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疼痛管理 モジュール 2 End-of-Life Nursing Education Consortium Japan

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1 疼痛管理 モジュール 2 End-of-Life Nursing Education Consortium Japan
クリティカルケアカリキュラム モジュール 2 疼痛管理

2 モジュールの概要 このモジュールでは、クリティカルケア 領域においてエンド・オブ・ライフにある患者の疼痛アセスメントおよび管理に ついて理解する。 2 2

3 目標 1 2 3 4 クリティカルケア領域でエンド・オブ・ライフにある 患者の十分な鎮痛におけるバリアを特定することができる
クリティカルケア領域でエンド・オブ・ライフにある 患者の十分な鎮痛におけるバリアを特定することができる クリティカルケア領域でエンド・オブ・ライフにある 患者の疼痛アセスメントに必要な項目を説明することができる クリティカルケア領域において疼痛管理に使用する薬物療法および薬物療法以外の介入について理解することができる クリティカルケア領域でエンド・オブ・ライフにある 患者の疼痛管理における看護師の役割について理解することができる 2 3 4 3 3

4 講義内容 クリティカルケア領域における疼痛とは 疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント 薬物療法 薬物療法以外の介入
クリティカルケア領域における疼痛とは  疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント 薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. Ⅰ. クリティカルケア領域における疼痛とは  4 4

5 疼痛の定義  ■ 実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現される、不快な感覚体験および情動体験 国際疼痛学会 International Association for the Study of Pain(IASP) 日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会、 2010 ■“人が痛みを感じていると言えば どのようなものであっても痛みであるし、       経験していると言えば どのようなものでも経験しているのである” (Pasero&McCaffery,2011) 5 5

6 疼痛の神経学的分類と特徴 体性痛 侵害受容性疼痛 内臓痛 神経障害性疼痛 分類 例 痛みの特徴 ・術後早期の創部痛 ・外傷性疼痛 ・熱傷痛
・中心静脈カテーテル留置、 気管挿管 ・局在が明瞭な 持続痛が体動時に増悪 する 内臓痛 ・肝臓、膵臓、脾臓などを 占める腫瘍、腹水 ・心血管系疾患、心筋梗塞 ・急性腹症、膵炎 ・ 局在が不明瞭 ・ しめつけられる、鈍い、 押されるような痛み 神経障害性疼痛 ・糖尿病性神経障害 ・脊髄損傷による下肢神経障害 ・化学療法による末梢神経障害 ・脳卒中後の神経障害 ・障害神経支配領域の しびれ感を伴う痛み ・電気が走るような痛み (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010)を一部改変 6 6

7 疼痛の伝わり方 侵害受容性疼痛 内臓痛 体性痛 大脳皮質体性感覚野 三次ニューロン 視床 神経障害性 疼痛 中脳 延髄 二次ニューロン
(脊髄視床路) 体性痛 脊髄 一次ニューロン (末梢感覚神経) (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会,一部改変 2010) 7 7

8 疼痛の分類(時間経過による分類) ■ 急性疼痛
組織の傷害によっておこる痛みで、局所組織の  障害により侵害受容器が興奮し、侵害入力が発生しておこる 原因となる病理がなくなると痛みも消失する (長櫓、2014) ■ 慢性疼痛 治療を要すると期待される時間の枠組みを越えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み (日本神経治療学会,2010)

9 疼痛の現状 ■ICU患者 30%以上:安静時に著しい疼痛 50%以上:ポジショニング、吸引、創傷ケアの後に 著しい疼痛
(AACN 2013) ■がん患者 死の2ヵ月前 :約40%が痛みを体験   死の2週間前:約70%が痛みを体験 (恒藤, 1996)

10 クリティカルケア領域における疼痛の原因 多くは 急性疼痛 ■ 術後 ■がん ■ 創傷・熱傷 ■慢性疼痛 ■ 心・血管系疾患 ■ 急性腹症
■ 外傷 ■ 術後 ■ 創傷・熱傷 ■ 心・血管系疾患 ■ 急性腹症 ■ 気管挿管 ■ 処置 ■膵炎 ■がん ■慢性疼痛 多くは 急性疼痛 クリティカルケア領域における痛みの原因は様々あるスライドに示されるような疼痛が存在します。 ・外傷による疼痛 ・術後痛 吸引、体位変換、中心静脈カテーテル挿入、胸腔ドレーン留置または抜去、 創傷ドレーン抜去などのような介入 創傷あるいは熱傷のドレッシング交換の痛み 気管挿管 心疾患や心筋梗塞 急性の腹痛 ・膵炎  などです。 多くは急性痛ですが、元々存在する背部痛や腰痛などの慢性痛に加えて、患者が抱える苦悩も原因のひとつとなります。

