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救急撮影セミナー 広島 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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外傷患者診療指針(JATECTM)とトリアージの概念
広島大学病院 救命救急センター 廣橋伸之 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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どのくらいの人が 外傷で死亡するのか 不慮の事故 悪性新生物(33%) 自殺/悪性新生物 心疾患(13.5%) 悪性新生物/自殺
全年齢 20歳代 悪性新生物(33%) 心疾患(13.5%) 脳血管疾患(10%) 肺炎(9.5%) 不慮の事故(3.7%) 不慮の事故 自殺/悪性新生物 悪性新生物/自殺 30歳代 自殺 不慮の事故 悪性新生物/心疾患 皆さんのお知り合いの中でお亡くなりになった方はいるでしょうか。日本の昨年2007年の厚生労働省からの統計では、悪性新生物いわゆる癌ですが、癌でなくなる方が3分の1であり、心疾患、脳血管疾患、肺炎と続いております。全年齢を含めると外傷でなくなる方は基本的には不慮の事故に含まれるわけですが、ほんの4%しかいないわけです。にもかかわらず、外傷患者を助けようとしているのは何故でしょうか。 年齢別に見てみると、10代では不慮の事故がトップであり、次いで自殺、この中には飛び降り等も含まれるため外傷患者の割合はもっと多いわけです. 30代では自殺が一位を占め、不慮の事故が2位につけ、外傷でなくなる方が多いのが現状です。これらの年代の死亡というのは社会的貢献度で大きく異なるのです。 2018/11/9 救急撮影セミナー 3 第1回 救急撮影セミナー
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救急患者の死亡時期 外傷患者はいつ・どんな外傷で死ぬか →予防医学 →救急医学 →集中治療学 第1のピーク:頭部外傷・大動脈破裂
第2のピーク:頭部外傷・胸腹部外傷・骨盤外傷 第3のピーク:多臓器不全 →予防医学 法律の規制:シートベルト・飲酒運転 機器の進歩:エアバッグ・衝撃吸収 →救急医学 共通言語の必要性 Pre-In hospitalまでの継続治療 では、外傷でなくなる方というのはいつ死亡するのでしょうか。基本的には3つのピークがあるといわれております。一つめは即死といわれ、大動脈破裂などが含まれます。第2のピークは、胸腹部外傷や骨盤外傷が含まれ、第3のピークには多臓器不全が含まれます。これらを減少させればよいわけですが、第1のピークを減少させるのは、予防医学です。法令や機器の進歩によりある程度減らすことは可能です。第3のピークは集中治療学の進歩です。我々が関与する救急医学というのは第2のピークに大きく貢献すると考えられます。 →集中治療学 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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外傷診療の流れ 10 JPTEC JATEC 病院前 病院到着後 受傷 覚知 現着 現発 病着 根本治療 退院 約6分 現場活動 外来初療
受傷から根本治療までの時間 ならば、実際にどうすれば第2のピークを減らすことができるのでしょうか。外傷患者診療の流れを時間的に見てみると、まず、受傷して救急要請がなされます。現在、救急要請から現場到着まで平均6分強と言われております。そして、救急隊による現場での活動、病院搬送があり、病院での診療・治療が始まるわけです。古い統計になりますが、受傷から根本治療までが1時間以内になると、救命率が最大になるといわれ一般的にgolden hourといわれています。1時間といっても受傷からのカウントになるので、外来初療での与えられた時間は非常に短いのです。この短い時間の中で、どこの部位に損傷があり、どこの部位から治療を行わなければならないのかを判断するわけです。そのため救急のみならず、病院善を担当する救急隊にも大きな努力が必要なわけです。現在では病院前外傷診療はJPTECとして広く全国で講習が行われ、病院後の診療に関してはJATECとして、全国の救急病院に浸透しているわけです。共通言語を用いてできるだけ時間を短縮しております。 緊急性の高い外傷患者に対して受傷から1時間以内に手術療法などの決定的治療を行えば救命率が最大となる Cowley RA, et al. J Trauma 1973; 13: Golden Hour 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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高エネルギー外傷の受傷機転例 自動車から放出された場合 同乗者が死亡していた車に同乗していた場合 車外に救出するのに20分以上を要した場合
