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1日目 13:50 【演習】 強度行動障害とコミュニケーション 【演習】強度行動障害とコミュニケーション  をはじめます。

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1 1日目 13:50 【演習】 強度行動障害とコミュニケーション 【演習】強度行動障害とコミュニケーション  をはじめます。

2 この時間の目的 行動障害の中には、話し言葉を理解することや、話し言葉などで相手に気持ちや意見を伝えることが難しいため、起きてしまうものがあります。 この時間では、①話し言葉が「分からない」「伝えられない」状況を疑似体験し、②コミュニケーションとしての行動障害の機能を検討し、適切にコミュニケーションを行う大切さを理解しましょう。 【ポイント】 話しことばを「理解しにくい」人たちの気持ちを理解する 話しことばに依存した日常の支援を振り返る 話しことばを「表現しにくい」人たちの気持ちを推測する 行動障害の背景に、気持ちや意見を適切に表現することが難し いこと、障害特性と環境要因が関連していることを理解する この時間の目的です。 四角い枠の中を読みます。(スライドを読む) ポイントです。(スライドを読む)

3 この時間の流れ 演習Ⅰ:3人の小グループに分かれ、グループごとに、話し言葉が「分からない」「伝えられない」状況の疑似体験します。
9:40      9:50     10:45    12:05     演習の説明  (デモンストレーション) 15分 演習Ⅰ 60分 演習Ⅱ まとめ 演習Ⅰ:3人の小グループに分かれ、グループごとに、話し言葉が「分からない」「伝えられない」状況の疑似体験します。 演習Ⅱ:架空事例をもとに、そこでの行動障害が表している機能について6人グループで検討し、機能を話しことばに置き換えてみましょう。 この時間の流れを説明します。 今行っている演習の説明とデモンストレーションが15分間。 その後、「演習Ⅰ」、「演習Ⅱ」、「まとめ」の順となっています。 演習Ⅰは、3人の小グループに分かれ、グループごとに、話し言葉が「分からない」「伝えられない」状況の疑似体験します。時間は60分間です。 演習Ⅱは、架空事例をもとに、そこでの行動障害が表している機能について6人グループで検討し、機能を話しことばに置き換えてみます。時間は80分間です。 そして最後に15分間だけ、演習のまとめを行います。

4 演習の説明|デモンストレーション これからデモンストレーションを行います。
スタッフから2人に出てきていただき、デモンストレーションに 協力してもらいます。●●さん、●●さん、前に出てきて下さい。 デモンストレーションの役割 ●●:モデル モデルは、援助者の出した指示に従い、アクションして下さい これから演習Ⅰの、デモンストレーションを行います。 スタッフから2人に出てきていただき、デモンストレーションに協力してもらいます。●●さん、●●さん、前に出てきて下さい。 デモンストレーションの役割です。 役割は、援助者とモデル、モデルサポートの3つです。 援助者は、モデルに対して聞き覚えのない外国語で指示を出します。担当は私が行います。 モデルは、援助者の出した指示に従い、アクションしてもらいます。モデルは●●さん、お願いします。 モデルサポートは、モデルの気持ちを観察して推測して下さい。何もアクションはしないでください。モデルサポートは●●さん、お願いします。 ◯◯:援助者 ●●:モデルサポート 援助者は、モデルに対して、聞き覚えのない外国語で指示を出す モデルサポートは、モデルの気持ちを観察して推測して下さい(何もアクションをしない) ・・・

5 演習の説明|デモンストレーション デモンストレーションの流れ ◯☓△●■◯・・・ (話しことばのみ) 援助者の指示 に従って下さい
◯◯:援助者 ●●:モデル ●●:モデルサポート ◯☓△●■◯・・・ (話しことばのみ) 援助者の指示 に従って下さい モデルの気持ち になって、観察 不正解なら ◯☓△「日本語」◯ (話しことばのみ) ・・・ 不正解なら ◯☓△「日本語」◯ (ジェスチャー入り) デモンストレーションの流れです。 はじめに私が、外国語でモデルに指示を出します。モデルは、援助者の指示に従ってアクションしてください。モデルサポートはモデルの気持ちになって、モデルがどんな風に感じているかを推測してください。 モデルが援助者の指示通りのアクションができれば、そこで終わりです。 どうしても指示の内容が分からないときは、外国語の中に1カ所だけ日本語を加えます。 それでも指示の内容が分からないときは、ジェスチャーを加えます。 それでも指示の内容が分からないときは、・・・ありとあらゆる方法で伝えます。 モデルは援助者が指示している内容を、一生懸命理解してください。そしてアクションしてください。 モデルサポートは、モデルの気持ちになって、モデルがどんな風に感じているか、考えているかを推測してください。 それでは、はじめます(デモンストレーションを開始)  ※それぞれのステップに移るタイミングは、答えられそうな雰囲気だったら移ってください。  ※「オーバ」=YES(そうだよ)/ 「ジョグ」=NO(違うよ) を使って、正誤をモデルに伝えてください。 不正解なら ◯☓△「日本語」◯ (ありとあらゆる手段駆使)

