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-米国・カナダ産牛肉等のリスク評価を巡って-

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1 -米国・カナダ産牛肉等のリスク評価を巡って-
BSEの現状と課題 -米国・カナダ産牛肉等のリスク評価を巡って-  2006年3月20日 日本獣医師会・獣医学会 東京大学大学院農学生命科学研究科 吉川泰弘

2 BSEとvCJD BSE(牛海綿状脳症) ・1980年代中頃,英国で報告(英国では1992-93年がピーク)
・現在、世界25カ国で発見(90年代から2000へ、約19万頭感染) ・原因は肉骨粉(人工乳、配合飼料、交差汚染) vCJD(変異型クロイツフェルトヤコブ病) ・vCJDはBSEが原因である可能性示唆(英国:1996年) ・現在英国で160人、フランス18人他(日本1名)     世界の発生例は189例 (2006年3月現在) ・輸血で2(3)名に伝播(英国)

3 日本の安全神話の崩壊(BSEパニック) BSEパニックと消費者の不信 ・行政への不信(予測ミス、危機管理・行政対応の混乱)
・生産者への不信(飼料汚染-・飼育様式、飼料添加) ・輸入・加工業者への不信(虚偽申請) ・流通・小売業者への不信(虚偽表示) ・メディアへの不信(過剰報道) そして科学者への不信   (科学の限界、リスクという曖昧さ、ゼロリスクの否定)

4 しかし、BSEは感染力の低い、 潜伏期の長い動物由来感染症
牛ー牛の経路の遮断 ・肉骨粉の焼却 ・輸入飼料のチェック・飼料生産ラインの分離 牛ー人の経路の遮断 ・と畜場でのBSE検査 ・安全な解体法・特定危険部位(SRM)の排除 ・BSE汚染のない国の安全な部位由来の医薬品 人ー人の経路の遮断 ・BSE流行時に英国、EUに滞在した人(輸血・臓器移植禁止)

5 日本のBSE・vCJD対策 ウシ-ヒト ヒト-ヒト ウシ-ウシ 肉骨粉 牛への使用禁止通達(1996) 牛肉骨粉の使用禁止(2001)
牛由来肉骨粉焼却(2001) 飼料 製造工程の分離(2004末) 輸入飼料規制強化(2005) 豚由来肉骨粉の豚飼料への  利用禁止解除(2005) 肥料 牛由来肉骨粉炭化物・灰の  肥料利用可(2005) 食肉・内臓 と畜牛全頭検査(2001) SRM除去(全頭、2001) 脊柱をSRMに入れる(2004) 21ヶ月以上BSE検査(2005) 医薬品 英国牛由来医薬品輸入  ・製造禁止(1996) 高リスク国牛由来材料  使用禁止(2000)  全ての牛のカテゴリーI,II  組織使用禁止(2001) 低リスク国牛由来III,IV組織  材料のみ使用可(2001) 輸血・臓器移植 英国に1980~96年6ヶ月以上  滞在者献血禁止(1999) 1980年以降英国、仏、独、  スイス、アイルランド、  ポルトガル、スペインに  6ヶ月以上滞在者は 献血、  臓器提供禁止(2001) 滞在国を全欧州BSE陽性国  に拡大(2003) 1996年までに英国滞在  1日以上は提供禁止(2005)         2001年10月 24ヶ月齢以上の異常牛は検査 2002年 4月  耳標取り付け 2003年12月  生産段階のトレーサビリティ、2004年12月 流通過程のトレーサビリティ 2003年 4月  死亡牛の検査  2004年4月24ヶ月以上の死亡牛全頭検査(サーベイランス)

6 もう1つの対策 食品安全委員会と プリオン専門調査会の活動

7 食品安全委員会とリスク分析 消費者がリスクの受け入れ・拒否の判断! 食品安全委員会(プリオン専門調査会)
BSE問題まで行政機関が管理と安全性評価を一緒に行っていたことが問題! 管理機関とは別の中立、科学的な リスク評価組織が必要(内閣府) 諮問を受け、評価し答申 行政(厚生、農水) が管理措置を決定  食品安全委員会(プリオン専門調査会) ・プリオンの専門家、公衆衛生・感染症の専門家   (医師、獣医師の12名) ・リスク評価を行う(独自の分析、農水・厚労省の諮問) 説明責任:リスクコミュニケーション 消費者がリスクの受け入れ・拒否の判断!

