新型インフルエンザ、新興感染症(出血熱等)の世界的大流行の恐れ 大量かつ短時間の移動が可能となり世界経済が一体化するなか、甚大な人的・社会経 済的被害が発生 パンデミック(広域感染症) 癌、心疾患、脳血管障害が死因の約6割を占める 危険因子は、不健康な食事、高血圧、喫煙、運動不足などの生活習慣 高血圧、糖尿病が、医療費を押し上げ、長期に渡り生活の質を低下させる.

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新型インフルエンザ、新興感染症(出血熱等)の世界的大流行の恐れ 大量かつ短時間の移動が可能となり世界経済が一体化するなか、甚大な人的・社会経 済的被害が発生 パンデミック(広域感染症) 癌、心疾患、脳血管障害が死因の約6割を占める 危険因子は、不健康な食事、高血圧、喫煙、運動不足などの生活習慣 高血圧、糖尿病が、医療費を押し上げ、長期に渡り生活の質を低下させる 生活習慣病(非感染性疾患/慢性疾患) 認知症、転倒などの疾病、身体的機能低下等による日常生活への支障 医療・介護負担の増大 死に場所がない 高齢化 今日的な健康被害への脅威  我々の健康を脅かす三大脅威は、「パンデミック」「生活習慣病」「高齢化」 1

2日後最初の患者発生1日後3日後 近畿圏におけるパンデミックインフルエンザの流行シミュレーション (Ohkusa, Y. et al. JJID, ,2009) から改変 大阪におけるパンデミックリスク(シミュレーション)  新型インフルエンザの発生想定では、3日間で近畿圏に拡大し、大阪府で約12,000 人、大阪市で約3,600人の死者(いずれも上限値)が出ると予想されている。 出典:大阪市新型インフルエンザ等対策行動計画 H26.1 2

感染症事例 <新型インフルエンザ(2009年)> メキシコで発生して僅か9週間で世界中に流行。 短期間での府域、近畿地域での大量患者発生があり、大量検体対応のための両 研究所、近畿地域の地研の協力連携が求められた。 <Diffuse outbreak(広域集団事例)> O157食中毒(食肉、キムチなど)、サルモネラ食中毒(イカ菓子など)広 域における複数の集団事例が発生。当該地衛研の連携が不可欠。 <低脂肪牛乳食中毒事件> 患者が広範囲に広がり、各地衛研の検査法が統一されず、検査の迅速性に影響 した。 広域カバー、迅速性、正確性の三つが重要 広域化、パンデミック対応には新たな体制が必要 3

世界の潮流 非感染性疾病の予防と管理に関する グローバル戦略(WHO) グローバルリスク第5位「高齢化へ の対応の失敗」 (※1) 非感染性疾患対策等 -包括禁煙(22都市) -砂糖入飲料規制(NY)等肥満対策 世界の疾病負担研究/GBD (※2) 病態進行シュミレーション(米) G8認知症サミット -国家アルツハイマープロジェクト法(米)等 ※1世界経済フォーラム「グローバルリスク報告書 2013」今後10年で発生の可能性の高いリスク ※2米国ワシントン大学保健指標評価研究所と東京大学に よる共同プロジェクト) 大阪府市医療戦略会議 医療や介護にかかる経済的・社会的 負担を抑制しつつ、健康寿命を延伸 し、生涯にわたるQOLを向上する 超高齢社会に必要な課題解決型の裾 野の広い関連産業を振興する 7つの具体的戦略 -予防・疾病管理 府民行動変革 -レセプトデータの戦略的活用 -医療情報の電子化とビッグデータ 戦略的活用 -医療・介護連携最適モデル実現 -民間病院の高度化・経営基盤強化 -スマートエイジング・シティ (※) -スマートエイジング・バレー (※) ※超高齢社会課題解決型まちづくり、産業振興 4 「非感染性疾患」と「高齢化」が課題 4

医療行政から健康戦略への転換 関与のあり方 これまでこれから 対 象 ・ 治 療 ・ 個 別 ・ 事 後 タイミング 内 容 予 防 集団(マス) 事 前  感染症が課題  局所的な感染対応  全人口を対象  グローバルなパンデミックリスク増大  長寿化  生活習慣病が新たなリスクとして台頭 5

地域社会の組織的な努力により 疾病の予防 寿命の延長 身体的・精神的健康の増進 をはかる科学、技術である。 特定された人口集団における 健康に関連する状態 健康事象の発生と分布の研究。 そのような状態を既定する因子の 研究及びこの知識を健康問題の解 決に役立てることを含んでいる。 疫学研究機能 公衆衛生分野の行政 (C.E.A. Winslow; WHO)(A dictionary of epidemiology,Fifth,OUP2008) 疾病予防 環境保健 医療制度 衛生行政 健康管理 健康教育 社会保障 サーベイランス 仮説の検定分析研究 実 験 観 察 6 公衆衛生(行政)と疫学機能(検査・調査研究)は車の両輪  保健医療政策には、科学的妥当性に基づいた企画立案、意思決定、評価が必要  予防医学の実践に必須の理論を提供するなど、政策転換に伴い疫学研究機能の重要性 はさらに増す