6 演習の説明|デモンストレーション モデルサポートに質問します モデルに、モデルサポートの回答は合っていたかどうか、感想を 述べてもらいます
質問タイム モデルサポートに質問します 結果的にはどういう指示だったと思いますか? はじめから振り返ってみましょう。話しことばのみのとき、モデルはどう感じていたと 思いますか? 日本語が混ざることで、何かヒントになっていましたか? 身振りや動作が加わって、分かりやすくなっていたでしょうか? 具体的にどのようなことが手がかりになっていたと思いますか? 指示がわからない時、モデルはどのような気持ちだったと思いますか? モデルに、モデルサポートの回答は合っていたかどうか、感想を 述べてもらいます 援助者が「オーバ」と「ジョグ」ということばを何度も使ってい ましたが、日本語に置き換えるとどういう意味だと思いますか? はい、ありがとうございました。 それでは、モデルサポートに質問したいと思います。 (①~⑥を順に質問する) モデルに、モデルサポートの回答が合っていたかどうか、感想をお願いします。 もう一つ、私が「オーバ」と「ジョグ」ということばを何度も使っていましたが、日本語に置き換えるとどういう意味だと思いますか? (オーバ=YES(そうだよ)/ ジョグ=NO(違うよ))

7 演習Ⅰ|演習の流れ 演習の流れ 説明後、3人の小グループに分かれ疑似体験の演習①、演習②を 続けて行います。
  続けて行います。 ■ 演習後、再び6人グループに戻ってディスカッションを行います。 ■ その後、2~3グループに発表をしてもらいます。 演習の説明 5分 〔小グループ〕 演習① 演習② 30分  グループ 発表 10分 まとめ 15分 演習① 5分 演習② 5分 グループ ディスカッション 20分 これから演習Ⅰをはじめます。演習Ⅰの流れです。 今行っている演習の説明が5分間。その後、3人の小グループに分かれて、先ほどデモンストレーションを見て頂きましたが、「分からない」状況の疑似体験、演習①、演習②をそれぞれ5分間行います。 その後、再び6人グループに戻り、グループディスカッションを20分間行います。そして発表が10分間。最後に15分間まとめを行います。

8 演習①|「分からない」状況の疑似体験 小グループと役割の確認 奇数番号の小グループと、偶数番号の小グループを作ります
  奇数番号の小グループと、偶数番号の小グループを作ります 各役割の内容は以下の通りです 小グループには「援助者(③④)」「モデル(⑤⑥)」「モデルサポート(①②)」の3つの役割があります。 ③、④ ⑤、⑥ ①、② 【援助者】     ● 指示書(台詞)の受け取り係  ● モデルに対して、聞き覚えのない外国語で指示を出す 【モデル】     ● 援助者の出した指示に従い、アクションする 【モデルサポート】     ● モデルの気持ちを汲んで観察 演習①をはじめる前に、小グループと役割の確認を行います。 今6人のグループになっています。名札の番号を確認して、奇数番号の3人グループと、偶数番号の3人グループを作ります。小グループには「援助者(③④)」「モデル(⑤⑥)」「モデルサポート(①②)」の3つの役割があります。 各役割の内容はスライドの通りです(スライドを読む)。

9 演習①|注意点 演習が開始されたら、援助者は日本語を話せません。援助者以外 の皆さんも日本語を話さないで下さい。また、援助者以外はヒン トになるような表情や身振り、笑い声も原則禁止です。 援助者は、勝手に手がかりを増やさないでください。指示がある まで、同じ手がかりだけを繰り返し出してください。 援助者は、「ジョグ」と「オーバ」は使用できます。 モデルは援助者からの指示された内容を想像し、何らかのアク ションを必ず行って下さい。「照れ」「過剰な演技」は厳禁です 指示の次のステップに移るタイミングは、私が出します。 モデルが正解したら、「静かに」座ってお待ち下さい。 注意点 注意点です。(スライドの内容を読む)

