に保管し、保守会社が変更になった場合は、次の保守会社に報告書を提示し、保守点検結果の引継ぎを行うことが必要。 作業結果の報告 引継ぎ 所有者 管理者 保守会社 次の保守会社 ・保守点検報告書 ・修繕工事報告書 ・故障修理報告書 ・定期検査報告書 など 怠ると、重大な不具合の進行が見逃され、事故につながるおそれもある。
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・機種毎に異なる数多くの部品で構成されている。 ・仕様、用途、設置環境が異なる。 ・使用状況が異なる。
6 保守会社への保守点検の委託の必要性 昇降機の保守点検は多種多様である。 ・機種毎に異なる数多くの部品で構成されている。 ・仕様、用途、設置環境が異なる。 ・使用状況が異なる。 個々の昇降機に見合った計画 点検項目、保守点検頻度、修繕工事内容。 故障が少なく、安全に利用するために 専門的な知識、技能を有した保守会社に保守点検を 依頼するのが一般的。
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7 関係法令に基づく定期検査等 本章の説明は、一般的な例であり、実際の 運用等については、個々に関係機関に確認 する必要がある。
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7 関係法令に基づく定期検査等 7.1 法に基づく検査等の区分と基準及び周期 エレベーターは設置場所により次の法令の適用を受ける。
7 関係法令に基づく定期検査等 7.1 法に基づく検査等の区分と基準及び周期 エレベーターは設置場所により次の法令の適用を受ける。 建築基準法 労働安全衛生法 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの又は、地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所等の施設に設置する場合。(鉄道及び軌道の線路敷地内の施設並びにプラットホームの上施設等及び、文化財保護法の適用を受けるもの等に設置するものを除く。) (建築基準法第2条第一号) 労働基準法別表第一における一号から五号の事業(製造業、鉱業、建設業、運輸業及び貨物取り扱い業等の事業場)に設置する、積載荷重0.25t以上のエレベーター。(せり上げ装置、船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び主して一般公衆の用に供されるものを除く。) (クレーン等安全規則第2条) 建築基準法の適用を受け、更に労働安全衛生法の適用を受けるエレベーターは双方の検査が必要であるが、検査の重複を排除するために関係官庁から通達が出されている。 適用が重複する場合、積載が1t以上はクレーン等安全規則の「性能検査」、1t未満は建築基準法の「定期検査」を行えば双方の検査をしたとみなされる。
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7 関係法令に基づく定期検査等 (1)建築基準法に基づく定期検査 次項(2)を除く昇降機は、定期に有資格者による検査を受け、
7 関係法令に基づく定期検査等 (1)建築基準法に基づく定期検査 次項(2)を除く昇降機は、定期に有資格者による検査を受け、 その結果を特定行政庁に報告しなければならない。(法第12条第3項) 検査実施者 国土交通大臣が定める資格を有する者 検査周期 1年周期 (2)建築基準法に基づく定期点検 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の昇降機は、定期に 有資格者に点検をさせなければならない。(建築基準法第12条第4項) 検査実施者 国土交通大臣が定める資格を有する者 検査周期 1年周期
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7 関係法令に基づく定期検査等 (3)労働安全衛生法に基づく検査 法に基づく検査の対象、種類、実施者及び周期は次の表の通り。 対象
7 関係法令に基づく定期検査等 (3)労働安全衛生法に基づく検査 法に基づく検査の対象、種類、実施者及び周期は次の表の通り。 対象 検査(年次) 自主点検(月次) 積載荷重 1t以上 種類 性能検査 クレーン等安全規則第162条 自主検査 クレーン等安全規則第155条 実施者 厚生労働大臣の登録を受けた「登録性能検査機関」 事業主 周期 1年 1ヶ月 0.25t以上 1t未満 クレーン等安全規則第154条
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7 関係法令に基づく定期検査等 7.2 検査結果の保管など
7 関係法令に基づく定期検査等 7.2 検査結果の保管など 検査時に前回検査の結果を確認するなど、検査結果の適切な保管及び検査時に検査実施者に閲覧させる必要がある。 適用される法令 保管対象 建築基準法 ①前回の検査報告書 ②前回検査からの不具合の発生状況 労働安全 衛生法 積載荷重 1t以上 ①エレベーター検査証 ②月次の自主点検結果 0.25t~1t未満 ①年次の自主点検結果