以下のような高スピードの自動車衝突事故 1.事故前のスピードが65km/h以上 2.事故による速度変化が32km/h以上 3.車のボディのつぶれ・変形が50cm以上 4.乗車席への車の凹みが30cm以上 車と歩行者の事故で以下の場合 1.車から8km/h以上のスピードで衝突された場合 2.車にひかれたか、5m以上跳ね飛ばされた場合 単車の衝突事故で以下の場合 1.32km/h以上のスピードで衝突した場合 2.事故現場から離れた場所で発見された場合 6m以上の高所からの墜落事故 こうした時間との闘いの中での、キーワードの一つになるのが、「高エネルギー外傷」です。これらにあるような高エネルギー外傷では、致死的な臓器損傷をきたすことが多く、すぐに搬送したい「ロードアンドゴー」の対象患者になりやすいのです。ショックなのか、どこの損傷があるのかなどを聞いて受け入れを決定しております。 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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初期診療手順の構成 Primary surveyと蘇生 ABCDEアプローチと支持療法 ⇒蘇生を必要とする病態を検索するための 生理学的評価
2018/11/9 初期診療手順の構成 損傷を系統的に検索し、 根本治療の必要性を決定 ⇒損傷を検索するための解剖学的評価 Primary surveyと蘇生 Secondary survey ABCDEアプローチと支持療法 ⇒蘇生を必要とする病態を検索するための 生理学的評価 実際に、外来初療室に患者が搬送されると、時間をかけず、かつ致死的な外傷を見落とさないために、Primary survey、Secondary surveyといわれる方法を用いて診療を行っております。 Primary surveyというのは、呼吸だとか血圧だとか意識だとか言った生理学的な兆候からのアプローチで、まずはこれを安定化させようというものです。「安定」というのは、端的に言えば初療の場所から少し離れても安心できる患者の状態ということです。ABCDEに関しては、あとのスライドで説明します。 この患者さんが、危険な状態なのかどうかをまず判断し、血圧が低ければ輸液して血圧を上げる、呼吸の状態が悪ければ人工呼吸をするといったことが含まれてきます。 そして、Secondary surveyでは、解剖学的に損傷、たとえば肝臓にどういう損傷がある、とか頭蓋内にどういう損傷がある、といった具体的な損傷を検索して、治療方針を決定するわけです。 「外傷初期診療ガイドライン」 より 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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ABCDEアプローチ 2018/11/9 救急撮影セミナー 2018/11/9
ABCDEアプローチというのは、まず気道、airway、これの頭文字をとってAを評価を行い、気道が確保できていない、すなわち、気道の閉塞があるようなら気管挿管などを行って、気道を保ちます。ついて呼吸です。気道が開通していても呼吸、Breathingをしていなければ、体内に十分な酸素を取り入れることができません。酸素化を十分に行う必要があります。そして、循環、Circulation、Cの評価として血圧が低く、末梢に十分な血流が送られているかどうか、すなわちショックがあるのかを判断し、輸液を行いながら、どこにどのような損傷があるかを、端的に迅速に調べるわけです。この検索に関してはのちにまた示したいと思います。このABCの安定化を経て、脳内の十分な酸素・栄養が行き渡るのです。したがって、意識が悪いかどうかは一見すれば、状態が悪そうなのは想像できるのですが、正確な神経学的な異常を評価します。これがDです。 最後にEがありますが、これば、全身の脱衣を行い大きな損傷がないかを判断し、十分な保温に努めるわけです。体温は全身状態を悪化させる因子の一つであり、保温に努めなければなりません。これがABCDEアプローチというわけです。 「外傷初期診療ガイドライン」 より 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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治療の流れ Primary Survey Secondary Survey Tertiary Survey ABCの安定化
