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国内法制の実施 講義その 20 本講義に関する追加の情報は、以下のスライドに設けられた右の各リンクボタンより参照可能です。 追加情報.

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1 国内法制の実施 講義その 20 本講義に関する追加の情報は、以下のスライドに設けられた右の各リンクボタンより参照可能です。 追加情報

2 1. 目次 国内措置実施の義務 「必要とされるあらゆる措置」 国内実施の主要項目の説明 事例研究 I: 日本における国内実施
スライド 2 「必要とされるあらゆる措置」 スライド 3-5 国内実施の主要項目の説明 スライド 6-15 事例研究 I: 日本における国内実施 スライド 16 事例研究 II: 英国における国内実施 スライド 17 事例研究 III: 米国における国内実施 スライド 18 モデル法と犯罪化 スライド 19-20 注釈:国際的合意を効果的に実施するには適切な国内法制が必要とされる。もし効果的な国内実施が行われない場合「予防の包囲網」の弱体化は避けられない。本講義は生物毒素兵器禁止条約(BTWC)の国内実施に期待される法的な要素を説明することから始める。それらを検討した後、BTWC第六回運用検討会議において締約国により提出された作業文章を基に、各国の国内実施の発展段階に注目し、さらに2007年度のBTWC諸会合における国内実施に関する議論の発展を検討する。最後にBTWC国内法制のためのモデル法と生物兵器に対する国際犯罪化のためのモデル法の開発を含むNGOの取り組みを紹介する。

3 2. 国内法制 国内法制による生物及び毒素兵器の開発、生産、貯蔵若しくはその他の方法による取得並びに保有の禁止が、2001年米国同時多発テロとその後の炭疽菌テロ以降、その重要性を増している。 多くの国家が21世紀において、既存の国内法制の有効性を確保するためにその修正若しくは追加的法制を行っている。 そのような法制化実施の重要性も高まっている。 国内法制は科学者個人の研究過程及び生物剤の取り扱いに関して直接的な影響をもたらす法的な手続きである。 「知りません・でした」が通用しない手続とされる。 注釈:BTWC締約各国は異なる法律制度を採用しているため、各国におけるBTWC実施のための国内法制のあり方も必然的に多様化する。ここでの原則は英米法と大陸法における伝統の違いであり、生物兵器防止プロジェクト(BWPP)が端的に説明するように、「英米法系の伝統に属する締約国は、国際的に合意された義務を国内において強制可能な国内法に改変するための国内法制が必要となる。他方、大陸法の伝統に属する締約国は、自国が加盟した国際条約を「他の法令を待たずに実施される、自動発効の」法源として理解する可能性を有し、合意された文言は条約の発効時に自動的に国内法として導入され、その実施に際して追加的な国内措置が要求されない」。(しかしながら、実際は後者もその詳細化において追加的な構内法制が必要となる) 追加情報

4 3. BTWC 第四条 「自国の憲法上の手続きに従い、その領域内及びその管轄又は管理の下にあるいかなる場所においても、第一条に規定する微生物剤その他の生物剤、毒素、兵器、装置及び運搬手段の開発、生産、貯蔵、取得又は保有を禁止し及び防止するために必要な措置をとる。」 (下線部は追加) 注釈:BTWCの締約国は同条約第四条に基づいて国内レベルにおいて必要な措置を講じる義務がある。とりわけ、本条文は「禁止と防止のためにあらゆる措置を講じる」ことが必要であると規定している。締約国の中には、例えばEUは、「第四条の義務は単に国内実施の義務だけではなく国内実施の結果に対しても締約国が義務を負っている」と主張するように、第四条を結果に対する義務と解釈している締約国も存在している。 追加情報.1 追加情報.2

5 4. 第四条 – 結果に対する義務 「第四条は単に実施に関する義務では無く、その結果に対する義務を課している。第四条の下で締約国は『禁止及び防止する』ための措置をとる義務が課されているため、禁止事項を国内法に制定するだけでは本条分の十分な実施にはならない。」 追加情報

6 5. 国連安全保障理事会決議 1540 国家は、生物兵器、装置及び運搬手段の拡散を防止するために、関連物質等に対する国内管理の確立を含む効果的措置を整備及び執行する目的において、 (a) 関連物質の生産、使用及び運搬の説明並びに安全管理のための適切な効果的措置の開発及び維持を行い、 (b) 適切な効果的防護措置の開発及び維持を行う。 注釈:国連安全保障理事会決議第1540号は全国連加盟国に対して法的拘束力を有し、先例の無い国連憲章第七章の適用と考えれる。 追加情報.1 追加情報.2

7 6. 「必要な措置」 法律制定 輸出規制 バイオセーフティ規制 バイオセキュリティ措置 行動規範 教育 追加情報
注釈:国内実施においては「万能型」が存在せず、また締約国は特定の言語的、文化的及び法的文脈に合わせてその実施の詳細を選定する必要があるが、生物学・生物工学の平和的利用を保障するために講じることが可能な幾つかの実施措置の分野が存在している。とりわけ、国内法制、輸出規制、バイオセーフティ規制、バイオセキュリティ措置及び行動規範と教育である。 追加情報