10 演習①|スタート 役割分担は大丈夫? 各自準備はOK? では、 はじめましょう
■援助者は、台詞を前に取りに来てください(偶数番号の小グループは●色封筒 奇数番号グループは●色の封筒を取ってください)。 ■援助者は、台詞を封筒から出すときに他者に見られないようにしてください。  役割分担は大丈夫?  各自準備はOK? これから援助者の方に、台詞が入った封筒を取りに前に来て頂きます。偶数番号のチームと奇数番号のチームで渡す封筒の色が違います。偶数番号は●色、奇数番号は●色の封筒です。間違えないようにしてください。それでは、援助者の方、前に取りに来てください。 (援助者が着席したのを確認してから) 援助者は、台詞を出すときに他の人に見られないようにしてください。慎重に出してくださいね。 もう一度お伝えします。援助者が伝える内容については、私から指示しますので、援助者は私の指示を受けて、モデルに指示を出してください。 では、皆さん立ってください。そして、グループ通しでぶつからないように、距離を確認してください。 では、  はじめましょう

11 話しことばで! それでは、話しことばで!

12 一部日本語を加えて! 一部日本語を加えてください!

13 ジェスチャー・身振りも! 援助者は、ジェスチャー・身振りも加えてください!

14 ありとあらゆる手がかりを! ありとあらゆる手がかりを使ってください! (全員が着席したのを確認してから) はい、お疲れ様でした。

15 演習②|「分からない」状況の疑似体験 役割を交代します。各自役割を確認してください。 ⑤、⑥ ①、②
援助者は台詞を前に取りに来てください(偶数番号の小グループは●色封筒、奇数番号グループは●色の封筒を取ってください)。 援助者は、封筒から台詞を出すときに、他者に見られないようにしてください。 ③、④ ⑤、⑥ ①、② 【援助者】     ● 指示書(台詞)の受け取り係  ● モデルに対して、聞き覚えのない外国語で指示を出す 【モデル】     ● 援助者の出した指示に従い、アクションする 【モデルサポート】     ● モデルの気持ちを汲んで観察 もう一度、疑似体験の演習を行います。 役割を交代します(スライドを読む)  ※援助者に台詞を取りに来てもらい、全員が席に着いたら次のスライドへ

16 演習②|注意点 演習が開始されたら、援助者は日本語を話せません。援助者以外 の皆さんも日本語を話さないで下さい。また、援助者以外はヒン トになるような表情や身振り、笑い声も原則禁止です。 援助者は、勝手に手がかりを増やさないでください。指示がある まで、同じ手がかりだけを繰り返し出してください。 援助者は、「ジョグ」と「オーバ」は使用できます。 モデルは援助者からの指示された内容を想像し、何らかのアク ションを必ず行って下さい。「照れ」「過剰な演技」は厳禁です 指示の次のステップに移るタイミングは、私が出します。 モデルが正解したら、「静かに」座ってお待ち下さい。 注意点 注意点です(スライドを読む)

17 演習②|スタート 役割分担は大丈夫? 各自準備はOK? では、 はじめましょう
 役割分担は大丈夫?  各自準備はOK? では、  はじめましょう 援助者が伝える内容については、私から指示しますので、援助者は私の指示を受けて、モデルに指示を出してください。 では、皆さん立ってください。そして、グループ通しでぶつからないように、距離を確認してください。

18 話しことばで! それでは、話しことばで!

19 一部日本語を加えて! 一部日本語を加えてください!

20 ジェスチャー・身振りも! 援助者は、ジェスチャー・身振りも加えてください!