Head to Toe, Front to Back Tertiary Survey 頭部CT さて、治療の流れに沿って、再び見ていきます。Primary surveyでまずは呼吸だとか血圧を安定化させます。これで安定すれば、Secondary surveyにうつります。「切迫するD」というのは、意識レベルが悪い、非常に緊迫した状態であることを意味しています。従って、そのような場合はすぐに頭部CTを施行します。次いで、全身の観察を行い、必要な箇所に応じて体部CTを施行します。その結果から根本治療の必要性がある部位に関しては根本治療を行います。Tertiary surveyというのは、見逃した損傷がないか詳しくチェックしなおすということです。 体部CT 根本的治療 2018/11/9 救急撮影セミナー
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Primary Survey 第1印象:重篤か否か A: Airway(気道) B: Breathing(呼吸)
C: Circulation(循環) D: Disfunction of CNS(中枢神経系の機能障害) E: Exposure and Environmental control(露出と体温管理) 診察 数値 検査 処置 A 発語・口腔内 気管挿管など B 頚胸部 R・SpO2 気管挿管・胸腔ドレーン C 皮膚・外出血 HR・BP CXP, p-XP, FAST 輸液・圧迫止血・気管挿管 D 瞳孔・麻痺 GCS 頭部CT? 気管挿管 E 全身の観察 BT 保温 それでは、さらにPrimary surveyを細かく見てみましょう。気道では発声が可能か、口腔内が問題ないかを観察し、気道閉塞の可能性があれば気管挿管を行います。呼吸では胸部ならびに頸部の観察・診察から危険な状態を察知し、呼吸不全があれば胸腔ドレーンや気管挿管を行うことになります。循環では、皮膚の所見、これはショックになると皮膚がしめって冷たくなるわけですが、皮膚の所見や外出血の有無を観察し、さらに内出血の原因検索として胸部と骨盤のレントゲンおよびFASTと呼ばれる超音波装置を用いた検査を行います。ショックであれば急速輸液を行い循環動態の改善を図るのです。このレントゲンとFASTに関しては次のスライドで詳しく触れたいと思います。 ABCを経てバイタルサインの改善が得られれば、Dとして中枢神経系の評価を行います。意識レベルや瞳孔・麻痺の有無を見て頭部CTの必要性の有無を判断します。先程の切迫するDとの言うのはここで意識レベルを評価して、GCS、これは皆さんの資料の中にありますが、GCSが8点以下などの重度の意識障害があれば、早めの頭部CTが必要になるのです。そして、Eとして全身を露出し、保温に努めます。 このうち、C循環に関してみてみましょう。 2018/11/9 救急撮影セミナー 10 第1回 救急撮影セミナー 10
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横浜市立大学附属市民総合医療センター 救急放射線室
2018/11/9 三大内出血部位 胸腔・腹腔・後腹膜 Focuser Assessment with Sonography for Trauma 外傷患者ではショックの原因としては出血性ショックが9割を占めると言われています。出血が体表からであれば、圧迫止血を行えばよいわけですが、目に見えない内出血に関しては検査をしなくてはなりません。内出血の部位として溜まりやすい空間は、胸腔、腹腔、後腹膜とされております。胸腔は多発肋骨骨折や肺実質の損傷などで生じるわけですが、胸腔内に血液が貯留する「血胸」を検索するためには胸部レントゲンが必要です。また後腹膜の出血として一番原因の多い骨盤骨折を検索するために骨盤レントゲンが必要です。さらに腹腔内への出血を見つけるためにはもっともいいのはCTかもしれませんが、CTを施行するには場所を移動して、時間をかけて撮影を行わなければなりません。そこで超音波を用いて必要な部位だけ検索します。これをFASTと呼んでおります。FASTはfocused assessment with sonography for traumaの略ですが、素早く必要な箇所だけの検出を行います。その際に大量血胸があればFASTでも検出できますが、主に腹腔内出血の有無を判定します。 このようにしてPrimary surveyとでは、初療室で行うことができる検査を短時間に簡潔に行います。 「外傷初期診療ガイドライン」 より 2018/11/9 横浜市立大学附属市民総合医療センター 救急放射線室 横浜市立大学附属市民総合医療センター 救急放射線室
