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第6回 社会福祉の倫理.

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1 第6回 社会福祉の倫理

2 ソーシャルワーク専門職 の属性(日和,2016) 属性 具体的内容 知的な活動、実践的、技術的 体系的理論、伝達可能な技術、 利他主義
①専門職の活動 知的な活動、実践的、技術的 ②専門家個人 体系的理論、伝達可能な技術、 利他主義 ③専門職集団 集団の組織化、専門職的文化、 テストによる能力証明、倫理綱領 ④社会との関係 社会的承認、専門職的権威、 報酬

3 倫理綱領 専門職として 目指すべき価値や目的を示す 望ましい実践と向かうべき方向を示す とるべき態度や姿勢を明確にする
望ましい行動指針のもととなる 専門職団体が外部にそのあり方を示す 違反者に断固たる姿勢をとる

4 なぜ倫理綱領が必要か? 社会福祉(または心理的支援)において ソーシャルワーカーは、援助を求める人々 に深く介入し、
職務上、頼られ依存される人間関係が 形成される 財産等の個人情報を知り得る立場にある 自ら進んで自らの言動を律する必要がある

5 社会福祉士の倫理綱領 前文 ソーシャルワークの定義 価値と原則 倫理基準 で構成されている

6 社会福祉士の倫理綱領 人権と社会正義の原理は、ソーシャルワー クの拠り所とする基盤である
差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊 などの無い、自由、平等、共生に基づく社 会正義の実現を目指す 前文、定義、価値と原則の項にも、 採り入れられている

7 価値と原則 人間の尊重 社会正義 貢献 誠実 専門的力量
すべての人間を出自、人種、性別、年齢等の違いにかかわらず、かけがいのない存在として尊重する 社会正義 自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす 貢献 人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する 誠実 本倫理綱領に対して常に誠実である 専門的力量 専門的力量を発揮し、その専門性を高める

8 倫理基準 利用者に対する倫理責任 実践現場における倫理責任 社会に対する倫理責任 専門職としての倫理責任 利用者の利益を最優先に考える
常に業務を点検し評価を行い、 業務改善を推進する 社会に対する倫理責任 包括的な社会を目指すよう努める 専門職としての倫理責任 全ての調査・研究過程で利用者の人権を 尊重し、倫理性を確保する

9 行動規範 倫理綱領に基づき、社会福祉士が社会福祉 実践において従うべき行動を示した規範 倫理綱領は「こうあるべき」とやや理念的
利用者に対する倫理責任 専門職としての倫理責任 倫理綱領は「こうあるべき」とやや理念的 行動規範は、「こうしなさい」、「これを してはいけません」と具体的な記述になっ ている

10 行動規範 利用者に対する倫理責任 専門的援助関係について、あらかじめ利用 者に説明しなければならない
行動規範 利用者に対する倫理責任 専門的援助関係について、あらかじめ利用 者に説明しなければならない 専門職サービスの代償として、正規の報酬 以外に物品や金銭を受け取ってはならない 援助を継続できない何らかの理由がある場 合、援助を継続できるように最大限の努力 をしなければならない 業務の遂行に当たり、必要以上の情報収集 をしてはならない

11 行動規範 専門職としての倫理責任 社会福祉士としての自覚と誇りを持ち、 社会的信用を高めるよう行動しなければ ならない
行動規範 専門職としての倫理責任 社会福祉士としての自覚と誇りを持ち、 社会的信用を高めるよう行動しなければ ならない 研修・情報交換・自主勉強会等の機会を 活かして、常に自己研鑽に努めなければ ならない 社会福祉に関する調査研究を行い、結果 を公表する場合、その目的を明らかにし、 利用者等の不利益にならないよう最大限 の配慮をしなければならない。

12 倫理的ジレンマ 専門職倫理や複雑な環境、クライエントの ニーズなどの中で生じる葛藤を指す 秘密保持と、記録の開示
利用者の自己決定の尊重と、利用者の利益 の最優先 児童虐待における職権の一時保護と、親権 の尊重の判断

13 例1 利用者の要望VS専門職の立場 社会福祉士のAさんは、高齢者宅で茶菓子 を準備して待っているBさんに対して、い つも丁寧にお断りしている。 ある日、Bさんが「あんたはいつだって食 べてくれない。年寄りが出すものは汚くて 食べられないかい?」と言った。 Aさんは職務上の立場を説明したが、Bさん は「いつまでも他人行儀な人には来てほし くない」と言われてしまった。

14 例2 利用者の要望VS家族の要望 ある妊娠中のクライエントが出産を望んで いた。しかし、その家族は彼女の出産に反 対していた
要介護の高齢者が、「いつまでも住み慣れ た家に居たい」と言う。 しかし、介護する家族は、「早く施設に 入ってくれないと介護疲れで倒れてしま う」と言う。

15 例3 利用者の利益VS組織の利益 高齢者施設で働く社会福祉士Cさんは、昼 夜を問わず徘徊したり大声を上げるクライ エントの対応に苦慮していた。 「この施設ではなく精神病院に行くべき だ」と介護職は主張する一方で、 家族は自分の身内を精神科と関わらせるこ とに強い抵抗感を示していた。

16 例4 組織の利益VS地域の利益 社会福祉士Dさんが働く病院では、経営安 定のため「介護度が高く、かつ医療依存度 の高すぎない患者」の受入が求められるよ うになってきた Dさんは、病院は患者を選ぶのではなく、 地域のニーズに応えるべきだと考えていた 現実には、Dさんの考えるような地域ニー ズを把握する時間的・精神的余裕を持つこ とができなかった

17 Loewenberg & Dolgoff(2000) 7つの倫理原則
①生命保護 ②社会正義 ③自己決定 ④最小限の害 ⑤生活の質 ⑥プライバシーと守秘義務 ⑦誠実さと開示

18 Beauchamp & Childress 守秘義務違反が正当化される場合
第三者に重大な危害が及ぶと予測される 危険や危害が起こる可能性が高い リスクのある人への警告や保護以外に選択肢 がない 守秘義務違反によってのみ危害が予防できる クライエントへの危害が最小限で許容範囲内 である

19 心理学の場合 アメリカ心理学会(APA)が1953年に作成し た倫理規定が最も有名
”Ethical standards for psychologists” 日本においても、公益社団法人日本心理学会 が2009年に倫理規定を公表している 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会 (1990)の臨床心理士倫理綱領 公認心理師の倫理綱領は、ない


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