11 慢性疼痛の原因 神経障害性 疼痛 侵害受容性疼痛 自発性 慢性疼痛 心因性 疼痛 神経の一時的損傷によって発生する痛み
疼痛の伝達・制御のメカニズム異常 ●末梢神経系:幻肢痛、術後瘢痕症候群など ●中枢神経系:脳卒中後痛など 侵害受容性疼痛 長期間にわたり侵害刺激が加わり持続性の疼痛が生まれる ●リウマチ性関節痛、慢性腰背痛など 自発性 慢性疼痛 痛みの原因となる組織病変が存在しない 心因性 疼痛 心理社会的因子 (日本神経治療学会,2010:一部改変) 11 11

12 疼痛が十分に緩和されない要因 ■ 生命維持の優先 ■ 苦痛をともなう治療・処置(長時間も含) ■ 鎮痛薬に対する偏見を持つ高齢者 ■ 認知障害あるいは意識障害 ■ 疼痛を訴えない患者

13 慢性疼痛は、不安障害などの精神状態の悪化をもたらす
不十分な疼痛管理が患者に与える影響 1 疼痛は、生体のストレス反応を増大させる ● 異化作用の亢進 ● 免疫力の低下 ● 活動性の低下 ● 肺炎や血栓症のリスクの増大 ● 心筋酸素消費量の増大 慢性疼痛は、不安障害などの精神状態の悪化をもたらす

14 多職種チームアプローチによる 疼痛管理が重要
不十分な疼痛管理が患者に与える影響 2 疼痛は身体的苦痛だけでなく、 精神的、社会的な側面にも大きな影響を与える   患者・家族のQOLの低下 多職種チームアプローチによる       疼痛管理が重要

15 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅱ. 疼痛管理におけるバリア(障壁) 15 15

16 疼痛管理におけるバリア <疼痛管理におけるバリア> 疼痛を管理するうえで障壁となるもの
■患者・家族および医療チームでバリアについて 話し合うことが重要である ■ 具体的なバリア 医療スタッフのバリア 疼痛アセスメントの知識不足 など 医療システムのバリア 痛みの治療の優先度が低い など 患者・家族のバリア 医療スタッフへ伝えられない など (International Journal of Advanced Nursing Studies, 2014) 16 16

17 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅲ. 疼痛アセスメント 17 17

18 疼痛アセスメント項目:疼痛の特徴 ■ 経過: いつから痛みが存在するか 急性疼痛か、慢性疼痛か ■ 部位:多くは複数であることを考慮
■ 強さ   ■ 性質:侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛 ■ パターン(痛みの型):持続痛、突出痛 ■ 現在行っている治療の反応 ■ 増悪因子と軽快因子 ■ 投薬歴および薬剤耐性  急性疼痛か、慢性疼痛か : 数値評価スケール NRS (Numeric Rating Scale) 視覚的評価スケール VAS (Visual Analogue Scale) ※講師:参加者に部屋の誰に苦痛があるか、ないか、確認するよう求める 行動や評価における言語化した報告の重要性をディスカッションする 疼痛の主観性についてディスカッションする 疼痛アセスメントの項目はスライドに示した通りです。 【疼痛経過】 疼痛経過を知るとき患者の自己報告は、痛みの最も有効な尺度であることを念頭に置きます。 可能であれば家族にも協力をえます。時には、患者の報告と他の家族とで不一致が生じる場合がありますので、何に違いがあるのか、検討します。(例えば、患者は我慢する場合があって、疼痛を過少報告する可能性があるか、また、家族は患者の疾患を非常に悲しみ、苦痛に反応して、患者の疼痛を過大評価している可能性がある) 患者は、“痛い”という言葉を使えないことがあります。疼痛を認めることは、「基礎疾患が進行していることを意味」ことを確信するなどといった理由があります。代わりに“不快感”とか、また、“苦しい”とか“恐怖”のような言葉も使われます。 また、急性痛か慢性痛をもっているかも捉えます。 急性痛は一般的に3ヶ月未満持続する疼痛、慢性痛は3か月以上持続する疼痛と定義付けされます。慢性痛が急性増悪する場合もあります。 【疼痛部位】 多くの患者は、複数の疼痛部位を有します。例えば、腹腔鏡手術の後、患者は肩の痛みも訴えます。 患者が「全体的な疼痛」を訴える時、一般的にはトータルペインであることが多いため、抑うつ、恐怖、不安または絶望のために患者の感情もアセスメントしましょう。 【程度】 標準的なスケールを使用して疼痛を定量化することは重要です。NRSは、最も頻度が高く、簡単なールのうちの1つで、患者に0~10のスケールでそれらの疼痛を評価するよう求める数値評定法です。 患者が数値で疼痛を概念化することができないとき、簡単なカテゴリーは役立つことがあります。(例えば、疼痛なし、軽度、中等度、重度、疼痛) 【性質】いついては、後程詳しく説明します。 【パターン】 疼痛は常に存在する持続痛と断続的に起こる突出痛があります。エンド・オブ・ライフの患者は両方の疼痛を抱える場合があります。 【増悪もしくは緩和する要因】 何が疼痛を緩和させて、何が痛みを悪化させているか検討します。これら要因から、可能な治療のみならず、疼痛の原因も予測されるかもしれません。例えば、マッサージで痛みが良くなる場合は、神経障害よりも筋骨格系に原因があると言われています。 【投薬歴】 患者がこれまでどのような薬剤を使用し、有効だったかあるいは薬剤耐性があったかなど認識しておくことは不可欠です。 【疼痛の意味】 患者の疼痛の意味は、エンド・オブ・ライフにある患者の疼痛感覚に影響を及ぼします。多くは、疼痛が以前に人生において何かに行ったこと(あるいは失敗したこと)に対する罰とみなすと言われています。 患者家族の疼痛の意味を探る必要があります。 (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン委員会, 2014 一部改変)

