政経学部教授 経済学博士 大石 高久.  はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに.

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作成者 : 白 六郎 画像引用元:「マンガ版・劣化ウラン弾」 「えすかばい!プルサーマル」 小出裕章氏札幌講演パンフレット.
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政経学部教授 経済学博士 大石 高久

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

 旧ソ連の Chernobyl 原子力 発電所4号機がメルト・ダウン後、爆発。 史上最悪の「レベル7」。  25 年後の現在もなお、原発から半径 30km 以内の地域での居住は禁止、  原発から北東へ向かって約 350km の範囲内 にはホットスポットが約 100 箇所点在、  ホットスポット内で農業や畜産業などが 全面禁止されているだけでなく、  その周辺で制限されている地域も。

 戦後日本の原子力政策は、保守政治家の中曽 根康弘、正力松太郎、田中角栄等によって、 「国策民営」の名の許に推進され、  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」等、 専ら経済的利益が宣伝されてきた。  1986 年の Chernobyl 事故後の宣伝文句:  「原発は安全」  「原発はクリーン」  以下、この5つのキーワードを順次検討する。

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

「国策民営」 (1) 「国策」とは?  原子力委員会が5年程度の間隔で公表し てきた「原子力開発利用長期計画」  政府が計画立案、民間の電力会社が運営  1967 (昭和 42 )年以降、不変・硬直化  原子力規模の拡大  動力炉開発:高速動力炉と新型転換炉を国家 プロジェクトして推進  使用済み核燃料の再処理、プルトニウム利用 等を国内で行う

 米国の「冷戦」戦略受け原発導入  アイゼンハワー大統領が53年12月 の国連総会で行った「原子力の平和利 用」演説  読売新聞社社主で日本テレビ社長だっ た正力松太郎( 1885 ~ 1969 )が原子力 委員会初代委員長を務め、 CIA と協力し て「原子力の平和利用」キャンペーン を展開  政治主導で推進、議論尽くさず

 1954 中曽根康弘は原発関連予算を通し、 原子力関連法を次々に  1969 自民党幹事長だった田中角栄が東 京電力柏崎刈羽原発を誘致(錬金術)。  1973 田中角栄元首相は第1次オイル ショックに前後して、原子力に注目。  1974 原発の立地支援のための交付金な どを定めた「電源3法」を成立させる。

 世界は2度の大事故で原発の停滞期に  しかし、政治は自民党一党支配、通産省(現 経済産業省)も原発継続の意思  世界の情勢に逆行して、日本では原発が拡大  その背景は、政治と行政の特殊な構造  90 年代初めのバブル崩壊以降、電力需要は低 迷し、原発建設はスローダウン  90 年代半ばの「電力自由化」(発電事業者の 新規参入を認める)で、原発は岐路に(東電 と自民党の族議員が潰す)

 通産省内でも「補助金漬けの原発は財政 的に問題で、電力自由化に逆行する」や 「特に金のかかる核燃料再処理事業をや めるべきだ」との議論  1995 高速増殖炉「もんじゅ」のナトリ ウム漏れ火災事故  1997 「高速増殖炉懇談会」(科学技術庁 が設置)の議論中に自民党が存続方針を 出し、懇談会も追認  推進者を考えれば、核兵器開発が本命?

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

 現実にレベル7の事故が起き、それを収束することす らできない  従って、「原発は安全」を議論する意味は無い。明ら かに危険:「電源立地法」  原発の「安全神話」とは、原発反対運動を権力がアメ とムチで押さえ込むこと  アメとは「電源三法交付金」、ムチが「安全神話」 (国策に下々の者が口出しするな!「伊方原発訴訟」)  GE 社の「 Mark I 」は、そもそも「欠陥商品」  「 Mark I 」は運転開始以降、事故続き:低稼働率  同社は後に、「 Mark II 」「 Mark II 改良型」を販売  アメリカにも未だ「 Mark I 」が運転しているために、  「 Mark I 」そのものよりも、作業員のミスにする?

 各 (1 〜 4) 号基により、原因が多少異なる  地震が原因であることは間違いない  30 年前、全電源喪失の可能性が指摘され たが、班目(まだらめ)原子力安全委員 長が、それに備える必要性を否定!  地震の専門家は、貞観地震(平安前期の 貞観 11 年、 869 年)の地震と津波を指摘  東電は可能性の低さを理由に無視  「国民の安全より、コスト優先」体質!