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治療の流れ Primary Survey Secondary Survey Tertiary Survey ABCの安定化
Head to Toe, Front to Back Tertiary Survey 止血術 Deadly triadに注意 低体温 凝固能異常 アシドーシス 頭部CT 先程のスライドに戻りますが、Primary surveyで血行動態が安定化しなければ、止血術にそのまま移行しております。骨盤骨折であればTAEに、FAST陽性で腹腔内出血があれば開腹止血術に移行するわけです。血行動態を安定化させて、Secondary surveyに移行します。意識障害が強く切迫するDがあれば、まずはじめに頭部CTを施行します。頭部CTを施行して、緊急で開頭もしくは穿頭しなければならない状態であるのかを判断します。次いで頭から足先まで、お腹側と背中側といった全身の観察を行い、必要な部分に対して必要な検査を行い、根本治療を進めていきます。そして、Tertiary surveyといって、見落としがないか細かい部分も見ていきます。 体部CT 根本的治療 2018/11/9 救急撮影セミナー
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Secondary Survey 目的:解剖学的に致死的外傷を検索する 部位:頭部・顔面・頚部・胸部・腹部・骨盤・四肢・背部
「切迫するD」があれば、SSのはじめに頭部CTを施行する。 GCS≦8、観察中のGCS2点以上の低下、脳ヘルニア徴候 目的:解剖学的に致死的外傷を検索する 部位:頭部・顔面・頚部・胸部・腹部・骨盤・四肢・背部 診察:見て(・聞いて・叩いて)・触って 検査: これまでに施行した検査から 胸部・骨盤X線、FAST(再検) 施行を考慮する検査 血液検査・レントゲン検査・CT検査 Secondary surveyを再度詳しく見てみましょう。まずはPrimary surveyで行ったDの評価が、いわゆる「切迫するD」であるか否かで、方針が大きく異なります。切迫するDというのはGCSで8点以下、これは端的にいえば昏睡状態なわけですが、そのような意識障害が強い場合は緊急性が高いので、すぐに頭のCTを施行しに行きます。その他の部位に関しては、致死的外傷がないか、見たり、触ったりして診察します。この所見に応じて各種検査を追加するわけです。画像検査としてはCT検査が主体となります。 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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Tertiary Survey 損傷の見落としを回避 患者が症状を訴えない場合 仰臥位では症状が出現しにくい場合
意識障害・鎮静下 高齢者・小児・身体障害者・外国人 仰臥位では症状が出現しにくい場合 荷重がかからないと症状が出にくい場合 隣接臓器損傷によりマスクされる場合 複数の脊椎骨折 同一肢の骨折・脱臼 Tertiary surveyでは損傷の見落としを回避することを目的として行います。注意しなければならない状況としては、患者が訴えを言えない場合、姿勢によって症状が出現しにくい場合、隣接臓器の症状が強く、マスクされてしまう場合などがあげられます。 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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外傷初期診療と画像診断の役割 何から読影するのか 顔、頸椎、胸部、腹部、骨盤、??? ← 何を必要としているのか どこまで画像を作るのか
← 何を必要としているのか ・ABCの安定化 →まずは出血をコントロール ・Dの異常の原因を検索したい ・機能予後を考えたい どこまで画像を作るのか ・見落としを避けたい 意思の疎通のとれないPtの隠れた損傷 画像再構成による説得力 大きな損傷の近傍の損傷 Primary survey, Secondary surveyを通して、画像診断の主体として、胸部と骨盤のレントゲン写真、およびCT検査が治療方針の決定に大きく関与するわけですが、多くの部位を撮影することが多い高エネルギー外傷では、CTを再構成するのに多少なりとも時間がかかるのが実情です。そこで、どの画像から再構成するのかは、非常に重要です。我々が一番気にしているのは血行動態の変化です。すなわち、ABCの変化をきたすような外傷がないかということが重要であり、一旦安定化してCTを施行したもののすぐに血行動態が変化しうる外傷があるかは鑑別しなければなりません。