19 炎症所見(発赤・腫脹・熱感) ■ 触診: 圧痛
疼痛アセスメント項目:フィジカルイグザミネーション ■ 視診: 非言語的な言動        生理学的変化        外傷、皮膚損傷の有無       炎症所見(発赤・腫脹・熱感) ■ 触診: 圧痛 ■ 聴診: 呼吸音、腸蠕動音 ■ 打診: 清音、濁音、鼓音など ■ 神経学的検査- ピンプリックテスト                              ※デルマトームを活用 【視診】 疼痛を訴えることができない患者において、しかめっ面、うめき声、いらいら感、抵抗するような動きなど疼痛を示唆する可能性がある非言語的な手がかりを観察します。 また、生理学的な徴候として、頻脈、頻呼吸、平均血圧の上昇、発汗なども観察します。 外傷、皮膚損傷などが存在する場合、その疼痛部位を観察します。 【触診】 触診では、圧痛部位捉えられます。 【聴診・打診】 聴診では、肺炎や腸閉塞症などを判断するために呼吸音または腸音を聴診し、また、体液やガスの貯留したところを打診します。 腸閉塞や腹水などの腹痛を除外できます。 また、感覚のおよび/または運動麻痺(反射神経の変化と同様に)を評価するために、神経学的検査を行う場合もあります。ピンプリックテストなどです。 このような場合はデルマトーム分布を使用するとよいでしょう。(追加教材 参照) 身体検査による情報は、疼痛の根本的な原因を確定することに寄与し、可能な治療に至ることもあります。(例えば、便秘に対する緩下剤や便軟化剤など。)また、病歴は患者の病気の経緯をより理解するための基本的なものであり、慢性的な状態から段階的あるいは急激な変化に直面したときにも積極的な治療に役立つ場合があります。 フィジカルイグザミネーションで判定できない場合は、 治療目標によって付加的な検査を検討

20 疼痛を訴えられない患者の疼痛評価スケール
表情、四肢の動き、人工呼吸器との同調性などから 疼痛を評価するスケールを活用する ■ BPS: Behavioral pain scale    ■ CPOT: Critical-Care Pain Observation Tool (Payen JF, 2001) (Gélinas C, 2006) (日本集中治療医学会J-PADガイドライン作成委員会、2014)

21 Behavioral pain scale (BPS)
項目 説明 スコア 表情 穏やかな 1 一部硬い(たとえば、まゆが下がっている) 2 全く硬い(たとえば、まぶたを閉じている) 3 しかめ面 4 上肢 全く動かない 一部曲げている 指も曲げて完全に屈曲 ずっと引込めている 呼吸器との 同調性 同調している 時に咳嗽、大部分は呼吸器に同調している 呼吸器とファイティング 呼吸器の調節がきかない 日本呼吸療法医学会「人工呼吸中の鎮静ガイドライン」

22 Critical-Care Pain Observation Tool (CPOT)
(Gélinas, Céline.2006)

23 気管挿管・認知障害患者の疼痛アセスメント
■ 可能な限り患者の訴えで評価する ■ 会話が出来ない患者: ボディチャートを活用 ■ 意識障害患者: BPSが有効 ■ 認知能力低下: 攻撃的、興奮、額のしわ ■ 疼痛の原因を特定 ■ 顔をゆがめる、筋緊張の増強などの観察 ■ バイタルサインと共に疼痛をアセスメント ■ 鎮痛薬を投与してみて再評価

24 疼痛の再評価 ■ 疼痛が軽減したか? – 効果の程度で評価のタイミングを考慮 ■ 疼痛緩和の評価 - 新たな鎮痛薬の効果判定
■ 疼痛が軽減したか?  – 効果の程度で評価のタイミングを考慮 ■ 疼痛緩和の評価    - 新たな鎮痛薬の効果判定 ■ 疼痛の可視化    - 診療録への明記     (5番目のバイタルサインとして)

25 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅳ. 薬物療法 25 25

26 疼痛管理の目標 疼痛に関連した身体指標 人工呼吸中の鎮静・鎮痛の目的 1. 患者の快適性・安全の確保 2. 酸素消費量・基礎代謝量の減少
 1. 患者の快適性・安全の確保  2. 酸素消費量・基礎代謝量の減少  3. 換気の改善と圧外傷の減少 日本呼吸療法医学会「人工呼吸中の鎮静ガイドライン」 疼痛に関連した身体指標 (WHO, 1996) がん性疼痛に対する痛みの治療の目標 1. 痛みに妨げられない夜間の睡眠 2. 安静時の痛みの消失 3. 体動時の痛みの消失    可能な限り患者・家族と具体的な目標を設定 26 26