8 例:意見交換会の開催、パブリックコメントの実施
リスク分析と分担役割 リスク評価 (中立・科学的) 内閣府食品安全委員会 人の健康に及ぼす影響 について科学的に評価 リスク管理 (政策的) 厚労省、農水省 リスク評価結果に基づき、 費用対効果等を考慮し、 基準の設定や規制の実施 リスクコミュニケーション リスクに関する情報及び意見の相互交換 例:意見交換会の開催、パブリックコメントの実施

9 中間とりまとめー日本のvCJDリスク 食品安全委員会独自の分析 分析要因 ・BSEに関する科学的不確実性を念頭におく
・検査・実験データ等これまでに得られた知見を整理 ・英国での試算をもとに、わが国のvCJDリスクを分析 ・BSE対策はリスクコミュニケーションを経て行政が決定 分析要因 ・過去に食物連鎖に入ったBSE感染牛 ・英国の推定からの単純比例計算によるリスク推定 ・遺伝的要因等の補正

10 年齢別陽性率(EU01,02)・感染価(Jpn,UK)
年齢別BSE陽性牛数               検査頭数               補正後BSE陽性率・100万頭 年齢  回腸遠位部 脊髄 DRG TRG 骨髄 5 10 15 20 25 1 1.5 2.5 3 3.5 (各群2~3頭):4ヶ月齢で100gPO 感染価 ID50/g WB obex~1   0.1~ SpC,     Cbl  0.01~  ileum    Cbr 0.001  Peri-     Nerve 0   1    2    3    4    5    6    7    8 歳 OD 4.0   3.0   2.0 1.0 0.2

11 BSE発症牛体内の感染力価の分布 66.7% 3.8% 0.04% 25.6% *回腸 3.3%
(三叉神経節を含む) 66.7% 背根神経節 3.8% 眼球 (せき柱に含まれる) 0.04% 25.6% せき髄 扁桃 回腸遠位部 (小腸のうち最後の2m程度) *回腸 3.3% 脳に2/3, 脊髄に1/4, その他の臓器1/12

12 (97~03年) 汚染牛推定数 57,320頭 (90~96年) 637,140頭 (~89年) 40,752頭
英国BSE発生頭数&推定数 発症牛 推定汚染牛 0.0 2000.0 4000.0 6000.0 8000.0 頭数・月 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99   00 01  02  03 BSE確認 SBO前 OTM+ SBO ban Δ1 Δ2 Δ3 (97~03年) 汚染牛推定数 57,320頭 (90~96年) 637,140頭 (~89年) 40,752頭 (参考) BSE陽性頭数は、OIEの報告(04年5月31日現在)を使用 SBO ban

13 Δ1からΔ3の感染価=年齢別重み付けした感染価
Δ1: 5歳以上、Δ2: 3~5歳、Δ3: 5歳以上 (Δ1は8000ID50、 Δ2は1000ID50、 Δ3は8000ID50)  MRMの汚染因子(汚染率はSEAC委員会の聞き取り調査による) Brain(-)、Spinal cord(+)、その他は無視:脊髄の感染価は全体の25.6 % Δ1の交差汚染は2~2.5%(規制なし、背割り後の脊髄の9割が汚染源) Δ2の交差汚染は0.01~0.1%(平均0.04%:SBO規制による効果) Δ3の交差汚染:ほとんどない(MRM禁止 + OTM規制+MBM real ban: 0.001%) 感染価累積:4.56×108 ID50 Δ3 (97~03年) 汚染牛推定数 57,320頭  4.56 × 108 ID50×0.25×10-5 = 1.14×103 ID50 感染価累積:6.37×108 ID50 Δ2 (90~96年) 汚染牛推定数 637,140頭 6.37× 108 ID50× 0.25 ×4×10-4 = 6.37×104 ID50 感染価累積:3.26 × 108 ID50 Δ1 (~89年) 汚染牛推定数 40,752頭  3.26 × 108 ID50× 0.25 × 0.02 = 1.63×106 ID50

