1 フーコー: 言と知識 I.言説 = ある社会体制による作られた通念・観念やこれを活かす表現。 社会体制を維持する表現や信念。 言説とは教育制度、出版物、メディアなどに濾過され、 社会に受け入れられた=「認可された」考え方によって.

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1 フーコー: 言と知識 I.言説 = ある社会体制による作られた通念・観念やこれを活かす表現。 社会体制を維持する表現や信念。 言説とは教育制度、出版物、メディアなどに濾過され、 社会に受け入れられた=「認可された」考え方によって 構成された信念を表現することであろう。

フーコ 言説と知識を構成するもの 「言説」をつくる主な「施設」・ 社会制度・制度の規範を伝達する「施設」: 1. 学校 2. 研究所や科学ラボ 3. 医療施設 4. 法律 5. 政治制度・政策作成 6. 宗教 7. 出版制度 2

3 フーコーによる「知識」の定義 ブルデューが指摘したのは、「言語」という無形のもの の交換は社会の場での最も大切なやり取り(の媒体)で ある。 社会の中にしか存在しない。社会の中で しか意味しない・ 読み取られていない。 フーコーは、「知識」という無形のものも、 社会の中にしか存在していないと言う。 知識の内容が社会 ( =個々人ではなく、世の中)だけに よって構成されている、伝達されている、 受け入れられ ている、 解釈されているから、「知識」は 社会の観念に濾過されるし、社会に生産される、管理さ れる。

4 をが 言説をつくる・言説がつくる、 知識」 社会の中の「知識」とその構築 1. 社会にはイデオロギー・世論・「常識」=社会規範 がある。 2. 認識、知識がこれらによる構築され、これらに寄与もす る。 「知識」とは、現実について、ただの記述ではない。そ の社会にある言説に構築される、言説に従うもので ある。 フーコーによる「知識」

5 フーコー: 言説と「知識」の機能 「現実世界」又は「事実」が人間の認識に入り込む 際、 社会制度や施設(学校、メディア、法な ど)に濾過される。 そのような知識はフーコーに「知識体制」とも呼ばれ ている。 そのためにある社会で、ある時代には入手できる「知 識」が主に既に社会によって「認可」された知識であろ う。 例 : 前コペルニクス・後コペルニクスの宇宙への見方。 前メンデル・後メンデルの生物の遺伝への見方。

6 P9 (星印のあとの文) 「あらゆる社会において、言説の生産は、いくつかの手 続き (=制度、施設、過程)によって同時に統御され、選択 され、組織化され(=整理され)、再配分されるもの と、わたしは想定する。」 その意味: 言説 「知識体制」は所謂社会の中の制度や施設を成立するも の、 言説 = 社会に是認(ぜにん)・「認可」され た観念とその表現によって構されている。 フーコー: 言説や知識 重要な引用文

7 フーコーによる言説~その位置 言説=伝達されて来た、認可 されて来た観念や、これらが可 能にする=表す ( 権限を受けた) 表現 社会制度 ( 教育等) 「知識」 「そして、これらの手続き(=過程、制度、施設)は、言説の 力と危険とを払いのけ、その僥倖(ぎょうこう)に左右される出 来事を支配し、 その重苦しく、おそるべき物質性を避ける働 きをする、と。」 P9のつづき 法と政策 マスコミ 科学 出版物

8 認識・知識は構築されたものである。 「知識」だと信用されていることは、 社会制度に維持されるものである。 そうしたら、知識と「権力」との関係性は? フーコー: 言説の構築や機能

9 フーコーによる 知識と権力の関係性 「権力」がある位置にいる人は、(認可 された)制度や施設を通した者であると 言える。 様々な分野の「権力者」の例:神父、教 師、政治家、医師、科学者。 これらの者が言説、制度、制度、そして 施設を上手に利用するか、既存の制度や 施設に利用されるかについて、 フー コーが疑問に思う。