21 ありとあらゆる手がかりを! ありとあらゆる手がかりを使ってください! (全員が着席したのを確認してから) はい、お疲れ様でした。

22 グループディスカッション 3人の小グループから、6人グループに戻ってください
①が「司会」、②が「記録」を行ってください。なお「記録者」は 「発表者」も兼ねてください ディスカッションのテーマは下の4つです(時間は20分です) ディスカッションのテーマ グループ名を決めてください! 話しことばの理解が難しい人の戸惑いを体験してもらいましたが、もう一度、 どういう気持だったかまとめてください 様々な手がかりが出されましたが、援助者が意図した、あるいは意図してい ない、どのような手がかりが有効でしたか 指示する側も、伝わらない、わかってくれないストレスを感じたと思います。どう いう気持だったかをまとめて下さい これからグループディスカッションを行います。 3人の小グループから、6人グループに戻ってください。①が「司会」、②が「記録」を行ってください。なお「記録」は「発表者」も兼ねてください。時間は20分です。司会者はタイムキープをお願いします。 ディスカッションのテーマはスライドの4つです。 先ずは、グループ名を決めてください。ここであまり時間を取り過ぎないように注意してくださいね。 2つめです。話しことばの理解が難しい人の戸惑いを体験してもらいましたが、もう一度、どういう気持だったかまとめてください。 3つめです。様々な手がかりが出されたと思います。援助者が意図した、あるいは意図していない、どのような手がかりが有効だったかを話し合ってください。 最後、4つめです。指示する側も、伝わらない、わかってくれないストレスを感じたと思います。どういう気持だったかをまとめて下さい。 それでは、はじめてください。 (20分経過) はい、やめてください。

23 2~3グループから 発表してもらいます グループ名(と、その理由)
発表の内容 グループ名(と、その理由) 話しことばの理解が難しい人の戸惑いを体験してもらいました。どういう気 持だったかを発表してください どのような手がかりが有効でしたか 指示する側も、伝わらない、わかってくれないストレスを感じたと思います。 どういう気持だったかを発表してください 2~3のグループに発表をお願いします。 発表の内容は(スライドを読む) それでは・・・(発表時間は10分間です。その間に2つか3つのグループに発表をしてもらいます)。

24 演習Ⅰ|まとめ コミュニケーションとは相互のやりとり
コミュニケーションとは、ラテン語の「分かち合う」という意味の communicare が語源です。 コミュニケーションとは、出し手(表現/表出性)と受け手(受信/ 受容性)の相互作用による「やりとり」のことをいいます。 コミュニケーションを行っているとは、コミュニケーションの出し手の行為 (行動)が、コミュニケーションの受け手の行為(行動)に、明らか に影響を与えることです。 演習Ⅰのまとめです。 スライドを読みます(青枠の中を読む)。 また、コミュニケーションとは「話しことば」による「やりとり」だけではありません。ジェスチャーや表情、視線、さらに文字や絵などの情報も含むものです。 コミュニケーションとは「話しことば」による「やりとり」だけ ではありません。次ページのピラミッドのように、ジェスチャー や表情、視線、さらに文字情報等も含みます。

25 演習Ⅰ|まとめ 大切なこと:話しことばに依存しない
言語の通じない外国に旅行に出かけ れば、私たちは自然に相手の意思を 理解する、相手に意思を伝えるため に、左の図のような様々な方法を活 用するはずです。 文化の違いは、コミュニケーションの難 しさを表面化します。障害者の中にも 同様な人がいます。 ◎※・▲☓・・◯□◆ ◎※(理解できる単語)◯□◆ (指差し) (表情・眼差し) (ジェスチャー) (お手本) (一部手を添えて) (すべて手を添えて) 話しことばだけでない、様々なコミュニ ケーションの方法があり、それを意図的 (計画的)に使う工夫を学んでもら いました。 言語の通じない外国に旅行に出かけた時、私たちは自然に相手の意思を理解する、相手に意思を伝えるために、左の図のような様々な方法を活用するはずです。 また外国の飲食店に入ったとき、外国語だけのメニュー表よりも写真や絵が入ったメニュー表のほうが、はるかに分かりやすく、選びやすいと思います。そして喋れなくても、その写真を指さすだけで「これが欲しい」という意思が、相手に伝わります。 大切なことは、話しことばに依存しないということです。分からないことをいくら言われても、分かりません。この演習Ⅰでは、話しことばだけでない、様々なコミュニケーションの方法があること、そしてそれを意図的に、計画的に使う工夫を学んでもらいました。 大切なこと:話しことばに依存しない