 今回の事故は、地震で冷却系統が破壊!  外部電源のための鉄塔が倒壊!  政府が電源車を空輸したが、接続に失敗 ( GE 社製品のため、規格が異なる!)  3系統の冷却装置のどれも作動しない!  メルト・ダウンが始まり、水素が発生!  水素を外部に逃がす「ベント」に失敗し、 オペーレーション・フロアに充満し、最 後の砦である建屋が爆破

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

「原発はクリーン」  テキストに記述されている様に:  原発は、燃料の採掘ーー精製ーー運搬を石油 に依存している:原子力は「石油」の「代替 エネルギー」ではない。  石油は、化学製品や薬にもなる  原発は CO 2 も 排出している。  原発は、放射性物質を排出している  原発事故は、取り返しの着かない被害に (原町火力発電所は津波で破壊されたが誰も問 題にしないし、しないでも大丈夫!)  事故が無くても、放射性廃棄物は処理不能

 日本では殆ど報道されていない  Chernobyl 事故 (1986) で「反原発」運動が 盛んになった  原発関係者が集まり、生き残り策  University of East Anglia に Climatic Research Unit (CRU) 設立し、「地球温暖 化」キャンペーン:  地球は温暖化している  その原因は、化石燃料からの CO 2 排出  原子力は、 CO 2 を 排出せず「クリーン」  2009 CRU のメールが流出、暴露される

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

 「国策民営」のエサとして、地域独占の電力 会社に「総括原価」方式を認める。  電力会社は「すべてのコスト」に一定の利益 率(具体的な率は諸説)をかけ算。  従って、コストのかかる設備を作れば作るほ ど電力会社は儲かる:高コスト体質  アメリカの場合、設備投資の借金は「コス ト」として認められず、料金に転化不能。  これが、 1976 年以降、新規受注が無い真因

 原発は無くても、電力は十分足りる  電力消費のピーク:真夏日の午後2〜3時  原発はフル稼働し、その他の発電で調整する  1980 年代に貿易摩擦から日本企業の海外進出  1980 年代後半、電力が過剰なため原発の「出 力調整試験」を行う  2003 年に東電の全原発が停止に追い込まれる  しかし、節電も停電も無かった  その後、企業の海外進出で需要は減る一方

 原発は 13 ケ月運転すると、定期点検に入る  現在稼働中の原発は、 14 / 54 だけ  定期点検中の原発を再稼働しなければ、来年 春には、日本の全原発が止まる  「原発停止=電力不足=節電/停電」は、早 く再稼働させたい推進派の(無知な)国民に 対する脅迫  読売は今冬の電力不足を煽っているが、それ はあり得ない。特に今冬は、石油ストーブ!

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

「原発で明るい(豊かな)未来」?  コストが掛かりすぎる:「電源三法交付金」も税 金から:「東電の高コスト体質」  たかが電気に、原発は要らない!( 2 〜 3,000 度= 爆発)  熱の 2/3 は冷却水として、海洋に放出  事故が起きたら、逃げ場所は無い。食べ物、飲み 物、住宅、家族、地域の全てを失う!!  事故が起きなくても、使用済み燃料の処理方法も、 廃棄場所も無い。「日本の原子力政策は、トイレ なきマンション」  『 100,000 年の安全』(日本の地質では無理)

 はじめに  「国策民営」  「原発は安全」  「原発はクリーン」  「原発は安い」:「安定的電力」  「原発で明るい(豊かな)未来」  おわりに

おわりに  今一度日本を洗濯いたし申し候(坂本龍馬)  何の責任も無い国民に賠償金を転嫁させるな!  「発送電分離」を東電+自民党族議員が潰す  「原子力村」の「福島応援キャンペーン」+マス コミの「大本営発表」  「安全神話」の形成:警察+最高裁判所:十分 「犯罪的」だ!  東電を解体し、官僚を解雇すべきであった  「核兵器を持ってこそ一等国」は金正日!  「貧しい人のほっぺたを札束で叩くな!」 人間らしい地域開発:「窪川方式」  無からの再出発は、再生可能エネルギーによ る「スマート・シティー」の構築から