27 WHO 3段階除痛ラダー (がん性疼痛に対する治療法)
クリティカルケア 中等度から高度の疼痛 軽度から中等度の疼痛 強オピオイド モルヒネ フェンタニル 弱オピオイド トラマドール 軽度の疼痛 非オピオイド鎮痛薬   非ステロイド性 消炎鎮痛薬 または   アセトアミノフェン ±非ステロイド性消炎鎮痛薬                      または ±アセトアミノフェン ± 鎮痛補助薬 (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010)を一部改変) 27 27

28 投与経路 クリティカルケア領域において 非経口投与が最も一般的 ■持続静注 嚥下困難 消化管吸収能の変化 ■持続皮下注
  嚥下困難 消化管吸収能の変化 ■持続皮下注 ■髄腔内投与(硬膜外麻酔) ※筋肉内投与は推奨しない 28 28

29 疼痛管理に使用する薬剤 非オピオイド鎮痛薬 ●非ステロイド性消炎鎮痛薬 1 ●アセトアミノフェン
非オピオイド鎮痛薬 ●非ステロイド性消炎鎮痛薬 ●アセトアミノフェン オピオイド鎮痛薬 ●麻薬性鎮痛薬 ●麻薬拮抗性鎮痛薬 関連する薬剤 ●鎮静薬 ●その他 鎮痛補助薬 2 3 4 29 29

30 1.非オピオイド鎮痛薬 非ステロイド性消炎鎮痛薬 (NSAIDs) アセトアミノフェン 代表的な薬品一般名 (商品名) フルルビプロフェン
(ロピオンⓇ静注)                ジクロフェナクNa(ボルタレンⓇ) アセトアミノフェン注射液      (アセリオⓇ静注)                   アセトアミノフェン(カロナールⓇ) 投与量 静注 50mg/ 回 経口25、37.5mg  坐剤25-50mg 1〜2回/日 325〜1000mg 4-6時間毎 最大4g/日以下 主な作用 鎮痛作用 、解熱作用 抗炎症作用 鎮痛作用、解熱作用 特に有効な 痛み 炎症を伴った痛み 骨転移痛 痛覚閾値の上昇 副作用 血圧低下・心血管系障害 胃腸障害(消化性潰瘍) 腎機能障害 肝機能障害 血小板機能抑制 肝障害の悪化 安全域広く、 副作用起こりにくい ✓非ステロイド性消炎鎮痛薬 (Non-SteroidalAnti-InflammatoryDrugs:NSAIDs) • ステロイド構造以外の鎮痛作用、抗炎症作用、解熱作用を有する薬物の総称であ る。特に、骨転移痛や炎症を伴った痛みに対して有効である。副作用には胃腸障 害、腎機能障害、肝機能障害、血小板・心血管系障害などがある。 NSAISsはCOX阻害により、プロスタグランジン産生を抑制し、これにより発痛物質であるブラジキニンを抑制する。 (日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) ✓ロピオン  脱水、総アウト量が少ない、発熱、解熱目的、高齢者、人工呼吸管理中、持続鎮痛中、持続鎮静中は血圧低下注意とされる。   (岩田 恵子2003, 吉川 佐栄子1995) 副作用:腎障害、消化性潰瘍 ✓アセトアミノフェン 抗炎症作用、COX阻害作用はなく、作用機序は明確ではない。代謝産物が中枢性に作用し、痛覚閾値を上昇させるとされている。 軽度から中等度の疼痛、中等度から重度の疼痛に対して投与されるオピオイドの補助薬として、また2歳以上の小児および高齢者への解熱薬として 用いられる。鎮痛には15分、解熱には30分で効果が現れる。最大鎮痛効果は1時間で出現する。鎮痛効果持続は4-6時間である。15分かけて静注しなくてはならない。 注:アセリオはまだ全ての医療施設で利用できるようになっていない状況である。 副作用 4000mg/日が鎮痛目的投与の上限。(中西京子 2012) (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) (日本集中医学会J-PADガイドライン作成委員会,2014)(岩田,2003)(吉川,1995)

