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熊本県第2回市町村業務継続計画等策定支援研修会
自治体の災害対応課題と 業務継続計画策定の必要性 2018年2月5日 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 紅谷 昇平
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「住民対応」と「内部体制整備」の両方が必要
被災地の住民・企業など 応急対応・支援 地域防災計画で規定 (防災・危機管理部局) 自治体の災害対策本部 業務継続計画等で検討が必要(総務部局) 内部体制整備 自治体内部・協定先など ・庁舎、設備、非常用発電器等の備え ・職員やその家族の安全確保・安否確認 ・職員の動員、ローテーション ・業務の優先順位付けと職員・応援職員の配置 ・職員用の食料、トイレ、救護所等の確保 など 考えられていない場合も多い 2
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BCP策定の、裏の目的 策定プロセスを通じて、庁内の防災体 制を強化する (各部局、職員の防災意識を高める) 職員の生活、安全、健康を守る
(各部局、職員の防災意識を高める) 職員の生活、安全、健康を守る (自らが職員向け研修の講師となり、職員に、 このことを伝えるつもりで、今日のお話しをお 聞き下さい。)
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1.自治体の災害対応課題 :災害時、きちんと働けますか?
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災害対応に関する勘違い 被災自治体の職員の方の声を聞くと・・・・ 災害時でも、庁舎や設備、機器は使えるだろう。
災害時でも、職員はそれなりに集まるだろう。 災害対応は、防災・危機管理部局に任せておけばいい。 立派な地域防災計画やマニュアルがあるから大丈夫。 被災自治体の職員の方の声を聞くと・・・・ 5
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実際には・・・・ 「普段から、もっときちんとマニュアル、計画を作っておけば良かった」 「訓練をきちんとすれば良かった」
うちの部署が、こんなに忙しくなるとは思わなかった。 電気もパソコンも電話も、全く使えなくなるとは思えなかった。 何日も、食べるものもない状態で、家にも帰れなくなるとは思わなかった。 誰も指示を出してくれず、自分で考えて動かなければならなかった。 「普段から、もっときちんとマニュアル、計画を作っておけば良かった」 「訓練をきちんとすれば良かった」 6
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自治体の災害対応の課題 地域防災計画に「やるべきこと」は書かれている。
でも、「誰が、どのようにやるのか」が決まっておらず、災害時に実行できない。 その理由として、「庁舎・設備・人員の準備不足」、「防災部局任せ(当事者意識の不足)」、「災害時の業務の優先順位が不明確」なことが挙げられる。 職員の安全確保、生活、安否確認などについて、ほとんど考えられていない自治体も多い。 そこで、地域防災計画を補完するために、業務継続計画(BCP、Business Continuity Plan)が必要となる。 7
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制約を考えるべき資源 ■人 ・稼働できる要員数の増加、代替要員の確保・育成、職員の 住宅の安全確保 ■施設・設備
・稼働できる要員数の増加、代替要員の確保・育成、職員の 住宅の安全確保 ■施設・設備 ・耐震補強、代替施設の確保、設備等の代替調達先の確保 ■資金 ・給料、決済、復旧資金の手当て (自治体の場合、災害救助法の申請(4号適用)、特例基準 の活用、国への要望、なども含む。) ■情報 ・データ、重要な文書等のバックアップ 8 8
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庁舎の損壊 ・庁舎自体(内装、設備を含めて)が被災し、直後に利用 できないケースが多い。
・免震構造にしても、津波、火災により、近づけない場合 がある。 ・情報については、複数の拠点への分散化が必要。 9
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(スプリンクラーが壊れ、水浸しになった)
中越地震、長岡市 中越地震における長岡市役所の被害 (スプリンクラーが壊れ、水浸しになった) 10 10
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実際の災害対策本部(事務局)の風景 被災直後は、屋外の駐車場やテントに 災害対策本部を設置した事例が多い。 中越地震、川口町 11
DRI撮影 DRI撮影 被災直後は、屋外の駐車場やテントに 災害対策本部を設置した事例が多い。 11 新潟県中越地震 川口町 11