今後の政策スタンスより重要となる機能本庁 保健所研究機関 事前事前 危険因子を重視 危険因子分析 疾病負荷、諸要因の重み付け評価 ――× 早く察知、予測 サーベイランス―△△ 将来予測、シュミレーション――× 予防予防 予防医学重視 臨床疫学研究、コホート研究――× 有効な対策の立案○―― 健康管理優先 地域保健活動、健康サービスの充実 (介入プログラムの立案) ―△× 多職種連携△○― 情報提供、ヘルスプロモーション△△△ 集団集団 集団として把握 疫学データの収集、統合△△△ 統計、疫学データの解析、活用△△△ 社会的対策重視 モニタリング―○△ 経済効率性の評価××× 「事前」「予防」「集団」の政策を支える機能の現状  「事前」「予防」「集団」へと保健医療行政の政策スタンスの転換が急がれるが、こ れを支える重要な機能、とりわけ、疫学的研究機能等が脆弱である 7 検討準備資料

直営の課題直営デメリットの具体例地方独立行政法人の利点 危機事象発生時 の課題 行政区域による 制限 ①危機事象発生時において、検査重複が生 じるなど、緊急時に効率的な自治体間連 携には限界がある(新型インフルエンザ を教訓に府域内の地衛研で協定を締結し ているが、発動した実績なし) ②行政区域外からの検査受託は原則対象外 であり、検査情報が府域で網羅されない ため、府全体としての俯瞰が困難。 ③近畿圏の他の自治体保健所や、地衛研に 対する、職員等への研修が行政区域外と なるため原則不可 ④稼働率の悪い高額機器類(例えば電子顕 微鏡等)を、所管外の公立学校の授業等 に活用できない。 ⇒ 行政区域を越えての、広域的 かつ柔軟な対応が容易になる (各自治体においても、必要以上 の人材や機器を常備しなくてもいい というメリットがある) 直営・並立による地方衛生研究所の課題① 8 【広域性】 検討準備資料

直営の課題直営デメリットの具体例地方独立行政法人の利点 縦割り組織の脆弱 性 意思決定・自立性 の欠如 ①化学物質汚染食品事例では、  府市研究所がそれぞれ検査等を行っており、 情報を共有できていないために非効率と なっている。  府市研究所で検査方法が異なるため、双方 の情報を有効活用できていない。 ①決裁が形骸化。(例えば、一つの事案に7 つもの決裁印が必要、迅速な判断がされず、 責任が分散され曖昧。) ②業務効率化を志向させる動機づけが弱い (前年度実績主義となるため新たな挑戦が 困難)。 ⇒ 単一組織による臨機応変な 対応が可能 ⇒ 定款等に基づく一定の裁量 により、社会ニーズに即応し た自立的な活動が可能 9 【迅速性】 直営・並立による地方衛生研究所の課題② 検討準備資料

直営の課題直営デメリットの具体例地方独立行政法人の利点 時機を逸する予 算ルール 硬直化した組織 人事 ①年度途中で共同研究等の委託は困難。途中 受託が出来た場合でも支出費目に制約があ るなど支障をきたす場合がある。 ②競争的外部資金を獲得しても、それを適正 に評価する仕組みがない。 ③海外含めた情報収集・外部交流に必要な資 金(出張旅費等)が十分でない。(どうし ても必要と判断した場合は有給休暇・自費 出張となる。) ④職員の業務が固定化されており、部門を超 え、中長期を見据えた、戦略的機動的業務 展開が難しい。 ⑤専門性の高い人材を、臨機にリクルートす ることが出来ない。 ⑥CDCの危機管理部門での研修の受講など、 グローバルな人材育成の資金獲得が困難。 ⇒ 中長期を見据えた戦略投資 ・年度を超えた中長期的な戦略 投資、柔軟な予算編成等 ⇒ 法人による柔軟な組織人事 ・社会ニーズに呼応した期限付き プロジェクト ・外部機関との多様な人事交流 ⇒ PDCAサイクルによる業績評 価と効率化 10 【柔軟性】 直営・並立による地方衛生研究所の課題③ 検討準備資料

人材育成や研修は重要だと考 えているが、人的余裕や十分 な設備がない。特に実技面に ついて、派遣型も含めて公的 機関でのトレーニングを期待 する。【D社】 専門分野での人材育成を、一 企業で担うのは困難。新人研 修は業界全体でニーズがある し、中級、上級編にも期待。 出張研修も有難い。【K社】 微生物関係の仕事をしている が、相談相手がわからない。 企業向けワンストップサービ ス、アドバイザー機能を充実 して欲しい。海外の規制等の 情報が欲しい【D社】 薬事申請の際に添付する分析 方法等の指導や、試験方法の 開発段階から相談できるシス テムが欲しい【K社】 中小企業は情報が無く現状維 持になりがち。情報発信やコ ンサルタント機能に期待。 食品混入異物対策には各メー カーとも苦労していてニーズ が高い。関西全体でデータ ベースを共有するなど、中核 的な役割を担って欲しい。 【M社】 自前で高価な分析機器を揃え られない企業も多く、パイ ロットで使用できるオープン ラボのニーズは高い。価値あ るものに対してはお金も出す。 民間分析機関に試験を依頼し ているが、薬事法に精通して いないなど、十分でない(大 学もそう)。公的機関による 受託試験は、中小企業にとっ て非常に魅力的。【K社】 大学が持っている機器のネッ トワーク化も含め、オープン ラボに期待。【M社】 地方衛生研究所に対するニーズ ~企業インタビューまとめ~ 11  企業は、『人材育成』・『相談機能』・『研究開発(オープンラボ)』 などに期待 人材育成相談機能研究開発