10 p9 ― p10(上記の分の続き) 「社会」および言説の中の「排除」、「禁止」、「分離」の原 理 = 言説によっての知識の濾過、「排除」 「われわれの社会のような社会にあって、【排除】についての さまざまな手続き(=過程、制度、施設)があることは、も ちろん周知の とおりであります。もっとも明白な、また もっとも身近なものは、 【禁止】です。 よく知られているように、人はすべてを言う権利な [ い ] 。。。、ところ構わずにすべてについて語ることもできな い。」 身近な世界の例:以下に、誰が、いつ、何を言えないのか? 「儀式」の時・授業中・試験中 上下関係が顕著である時 自分の生活又は恩恵が脅かされた時 フーコー: 言説の機能についての重要な引用 文

11 p10真中 言説は知識を濾過する、排除すること 続き 「そこには、お互いに相互交わり、強め合い、 あるいは補い合って、たえず変容する複雑な網の目を形づ くる三つの型の禁止の働きがあります。」 その意味: 「網の目」=信用すべき知識を「濾過」する社会制度の機 能。 これに従う様々な分野の知識に関する表現。 社会で可能である表現による「三つの型の禁止」。認可さ れない知識や言説への働きかけ ①排除 ②拒絶 ③分離 フーコー: 言説の機能についての重要な引用文

12 フーコー:言説においての「三つの型の禁 止」 1.禁止 例1:ある経験、ある人の「障害」、について話せな い場合。 例 2: 儀式では、適切ではない人は儀式の内容(言葉)を話せ ない。 2.拒絶 例:各社会や各時代においては、 「理性」という常識と「狂気」という非常識の間の明確な 区別がある。 「 狂気」と判断される言説は「拒絶」されがちである。狂人と される人も。 3.分離 例:「真実」と「虚偽」の間の絶対的な区切りがある はず。 社会の中の「認可」された言説や知識が上記の例を統 御 しながら(濾過しながら)適切ではないものを排除す る。

13 「狂気」や「狂人」の言説についての例(社会拒絶の 例): ・中世以降、「狂人」という人の言葉の捉えかたが変化して きた: 1. 中世やルネッサンス時代:狂人の言葉は聖なる言葉・真理 を 表す言葉として捉えた。 結果:相談者として王又は権力者のそばに置く。 2. 18 世紀~:狂人の言葉 = 悪魔よりの言葉として捉え た。 結果:刑務所のような精神病院に監禁される。 3. 19 世紀末~:狂人の言葉 = 病気の症状。 結果:精神病院又は精神科医によっての、「言葉」=言説を 通して治療を受けさせられる。狂人が社会より拒絶される よりも、 むしろ社会(全体)の「病気」の代表者とし て見なされる。 フーコー:排除、禁止、拒絶とそ の例

フーコー 言説、知識、権力 そうしたら、「権力者」は何が言える、話せ るか? 何? そして、「権力者」は誰、何? フーコー フーコーによりますと、政治 とセックス に関して話す「権威」があると見える人、い や、そうした「権威」がある制度が権力者で ある 14

15 復習 p10 (上記の続き)より ~ 復習 「今日、 [ 言説の ] 網の目がこの上なく狭ばめられ、 黒く塗りつぶされた部分が多くなっている領域 は、セックスと政治の領域である。」 その意 味: ・セクスについての適切な言説は一応社会制度に濾過 されるのである。 この適切さを決める過程や、その言説を利用する過 程は、(政治的・社会的)力を現す、強固する過程で ある。 ・政治についての適切な表現は一応認可された表現で ある。 同様にこうした言説を決める過程や、その言説を利用 する過程は(政治的・社会的)力を現すや強固する過 程である。 フーコー: 言説の工夫 重要な引用文

16 フーコーがいう言説の力や危険性 言説や社会制度の一つの「危険性」は、 適切ではないようにされた言説を使おうとする 者も、 人々も、社会に排除される恐れがある。 逆に、これらについて権力的に(=認可された ことを信用されやすく)語る者は、「怖いくら い 権威がある人」となろう。 (ブルデュー p31 を参照)