14 BSEとvCJDの地理的分布、時間経過 英国のBSE 英国のvCJD 1.6×106 ID50 Δ2 6.37×104 ID50
(146名、2004年) Δ2 6.37×104 ID50 1.14×103 ID50 30 20 10 ~89 90~96 97~03年

15 BSEとvCJDのリスクの考え方(均一モデル)
MRMによるヒトの汚染量:1,661,000 cID50 vCJD発症者150~200人(MM) MV,VVが発症した場合:600~800人 P.Smithらの予想 最大3000人、最悪のシナリオ5000人 扁桃腺、虫垂のバイオプシー陽性例からの推定=3800人 英国人の約1割がMRMを摂取した:500万人で消費 (平均 0.33 cID50) vCJD患者予測 700~4000人 人への感染率:平均 0.33 cID50を食べると1万人に1.4~8人(平均 5人)  2000人に1人(発症者は平均の2000倍、MRMを消費した?) 発症には0.33x2000=660cID50 、 種の壁は660倍(410~2400倍)? 高汚染牛の感染価は~10000cID50(子牛の経口感染で) 英国の食用に供された高汚染BSE牛= 70万頭       総感染価は7x105x104 = 7x109  cID50           MRMへの汚染は1%として7x107cID50          英国人の1割が高度汚染した:700万人で消費(10cID50 /人)      vCJD患者予測500~1000人(700人) 人への感染効率 10cID50を食べると1万人に1人      発症には10x10000cID50  (感染牛10頭分)

16 日本の汚染規模 年齢別BSE陽性牛 EUモデル 2001年 (総計1817頭) 年齢(歳) と畜検査陽性頭数 異常・死亡牛の陽性推計
(総計1817頭)  年齢(歳) と畜検査陽性頭数 異常・死亡牛の陽性推計 3歳以下 30?   (2) 2?    (2) (1)3? 3(+3?)(2) 4.5+(4.5?) 6? 1(3?) 1(5?) 1(2?) 1(4.5?) 2(2?) 3? 10歳以上 (2?) 600 2001年10月 300 2001年10月 1   3   5   7  9  11  13  15 歳 ( )は95,96年群以外の陽性牛 BSE検査で除外

17 日本のvCJDリスクモデル と畜場でのBSE陽性牛:5歳以上9頭+2歳2頭: 72016 cID50 (食用に回らなかった:リスクなし)
Δ1 Δ2  2001年10月まで  死亡感染牛は食用に回らない(リスクはと畜牛のみ)  生体牛輸入と国産牛で増幅(2000、01年)    5頭(シナリオ予測):Max 40000 cID50    2.5歳齢の感染牛の汚染は30頭x 8cID50として240  MRMの利用はない   と畜時の交差汚染:1%として402 cID50  2001年10月から2004年まで  と畜場でのBSE陽性牛:5歳以上9頭+2歳2頭: 72016 cID50   (食用に回らなかった:リスクなし) 日本のモデル(MMが90%) 食用に廻ったリスク(2001年まで) 交差汚染リスク 402 cID50 0.17~0.97人(平均0.6人) vCJD発症者(平均的モデル)

18 日本のvCJDリスク 英国 日本 BSE感染牛 5~35頭 約100万頭 vCJD発症数 5,000人(最悪シナリオ) 0.1~0.9人
0.1~0.9人 ※  2001年BSE対策をとる以前のリスク、2001年以後は極めて低い   英国で感染した日本人は除く

19 ・わが国で初めて、公的に自国のリスク評価をした
・全てを公開で審議した ・リスクコミュニケーションを行った /科学が万能でないことを表明(科学の限界) /ゼロリスクが無いこと(危険、安全の判定ではない) /定量分析でも確率論という不確実性の答えになる 分析シナリオの問題 BSE検査陽性24頭目の汚染が1996年の汚染群 以前の群(1992年?)であるとすると、前回の評価結果は不十分ということになる。

20 BSE国内措置の見直し (1)BSE検査対象牛の月齢見直し (2)SRM除去の徹底 (3)飼料規制の強化 (4)BSEに関する調査研究の推進
どのような評価が依頼されたか? (1)BSE検査対象牛の月齢見直し (2)SRM除去の徹底 (3)飼料規制の強化 (4)BSEに関する調査研究の推進 どのように審議を進めたか? 検査対象月齢見直し(2003/7以降生まれの牛のリスク評価) 月齢見直しによるリスク変動(定性的、定量的評価の2通り) 定性的・定量的評価(モデル作成、評価限界を明記、数字の一人歩き避ける) リスクコミュニケーションで提起された問題点の検討

