計測工学 - 測定の誤差と精度 2- 計測工学 2009 年 4 月 28 日 Ⅱ限目. 授業内容 2.1 数値計算における誤差 2.2 計算過程での誤差 2.3 測定の精度.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
分散分析と誤差の制御 実験結果からできるだけ多くの情報を取り出すために 分散分析を利用する 主効果の大きさ 交互作用の大きさ 誤差の大きさ 採用した因子の効果の有無 の検定には,誤差の大きさ と比較するので誤差を小さ くできれば分散分析での検 出力が高まる どのようにしたら誤差を小さくできるか?
Advertisements

統計学の基礎 -何を学ぶか。 何ができるようになるか-. データとは何か 母集団と標本(サンプル)、データの関係 統計的方法を用いることにより、統計量から母数について どれほどのことが言えるか、知ることができる。 2.
母平均の区間推定 ケース2 ・・・ 母分散 σ 2 が未知 の場合 母集団(平均 μ 、分散 σ 2) からの N 個の無作為標本から平均値 が得られてい る 標本平均は平均 μ 、分散 σ 2 /Nの正規分布に近似的に従 う 信頼水準1- α で区間推定 95 %信頼水準 α= % 信頼水準.
5 章 標本と統計量の分布 湯浅 直弘. 5-1 母集団と標本 ■ 母集合 今までは確率的なこと これからは,確率や割合がわかっていないとき に, 推定することが目標. 個体:実験や観測を行う 1 つの対象 母集団:個体全部の集合  ・有限な場合:有限母集合 → 1つの箱に入っているねじ.  ・無限な場合:無限母集合.
ホーエル『初等統計学』 第7章4節~5節 推定 (2) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp 青山学院大学社会情報学部 「統計入門」第 12 回.
1標本のt検定 3 年 地理生態学研究室 脇海道 卓. t検定とは ・帰無仮説が正しいと仮定した場合に、統 計量が t 分布に従うことを利用する統計学的 検定法の総称である。
平成 27 年 10 月 21 日. 【応用課題 2-1 】 次のビット列は、ある 10 進数を 8 ビット固定小数点表示で表した時の ものです。ただし、小数点の位置は 3 ビット目と 4 ビット目の間としてお り、負数は2の補数で表しています。このとき、元の 10 進数を求めてく ださい。
の範囲に、 “ 真の値 ” が入っている可能性が約 60% 以上ある事を意味する。 (測定回数 n が増せばこの可能性は増 す。) 平均値 偶然誤差によ るばらつき v i は 測定値と平均値の差 で残差、 また、 σ は、標準誤差( Standard Error, SE ) もしくは、平均値の標準偏差、平均値の平均二乗.
Lesson 9. 頻度と分布 §D. 正規分布. 正規分布 Normal Distribution 最もよく使われる連続確率分布 釣り鐘形の曲線 -∽から+ ∽までの値を取る 平均 mean =中央値 median =最頻値 mode 曲線より下の面積は1に等しい.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
統計学 西山. 標本分布と推定 標準誤差 【例題】 ○○ 率の推 定 ある人気ドラマをみたかどうかを、 100 人のサンプルに対して質問したところ、 40 人の人が「みた」と答えた。社会全体 では、何%程度の人がこのドラマを見た だろうか。 信頼係数は95%で答えてください。
統計学 西山. 平均と分散の標本分布 指定した値は μ = 170 、 σ 2 = 10 2 、データ数は 5 個で反復 不偏性 母分散に対して バイアスを含む 正規分布カイ二乗分布.
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
基本情報技術概論(第2回) 埼玉大学 理工学研究科 堀山 貴史
第4回 関連2群と一標本t検定 問題例1 6人の高血圧の患者に降圧剤(A薬)を投与し、前後の収縮期血圧 を測定した結果である。
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
確率・統計Ⅰ 第12回 統計学の基礎1 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
多変量解析 -重回帰分析- 発表者:時田 陽一 発表日:11月20日.
確率・統計Ⅰ 第11回 i.i.d.の和と大数の法則 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
統計的仮説検定 基本的な考え方 母集団における母数(母平均、母比率)に関する仮説の真偽を、得られた標本統計量を用いて判定すること。
標本の記述統計 専修大学 経済学部 経済統計学(作間逸雄).
土木計画学 第5回(11月2日) 調査データの統計処理と分析3 担当:榊原 弘之.