26 大切なこと:しっかりと障害特性を理解しておく
演習Ⅰ|まとめ 重度・最重度の知的障害者、または自閉症者とのコミュニケーション場面で、  「話を聞いていないようにみえる。」  「指さしをしても、その指した方向に意識が向いていない。」 といったことがあります。その背景には、障害特性が深く関係しています。 ■ 話し言葉を理解すること・表出することが苦手 ■ 見て欲しい部分や、意識を向けて欲しい部分に意識が向きにくい ■ 表情や身振りを誤って理解してしまう ■ 聞いた、理解した内容を忘れてしまう(記憶することが苦手) etc… もう一つ、大切なことがあります。 重度・最重度の知的障害者、または自閉症者とのコミュニケーション場面で、  「話を聞いていないようにみえる。」 「指さしをしても、その指した方向に意識が向いていない。」「厳しい表情で注意しているのに、注意を受けているという様子がない。」「理解できたかと思っても直ぐに忘れて、別のところに向かってしまう。」 そんな経験をしている方もいるのではないでしょうか。こうした背景には、障害特性が深く関係しています。 例えば、 ■ 話し言葉を理解すること・表出することが苦手 ■ 見て欲しい部分や、意識を向けて欲しい部分に意識が向きにくい ■ 表情や身振りを誤って理解してしまう ■ 聞いた、理解した内容を忘れてしまう(記憶することが苦手)  午前中に既に説明していますが、最後のページの「障害特性ヒントシート」に記載してある内容です。 こうした障害特性があるため、具体物や写真、あるいは絵などを使うことによって、障害特性の影響が出ない方法でコミュニケーションが行われます。 ※休憩を入れても良いかも そのため具体物や写真、あるいは絵などを使うことによって、障害特性の影 響が出ない方法でコミュニケーションが行われます。 大切なこと:しっかりと障害特性を理解しておく

27 演習Ⅱ|その前に 【様々な方法】 ■ 話しことば ■ クレーン ■ お手本(モデル) ■ ジェスチャー ■ 指さし ■ 表情や視線 ■ 物 ■ 写真や絵 ■ 文字   …etc 表出性コミュニケーション 受容性コミュニケーション 演習Ⅱに入る前に、もう一度コミュニケーションの考え方について振り返ります。 コミュニケーションとは、①出し手(表出性)と、②受け手(受容性)の、やり取り(相互作用)のことを言います。 そしてコミュニケーションの方法は、右の点線で囲ってあるような話しことば以外にも様々な方法があります。 もう一度コミュニケーションの考え方について振り返ります。 コミュニケーションとは、①出し手(表出性)と、②受け手(受容性)の、やり取り(相互作用)のことを言います。そしてコミュニケーションの方法は、話しことば以外にも様々な方法があります。

28 表出性コミュニケーション|機能 表出性コミュニケーション 受容性コミュニケーション 相手に伝えるコミュニケーションには、以下のような機能が含まれています。 強度行動障害といわれる人の中には、行動障害として表されているものもあります。 要求 (必要、または当然なこととして)相手に強く求めること 注意喚起 周囲の人に対して、注意を向けさせること/意識させること 相手へ伝えるコミュニケーションを表出性のコミュニケーションと言います。 この表出性コミュニケーションには、スライドにあるような機能があります。本研修では要求、注意喚起、拒否、コメント、情報提供、情報請求、その他、の7つとして考えます。 強度行動障害といわれる方の中には行動障害として、例えば拒否、「嫌だ」ということを自傷や他害といった行動で表している人もいます。また注意喚起として、大きな声を出したり、故意に扉を何度も蹴ったりして、人を呼ぶといったこともあります。 少し、それぞれの機能について見ていきたいと思います。 要求は、「これが欲しい」「こうして欲しい」のような、相手に対しての要求です。 注意喚起は、周囲の人に対して、多くは自分自身に注意・意識を向けさせることです。 拒否は、他者からの要求や提案、働きかけなどを断ることです。 そしてコメントは、自分の思いや意見を表すこと、説明をすることです。 情報提供は、本人が既に知っている情報を、他の人に伝えること。 情報請求は、本人がまだ知らない情報について、他者へ情報を求めることです。 最後に、その他として、嬉しい、悲しい、嫌いなどの感情表現。挨拶といった社会的慣習があります。 相手へ伝えるコミュニケーションの中には、こうした機能が含まれています。 拒否 他者からの要求や提案、働きかけなどを断ること その他 喜怒哀楽などの感情表現。挨拶などの社会的慣習など ※ 機能の分類は、その他の考え方もあります。本研修では、上記の4つとして考えます。