21 評価項目 生体牛 食 肉 検査月齢の変更によるリスク変化の有無 ○侵入リスク ・ 生体牛 ・ 肉骨粉 ・ 動物性油脂
   ・ 生体牛    ・ 肉骨粉    ・ 動物性油脂 ○飼料規制(暴露リスク)    ・ 遵守度、交差汚染 ○BSEプリオンの生体内分布 ○疑似患畜及び死亡牛検査 ○BSEスクリーニング検査   ・ 陽性牛の排除 ○汚染防止   ・ スタンニング   ・ ピッシング   ・ SRM除去   ・ せき髄組織の飛散防止   ・ 衛生標準作業手順(SSOP) ○その他   ・ トレーサビリティ 生体牛 食 肉 プリオン蓄積 (感染率・蓄積量) プリオン汚染 (汚染率・汚染量) 検査月齢の変更によるリスク変化の有無

22 月齢見直しにかかる定性的評価 月齢(2005.3現在):出生年月 0~20ヶ月齢:2003.7.1~生まれ 全頭検査 21ヶ月以上の検査
 月齢見直しにかかる定性的評価 月齢(2005.3現在):出生年月 0~20ヶ月齢: ~生まれ 全頭検査 21ヶ月以上の検査 生体牛におけるBSE プリオンの蓄積度 (感染率、蓄積量) ・侵入リスク 生体牛、肉骨粉、動物性油脂 無視できる ・国産飼料規制  ・輸入配混合飼料 無視できる~非常に低い 不明 ・BSEプリオンの蓄積度   感染率   蓄積量* 非常に低い 少ない ・疑似患畜の検査 検査陽性牛なし 食肉へのBSEプリオンの汚染度 (汚染率、汚染量) ・SRM除去/汚染防止  スタンニング  ピッシング  SRM除去  せき髄組織の飛散防止  衛生標準手順作業書(SOP) 非常に低い~低い 低い ・と畜検査   検査陽性率   汚染量* 無視できる~非常に少ない 20ヶ月齢以下は検査しない   トレーサビリティ   検査陽性牛の排除

23 英国・EUでの肉骨粉禁止等の効果 英国 スイス 肉骨粉等飼料利用禁止(1988年7月) 肉骨粉等飼料規制(1990年)
完全禁止(1966年) 能動的サーベイランス(1999) 完全禁止(1966年3月) 1986~88年 生まれ 26313頭/年 1993~95年 生まれ 54頭/年 1999~01年生まれ 42頭/年 1989~91年 生まれ 7741頭/年 1996~98年 生まれ 32頭/年 1993~95年生まれ 2031頭/年 2002~03年 生まれ 22頭/年 1996~98年 生まれ 39頭/ 年 フランス アイルランド ドイツ SRMなど飼料利用禁止(1996年) 1990年の規制は効果ない? 肉骨粉飼料利用規制(1996年) 完全禁止(2000年) 完全禁止(2000年11月) SRM禁止(1997年) 1017頭 (274頭) 333頭 125頭 666頭 (239頭) 183頭 106頭 377頭 (137頭) 54頭 55頭 2001    2002   2003年       2002   2003年  2001  2002  2003  2004年 

24 月齢見直し:生体牛(発生頭数の推移) 発生頭数 BSE陽性牛数 (推定)年間43頭 飼料規制 飼料完全規制 BSE感染頭数
20ヶ月齢以下では多くても年間 0.4~1.7頭以下 BSE感染頭数 推定多くても 年間3~14頭 BSE感染頭数 推定年間 6~24頭 (生まれ年) 1996 2001 2003 2005年 肉骨粉使用の規制なし 1996年4月以前 規制通達 交差汚染対策なし  肉骨粉焼却 化製場分離・ライン分離 専用飼料工場・ライン分離