統計的仮説検定の考え方 (1)母集団におけるパラメータに仮説を設定する → 帰無仮説 (2)仮説を前提とした時の、標本統計量の分布を考える
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Effect sizeの計算方法 標準偏差が正確に求められるほど症例数が十分ないときは、測定しえた症例の中で、最大値と最小値の値の差を4で割り算した値を代用することが出来る。この場合には正規分布に従うことを仮定することになる。
統計的仮説検定 治験データから判断する際の過誤 検定結果 真実 仮説Hoを採用 仮説Hoを棄却 第一種の過誤(α) (アワテモノの誤り)
大数の法則 平均 m の母集団から n 個のデータ xi をサンプリングする n 個のデータの平均 <x>
計測工学 -測定の誤差と精度1- 計測工学 2009年4月21日 Ⅱ限目.
放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H)
第2章補足Ⅱ 2項分布と正規分布についての補足
3章 Analysing averages and frequencies (前半 p )
計測工学 -測定の誤差と精度2- 計測工学 2009年5月17日 Ⅰ限目.
母集団と標本調査の関係 母集団 標本抽出 標本 推定 標本調査   (誤差あり)査 全数調査   (誤差なし)査.
データのバラツキの測度 レンジと四分位偏差 分散と標準偏差 変動係数.
土木計画学 第6回(11月9日) 調査データの統計処理と分析4 担当:榊原 弘之.
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
ガウス過程による回帰 Gaussian Process Regression GPR
母集団と標本:基本概念 母集団パラメーターと標本統計量 標本比率の標本分布
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
第8回授業(5/29日)の学習目標 検定と推定は、1つの関係式の見方の違いであることを学ぶ。 第3章のWEB宿題の説明
「計算誤差と有効数字」 情報電子工学演習Ⅰ 工学基礎演習(2) Ⅰ. スケジュールの確認 5/30 概要説明
代表値とは 散布度とは 分布のパラメータ 母集団とサンプル
確率論の基礎 「ロジスティクス工学」 第3章 鞭効果 第4章 確率的在庫モデル 補助資料
第3章 統計的推定 (その1) 統計学 2006年度.
第5章 特徴の評価とベイズ誤り確率 5.5 ベイズ誤り確率の推定法 [1] 誤識別率の偏りと分散 [2] ベイズ誤り確率の上限および下限
統計学 西 山.
中澤 港 統計学第4回 中澤 港
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
超幾何分布とポアソン分布 超幾何分布 ポアソン分布.
第3章 演算装置.
計測工学 -誤差、演習問題 計測工学(第6回) 2009年5月26日 Ⅱ限目.
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成 標本デザイン、データ収集
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
誤 差 誤差 = 測定値 - 真値 ・真値は神様だけが知っている。 ・ばらつきの程度を表す意味が薄い。
早稲田大学大学院商学研究科 2014年12月10日 大塚忠義
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
ベイズ最適化 Bayesian Optimization BO
母集団と標本抽出の関係 母集団 標本 母平均μ サイズn 母分散σ2 平均m 母標準偏差σ 分散s2 母比率p 標準偏差s : 比率p :
最尤推定・最尤法 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
第5回 確率変数の共分散 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
統計学  第9回 西 山.
小標本に関する平均の推定と検定 標本が小さい場合,標本分散から母分散を推定するときの不確実さを加味したt分布を用いて,推定や検定を行う
確率と統計2007(最終回) 平成20年1月17日(木) 東京工科大学 亀田弘之.
計測工学 -測定の誤差と精度1- 計測工学 2010年5月10日 Ⅰ限目.
「計算誤差と有効数字」 情報電子工学演習Ⅰ 工学基礎演習(2) Ⅰ. スケジュールの確認 6/3 概要説明
第3章 統計的推定 (その2) 統計学 2006年度 <修正・補足版>.
「計算誤差と有効数字」 情報電子工学演習Ⅰ 工学基礎演習(2) Ⅰ. スケジュールの確認 5/28 概要説明
統計現象 高嶋 隆一 6/26/2019.
プログラミング演習I 数値計算における計算精度と誤差
Presentation transcript:

計測工学 - 測定の誤差と精度 2- 計測工学 2009 年 4 月 28 日 Ⅱ限目

授業内容 2.1 数値計算における誤差 2.2 計算過程での誤差 2.3 測定の精度

授業内容 2.1 数値計算における誤差 2.2 計算過程での誤差 2.3 測定の精度

授業内容 2.1 数値計算における誤差 2.2 計算過程での誤差 2.3 測定の精度

2.2 計算過程での誤差 誤差 (error) :測定値の不確かさ 測定値から真の値を差し引いたもの

2.2.1 桁落ち 同程度の大きさの数の減算による誤差が最大 以下の 2 つによって、誤差を小さくする 1) 必要とする桁数より1~ 2 桁以上余分に使用 2) 計算方法の工夫 有効数字は元の数の有効数字よりのうち、 最小のものより大きくならない

2.2.1 桁落ち 計算における誤差の原因 (1) 丸め誤差 四捨五入、切上げ、切捨て (2) 打切り誤差 無限級数を有限で打ち切る (3) 桁落ち 減算のしくみ

2.2.1 桁落ち 計算における誤差の原因 (1) 丸め誤差 四捨五入、切上げ、切捨て (2) 打切り誤差 無限級数を有限で打ち切る (3) 桁落ち 減算のしくみ

2.2.2 算術の工夫 1) 加算の例 不揃いの桁をある有効数字で統一して計算 ( 数値群の最小の有効桁数に統一 ) 2) 減算の例 “ 同程度の大きさの減算 ” において大きな誤差 が発生する原因 ルートの減算時は共役数をかける 3) 乗算の例

2.2.2 算術の工夫 3) 乗算の例 測定値に数をかけるとき、確度の高い数は桁 数を多くとって演算

授業内容 2.1 数値計算における誤差 2.2 計算過程での誤差 2.3 測定の精度

2.3.1 誤差の種類 (1) 系統誤差 (2) 偶然誤差 (3) 間違い誤差 (4) 誤差の公理

) 系統誤差 ある測定環境下で一定のかたよりを与える誤差 ・測定器固有の誤差 ( 器差 ) ・目盛りのくるい ・地磁気などの環境条件 ・測定者のくせ etc. 経験による誤差の補正が可能 根本的解決には別の測定条件、装置を検討

) 偶然誤差 種々の細かな原因に起因するばらつき誤差 ・気温の変動 ・計器の振動 ・測定者の姿勢・心理 ・その他雑音 etc. 原因は多種にわたり特定は極めて困難 誤差は正規分布に基づく

) 間違い誤差 測定者に起因する人的誤差 ( ヒューマンエラー ) ・不注意 ・記録の誤り ・測定手順の過失 etc. 原因は測定者など人間 外れ値が出たとしても、明らかに間違いでな ければ測定値を除外すべきではない

) 誤差の公理 1) 小さい誤差が起こる確率は大きい誤差 が起こる確率よりも大きい 2) 絶対値が同じで正負の誤差が起こる確 率は相等しい 3) はなはだ大きな誤差の起こる確率は零 全ての誤差は正負の両極限値の間に存在

2.3.2 記号 Σ と exp の意味 計測において頻出する単語 1) Σ(sigma : シグマ ) 1 行に並んだ変数を加算 2) exp(exponent : 指数、累乗 ) e x または exp(x) と表現 e : 自然対数の底、恒数 = …

課題 4 に取り組む エクセルの使用方法を学ぼう!

2.3.3 誤差の正規分布 (1) 正規 ( ガウス ) 分布とは ガウスは誤差の公理を基に算術平均の原理を 用いて偶然誤差の確率分布を導いた。 真の平均値 μ と標準偏差 σ によって正規分布曲 線 f(x) が与えられる。 (2.8) 式を参照 =: 定義 N() :平均値 μ 、分散 σ 2 の正規分布

2.3.3 誤差の正規分布 1) 正規 ( ガウス ) 分布とは 確度指数 h :正確度を表す指数 h = 1 / (√2) * σ

2.3.3 誤差の正規分布 (2) 正規分布で使用される各種パラメータ 1) 母平均 (μ:population mean) :母集団の平均 2) 真値 (T) :精度を最良にして得る値 母集団の平均を真値とみなす μ=T

2.3.3 誤差の正規分布 (2) 正規分布で使用される各種パラメータ 3) 推定値 (estimated value): 標本 ( 資料 ) 平均値 4) 標本平均 (M) :標本 ( 資料 )M i の N 回測定の平 均 算術平均 (arithmetic mean) が一般的に精度 が高いと考えられ、測定回数が多ければ真 値に限りなく近づく ( 大数の法則 )

2.3.3 誤差の正規分布 (2) 正規分布で使用される各種パラメータ 5) 誤差 (e i : error) e i = M i –T 誤差率: ±(e i / T)×100% 6) かたより (δ: bias): 母平均と真値の差 δ=μ - T

2.3.3 誤差の正規分布 (2) 正規分布で使用される各種パラメータ 7) 残差 (r i : residue): 測定値と標本平均値との差 r i = M i – M または x i - x 8) 偏差 (d i : deviation): 測定値と母平均値との差 d i = M i -μ

2.3.4 精密さ・正確さ 1) 精密さ (precision) : ばらつき ( 偶然誤差 ) の小さい程度 良い、悪いで判断 2) 正確さ (trueness) : かたより ( 系統誤差 ) の小さい程度 良い、悪いで判断 3) 精度 (accuracy): 測定量の真の値との 一致の度合い