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7 関係法令に基づく定期検査等 7.3 定期検査結果の書類の閲覧
7 関係法令に基づく定期検査等 7.3 定期検査結果の書類の閲覧 建築基準法に基づく定期検査で特定行政庁に報告した結果の概要を一般が閲覧することができる。 そのため、閲覧者が報告された昇降機の「要是正」「要重点点検」 「既存不適格の有無」について知ることができる。
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7 関係法令に基づく定期検査等 7.4 罰則規定 適切な対応を行わなかった場合、罰則の対象となり何れも両罰規定により、「行為者」及び「法人」が罰せられる。 対象 内容 罰則 定期検査報告 建築基準法第101条 ・報告をしない場合。 ・虚偽の報告をした場合。 100万円以下の罰金 性能検査 労働安全衛生法 第119条第一号 第120条第五号 ・検査証の有効期限を超えて 使用した場合。 6ヶ月以下の懲役又は 50万円以下の罰金 ・休止報告をせず検査証の 有効期限を超えた場合。 自主検査 (年次・月次) 第120条第一号 ・実施しない場合。 ・記録規定に違反した場合。 (3年間の保管義務など)
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7 関係法令に基づく定期検査等 7.5 その他注意すべき事項など 昇降機の休止、使用再開、廃止、改造及び改修時の届出等 法令
7 関係法令に基づく定期検査等 7.5 その他注意すべき事項など 昇降機の休止、使用再開、廃止、改造及び改修時の届出等 法令 休止、使用再開、廃止 改造・改修 建築基準法 所定の書式で特定行政庁へ届ける。 規模により次の対応 ・簡易なもの(三角部固定保護板追加など) 定期検査報告の結果で報告。 ・小規模なもの(制御リニューアルなど) 所轄の建築主事に報告。 ・大規模なもの(全撤去新設など) 所轄の建築主事の「確認審査」「完了 検査」を受ける。 労働安全 衛生法 積載荷重1t 以上の例 ・有効期限を超えて休止する場合は、 その旨を所轄の労働基準監督所長 に届ける。 ・廃止する場合は、検査証を所轄の 労働基準監督所長に返還する。 主要な構成機器を変更する場合は、所轄の労働基準監督所長に「変更届」を提出し「変更検査」を受ける。
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7 関係法令に基づく定期検査等 行政手続のイメージ 労働安全衛生法 建築基準法 労働基準監督署長 特定行政庁 所有者・管理者 事業主
7 関係法令に基づく定期検査等 行政手続のイメージ 労働安全衛生法 建築基準法 労働基準監督署長 特定行政庁 定期検査報告 休止、再使用、廃止届け 設置届け、設置報告 休止、再使用、廃止届け 確認申請 所有者・管理者 事業主 建築主事 年次自主検査( 0.25t~1t未満) 月次自主検査( 0.25t以上) 定期検査 事業主 昇降機検査資格者 性能検査(1t以上) 登録性能検査機関
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竣工当時は、最新技術を搭載した安全性、利便性の高い製品であっても、その後の技術進歩及び社会環境の変化などから最新の製品と比較すると劣る。
8 改修工事(リニューアルの必要性) 竣工当時は、最新技術を搭載した安全性、利便性の高い製品であっても、その後の技術進歩及び社会環境の変化などから最新の製品と比較すると劣る。 ・安全性確保のための関係法令改正への対応(制動装置の二重化等)。 ・耐震性能の向上。 ・エネルギー消費量の改善(インバーター化)。 ・遮煙ドアの登場。 ・防犯関係の向上(防犯カメラ等)。 ・ユニバーサルデザイン化。
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8 改修工事(リニューアルの必要性) 安全性確保のための関係法令改正への対応 (制動装置の二重化) 代表的な二重化の方法(①又は②)
8 改修工事(リニューアルの必要性) 安全性確保のための関係法令改正への対応 (制動装置の二重化) 代表的な二重化の方法(①又は②) ①電磁ブレーキを二重化する。 ②主ロープに作用して止める。 ※通常の運転制御プログラムから独立して作動する構成で なければならない。 巻上機 主ロープ 第1の電磁ブレーキ ①第2の電磁ブレーキ かご シーブ 釣合おもり 巻上機 主ロープ ②主ロープ制動装置 ディスク
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8 改修工事(リニューアルの必要性) 耐震性能の向上 ~ 1970 1980 1990 2000 2010 ▲1972年 ▲ 1981年