31 2. オピオイド ■オピオイドとは、脊髄後角などの中枢に存在するオピオイド受容体に作用して、鎮痛効果を発揮する薬剤のことである
■痛みの治療に用いられるオピオイドは医療用麻薬とも呼ばれている ■オピオイドは、麻薬と麻薬性拮抗性鎮痛薬に分類される     ●麻薬性鎮痛薬:モルヒネ、フェンタニル ●麻薬拮抗性鎮痛薬:ブプレノルフィン、                トラマドール、ペンタゾシン                 (林, 2007) ✓オピオイドとは、脊髄後角などの中枢に存在するオピオイド受容体に作用して、鎮痛 効果を発揮する薬剤のことである。 (林, 2007) ✓麻薬拮抗薬であるレバロルファンやナロキソンも、オピオイド受容体に結合するため、 オピオイドに含まれる。 ✓オピオイドがよく反応する痛みとして、内臓浸潤や軟部組織浸潤がある。それは、内 臓には痛覚線維の C 線維が多く、C 線維が主に含まれる脊髄伝達系にはオピオイド受 容体が多く含まれるため、オピオイドの鎮痛効果が高くなるためである。 (梅田, 2007b) ✓痛みの治療に用いられるオピオイドは、医療用麻薬とも呼ばれている ✓オピオイドは、弱オピオイドと強オピオイドに分類される  弱オピオイドは、天井効果(ある程度の量以上、投与量を増やしても鎮痛効果が 頭打ちになること、有効限界) があるとされ、ブプレノルフィン、トラマトドール、ペンタゾシンが含まれ る。  強オピオイドは、標準投与量がなく(増量すればその分だけ鎮痛効果が高まる)、 モルヒネ、フェンタニル、オキシコドンが含まれる。 (日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 31 31

32 麻薬性鎮痛薬(静注) 一般名 フェンタニルクエン酸塩 モルヒネ塩酸塩 商品名 投与量 効果 発現 特徴 フェンタニル注 モルヒネ塩酸塩Ⓡ注
 麻薬性鎮痛薬(静注) 一般名 フェンタニルクエン酸塩 モルヒネ塩酸塩 商品名 フェンタニル注 モルヒネ塩酸塩Ⓡ注 投与量  持続注:0.7‐10μg/kg/hr    持続注:2‐30mg/hr 効果 発現        1‐2分       5‐10分 特徴 ・ モルヒネより血圧降下     作用が少ない ・ 最大鎮痛効果に5分で 達する ・ 肝不全で蓄積 ・ 多くのオピオイド受容体に 作用  ・ 鎮咳作用、呼吸困難抑制 作用も有する ・代謝物蓄積により副作用、 鎮痛作用の増強  肝/腎不全で蓄積  (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) (日本集中医学会J-PADガイドライン作成委員会,2014) (林 ,2010) 32 32

33 麻薬拮抗性鎮痛薬 一般名 ブプレノルフィン トラマドール ペンタゾシン 代表的な 商品名 レペタンⓇ静注 ノルスバンⓇ トラマールⓇ
 麻薬拮抗性鎮痛薬 一般名 ブプレノルフィン トラマドール ペンタゾシン 代表的な 商品名 レペタンⓇ静注 ノルスバンⓇ トラマールⓇ トラムセットⓇ ペンタゾシンⓇ ソセゴンⓇ静注 投与量 静注:0.2‐0.4mg/日、 最大2mg/日 経口:100‐300mg /日  4回に分服、最大400mg 静注:15‐30mg/回 主な作用と特徴 μ受容体:部分作動性 κ受容体:拮抗 ・低用量モルヒネとは 相加的に作用、 モルヒネ濃度増で拮抗 的になる ・長時間作用(6−9時間) κ受容体:作用なし ・代謝物が部分作動薬   として作用 ・神経障害性疼痛に  効果的 μ受容体:拮抗もしくは   部分作動性 κ受容体:強作用性 ・オピオイド拮抗作用 にて鎮痛効果打ち消し 副作用 ・低蛋白血症で薬理  作用増強 ・悪心、嘔吐 ・便秘、眠気 ・悪心、眠気 ・便秘は少ない可能性 ・幻覚、せん妄 ・血圧、肺動脈圧上昇、 頻脈 ・離脱症状 (日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) (日本集中医学会J-PADガイドライン作成委員会,2014)(布宮,2011)

34 臨時追加投与の方法 疼痛が増強した際に、臨時に追加する ●原則的には定期投与している鎮痛薬と同じ種類の速放製剤を選択
●持続静注や持続皮下注では1時間量を投与 ※経口投与では1日の合計オピオイド量の10~20%量を処方 ●鎮痛薬の追加がほぼ等間隔で必要な場合は、オピオイドの定期投与量の増量を検討 ●投与経路は、定期投与されているオピオイドと同じ経路を使用 ●評価方法:15分~30分後に効果判定 (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 34 34

35 疼痛のパターン ■ほとんど疼痛がない ■普段ほとんど疼痛はないが、1日に何回か強い疼痛がある ■普段から強い疼痛があり、1日の中で波がある
■強い疼痛が続く (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 一部改変) 一日中ずっと痛い(持続痛) 時々痛くなる(突出痛) 10 10 10 35 35

36 臨時追加投与の実際 が緩和できていない場合、 使用回数が多い場合、 痛みの増強に合わせ使用 定期投与量を増量 臨時追加投与
● 鎮痛薬の不足により痛み   が緩和できていない場合、   痛みの増強に合わせ使用 ● 臨時追加投与の 使用回数が多い場合、 定期投与量を増量 毒性発現域 薬の血中濃度 臨時追加投与 鎮痛適切域 鎮痛無効域 0時 24時 0時 24時 痛み