また、切迫するDがあるような症例では、頭蓋内に大きな損傷があることが多く、これも早急に知りたい情報の一つです。そして、機能予後を考える、という順序になります。したがって、顔面の冠状断像よりも腹部の画像が先にほしいのです。 また、画像をどこまで再構成するのかということも重要です。たとえば、頭蓋骨の3Dを作成する、顔面の横断面、冠状断を作成する、頸椎の矢状断を作成するといった様々な再構成が必要となることがありますが、それまでの患者の損傷によって、再構成をどこまで行うかが変わってくるわけです。我々、救急医は横断面しかわかっていないこともおおく、その点、技師さんサイドから見やすい説得力のある画像を作っていただくことは非常に重要です。 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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頭部外傷の手術適応とその判断基準 手術適応 急性硬膜外血腫 急性硬膜下血腫 脳内血腫、脳挫傷
1)厚さ>1~2cm or 容積20~30ml以上や合併血腫 2)神経症状が進行性に悪化 急性硬膜下血腫 1)厚さ>1cm 2)明らかなmass effect or 血腫による神経症状 脳内血腫、脳挫傷 1)神経症状が進行性に悪化 2)頭蓋内圧亢進が制御不能 さて、画像の中でどのような所見があれば治療方針が左右されるのか見てみたいと思います。まず、頭部外傷に関しては頻度が高い、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷をあげてみると、臨床所見も重要なのですが、推定の血腫量や血腫の厚みを求めることが重要となります。 重症頭部外傷治療・管理のガイドライン (日本神経外傷学会)より 2018/11/9 救急撮影セミナー 第1回 救急撮影セミナー
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胸部外傷の手術適応とその判断基準 手術適応 血胸 肺挫傷・気胸 大動脈損傷・横隔膜損傷 1)胸腔ドレナージ施行時>1000ml
3)>200ml/hrが2-4時間 4)持続する輸血が必要 肺挫傷・気胸 1)酸素化が保てない 2)気道系の出血が止まらない 大動脈損傷・横隔膜損傷 1)大動脈損傷;程度による 2)横隔膜損傷→横隔膜へルニア;手術 胸部外傷に関しては、血胸では胸腔ドレーンでの廃液量が治療指針となります。また酸素が保てないような損傷があれば緊急手術の適応となります。大動脈損傷では、その他の部位の状況も大きく治療方針に関与し、緊急手術に関してはcontroversialな部分はありますが、少なくとも現状を把握し、降圧治療を開始しなくてはなりません。横隔膜損傷は横隔膜ヘルニアから呼吸不全に陥ることもある病態です。 第1回 救急撮影セミナー
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腹部骨盤外傷の手術適応と判断基準 手術適応 Primary surveyで血行動態が安定しない 腹部CTで血管外漏出がある 腸管損傷
1)FAST陽性で骨盤骨折がない →開腹止血 2)FAST陰性で骨盤に不安定骨折→TAE 3) FAST陽性で骨盤骨折がある →開腹止血>TAE 腹部CTで血管外漏出がある 1)開腹 vs. TAE 腸管損傷 1)腹腔内遊離ガスがある→開腹修復術 2) 腹膜刺激症状が強い→腹腔鏡vs.開腹vs.DPL 腹部外傷に関しては、Primary surveyで血行動態が安定しないようならば、CTを施行せずに止血術が必要になります。それまでの検査でのFASTの所見と胸部・骨盤のX線写真によって、何の治療を最優先させるかを決定しなければなりません。またCTを施行できる状態にある患者であるならば、CT所見によって治療方法が決定されます。一番見たいのは血管外漏出像ですが、これに関してはあとの講義でも出てくると思います。血管外漏出がどこにどのように見られるかによって治療方針は異なります。腸管損傷に関しては、通常開腹手術が必要になります。腸管損傷が明らかでない場合は、施設によってDPL、これは腹腔内に細いカテーテルを入れて洗浄し、回収液から腸管損傷の有無を判定したり、診断的腹腔鏡で腸管損傷の有無を決定します。 第1回 救急撮影セミナー
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まとめ 外傷診療の要 患者の状態は刻一刻と変化する。 時間との戦い! 全体像を把握する前に治療を開始する。 必要最低限の検査
時間との戦い! 全体像を把握する前に治療を開始する。 必要最低限の検査 治療の優先順位;緊急度>重症度 第1回 救急撮影セミナー
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