8 改修工事(リニューアルの必要性) 耐震性能の向上 ~ 1970 1980 1990 2000 2010 見直しの契機となった地震 サンフェルナンド地震(米) 宮城県沖地震 兵庫県南部地震 新潟県中越地震等 主な強化の 内容 ・脱レール対策 ・巻上機、制御 盤の固定強化 の強化 ・ロープの外れ 止め対策 ・出突物に対す る対策 ・釣合おもり ブロック脱落 防止対策 る対策の強化 ・主ロープの 外れ止め対策 メーカー自主基準 ▲1972年 昇降機防災対策標準 ▲ 1981年 エレベーター耐震設計・ 施工指針 ▲ 1998年 昇降機耐震設計・ 施工指針 2009年▲ 昇降機耐震設計・ 施工指針
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8 改修工事(リニューアルの必要性) エネルギー消費量の改善
8 改修工事(リニューアルの必要性) エネルギー消費量の改善 交流2段速度制御エレベーターの消費電力を100とした場合の省エネ効果の推移である。 現在では 1/3以下 駆 動 交流2段制御 交流帰還制御 インバータ制御 制御の 技術革新 制 御 リレー制御 マイコン制御 巻上機の 技術革新 巻上機 ウォームギヤ ヘリカルギヤ ギヤレス
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8 改修工事(リニューアルの必要性) (1)改造工事
8 改修工事(リニューアルの必要性) (1)改造工事 所期性能の維持を目的とした、保守点検及び修繕工事とは別のもので、昇降機の「機能、仕様を追加又は変更」するもの。 工事内容の例 現行法令で義務化 エレベーター 地震時管制運転装置(予備電源含む)取り付け ○ 停電時管制運転装置取り付け 火災時管制運転装置取り付け 戸開走行保護装置取り付け 耐震対策工事 フェッシャープレート取り付け 車椅子対策工事、視覚障害者対策工事 マルチビームドアセンサー取り付け サービス階切放し工事、パーク階変更工事 防犯カメラ取り付け エスカレーター 手すり入り込み口スイッチ取り付け スカートガードスイッチ取り付け 三角部固定保護板取り付け 可変速度化工事 青文字部は2009年法改正により義務化又は強化された事項
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8 改修工事(リニューアルの必要性) (2)改修工事
8 改修工事(リニューアルの必要性) (2)改修工事 昇降機の物理的劣化の解消と、社会環境の変化による要求レベルの向上を満たすために昇降機の入替をするもの。 全撤去新設から部分改修まで色々な種類がある。改正法に適応することも検討し、種類を決める。なお、部分改修の場合、将来的に他の部分の改修も必要になることがあり得ることも考慮する。 これらを実現させるための、建物全体の修繕計画に予算を盛り込む必要がある。
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(社)日本エレベータ協会ホームページ紹介
○維持管理に役立つ情報 ○安全利用に関する情報や啓発ための資料 ○昇降機の歴史 など 検索キーワード:日本エレベータ協会
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参考文献 書籍名 内容 発行 「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」及び同解説(1994年) 建築保全業務共通仕様書(平成20年版)
昇降機の所有者、管理者がおこなう維持及び運行の管理に関する指針の解説及び指針に沿った運行管理規定(案)が記載されている。 (財)日本建築設備・ 昇降機センター 建築保全業務共通仕様書(平成20年版) 一般的な昇降機の点検項目と点検周期が機種別、遠隔点検別にある。 (財)建築保全センター (財)経済調査会 建築保全業務積算基準(平成20年版) 建築保全業務共通仕様書の内容から必要な費用を積算するための方法等。 建築保全業務共通仕様書・建築保全業務積算基準の解説(平成21年版) 「建築保全業務共通仕様書」「建築保全業務積算基準」の実務手引きとして詳細な解説。 昇降機・遊戯施設定期検査業務基準書(2010年版) 建築基準法に基づく定期検査の具体的な内容と解説。 昇降機検査資格者講習テキスト (2009年版) 昇降機に関する法令等及び機械・電気工学に等の解説。 昇降機技術基準の解説(2009年版) 昇降機の設計者向けに建築基準法の解説や設計上の留意事項について解説されている。また、昇降機耐震設計・施工指針の内容と解説もある。 (社)日本エレベータ協会 昇降機の検査標準 JIS A 4302(2006年版) 昇降機の竣工検査及び定期検査の項目と判定基準等が示されている。 ※定期検査は、法改正により国土交通大臣が 定める告示に基づき行う必要がある。 (財)日本規格協会 エレベーター・エスカレーター入門 昇降機の歴史、原理、機器の説明がり昇降機を勉強するのに適した入門書。 株式会社 広研社
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昇降機の保守と管理 ベータくん エスカちゃん 社団法人 日本エレベータ協会 メンテナンス委員会 初版: 2011年3月1日 改訂: ー
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