29 演習Ⅱ|演習の流れ 演習の流れ これまでお話しした「表出性のコミュニケーション」と、これか らお話しするモデル事例で20分です
  ※ モデル事例は、演習Ⅱで行う内容や方法を紹介しますので、  しっかりと聞いておいてください 演習Ⅱはグループで行います。司会者を③、記録・発表者を④が 行ってください。その後、発表を行います 演習の説明 モデル事例 20分 グループ 演習Ⅱ  グループ 発表 10分 まとめ それでは演習Ⅱの流れを確認します。 これまでお話しした「表出性のコミュニケーション」と、これからお話しするモデル事例が20分間です。その後、「グループ演習」を20分間、「グループ発表」を10分間、最後に10分間「まとめ」を行います。 演習Ⅱはグループで行います。司会者を③、記録・発表者を④が行ってください。

30 特定の利用者を突き飛ばすAさん Aさんが利用している障害者支援施設では、月に1回、誕生日会があり、全利用者60人が食堂に集まってお祝いをします。誕生月の利用者の紹介と本人の一言から始まり、最後は歌をうたってケーキを食べます。 自傷や他害がある自閉症のAさんも、誕生日会には毎月参加しています。ですが、いつも厳しい表情で周りをキョロキョロしながら、両手で耳を塞いでいます。最後のケーキだけを急いで食べると、走って自室に帰って行きます。 今日は誕生日会です。いつも通り、厳しい表情で食堂へ現れたAさん。両耳を塞ぎながら、周囲をキョロキョロしています。すると急に走り出し、突然利用者を突き飛ばしてしまいました。すぐに職員がかけつけました。突き飛ばされた利用者は、姿が見えたり声が聞こえただけで他害を受けていた、特定の利用者でした。 モデル事例です。読みます。 「特定の利用者を突き飛ばすAさん」を読む

31 モデル事例|機能の考え方 一般的に「行動には何らかのコミュニケーションの機能」があると考えられています。行動障害も同様に、コミュニケーションとしての機能があります Aさんの「特定の利用者を突き飛ばした」行動の、コミュニケーションとしての機能にはどういったものがあるでしょうか 1.コミュニケーションの機能 要求 注意喚起 拒否 その他 一般的に「行動には何らかのコミュニケーションの機能」があると考えられています。行動障害も同様に、コミュニケーションとしての機能があることは、先ほどお話ししたところです。 「特定の利用者を突き飛ばした」Aさんのコミュニケーションとしての機能を推測すると、「拒否」という機能が考えられます。 この事例での機能を話しことばに置き換えると、特定の利用者に対して「姿を見たくないよ!」「声を聞きたくないんだ!」、「あっちに行け」となるかと思います。 ここでモデル事例は終わりです。次からグループで演習を行って頂きます。まず事例を読み、そこで起きた行動の機能を推測し、その機能を話しことばに置き換えます。 2.話ことばに置き換えると・・・ 例: 姿を見たくない(拒否) 声を聞きたくない(拒否)

32 演習Ⅱ|突然、服を脱ぎ出すBさん Bさんは中度の知的障害がある10代後半の自閉症の男性です。幼い頃から動き回るのがとても大好きだったので、土日の休みには、広い芝生がある近所の公園へ行くのが定番です。 普段はとても穏やかなBさんですが、両親には困っている事が、1つだけありました。それは決まって夏に起きます。いつも通り公園で遊んでいた時です。徐々に険しい表情になり、顔を真っ赤にさせたかと思うと、すべての衣類を脱ぎ、脱いだ衣類を持ってくることです。 「暑いからかな?」と思い、薄手の服を準備したり、冷たいお茶を出しても…やっぱり脱いでしまいます。「汗もほとんどかいていないのに。あっ!」お父さんは昨日のことを思い出しました。そういえば夕食後の歯磨きの時、袖に水が少しついただけで、上着を脱いでいました。その後、パジャマに着替えていたから気にならなかったけど、もしかして・・・ 演習Ⅱ「突然、服を脱ぎ出すBさん」です。読みます(スライドを読む)

