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心理学概論Ⅱ 第10講 2011年12月6日(火) 担当:岡田佳子
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先週のプリントの続きから
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2.集団間の葛藤とその解決
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集団と集団の間での葛藤はどのようにして発生するのか。その葛藤を解消する方法はあるのか?
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泥棒洞窟実験(Sherif et al.,1961) 11歳から12歳の22名の少年達を均等な2つの集団にわけて、「泥棒洞窟州立公園」というキャンプ場につれていき、サマーキャンプを行った。
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第1ステージ【集団の形成】 少年たちは2つのグループに分かれ、森の離れたところに各々拠点を設けた。 それぞれのグループだけでさまざまなま活動
グループ名(イーグルスとラトラーズ) ルールを決め、役割分担をし、おそろいのTシャツを作る 1週間で求心力のある集団ができあがった。 このころに、別の集団がキャンプに来ていることを知らされると、少年たちは、まだ見ぬ相手(外集団)を敵視し、自分たちの中での仲間意識をさらに強めていった。
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第2ステージ【集団間の葛藤】 「キャンプ施設は2グループの共同使用だ」と告げる。 他方のグループを「あいつら」
商品のかけられた野球や綱引きで競争心をむきだし 負けた方の集団が、夜の間に勝った集団の団旗を燃やす 集団の中では、お互いの団結や凝集性が高まる イーグルスでは初期のリーダーが抗争場面で役に立たないとして交替させられた。 ラトラーズでは初期には乱暴者で低位置にいた少年が一躍ヒーローになった。
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なぜ集団間葛藤が生じるのか? 競争 カテゴリー化と社会的アイデンティティ
一方の集団の勝利が他方の集団の敗北を意味するような競技⇒2つの集団の目標が互いに葛藤 両勢力は敵対関係になる カテゴリー化と社会的アイデンティティ 相手集団が眼前になく、実際に競争することがなくとも葛藤が生じる
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■ 集団間葛藤の解決 シェリフらは、実験の最終段階(第3ステージ)で集団間葛藤の解決を試みている。
■ 集団間葛藤の解決 シェリフらは、実験の最終段階(第3ステージ)で集団間葛藤の解決を試みている。 いくつかの試みがなされたが、この場合、実際に集団間葛藤低減に効果的であった試みはどのようなものだったでしょうか? 考えてみましょう。
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第3ステージ【葛藤の解消】 失敗 最初の試み 両集団が楽しい時間を一緒に過ごす友好的な接触機会(映画を観る、食事をする、花火大会をする)
両集団が楽しい時間を一緒に過ごす友好的な接触機会(映画を観る、食事をする、花火大会をする) 失敗 葛藤は解消されるどころか、むしろ助長された。 合同の食事の時間は「ごみ投げ戦争」
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第3ステージ【葛藤の解消】 成功 次の試み 2つの集団が協力しなければ達成できないような上位目標の導入。
2つの集団が協力しなければ達成できないような上位目標の導入。 ⇒水道管の故障箇所を探す、見たい映画を観るために協力してお金を出し合う。食料供給車がぬかるみにはまったのを協力して救い出す。 成功 敵対的感情は友好的なものに変わっていった ・同じバスに乗って帰りたい。 ・一方の集団が試合で得た賞金の残りで飲み物を買い、もう一方の集団に自発的にあげる。
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⇒葛藤の低減には、単なる集団間の接触ではなく、上位目標を達成するための協力的相互依存関係が必要であることを例証した。
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今日のプリントに入ります
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「よい授業」ってどんな授業だと思います?
突然ですが・・・ 「よい授業」ってどんな授業だと思います? 教育実習に行ったら、どんな授業をやりたいと思いますか?
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その昔、私は・・・ 予備校の有名講師のように、効率的に覚えるべき内容を分かりやすく、覚えやすく教えることが最高の授業だと思っていた。
しかし、中学での教育実習で考えが一変した 完璧に準備した歴史の授業は失敗 中学校は予備校(目標=受験)じゃないんだ・・・ 学力もやる気もバラバラ
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現職の先生の授業を見て衝撃。 ×私の都合のよい授業 ○生徒の立場に立った授業 米騒動の資料 ⇒これを米騒動と言います。そのときの資料がこれです ⇒この絵は何をしているところだと思う?なんでこんなことしてるんだろう?(授業後の感想が変化) 生徒に考える時間を与えたり、班で調べ物させたり、自分の考えを発表させたり、そういうことの大切さ。 分かりやすいだけじゃだめなんだ。興味が持てたり、「わぁ」、「なるほどぉ」と思う経験。
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今日から2回、「教授法」についてみなさんと一緒に考えて行きたいと思います。
そんなわけで・・・ 今日から2回、「教授法」についてみなさんと一緒に考えて行きたいと思います。 プリントに入ります。
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学習指導の形態と主な教授法を対応させると下図のようになる
「教師主導型―児童・生徒中心型」軸上に 学習指導の形態と主な教授法を対応させると下図のようになる ◆学習指導の形態を大別すると「一斉学習」、「グループ学習」、「個別学習」の3つ ◆教授法の主なものには「発見学習」、「有意味受容学習」、「プログラム学習」がある
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1.学習指導の形態 学習指導の形態を大別すると 「一斉学習」 「グループ学習」 「個別学習」 の3つ
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●一斉学習 教師が全ての生徒を対象に一斉に授業を行う。最も一般的に行われている。 長所:教材を計画的に教えられる。
短所:一人ひとりの理解の程度を把握できない。動機づけがあいまいなまま授業が進められることがおこる
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●グループ学習 班や小グループに分かれて話し合ったり実習したりする(理科の実験班など) 長所:様々な考えや意見を生徒同士で出せあえる。
主体的に参加している意識。 動機づけを高めやすい。 短所:討論が誤った方向に行ったとき軌道修正しがたい。 リーダーや特定の子に左右。
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●個別学習 生徒ひとりひとりに考えさせたり問題を解かせたりする 長所:一人ひとりに最適な学習が可能。
短所:人数分のカリキュラムが必要になり教師の負担が大きくなる。 ※教師と生徒1対1で教える形態は「個人授業」といって個別授業とは異なる
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2.主な教授法 教授法の主なものには 「発見学習」 「有意味受容学習」 「プログラム学習」 があります
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2-1.発見学習 (discovery learning)
小学校5年生 「てこのはたらき」の授業の例 (てこのつりあいのきまりを発見させる)
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問題1 次のようにつるすと、てこ実験器はどうなりますか?