37 オピオイド投与時の留意点 ■一般的副作用 呼吸抑制 便秘 傾眠 悪心・嘔吐 掻痒感 ■腎機能障害患者 ●推奨できない:モルヒネ ●推奨 : フェンタニル ■肝機能障害患者 ●投与量の減量、投与間隔延長

38 オピオイド使用時の注意点 1 耐性 精神依存 身体依存 2 3 38 38

39 3. 鎮静薬およびその他の薬剤 一般名 デクス メデトミジン プロポフォール ベンゾ ジアゼピン ケタミン 代表な 商品名 プレセデックスⓇ
  プロポフォール ベンゾ ジアゼピン  ケタミン ※麻薬の取扱い 代表な 商品名 プレセデックスⓇ プロポフォール注Ⓡ ドルミカムⓇ ケタラールⓇ 投与量 持続注: 0.2‐0.7μg/kg/hr  持続注:  0.3‐3mg/kg/hr 持続注:  0.02‐ 0.18mg/kg/hr 0.1‐0.5mg/kg 持続注: 0.05‐0.4mg/ kg/hr 主な 作用 鎮静・鎮痛 麻酔・鎮静 鎮静 抗けいれん作用 抗不安 鎮痛・鎮静 副作用 血圧低下 徐脈 呼吸抑制     PRIS せん妄 健忘 悪夢、幻覚 嘔吐 (日本集中医学会J-PADガイドライン作成委員会,2014) (日本呼吸療法医学会 人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会,2007)

40 4 . 鎮痛補助薬 ■鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、 特定の状況下で鎮痛効果を示す薬剤 ■鎮痛補助薬の投与が考慮される場合
●代表的な鎮痛補助薬: 抗うつ薬, 抗けいれん薬, 抗不整脈薬,     中枢性弛緩薬, 局所麻酔薬  ■鎮痛補助薬の投与が考慮される場合 ●神経障害性疼痛 ●十分な副作用対策にもかかわらず、副作用のコント ロールが困難でオピオイドの増量が難しい場合 など ■薬剤の選択に際しては、緩和ケアチームなどの専門家に相談する

41 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅴ. 薬物療法以外の介入 41 41

42 薬物療法以外の介入 ● 自律訓練法、呼吸法、気分転換などの活用により、 交感神経の緊張を緩和し、リラクセーションを促す
薬物療法以外の介入  ■ 不必要な処置・検査は行わない(AACN,2006)    ●苦痛をともなう処置・検査を差し控える ■ 環境の調整      ● 周囲の音、音楽など患者の好みに合わせて整える    ● 明かりや色調の調整をする ■ 様々な訓練・鍛錬法の活用    ● 自律訓練法、呼吸法、気分転換などの活用により、   交感神経の緊張を緩和し、リラクセーションを促す 依存症者の疼痛に対する治療 42 42

43 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅵ. 疼痛管理における看護師の役割 43 43

44 クリティカルケア看護における疼痛管理の 課題1
クリティカルケア看護における疼痛管理の 課題1                      エンド・オブ・ライフにある患者に対して 専門的なケアを提供する看護師の役割と責務 個々でも、また、チームにおいても、 患者の積極的な治療を断念する際に、 意思決定する家族や代理人に対して、 快適性や疼痛緩和、および支援を含んだ 包括的で特別に配慮した エンド・オブ・ライフケアを提供する   (ANA, 2010) 44 44

45 クリティカルケア看護における疼痛管理の課題2
クリティカルケア看護における疼痛管理の課題2                  クリティカルケア看護師の重要な役割    ●専門性の発展 ●患者家族の権利擁護と教育 ●看護師の教育 疼痛管理における質改善に向けた戦略 ●根拠に基づいていること ●未知の研究領域の開拓 依存症者の疼痛に対する治療 45 45

46 講義内容 Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント
講義内容  Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Ⅶ. クリティカルケア領域における疼痛とは疼痛管理におけるバリア(障壁) 疼痛アセスメント 薬物療法 薬物療法以外の介入 疼痛管理における看護師の役割 結論 Ⅶ. 結論 46 46