25 月齢見直し:食肉(リスクの推移) 2003年6月以後に生まれた20ヶ月齢以下の牛に由来するリスクに対して、
評価 1996               2001      2003   2005 人の暴露リスク cID50/牛 1x104  1x102 0.1-1 SRM除去 と畜牛全頭検査  トレーサビリティー                                    脊柱をSRMに                                安全なと畜法(脊髄吸引)、SOP 2003年6月以後に生まれた20ヶ月齢以下の牛に由来するリスクに対して、 2005年現在の人の暴露リスクを考慮して、総合的評価を行う。

26 定量的リスク評価 2001年の規制前(中間とりまとめのリスク)を1とすると、
月齢 0~20ヶ月齢 ( ~生まれ)  検査 全頭 21ヶ月齢以上 ELISAテスト 0~20ヶ月齢は検査しない 問題となる感染牛        ・感染率       ・プリオン蓄積量 ・年間0.4~1.7頭以下 ・検出限界程度(脳) (マウス脳内接種で1ID50) 陽性牛 ・検出率       ・プリオン蓄積量 ・3歳未満で年間 0.008~0.036 (日本のデータ 0.3~1.4)頭以下 ・20ヶ月齢以下ではさ らに低い ・検出限界程度 食肉汚染 ・汚染率     ・汚染量 ・脊髄片の残存率 0.2 枝肉洗浄により10分の1(0.02) ・検出限界以下でSRM除去  枝肉 洗浄により10分の1へ(0.02) 2001年の規制前(中間とりまとめのリスク)を1とすると、 感染率は1/4~1/8以下、食肉汚染率は洗浄後1/50の汚染=1/200以下 汚染量は1/500以下(検出限界~限界以下)、汚染は99%除去(SRM除去)=1/50000   総合リスクは1千万分の1以下に減少

27 ・生体牛、食肉の評価項目を設定した ・定性評価と定量評価の2つの方法を試した ・全頭検査の限界を明示 /20 ヶ月齢以下の個体を検査しなくても    リスクの差は非常に少ない /しかし、評価と管理の乖離(全頭検査は続く) /評価と消費者の安心感の乖離 評価結果の問題 科学的評価が管理機関、消費者に理解されなかった。 科学的意義と安全性管理措置の分離が出来ないと  3年後の検査見直しは実行不可能か?

28 米国・カナダ産牛肉等のリスク評価 米国・カナダの輸出プログラムで管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性 主なリスク評価因子 生体牛の汚染状況の比較(GBR) 1、侵入リスク 2、飼料規制 3、サーベイランスデータ 食肉等のリスクの比較 4、と畜前検査 5、汚染防止 6、食肉・内臓等

29 ? + 何について評価したのか? BSEリスクの 同等性を評価 現在の米国・カナダの 国内規制 輸出プログラムによる規制
国内規制  輸出プログラムによる規制 ・20ヶ月齢以下の牛 ・SRMの除去 規制遵守 国産牛肉等 米国・カナダ産牛肉等(日本向け)

30 GBR(地理的BSEリスク評価) ・GBRは基本的にトップダウンのリスク評価
・輸入生体牛、輸入肉骨粉等(侵入リスク)と国内暴露及び肉骨   粉等を介した増幅リスクを評価の基準としている ・GBRは①飼料規制措置と浸入リスクからステータスを決定する   ので、②サーベイランスデータは必ずしも必要としない。 ・国際的に認められた共通の評価方式で、異なった国のリスク   レベルを比較することが可能   (例:日本を1とした時の米国・カナダのリスク比)

31 侵入リスク(生体牛、肉骨粉、動物性油脂)
日本 米国 カナダ 生体牛 英国 乳牛33頭 EU(英国換算)0.2頭 英国乳牛33頭=1 英国 肉牛206~210頭 EU(英国換算)5~17頭 日本の1.5~7倍 英国 117~198頭 EU(英国換算)3頭 日本の4~6倍 肉骨粉 英国 なし EU(英国換算)560t 英国換算で560t=1 英国 5~24t EU(英国換算)12~45t 日本の1/12~1/47 EU(英国換算)0.1t 日本の1/5100 動物性油脂 EU 1245t 英国換算 12.5t=1 EU 643t 日本の1/2 EU 100t以下 日本の1/12以下