33 グループディスカッション ③が「司会」、④が「記録」を行ってください。なお「記録」は 「発表者」も兼ねてください
ディスカッションのテーマは下の2つです(時間は20分です) 他の人の意見を、批判したり、否定することはNGです ディスカッションのテーマ 「突然服を脱ぎ、衣類を両親に持っていく」というコミュニケーションの機能を グループ内でなるべく沢山考えてください(WS-1を使ってください) 話し合った機能を、話しことばに置き換えてください     ※1つの機能に、複数の意味があることもあります  ※記録者は、発表ができるように準備しておいてください これからグループディスカッションを行います。 ③が「司会者」、④が「記録」と「発表者」を行ってください。 ディスカッション中、他の人の意見を批判したり、否定することはやめてください。たくさんグループで話し合ってください。時間は20分間です。 ディスカッションのテーマはスライドの2つです。 1.「突然服を脱ぎ、衣類を両親に持っていく」というコミュニケーションの機能をグループ内でなるべく沢山考えてください。次のページにあるワークシート1を使ってください。 2.話し合った機能を、話しことばに置き換えてください    ここで留意点です。1つの機能に、複数の意味があることもあります。なるべく沢山考えて見てください 記録者は、発表ができるように準備しておいてください それでは始めてください。 ※時間が余っているグループがいたら、「時間が余っているグループは背景にある障害特性も考えてください。」と全体にアナウンスしてください。 (20分経過)それではやめてください。

34 2~3グループから 発表してもらいます いくつ推測できましたか 話しことばに置き換えた内容を教えてください 発表の内容
2~3のグループに発表してもらいます。 発表する内容は、機能と話しことば、それぞれいくつ推測できたのか、推測できた数字を発表してください。 その後、話しことばに置き換えた内容を教えてください。 ※発表時間は10分間です。その間に、2~3のグループに発表してもらいます。

35 公園で衣類を脱いだ後、衣類を両親に持っていった行動
演習Ⅱ|機能を推測する(例) 公園で衣類を脱いだ後、衣類を両親に持っていった行動 1.コミュニケーションの機能 要求 注意喚起 拒否 その他 2.話しことばに置き換えると・・・ 例: 服が濡れたので交換して欲しい(要求) 服を持っていて欲しい(要求) 汗で濡れて気持ちが悪い(不快) 演習Ⅱ「公園で衣類を脱いだ後、衣類を両親に持っていった行動」の機能と、話しことばに置き換えた、例です。 機能は「要求」と「その他」 それぞれ話しことばに置き換えると、「服が濡れたので交換して欲しい(要求)」「服を持っておいて欲しい(要求)」「汗で濡れて気持ちが悪い(不快)」としました。 また、服を交換して欲しい、水に濡れて気持ちが悪いといった機能の背景には、「衣類が水に濡れる感覚が苦手(特定の感覚が過敏)」といった障害特性があることが推測されます。 服を交換して欲しい(要求)、気持ちが悪い(不快)といった機能の背景に「衣類が水に濡れる感覚が苦手(特定の感覚が過敏)」といった障害特性があることが推測されます。

36 演習Ⅱ|まとめ コミュニケーションには機能がある さらに・・・ 大切なこと: コミュニケーションの機能をしっかりと理解すること 注意喚起
拒否 コメント 情報提供 情報請求 その他 要求 他者からの要求や提案、働きかけなどを断ること 周囲の人に対して、注意を向けさせること/意識させること 個人的な思いや意見、批評、ものごとの説明を行うこと (必要、または当然なこととして)相手に強く求めること 喜怒哀楽などの感情表現。挨拶などの社会的慣習など 本人が未だ知らない情報について、他者からその情報を求めること 本人が既に知っている情報を、他者に伝えること 演習Ⅱのまとめです。 既に何度も出てきていますが、もう一度。コミュニケーションには機能があります。 そしてその機能は、要求、注意喚起、拒否、コメント、情報提供、情報請求、その他、の7つに分類されます。 大切なことは、コミュニケーションの機能を理解し、表れている行動の機能を、考えることです。 大切なこと: コミュニケーションの機能をしっかりと理解すること

37 演習Ⅱ|まとめ 大切なこと:障害特性が関連しているという視点をもつこと
モデル事例のAさんは、特定の利用者を突然突き飛ばしてしまい ました。ここでの機能は「不快」と考えられますが、その背景には以 下のような障害特性が推測されます。  ■ 特定の利用者を捜す(特定の物事に強く固執)  ■ 特定の利用者を押す(特定の行動を何度も繰り返す)  ■ 声やニオイなど、Aさんにとって耐えがたいものであれば    (特定の感覚が過敏、または鈍い) コミュニケーションには様々な機能があります。言語や表情などは一般的に理解 しやすいものですが、強度行動障害がある方の場合、非言語あるいは行動障 害の中に、コミュニケーションの機能が含まれています。またその背景には、障害 特性が関連しているという視点を持っておくことが大切です。 もう一つ。 モデル事例のAさんは、特定の利用者を突然突き飛ばしてしまいました。ここでの機能は「不快」と考えられましたが、その背景には、  ■ 特定の利用者を捜す(特定の物事に強く固執)  ■ 特定の利用者を押す(特定の行動を何度も繰り返す)  ■ 声やニオイなど、Aさんにとって耐えがたいものであれば(特定の感覚が過敏、または鈍い) といった障害特性が推測されます。 コミュニケーションには様々な機能があり、言語や表情などは一般的に理解しやすいものです。 しかし強度行動障害がある方の場合、非言語あるいは行動障害の中に、コミュニケーションの機能が含まれています。 またその背景には、障害特性が関連しているという視点を持っておくことが大切です。 大切なこと:障害特性が関連しているという視点をもつこと