8 7. 輸出管理 科学技術上の発展が輸出管理をより難しくする。
しかしながら、多くの国々がこれらの挑戦に対処しており、また輸出管理準備や生物剤と装置に関するリストの更新だけではなく、『デュアルユース』 品目を規制対象とするために『全品目輸出管理制度』 を採用している。 注釈:21世紀において、効果的な生物学的資材の輸出管理には問題が集積している。これらの多くの問題は真新しいものではないが、国際システムに新たに生まれつつある複雑性や科学・技術の性質の変化は新たな問題を生み出し、効果的な輸出規制をこれまで阻害してきた問題をさらに悪化させている。 追加情報.1 追加情報.2

9 8. バイオセーフティ規制 世界保健機関によると、「『実験室バイオセーフティ』とは、病原体および毒素への意図せぬ曝露や、これらの偶発的な放出を予防するために実施する封じ込めの原則、技術、実践を表す用語である。」 英国の有害物質管理規制(COSHH)は、例えば次の内容を含む。衛生安全政策に関する理解;規制に従った行為;自己及びその者の作為(若しくは不作為)によって影響を受ける他者との関係における適切な処置;並びに安全上のあらゆる懸念に関する報告。 追加情報.1 追加情報.2

10 9. バイオセキュリティ措置 (i) BTWCの下でバイオセキュリティは一般的に「防護・監視を要する重要な生物材料の不正アクセス、紛失、盗難、濫用/悪用、流用、意図的な放出の防止」 でるとされる。 中心的な措置は次を含む。職員の信頼性、資材の安全管理、情報技術の安全管理、資材管理及び説明責任、資材の移譲に関する安全管理及び研究計画管理。 追加情報.1 追加情報.2

11 10. バイオセキュリティ措置 (ii) 締約国は、次項の重要性に合意した。 「条約の禁止事項の効果的な実施の確保及び病原体と毒素の効果的な安全管理の強化にむけて、法的、規制的及び刑事的な国内措置の調査並びに必要な場合はその制定と更新を行う。」 また、「条約の意図に反する目的に不正利用をおこなう可能性のある者による危険な資材の入手を防止するためのバイオセキュリティ措置及び手続きの重要性に関する一般的な理解が示された。」 追加情報.1 追加情報.2 11

12 11. 行動規範 2005年度のBTWC諸会合はBTWCに関する理解、そして「害になるものを与えない」という科学者の義務に関する理解を高めるための行動規範・倫理・慣習に関する締約国の認識の高まりをもたらした。 僅かな締約国ではあるが、数カ国の国立アカデミーは実際にそのような科学者の行動規範を制定している。 注釈:本スライドで示されて様に、生物毒素兵器禁止条約における2005年度の合意を受けて、オランダ教育文化科学省はオランダ王立芸術科学アカデミー(KNAW)に、科学者のためのバイオセキュリティ行動規範のための提言と協力を要請した。本スライドにおける追加情報2を参照。 追加情報.1 追加情報.2

13 12. 教育 生命科学者の責任を醸成し、科学研究を取り巻く法制及び規則に関する理解を高める目的で開発された教育に対して、BTWCとその他で行われている議論は、 重要な関心の高まりを見せている。 追加情報

14 13. 国内実施の評価: EU (ドイツ) [BWC/CONF.VI/WP.3] (i)
EU諸国において、BTWC第一条に関する国内法制に見られる5 つの一般的な傾向 規制の違反に対する刑罰規定を欠いている例が多く、 CBN(化学・生物・核兵器)を包括的に取り扱う法令が一括して刑罰規定を含み、 許可された活動に免許を与えることにより生物兵器関連資材の平和的使用を規制・管理し、 禁止の適用は国内領土に限定され、 対テロ法が他国における非国家主体を規制の対象としない。 注釈:ドイツにより提出されたEUの作業文書は、BTWC第一条および第三条が詳細な条文を欠いているため、その実施が難しいことを指摘した。そこで、BTWCの国内実施を説明するために、同作業文章はEU諸国で現在実施されている各国の国内実施の内容をリスト化した。 追加情報

15 14. 国内実施の評価: EU (ドイツ) [BWC/CONF.VI/WP.3] (ii)
BTWC第三条の法制化に向けて考察すべき3要素 平和的目的のための特定の種類の移譲の実行、 特定生物剤および毒素のリスト化、 「『間接的に』移譲せず、不法移送を『補佐しない』義務」(の明言化) 追加情報

16 15. 詳細な実施項目の説明: 日本 (BWC/CONF.VI/WP.17)
条約により規定されている禁止及び予防を確保するための効果的な法的措置、 輸出管理、 生物剤及び毒素の安全管理と監視、 国際的枠組みと協力し、自然発生及び意図的な疾病の発生に対する予防及び対応能力の強化、 生物兵器関連問題に関する教育と啓蒙 注釈:生物毒素禁止条約の2003年から2005年の諸会合(講義その9参照)による理解に基づいて、日本による作業文章はこのスライドで列挙された項目の視野と重要性をさらに詳細に説明した。 追加情報