32 現時点で20ヶ月齢以下と考えられる2004年以降生まれた牛について
飼料規制 × 2001年 10月法律 2005年 4月法律 1996年 4月通達 1997年 8月法律 肉骨粉等 日 本(飼料) 米国・カナダ(飼料) SRMはBSEプリオン感染価の99.4%を含むと考えられている。交差汚染があり得る 現時点で20ヶ月齢以下と考えられる2004年以降生まれた牛について  米国・カナダのほうが日本より数倍汚染リスクが高い

33 生体牛のリスク評価総括 侵入リスク 生体牛:米国は日本の約1.5~7倍、カナダは約4~6倍
肉骨粉:米国は日本の約1/12~1/47、カナダは約1/5,100 動物性油脂:米国は日本の約1/2、カナダは約1/12 BSEの暴露・増幅リスク:米国・カナダはSRMを豚・鶏の飼料に利用、交差汚染は完全には防止されていない   今後も一定の割合で交差汚染が起こる可能性が残る。20ヶ月齢以下の牛の汚染は米国、カナダのほうが日本より数倍高いと予想される 補正 米国は日本の飼育牛の約20倍、カナダは約3倍飼育 米国・カナダの飼育規模を考慮し、BSEの汚染の割合で比較すると、100万頭あたりのBSE汚染頭数は、カナダが日本と同程度、米国はやや少ないという可能性が考えられる

34 米国・カナダ産牛肉と国産牛肉等の比較 と畜前検査 ピッシング スタンニング 米国・カナダで流通している牛肉等 輸出プログラムによる牛肉等
米国・カナダ産牛肉と国産牛肉等の比較  米国・カナダで流通している牛肉等 輸出プログラムによる牛肉等 国産 牛肉等 米国 カナダ 月齢 全月齢 20ヶ月以下 SRM除去 (頭蓋、扁桃、脊髄、脊柱、腸) 全月齢から除去 扁桃、回腸遠位部 回腸遠位部 全月齢からSRM除去 30ヶ月齢以上除去 脊髄、脊柱、頭蓋 扁桃、脊髄、脊柱、頭蓋 と畜前検査 1頭につき12秒 (歩行困難牛は排除) 1頭 80秒 スタンニング 実行 ピッシング 法律で禁止 80%のと畜牛で実施 AMR 先進的回収肉 30ヶ月齢以上の牛の 頭蓋骨、脊柱の使用は禁止 対象外 禁止 SSOP 実施

35 米国・カナダ産牛肉等と輸出用肉の比較 米国・カナダで流通している牛肉等 輸出管理プログラムによる牛肉等 国産牛肉等 米国 カナダ 内 臓
米国・カナダ産牛肉等と輸出用肉の比較  米国・カナダで流通している牛肉等 輸出管理プログラムによる牛肉等 国産牛肉等 米国 カナダ 月齢確認 可能頭数 (年間) 月齢確認を必要としない (と畜頭数: 約3,350万頭) (と畜頭数: 約430万頭) 出生証明が 可能なもの :10% (約250万頭) 枝肉の生理学的成熟度 A40以下 (約250万頭) 約70万頭 全頭可能 約130万頭 内 臓 30ヶ月齢以上の牛の の内臓(SRM以外) 10%(約250万頭) SRM以外全て流通 枝肉の生理学的成熟度A40 仙椎:・明確な分離    ・上部に相当量の軟骨 形跡 腰椎:・上部が部分的に骨化

36 食肉等のリスク評価総括 ・A40判定で20ヶ月齢以上の牛が入る可能性はあるが、BSE感   染牛が1頭輸入される確率は高く見積もっても20年に1回弱 ・大規模と畜場で異常牛が見逃される危険性はあるが、若齢感   染牛で神経異常を示し、見逃される可能性は極めて低い ・スクリーニング検査がなく、検査によるリスク回避は不可能であ  るが、若齢牛では検査により発見される可能性は非常に低い ・SRMの除去は日本ではと畜検査員(獣医師)、米国・カナダでは  食肉検査官(獣医師を含む)が目視で確認。米国・カナダでは  その有効性について科学的検証は行われていない。他方ピッ  シングによるリスクは日本のほうが高い。 輸出規制が完全に遵守されれば、BSEプリオンによる  汚染の可能性は非常に低いと考えられる。