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常総市役所の浸水被害(2015年) 鬼怒川の破堤場所から、8時間かけて、水が 市役所に到着し、浸水。
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庁舎・設備の被害 津波被害だけでなく、地震の揺れによっても、過去の災害と同 様の庁舎被害が発生していた。 <事例>
東日本大震災における 業務継続の課題 庁舎・設備の被害 津波被害だけでなく、地震の揺れによっても、過去の災害と同 様の庁舎被害が発生していた。 <事例> 地震、津波で庁舎が使えなくなり、プレハブ等の仮設庁舎が 必要となった。 (一方、バックアップ拠点を決めていたことで、スムーズに対 応が進んだ事例もあった) 電話回線では、光電話がストップ。回線増設に時間がかかり、 電話機も不足した。 災害対応用のコピー機の能力が不足。 非常用発電装置、無線設備が1階、地下であり、津波での浸 水後は、連絡がとれない状況となった。 13
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東日本大震災では、津波よりも、地震の揺れによる 被害で、庁舎移転した市町村が多い。
震度6弱以上を観測した 都道府県 地震・津波被災により 本庁舎を移転した市町村数 合計 移転 一部移転 岩手県:全市町村数34 4(3) 2(2) 2(1) 宮城県:全市町村数35 5(3) 3(2) 福島県:全市町村数59 6(0) 3(0) 茨城県:全市町村数44 8(0) 5(0) 栃木県:全市町村数27 1(0) 2(0) 群馬県:全市町村数35 0(0) 埼玉県:全市町村数64 千葉県:全市町村数54 合 計 237 28(6) 13(4) 15(2) ※( )内の数字は本庁舎が津波による被災を受けた市町村の数で内数。 ※福島原発事故の影響による移転は含んでいない。
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東日本大震災 山元町 15 15
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東日本大震災 山元町 16 16
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東日本大震災 亘理町 17 17
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東日本大震災 亘理町 18 18
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熊本地震・益城町役場 (耐震工事済みだったが被災)
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熊本地震・大津町の仮設庁舎 (隣接した町民交流センター)
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熊本地震・宇土市の仮設庁舎 (市民体育館)
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首長、職員の出勤 ・家族が被災すると、市長と言えども参集できない。 ・参集については、歩留まりを考慮して、参集要員を
多めに指定しておくことが必要。 22
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1995年・阪神・淡路大震災 この時、助役が陣頭指揮を執り、市長がいなくても、 芦屋市役所は機能していた。 芦屋市長
日高課長が到着し、まず、腰を強打した北村市長の夫の巌 さんを病院に運ぶことになった。市立芦屋病院が市長宅から 歩いて一分ほどのところにあった。日高課長が病院へ走り、 キャスターのついた簡易ベッドを借りてきた。病室から手術 室に運ぶときに使うベッドである。 北村市長、次男の豊さん、日高課長、そして近所にいた人の 手で、巌さんを庭から路上の簡易ベッドに運んだ。玄関のひ さしが崩れ落ち、道路に下りる石段には瓦や木材が散乱し ていて、苦労した覚えが北村市長にはある。 穴水町・石川町長 「芦屋女性市長震災日記」より この時、助役が陣頭指揮を執り、市長がいなくても、 芦屋市役所は機能していた。 23
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非常参集要員の人員は十分か? 24
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2007年・中越沖地震 柏崎市において、指定避難所80カ所、実際には、自主的な避 難所を含めて約100カ所で避難者が生活。
元々の計画では、「地震後、各避難所(予定施設)に職員2名が 訪問し、開錠し、避難所を設置する」ことになっていた。 柏崎市の市長部局職員は700名。 100カ所の避難所に、職員1名を、24時間交代で派遣したとし ても、常時200名の職員が避難所運営にとられることになる。 これで、通常業務がこなせるのか? (実際には、中越地震を経験した新潟県が、すぐに各避難所に 応援職員を派遣。地元コミュニティも対応。もし、市職員だけで 対応したとしたら、1カ所に何名必要だったのだろうか?) 25