17 16. 日本における国内実施 細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約などの実施に関する法律(1982年制定2001年改正) 生物及び毒素兵器の生産、保有、移譲、及び取得に関する禁止、2001年以降は – それらの使用及び放出の禁止している。 [注釈部参照] 1949年外国為替及び外国貿易管理法に基づく1980年外国為替令(政令第260号) 「いかなる国及び地域に向けて特定の対人間、対動物及び対植物病原体の輸出を行う者は、財務大臣の許可を受けなければならない。」 2004年組み替えDNA実験指針 「遺伝子組み換え生物(GMO)封じ込めレベルの分類別に分類し、各分類に対し、研究室の設計及びGMOの安全な取り扱い手続きに関する詳細な要件を設定する。」 注釈: 日本は生物毒素兵器禁止条約の国内法を2001年に改正し、第九条は「生物兵器又は毒素兵器を使用して、当該生物兵器又は当該毒素兵器に充てんされた生物剤又は毒素を発散させた者は、無期若しくは二年以上の懲役又は千万円以下の罰金に処する。2、生物剤又は毒素をみだりに発散させて人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する」と規定した。 しかし、生物テロ対策における問題は未だ存在している。朝日大学杉島正秋教授は次のように指摘する「オウム事件以前に発生した『例えば細菌による食糧の汚染というような』原始的な生物学的攻撃は同法律の対象とされない可能性がある。」 追加情報.1 追加情報.2

18 17. 英国における国内実施 2001年反テロリズム安全及び治安法(ATCSA)は「特定の病原体を保有しているUK国内の約450研究施設」に対する前例の無いほどの政府管理を可能にする。 有害物質管理規則 (COSHH) は「生物剤を扱う特定の活動を『健康安全局 (HSE)』へ報告 」することを要求するための規制である。 2002年輸出管理令は「英国からの技術の移譲及びあらゆる場所から、あらゆる方法による英国民による移譲に対する管理を強制し」、「物品の取得、廃棄若しくは移転並びに活動に対する管理を強制する。」 「心理的(Hearts and Minds)キャンペーン」 注釈:英国においては、立法によるムチを「心理的(Hearts and Minds)キャンペーン」とともに始まった実験室バイオセキュリティキャンペーンといったアメによって調和させる努力が意図的に行われている。 追加情報.1 追加情報.2

19 18. 米国における国内実施 BTWCの禁止を実施する国内法制は次に挙げる分野の法制化を含む。犯罪の準備、押収、危険な病原体及び毒素の安全管理、輸出管理、制裁措置、対外援助規制、協調的驚異削減及び緊急対策と対応 BTWC禁止措置の各項目に関係して法制化された特定の規範は2003年度生物毒素兵器禁止条約専門家会合において米国により提出された作業文書にまとめられた。 公衆衛生安全保障バイオテロリズム法 (公法 ) 疾病対策予防センター及び農務省による家畜に関する選択生物剤及び毒素の表を基に選択生物剤及び毒素の表を法典化した。 追加情報.1 追加情報.2

20 19. VERTICモデル法 英国Verification Research, Training and Information Centre (VERTIC) はモデル法の開発を通じて国家的取り組みを支援している、 「生物兵器拡散予防のためのバイオセキュリティ措置を含む堅固で包括的な制度の設置」 「生物剤及び毒素並びに装置と技術に関する表の形成を通じた積み木方式による予防措置の準備」 注釈: BTWC締約国がその第四条により負っている義務と国連安保理決議1540号の実施を補佐するため、英国NGO, VERTICはモデル法を開発し情報を提供している。VERTICは締約国が使用できるように試験的法律も開発している。 追加情報 20

21 20. Harvard Sussex: 国際的犯罪化
ハーバード・サセックスプログラム (HSP) 「国際的犯罪化」のための条約立案に取り組んでいる。 「 生物・化学兵器を故意に開発、生産、取得、保有、移譲及び使用した者、若しくは故意にこれらの活動に対する実質的な援助を命令、指揮若しくは変更したり、生物・化学兵器の使用の驚異をもたらす者を国際法の下で刑罰化できる協定の草案」を同プログラムは進めた。 注釈:同スライドで示されたハーバード・サセックスプログラムによる取り組みの重要性は「生物・化学兵器を故意に開発、生産、取得、保有、移譲及び使用した者、若しくは故意にこれらの活動に対する実質的な援助を命令、指揮若しくは変更したり、生物・化学兵器の使用の驚異をもたらす者」と規定するように、国際法の下であらゆる立場の私人・公人に対する刑罰規定を設けている点である。 幾らかのBTWC締約国による国内法制が刑罰規定を欠く場合や、そもそも国内法制そのものを欠いている場合があるため、明示的な国際犯罪化を進めることは、生物犯罪や生物テロ並びに国家的生物兵器計画といった生物学の不正利用の禁止を強化するであろう。 追加情報.1 追加情報.2 21

22 参考文献と質問 参考文献 質問


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