37 リスク評価の根拠 生体牛:BSEプリオン蓄積度(感染率・蓄積量) 牛肉等:BSEプリオンの汚染度(汚染率・汚染量)
感染率(100万頭あたり) 日本とカナダは同レベル、米国はやや低い      規制前のピーク汚染時(96,97)の1/4 ~ 1/8のレベル以下 蓄積量:日本はスクリーニングで検出限界以下      米国、カナダは20ヶ月以下で検出限界〜限界以下へ      (BSE検査陽性牛の1/500~1/1000の1以下の量) 牛肉等:BSEプリオンの汚染度(汚染率・汚染量)  汚染率:SRMが全月齢で適切に除去されれば低い       (BSE検査陽性牛ではプリオンの99%を除去)    日本は国内見直し時のデータ(洗浄後は悲観的シナリオで1/50以下)  汚染量:検出限界〜検出限界以下のSRMによる交差汚染    

38 結論と付帯事項 ・仮定を入れた上での科学的同等性評価は困難 ・輸出プログラムが遵守されたと仮定した場合、
結論と付帯事項  ・仮定を入れた上での科学的同等性評価は困難 ・輸出プログラムが遵守されたと仮定した場合、   米国・カナダ産牛肉等と国産牛肉等のリスクの  差は非常に小さい ・輸入が再開された場合、輸出プログラムの実効性・遵守 状況の検証・報告が必要。遵守されない場合は再開後 の停止も必要。 ・米・加は充分なサーベイランス、完全飼料規制が必要。

39 ・リスク評価機関とリスク管理機関の責務の明確化 ・諮問の背景、経緯に関する審議 ・仮定を前提にした評価はどこまで可能か?
/国外のリスク評価を始めて行った /国内見直しの項目について国別比較法 /科学的同等性は評価困難(評価不能という回答?) /管理措置の検証報告を義務付け 評価後の問題(脊柱の混入) ・米国と日本の許認可システム等の違い    管理がトップダウンかボトムアップか? ・BSEリスクの認識の違い ・ハード、ソフトの違いの調和は極めて困難

40 安全と安心 今後の課題

41 情報の公開と透明性の確保 ・食品安全委員会:全て公開 ・リスク評価結果は公表 ・リスクコミュニケーション(全都道府県で説明)
安心の保証 情報の公開と透明性の確保 ・食品安全委員会:全て公開 ・リスク評価結果は公表 ・リスクコミュニケーション(全都道府県で説明) 生産者と消費者の情報の共有(情報の対象性) ・トレーサビリティ(情報の追跡可能な仕組み) ・加工・流通経路の透明性確保 ・生産地表示と選択の自由

42 閾値 リスクの社会化(国がリスクの基準を決める) 検 リスクの個人化(個人がリスクの諾否を決める)
悪影響 用量 NOAEL(non observed adverse effect level) :閾値がある物質はリスクコミュニケーション   は簡単。 閾値以下はゼロリスク 安全係数(x100:種差x10、ヒトのバラツキx10) をかけて、安全基準(ADI)を決めればよい 国が保証(従来型:安全ビーフ) リスクの個人化(個人がリスクの諾否を決める) 閾値のない物質、ゼロリスクのないもの 安全基準はない。 リスクベネフィット、コストベネフィット インフォームド・コンセントという相対価値 最終的に個人が判断

43 食品安全委員会の役割は?リスク評価者の役割は?
食品安全委員会への期待と役割 ・食品安全委員会の責務:リスク評価とリスク管理の関係が不明確    政治家-判断は食品安全委員会に(裁判官です!)    行政(リスク管理者)-安全性の判断は委員会にゆだねる(責任回避?)    消費者-消費者保護の立場からリスク管理の制御を! 食品安全委員会の役割は?リスク評価者の役割は? リスク評価者 (評価の拒否) リスク管理者(行政府) 政策決定権 諮問 消費者 (選択権) 立法府 (行政のチェック)

44 どのような評価方法が可能か?OIE基準は?
今後の問題 ・OIEの定義で不明国に分類される国からの   牛肉等の輸入による健康危害評価? どのような評価方法が可能か?OIE基準は? ご静聴有難うございました。


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