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職員の不足 過去の局所災害を想定した計画では、広域災害時のマンパ ワーの絶対数が不足した。 <事例>
東日本大震災における 業務継続の課題 過去の局所災害を想定した計画では、広域災害時のマンパ ワーの絶対数が不足した。 <事例> ・ローテーション体制や庁内での応援要員確保が十分に考えられていなかった。 ・通勤困難な職員が多数発生し、事後的に、自宅最寄りの事務所等で災害対応に当たることになった。 ・外部応援の受援体制が不足し、応援職員を有効に活用できなかった。 ・技術職など専門的知識を有する人材が、一般的な応援業務に回されるなど、全庁的に有効に配置する体制が不十分であった。 26
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職員の職務環境 ・食べるもの、寝る場所、トイレ、負傷した職員の救助( 人員、医療用具)なども備える。 27
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職員の安全確保対策、執務環境 内閣府の震災自治体BCPの手引きと対策でも、記載が不十 分だった点。
東日本大震災における 業務継続の課題 職員の安全確保対策、執務環境 内閣府の震災自治体BCPの手引きと対策でも、記載が不十 分だった点。 問題のある地域防災計画、マニュアルのため、自治体職員に 犠牲が発生した。また職員の執務環境も劣悪であった。 <事例> ・自治体職員の災害時マニュアルに問題。多数の犠牲が発生。 ・職員のための救助、救護体制が考えられていない。 ・被害調査時の安全確保対策が不十分だった。 ・職員用の食料備蓄がなく、食料調達方法も決まっておらず、食べるものがない状態で業務をすることとなった。 ・避難者受入を想定しておらず、対応する職員、備蓄食料等がなかった。(または津波で備蓄が浸水した場合があった) 28
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燃料不足 ・民間との協定には、罰則規定がなく、実効性に疑問。 30
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東日本大震災 ガソリン待ち行列 31
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東日本大震災 津波で被災した自動車の給油口が こじ開けられ、ガソリンが抜かれている 32
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外部応援の活用 33
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民間企業への委託 中越沖地震における各避難所への食料及 び生活必需品の配給は、新潟県トラック協 会(日本通運)が、7月20 日から8月31 日 まで市役所裏車両倉庫に救援物資配送セ ンターを設置し、各避難所へ配送した。 倉庫管理、物資輸送は、委託しても、災害救助法で支払われる。躊躇せず、外注すべき。 職員自ら取り組んで、よいことは一つもない。 34
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■資源制約を考える 現在の地域防災計画に、最も欠けている視点。自らの 限界を知ることが大切。
庁舎、設備・電源の被害想定を踏まえた計画を策定す る。 庁舎が耐震でない町・村の場合には、自動車に衛星 携帯とマニュアルを入れておくだけで、簡易なバックア ップオフィスとなる。 人的資源の不足は、小規模な市町村では、必然的に 発生する。平時において、県や他の市町村との応援協 定、ボランティア・自主防災組織の育成などの備えをし ておく。 電子情報が使えない事態も想定しておく。 35 35
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2.業務継続計画(自治体BCP) とは何か
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業務継続計画(自治体BCP)の定義 災害時に行政自らも被災し、人、物、情報等利用 できる資源に制約がある状況下において、優先 的に実施すべき業務(非常時優先業務)を特定 するとともに、業務の執行体制や対応手順、継 続に必要な資源の確保等をあらかじめ定め、地 震等による大規模災害発生時にあっても、適切 な業務執行を行うことを目的とした計画 (内閣府「大規模災害発生時における地方公共団 体の業務継続の手引き」より)