予想 ア.左が下がる・・・1人 イ.つりあう・・・0人 ウ.右が下がる・・・大勢 実際にやってみせる ⇒右が下がる 4年生までの知識で予想できる
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問題2 次のようにつるすと、てこ実験器はどうなりますか?
予想 ア.左が下がる・・・4人 イ.つりあう・・・大勢 ウ.右が下がる・・・4人 実際にやってみせる ⇒つりあう 1番で右が下がったから、左を1個動かすとつりあうかも?と予想
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問題3 次のようにつるすと、てこ実験器はどうなりますか?
予想 ア.左が下がる・・・全員 イ.つりあう・・・0人 ウ.右が下がる・・・0人 実際にやってみせる ⇒左が下がる 問題2でつりあったのだから、左が1個ずれたから左が下がると予想
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ここまではウォーミングアップ 支点から遠いことと、重りが多いことが関係しているということを、なんとなく分かってきている段階
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問題4 右の2つの重りを、どこにつるせばつりあいますか?
1 2 3 4 5 ? 予想 1・・・0人 2・・・11人 3・・・18人 4・・・1人 5・・・0人 3と答えた子の意見 問題2でつりあったのだから、左が2個ずれたから右も2個ずれればよい 生徒が実際にやってみる ⇒2が正解 あれ?
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問題5 おもりを左右につるして、つりあうのはどういう時ですか?予想をたててから実験しましょう。
実際に実験させる。いろいろ試してみる。 子どもが発見した「きまり」 (1)重りが多い方の数だけ目盛りを動かす (2)片方が1目盛り動かすと、重りを1個増やす (3)上がったら、下がった方の2倍つるす (4)左の2の目盛りに3個なら、右には2個の重りを3の目盛りにつるす
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問題6 みつけた「きまり」を試してみよう 次のようにつるすと、てこ実験器はどうなる?
問題6 みつけた「きまり」を試してみよう 次のようにつるすと、てこ実験器はどうなる? 5 2 ア.左が下がる・・・大勢 イ.つりあう・・・2人 ウ.右が下がる・・・0人 生徒が実際にやってみる ⇒アが正解
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「こうすれば当たるよ」というきまりを、教えてくれない?
●右は2番目に3個ぶら下がっているので、左は3番目に2個下げないとつりあわない。なのに、これはもっと左にあるから左がさがる。 ●支点から1つ横に移すのを10グラムとして、横に行くごとに20グラム、30グラムとして計算する。
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すっきりとした「きまり」はないかな? おもり×めもり という意見がでる。
2 3 おもり×めもり という意見がでる。 きまり (おもりの重さ)×(支点からのきょり)が等しいとき,てこはつりあう。
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練習問題 予想⇒実験で確かめるを繰り返す 自分で問題を作る。確かめる
2 5 2 3 5 1 3 1 2 3
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発見学習 ブルーナー(Bruner,J.S) 教師が学習内容を直接教え込むのではなく、学習すべき法則や原理を児童・生徒自身が自発的に発見するように持っていく方法。
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●発見学習の進め方(表1参照) →「仮説の設定」 →「仮説のねりあげ」 →「仮説の検証」 →「発展とまとめ」
「学習課題の把握」 →「仮説の設定」 →「仮説のねりあげ」 →「仮説の検証」 →「発展とまとめ」 特に児童・生徒に仮説を考えさせるところに力点が置かれる
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●発見学習の長所と問題点 長所 ・問題解決の技法を身につけさせ、学習内容をよりよく保持させる
・授業に積極的に取り組み、内発的動機づけが高まる 問題点 ・受容学習と比較すると学習内容の理解までに時間がかかりすぎる
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●日本における、発見学習の流れに沿った教育実践
板倉聖宣らを中心とする 仮説実験授業 多くの実践報告があり、概ねこの授業の有効性が認められている。 ※理念はブルーナーの考えとほぼ同じ 問題⇒予想⇒討論⇒実験⇒解説 ※理科教育にとどまらず、美術教育や社会科学分野の教科教育にも応用されている
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