38 演習全体のまとめ 話ことばだけでない、様々なコミュニケーションの方法があり、それを意 図的(計画的)に使う工夫を学んでもらいました。また「伝わらない」 背景に、障害特性が関係していること、障害特性を理解しておくこと の大切さを学んでもらいました コミュニケーションとは、①出し手(表出性)と、②受け手(受容 性)の、やり取り(相互作用)のことをいいます コミュニケーションには機能があること、行動障害もコミュニケーションの 一つとなっていることを学んでもらいました。また受容性と表出性のコ ミュニケーションには、障害特性が関係していること、障害特性という 視点を持つことの大切さを学んでもらいました 演習全体のまとめです。 演習Ⅰでは、3人の小グループに分かれ、グループごとに、話し言葉が「分からない」「伝えられない」状況の疑似体験をしました。 演習Ⅱでは、架空事例をもとに、そこでの行動障害が表している機能についてグループで検討し、機能を話しことばに置き換えました。 コミュニケーションの受容生と表出性、そしてその背景にある障害特性について考えてきました。 スライドを読みます。 ■話ことばだけでない、様々なコミュニケーションの方法があり、それを意図的(計画的)に使う工夫を学んでもらいました。また「伝わらない」背景に、障害特性が関係していること、障害特性を理解しておくことの大切さを学んでもらいました ■コミュニケーションとは、①出し手(表出性)と、②受け手(受容性)の、やり取り(相互作用)のことをいいます ■コミュニケーションには機能があること、行動障害もコミュニケーションの一つとなっていることを学んでもらいました。また受容性と表出性のコミュニケーションには、障害特性が関係していること、障害特性という視点を持つことの大切さを学んでもらいました

39 演習全体のまとめ 強度行動障害者の多くは、「話しことばの理解」「話しことば以外の手 がかりの理解」「手がかりにタイミングよく注意を向けること」の3つが苦 手な人たちです(理解/受容性) 強度行動障害者の多くは、「話しことばで伝える」「話しことば以外の 方法で伝える」「適切なタイミングで伝える」の3つが苦手な人達です (表現/表出性) 障害特性をしっかりと理解し、強度行動障害者本人が理解できる方 法で、「分かる」「伝えられる」コミュニケーションを行うことが、コミュニ ケーション支援の大切なポイントになります。 強度行動障害者のコミュニケーションで、押さえておくべき大切なポイントです。 ■強度行動障害者の多くは、「話しことばの理解」「話しことば以外の手がかりの理解」「手がかりにタイミングよく注意を向けること」の3つが苦手な人たちです(理解/受容性) ■強度行動障害者の多くは、「話しことばで伝える」「話しことば以外の方法で伝える」「適切なタイミングで伝える」の3つが苦手な人達です(表現/表出性) ■障害特性をしっかりと理解し、強度行動障害者本人が理解できる方法で、「分かる」「伝えられる」コミュニケーションを行うことが、コミュニケーション支援の大切なポイントになります。

40 参考文献 坂井聡(2013)『自閉症スペクトラムなど発達障害がある人とのコ ミュニケーションのための10のコツ』エンパワメント研究所.
アンディ ボンディ・ロリ フロスト(2006)『自閉症児と絵カードでコミュ ニケーション –PECSとAAC』(園山繁樹・竹内康二訳),二瓶社 L・R・ワトソンほか(1995)『自閉症のコミュニケーション指導法  – 評価・指導手続きと発達の確認 -』(佐々木正美・青山均訳), 岩崎学術出版社 最後に、参考文献をいくつかご紹介し、この演習を終わります。 お疲れ様でした。


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