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自治体BCPとは? ・ 自治体のBCP(業務継続計画:Business Continuity Plan) とは、災害等の資源制約下において、最低限必要な優先 業務を継続させるために策定する計画。 ・ 地域防災計画と比較すると、 「最低限必要な業務を、いかに継続させるか」 「優先業務の継続に必要な資源を、いかに確保するか」 を考慮する点が異なる。 (特に後者が重要) ・ 様々な制約条件を考慮したうえで、必要性の高い業務を、 何とかやりとげる方法を考える。 ・ したがって、地域防災計画と全く別の計画をつくる必要は ない。 38 38
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企業と自治体のBCPの違い 制約条件 対応 民間 企業 資源制約 重要業務の絞り込み 制約条件 対応 数日 資源制約 優先業務の絞り込み 自
やるべき業務 必要な資源の確保 その後 国、自衛隊、他自治体等からの支援 39 39
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災害後の時間推移と自治体BCPの目的 BCP有りの場合 ③外部応援の確保 業 務 BCP無しの場合 レ ベ ル 平常時の業務レベル
②業務立ち上げ時間の短縮(非常時優先業務の早期実施/再開) ①発災直後の業務レベルの向上(優先度の高い業務の継続) 発災 時間軸 40
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「常総市職員 残業300時間超も 鬼怒川決壊対応で」
「常総市職員 残業300時間超も 鬼怒川決壊対応で」 大雨被害や地震などの大災害が相次ぐ中、各地の自治 体で、職員の長時間労働が課題となっている。被災者 の対応や復旧などで深夜勤務や休日返上が続くからだ 。専門家は、過重労働を防ぐため、災害時の適切な人 員配置を防災計画に盛り込むべきだと指摘している。 昨年9月の関東・東北豪雨により鬼怒川の堤防が決壊 した茨城県常総市では、育児休暇などを除いた全職員 492人が出勤した。災害発生後3週間の時間外勤務( 休日出勤を含む)は平均139.2時間。最長は部長(1 人)の342時間。 外部応援がないと、残業で対応するしかない 外部応援がないと、残業で対応するしかない 毎日新聞2016年1月21日
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自治体がサプライチェーン(取引先)として考える対象
外部委託先の企業(IT関係) 他部局(どのような情報が必要か) 防災関係機関 (自衛隊、病院、NTT,電気事業者、等) 燃料、発電装置等の協定先企業 (罰則規定がないと、履行されるかどうかは不明) 施設の復旧に必要な建設関係企業 国、県、市町村 (町・村では、県からの応援は不可欠だし、県は 基礎自治体からの情報が不可欠) 市民、被災者、自主防災組織 ただし、外部連携は、BCPを一旦作った次の段階の話。 (急ぐ必要はない)
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<参考:外注先、指定管理者との調整> IT関係や職員食堂の運営など、外注する場合には、BCPの 観点からの要求事項を明確にすることが必要。
(東日本大震災時、宮城県庁では、職員の食料は、食堂の外 注先を通して確保した) 避難所等として利用される施設が、指定管理されている例が 増えている。指定管理者に対しても同様に、災害時の要求事 項と、それを実行するための備え(備蓄、訓練)が必要。 横浜市では、「指定管理者災害対応の手引き」を作成し、災 害時の対応体制と報告・連絡体制などの整備を求めている。 saigaitaiounotebiki4.pdf 43
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自治体BCPへの2つのアプローチ 自治体BCPの必要性 資源制約を踏まえ、実効性を持たせる 非常時優先業務を絞り込み、継続させる
■民間企業のBCP ・重要業務の絞り込み ・影響度評価の実施 ・目標復旧時間の設定 ・サプライチェーンの評価 ・必要な対策の実施 ■自治体の災害対応課題 ・機能しない災害対策本部 ・実行できない地域防災 計画 44
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3.自治体BCPの策定
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消防庁「業務継続計画策定状況」 (平成28年4月現在) 自治体BCPの策定率:H28年度末までに6割が策定予定。
市町村 41.9%、730団体 (同 +95団体) 46
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自治体で問題となるのは ・できるだけ総務部門に担当してもらう。 ・全庁的な体制で検討する。 ・首長、幹部のお墨付きをもらう。
誰が、どういう体制でつくるのか? ノウハウがないけれども、どうすればいいのか? 他部署、取引先の協力は得られるのか? 職員には、BCPの必要性について理解してもらえ るのか? ・できるだけ総務部門に担当してもらう。 ・全庁的な体制で検討する。 ・首長、幹部のお墨付きをもらう。 (できれば庁内会議に出席してもらう) 47