47 結論 疼痛は、生体のストレスを増大させるだけでなく、患者のQOLを低下させる
結論                     疼痛は、生体のストレスを増大させるだけでなく、患者のQOLを低下させる 疼痛のメカニズムを理解し、アセスメントを継続的に行うことが重要である 多職種と連携をはかり、適切な薬物療法とケアを提供する クリティカルケア看護師は、疼痛管理に関して、 患者・家族および看護師を教育し、さらに研究を 発展させ、専門性を高めていく必要がある ・最後に結論になります。 ・このモジュールの焦点が身体的苦痛のアセスメントと治療にあると同時に、苦しみや実存的 苦悩などの別の痛み(苦痛)の形も終末期に共通する事柄となり(Ferrell & Coyle, 2008) 十分配慮する必要があります。 ・終末期の疼痛緩和は、適切なアセスメントとともに、薬物・非薬物療法の両方を用いることで  もたらされます(付随します)。 ・さらに、クリティカルケア領域では、潜在的な疾患や健康状態に加えて、痛みの原因となる 多くの処置があります。 ・心地よさを最大にするために、患者にとって利益にならない、痛みをともなう不必要な処置 やアウトカムの変更は、制限したり除外する必要があります(AACN, 2006)。 ●多職種チーム医療の展開 ・このためにも、多職種によるチームで患者家族に関わることは、多くの視点から治療ケアを 検討することができるため有効です。 47 47

48 補足スライド これ以降のスライドは、必要に 応じて使用してください 48 48

49 疼痛の程度 ■数値評価スケール:NRS (Numeric Rating Scale)
例)  ぜんぜん痛くないときを0点、もうこれ以上考えられない位すごく痛い時を      10点とすると、普段最も弱いときの痛みは何点くらいになりますか?     では、痛みが最も強くなったときは何点くらいになりますか?      その強い痛みがくるのは何回ですか? 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 全くない これ以上 耐えられないほど ひどい 痛み (日本緩和医療学会緩和ケア医養成プログラムPEACE PROJECT HP) ■視覚的評価スケール : VAS (Visual Analogue Scale)   10cmの直線上で痛みの強さを測定する。 10 想像できる 最悪の痛み 痛みなし (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 49 49

50 疼痛の性質 ■疼痛の性質は、疼痛の神経学的分類を 判断するうえで参考となる ●体性痛: 「うずくような」 ●内臓痛: 「押されるような」
●神経障害性疼痛: 「灼けるような」 「ビーンと走るような」 (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 50 50

51 デルマトーム(皮膚分節) ■脊髄後根に含まれる知覚神経によって支配される皮膚の領域 ■皮膚が侵害刺激を入力する脊髄レベル
(日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 51 51

52 ボディチャート ■会話ができない患者が疼痛部位を指す ■身体所見、画像所見、検査所見と合わせて疼痛の原因となる病変を確認する
(日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) 52 52

53 麻薬性鎮痛薬の種類 (経口、坐薬、経皮薬)
麻薬性鎮痛薬の種類 (経口、坐薬、経皮薬) ※ 代表的な薬剤を示した ●がん性疼痛のみに適応 モルヒネ フェンタニル オキシコドン 経口薬 長時間作用型 徐放剤 ●MSコンチンⓇ ●MSツワイスロンⓇ ●カディアンⓇ ●ピーガードⓇ ●パシーフⓇ  オキシコンチンⓇ 短時間作用型 速放剤 ●モルヒネ水   (オプソⓇ)  モルヒネ錠 ●イーフェン®バッカル錠●アブストラル®舌下錠  ●オキノームⓇ散 坐薬 ●アンペック坐薬 経皮薬 デュロテップⓇMTパッチ ワンデュロ®パッチ ●フェントスⓇテープ 53 53

54 オキシコドン注(オキファスト®)30mg/d
オピオイド力価表 フェンタニル貼付剤 25μg/時 経口 モルヒネ 60mg/d アンペックⓇ坐薬 40mg/d オキシコドン注(オキファスト®)30mg/d フェンタニル注 0.6mg/d オキシコンチンⓇ デュロテップⓇ MTパッチ 4.2mg/3d モルヒネ注 30mg/d フェントスⓇテープ 2mg/d ワンデュロⓇ パッチ 1.7mg/d トラマドール内服 150mg ÷5 コデイン内服  180mg ÷6 経口モルヒネ30mg = (木澤 他, 2013)を一部改変 54 54

55 オピオイドの耐性と離脱症状(症候群) 耐性:初期に投与されていた薬物の用量で得られていた薬理学的効果 オピオイドスイッチングを実施
オピオイドの耐性と離脱症状(症候群)     耐性:初期に投与されていた薬物の用量で得られていた薬理学的効果      が時間経過とともに減退し、同じ効果を得るためにより多くの用量      が必要になる、身体の薬物に対する生理的順応状態                                        (日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010) オピオイドスイッチングを実施 身体依存:突然の薬物中止、急速な投与量減少、血中濃度低下、     および拮抗薬投与によりその薬物に特有な離脱症候群が生       じることにより明らかにされる、身体の薬物に対する生理     的順応状態 (日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010) ・投薬中断の回避、投与量の漸減 ・もとのオピオイドを少量投与 55 55