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BCP策定の隠れた意義 総務部、人事、管財、トップを巻き込むための方便。 (防災部局だけでは出来ない資源管理をやる)
(防災部局だけでは出来ない資源管理をやる) 職員の研修、教育に生かす (災害が発生したら何をするのか考えさせる) 実は、それができれば、「BCP」として策定する必要は ない。地域防災計画のマニュアル(資源管理、庶務的 業務等)を作成するのでも良い。 (でも、地域防災計画本体に入れると、柔軟な修正が やりにくい)) 48 48
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自治体BCPの策定体制 首長の理解・了承 体制 構築 各部局への説明会、職員研修の開催 プロジェクトチーム(PT)・策定会議の設置
非常時優先業務の特定 資源・実行体制の評価 想定災害による業務影響度分析 必要な事前対策の検討 BCPの見直し・推進体制の検討 計画 策定 PT・策定会議 進行 管理 座長 (首長・特別職) 主管部局 (総務部局・防災部局) 各部局 計画策定では「想定災害による業務影響度分析」が最初になる場合がある。
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BCPの策定体制(アンケート結果より) 約半数の自治体では、担当したのは1名から2名。 外部のコンサルタント、有識者が入っているのは3割。
作成期間は約半数が1年未満。 6割の自治体は、予算ゼロ。 27%で既存の会議体(防災会議等)、22%で新規の会 議体で検討(審議、承認)。 6割以上が「他の関係機関との調整なし」 作成で苦労した点 全庁的な理解を得ること 前提とする災害状況の設定 非常時優先業務の選定における庁内調整 資源確保策の検討が困難 不十分な体制で策定している 出所:「地方自治体における震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書」
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BCP策定済み自治体の状況 (10自治体へのヒアリング結果より)
マンパワー不足より、「問題意識を共有する仲間がい ない事」が問題の本質(1) 出所:「地方自治体における震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書」
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参考:大阪府内市町村BCP策定の手引書(25年7月)
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堺市 ・各部局の総務担当課長補佐から構成する検討部会を設置.危機管理室主導のイメージを薄める. ・委託業者に丸投げはしない.策定市等の既存の優先業務一覧は,いきなり各部局に提示しない. ・職員参集率の基礎データはきめ細かく. ・各部局に初動マニュアル作成を働きかける. 箕面市 ・トップダウンのBCPで全庁のフレームをつくり,中身は各部局主導で実働マニュアルを作成する. ・業務の優先度は,企画部局等が俯瞰的に精査. ・うちの「BCP」には何が必要か,から被害想定や前提条件を考える. ・BCPは法定計画でないので,「こうでなければ」という制約はない.「実際に地震時に使えれば十分」と割り切って作る. 豊中市 ・内閣府の手引き・解説と,作成済みの豊中市新型インフルエンザ対策業務継続計画を活用. ・被害想定は最大影響地震とし,職員の参集状況は考慮していない. ・非常時優先業務は,地域防災計画とインフルエンザ対策BCPの各部署の所掌事務を基本とした. ・複雑に考えず,最初はシンプルに捉える. ・庁内で,どのレベルのBCPを,いつまでに作成するのか,しっかり意思決定する.
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四条畷市 ・BCPは地域防災計画を補完するものと考え,内容の重複を避けた. ・BCPはこうあるべき,という考えにとらわれない. ・コンサルタント委託せず,庁内ヒアリングベースで策定.職員の意識啓発になることも期待. 芦屋市 ・図上訓練等を行い計画の検証をし,実効性のあるものにする. ・災害時には,目の前の情報だけでなく,将来の需給を踏まえた予測をし,本部会議で検討する. ・BCP策定の明確な目標を定めて,職員に周知を図ったうえで,全庁的な調査等を行う.(部分最適でなく,全体最適を常に意識する) ・計画を策定していても,災害や危機対応の現場では,計画と違った応用を求められることがある. 西宮市 ・業務の優先度は,担当部局だけに任せるのも,防災部局の目線でまとめるのも限界がある.客観的に評価する指標は「事務事業評価」となる. ・災害対策のキーワードは「遠慮しない」,「他局に対し,考えさせるよう誘導する」,「批判はしないで比較をする」 ・防災では,職員の「当事者意識の欠如」があるので,訓練や研修では,自分達で考え,企画する取組を入れる.
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BCP策定済み自治体の状況 (10自治体へのヒアリング結果より) 主担当部署は、「防災・危機管理」(2)、「総務・人事・企 画」(5)
前者が主担当だと、災害の設定等で詳細な工程にこだ わってしまい、阻害要因になる可能性がある(2) 後者が主担当だと、関係部署間の調整がスムーズに なる(2) マンパワー不足は、仕事のやり方によって解決できる 部分がある。主担当部署は骨格部分の説明に時間を 割き、具体的な作業は関係部署に任せる(3) 市長のトップダウンの策定指示だと、関係部署の調整 がスムーズになる(2) 出所:「地方自治体における震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書」
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『大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き』内閣府防災 (平成22年4月作成、平成28年2月改定)
・震災を想定したBCPを策定するよう、内閣府防災(予防担 当)が、市町村に促すためのもの。 ・改訂版は、東日本大震災の教訓を反映させたもの。従来 のものが、手引きと解説の二つに分かれていたものを、一 つに統合した。 ・まずはこの1冊から始める。 (参考事例集も公開されている) ・職員、来庁者の負傷対策、安否確認については、少し弱 いので、そこは補って検討する。 56 56
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特に小規模自治体向けの資料 「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を平成27年5月に策定
災害が頻発している近年の現状においても、市町村における業 務継続計画の策定状況は、策定済みがわずか 13%(平成 25 年 8月現在。消防庁調べ)にとどまっており、特に人口の少ない小 規模な市町村ほど低位な傾向にあります。 この要因の1つに、手引きに沿った業務継続計画の策定方法が 小規模な市町村にとって作業量が多いものとなっていたことが考 えられることから、平成 26 年度に有識者等による「地方公共団 体の業務継続の手引き改訂に関する検討会」において手引きの 見直しを進め、今般、政令市や中核市等はもとより、人口が1万 人に満たないような小規模な市町村であってもあらかじめ策定し ていただきたい事項を抽出した「市町村のための業務継続計画 作成ガイド」を策定しました。
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4.業務継続計画の特に重要な6要素 ○ 業務継続計画の中核となり、その策定に当たって必ず定めるべき特に重要な要素として以下の6要素がある。市町村はこれらの6要素(以下「重要6要素」という。)についてあらかじめ定めておくものとする
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4.「被害想定」と「非常時優 先業務」の関係
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日本の場合は、想定するなら基本は震災。内閣府の 手引きを参照する。
具体的な災害を想定するメリットは、多くの職員に「分 かりやすい、イメージしやすい」から。 しかし、細かい被害予測には、あまり意味がない。阪 神淡路や東日本大震災の経験、事例から、資源制約 をざくっと考えるのでも良い。 庁舎への被害については、水害、津波、火災なども考 慮しておく。 当面、新型インフルエンザは別枠で考えた方が良い。 (参考:欧米の場合、災害や危機の種類は、そこまで気 にしない。「災害の結果、会社がどういう状態になるか」 から始める。そうすると、原因にかかわらず、対応するこ とが出来るし、「想定外」も起こりにくい。) 61
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BCP策定済み自治体の状況 (10自治体へのヒアリング結果より)
非常時優先業務の選定をゴールにすると、被害想定が なくとも検討を進められる(3) 被害想定は、地域防災計画等の地震を設定している 場合(3)と、災害を特定せず資源制約条件を設定して いる場合(4)がある。 出所:「地方自治体における震災時BCPの作成手法に関する調査研究報告書」 手軽にまずBCPを作成したいなら、「非常時優先業務選定をゴール」にする方法も有効。
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災害時優先業務の基本は、地域防災計画に書かれ ている応急対応業務。