56 オピオイドスイッチング <オピオイドスイッチング> 投与中のオピオイドから他のオピオイドに 変更すること <適応> <注意点>
●副作用が強くオピオイドの投与の継続や増量が 困難な場合 ●鎮痛効果が不十分な場合 <注意点> ●オピオイドスイッチング後の患者の痛みの   変化や副作用の増減を観察する ● 疼痛緩和や薬物耐性の改善に向けたオピオイドローテーション(オピオイド交替)/オピオイド   スイッチング(オピオイド切替) ・オピオイドの投与量を適切に漸増(タイトレーション)した後にも効果が見られないとき、あるいは副作用が生じたときには、別のオピオイドを用いていきます。 ・その結果、モルヒネの効果が薄い場合には、フェンタニルかオキシコドンに切り替えます。 ・多剤のオピオイドを用いるうえでの系統的な試みは、オピオイドローテーションを参考にします。 ・オピオイドローテーションを行った後には、痛みの変化や眠気、嘔気・嘔吐などの副作用の増減を観察していくことが重要です。  例えば、モルヒネからフェンタニルへのオピオイドローテーションでは腸蠕動の亢進が起こることが多いため、緩下薬の減量などが必要に  なることもあり、変更後の観察が重要です。 56 56

57 薬物療法以外の方法 2 ●痛みが増強しない体位・ポジショニング ●温・冷罨法 ●アロマセラピ- に対する治療 ■ 理学的療法 ●マッサージ
薬物療法以外の方法 2 ■ 理学的療法   ●痛みが増強しない体位・ポジショニング       ●温・冷罨法 ●マッサージ ●温浴   ■ 代替補完療法 ●アロマセラピ-   に対する治療 依存症者の疼痛に対する治療 ●非薬理学的方法は、クリティカルケア領域ではあまり活用されていません。また、その効果を検証した研究も少ない状態です。  しかしながら、急性疾患患者もまたこれらの治療や方法を加えることで利益を得る可能性があることを研究が示しています。  (Berenson,2007;Erstadら、2009,Kravits&Berenson,2010、Pasero&McCaffery,2011)。 ●環境 ・クリティカルケア領域における騒音のコントロール。心地よい音楽は、処置の間、疼痛レベルを緩和するのを助けます(Cole&LoBiondo-Wood,2012)。 ・クリティカルケア領域における明りの調整 ・色合い ・音楽 ●様々な訓練・鍛錬  ・社会福祉士、心理学者、理学療法士は、非薬物による疼痛緩和方法についての専門的知識を持っています。  ・しかしながら、クリティカルケア領域の患者は、しばしば重症あるいは意識がないことから、これらの方法が使えないとされています。  ・これらの治療は、鎮痛治療の有益な補助療法として提供され、処置にともなう疼痛に対し役立ちます。  ・これらの治療は、短時間作用型オピオイドの臨時投与後でも用いることができます。  ・オピオイドの効果が表れるまでに時間を要することがありますが、非薬理学的技法は、この間の疼痛を減少させることに役立ちます     (Berenson,2007;Kravits&Berenson,2010)。    例えば          リラクセーション、呼吸法、誘導イメージ法、気分転換、気晴らし、認知再構成療法、家族メンバーに対するサポートグループ      牧師によるカウンセリング/祈り ●物理的対策 :温める/冷やす、マッサージと再ポジショニングなどの有用な方法があります ●(代替)補完療法:疼痛緩和における補完療法(例えば、ハーブ、磁力、他)の有効性に関するデータはほとんどありません。 ●しかしながら、クリティカルケア領域において、これらの補完療法は薬物療法に影響したり、静脈内注射が不可能だとして、  しばしば中止(打ち切り)が求められます(Berenson, 2007; Mansky & Wallerstedt, 2006)。 ●お風呂におけるアロマセラピー、またはローション、スプレーミスト    (Berenson, 2007; Kravits & Berenson, 2010)   ローズマリーオイル‐元気づける、爽快にさせる  、 シトラスオイル‐気分をよくする   フローラルオイル‐ストレスを緩和する、  ラベンダー‐リラクセーションを促す   刺激で覚醒を促す、元気が出る ●スピリチュアル:スピリチュアルニードは、疼痛に関連する生存への懸念が原因となります。   疼痛は、苦しみであり、必要なものでもあるとみなされています。   スピリチュアルニードのアセスメントは不可欠です。(Paice & Ferrell, 2011)。 57 57

58 ケーススタディ  事例紹介 70代の男性 大腸癌(多発性)、 肝転移   糖尿病の既往がある 家族は妻と息子がおり同居 腫瘍切除術後3日目、敗血症にてICUに入室 患者に予後についての話はしていない 医療チームは未だ治療目標を決定しておらず、緩和ケアチームの介入についても未定である

59 ケーススタディ 疼痛に関連する問題 術後24時間 は、硬膜外PCA(Patient Controlled Analgesia:自己調節鎮痛法)によりフェンタニルが投与され、十分に管理されていた 現在、医師からは、疼痛時のみ鎮痛薬投与の指示があるが、看護師から痛みの有無を聞かれないと痛みを訴えない 看護師が痛みを聞くと、切開部の疼痛をNRSで8程度であると訴える 妻は、患者に麻薬を使用してもよいのか迷っている Q. この事例における疼痛管理に関するバリアは何か?


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