それ以外は、ロジ(職員の総務、兵站)、職員・来庁 者の保護・救助、学校など公共施設関係、児童手当 など福祉関係、選挙・窓口業務などの法定業務。 具体例は、内閣府の「震災BCPの手引きと解説」に も掲載。 復旧目標時間は、各部局の基準をそろえるための 目安なので、「○○のような地震をイメージした場合 」と条件付けた方が考えやすい。実際には、優先度 の相対的な順番が決まれば十分。 自治体の業務は共通しているので、他自治体の事 例を参考にする。(自治体により、災害時優先業務 の考え方はバラつきがあるので、規模や立地を見て 、参考になる所を探す。)
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Q:下水道(トイレ)が使用できない場合に備えている簡易トイレの数量では不足するおそれがある。
【箕面市の場合】 本庁舎、重要拠点では、マンホールトイレをすみ やかに設置し、庁舎内のトイレは使用禁止にしま す。(生活用水の備蓄ができないため、残留水が 枯渇してから使用禁止にすると不衛生になる。) マンホールトイレは、敷地内にあるマンホール数 の半分程度を備蓄しており、マンホールが一杯 になったら、別のマンホールに引っ越すことにし ています。(市保有のバキュームカーが1台しか ないため、予備マンホールが必要) 大阪府内市町村BCP策定の手引書(25年7月)より
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Q:部局間の職員動員の手順が定められていない。
【箕面市の場合】 災害規模が大きい場合は、全職員が災害対策業務に 従事する前提ですが、部局ごとの職員参集状況や業 務の進捗状況により一時的に過不足が生じる場合は、 災害対策本部会議の決定により総務対策部が人員の 再配分を行うこととしています。(@BCP) 【豊中市の場合】 あらかじめ災害対策業務に従事する職員と通常業務 に従事する職員を指定しているが、部局ごとの職員参 集状況や業務の進捗状況により一時的に過不足が生 じる場合は、災害対策本部会議の決定により職員動 員グループが人員配置の総合調整を行います。(地域 防災計画、BCP、災害対応マニュアル) 大阪府内市町村BCP策定の手引書(25年7月)より
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Q:職員の発災後の参集状況はどのように想定すればよいか。
【箕面市の場合】 職員の参集状況は想定せず、「その時確保でき る人員でできることを優先順位に従って行う」こと としています。(データとしては、全職員の徒歩で の参集所要時間を緊急参集システムで把握して います。) 【豊中市の場合】 職員の参集状況は想定せず、「参集人数により 着手可能な業務を想定しておく必要がある。」と しています。 大阪府内市町村BCP策定の手引書(25年7月)より 厳密に参集人員を試算する必要はない
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5.まとめ
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「住民対応」と「内部体制整備」の両方が必要
被災地の住民・企業など 応急対応・支援 地域防災計画で規定 (防災・危機管理部局) 自治体の災害対策本部 業務継続計画等で検討が必要(総務部局) 内部体制整備 自治体内部・協定先など ・庁舎、設備、非常用発電器等の備え ・職員やその家族の安全確保・安否確認 ・職員の動員、ローテーション ・業務の優先順位付けと職員・応援職員の配置 ・職員用の食料、トイレ、救護所等の確保 など 考えられていない場合も多い 68
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(1)目的に応じた柔軟で多様なBCP (2)部局横断的な策定体制 (3)災害時優先業務の選定 (4)目標復旧時間より、優先順位
法定計画でないので、まず策定してみる (2)部局横断的な策定体制 トップの理解、全庁研修、意識啓発、調整会議、等 (3)災害時優先業務の選定 アンケートは必須ではない。他の事例等からでも良い。 (4)目標復旧時間より、優先順位 まずは、相対的優先順位を明確にする (5)業務量の拡大と資源確保 業務の質だけでなく、量の変化も考慮する 受援計画、受援体制ともリンクさせる (6)議会との連携 予算確保や高次の意思決定の円滑化
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KISSの原則 「Keep it simple, stupid」 または 「 Keep it short and simple」
製品やマニュアル等の設計やデザインでは、 ついつい多くの内容を詰め込みたくなるが、使 いやすさや後でのメンテナンスを考えると、シ ンプルで単純にしておくことが望ましい。
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終わり ご静聴、ありがとうございました。 71
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