まず始めに・・・. 乳癌は何年ほど前からあると思 いますか? 答え 紀元前 3000 ~ 5000 年のエジプトでイム フォテプという医師による乳癌治療の記 録がパピルスに残されている.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
乳癌 PBL 4班.  乳腺上皮由来の腺癌  転移 リンパ行性:腋窩、頸部、縦隔などのリンパ節 血行性:骨、肺  主症状 乳房腫、皮膚・乳頭の陥凹、びらん、 血性の乳頭異常分泌  多くは増殖にエストロゲンが関与 ⇨抗エストロゲン薬が有効  閉経前は卵巣、閉経後は脂肪組織よりエストロゲン産.
Advertisements

痢茶亜弩過信鋤、濱口沙紀、山本静、高相 真鈴、油田直弥 Pharmacology Presentation 2011.
2012 年 薬理学 PBL 急性リンパ性白血病 (Acute Lymphocytic Leukemia : ALL) 24川副 48栖田 72中山 96松田.
うつ病. うつ病の病理、病態 モノアミン仮説 → 脳内のモノアミン(特にセロトニンや ノルアドレナリンなどの興奮性物質)が減 少してうつ病を引き起こしているという仮 説。一般にこの仮説に基づいてセロトニン、 ノルアドレナリンを増加させる方向に治療 は向いている。
Fukuyama City Hospital Sorafenib とは Sorafenib とは 2012 年 7 月 28 日 福山市民病院 内科 ○ 辰川 匡史 藪下 和久 下江 俊成 坂口 孝作.
絨毛癌 19 井上大志  67 中村順子  91 溝部太郎.
御薬辞典2 炎症・免疫関連.
平成23年度 薬理学PBL 急性リンパ性白血病 (Acute Lymphocytic Leukemia:ALL)
2012年7月28日 福山市民病院 内科 ○辰川 匡史 藪下 和久 下江 俊成 坂口 孝作
アレルギー・アナフィラキシー 山形大学輸血部 田嶋克史.
インフルエンザ 20班 19、加来 43、白井 67、中谷 91、藤川 115、山本
12.池田 京平 36.小牧 遼平 60.鶴田 賀之 84.古川 由梨
糖尿病の成因と病期 1型糖尿病 2型糖尿病 ・右向きの矢印は糖代謝の悪化、左向きの矢印は糖代謝の改善を表しています
薬理PBL 14班 13番石松舞子 37番合田建 61番鉄本章 85番堀晋也
輸血の適応/適正使用 血小板製剤 福井大学輸血部 浦崎芳正.
薬理学PBL 10.胃十二指腸潰瘍 入江、毛野、土田、藤本、山本.
脂質代謝.
体重減少 ◎食欲があるのに体重が減る ⇒糖尿病、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群などを疑う ◎食欲がなくて体重が減る ⇒その他の疾患を疑う
             平成19年10月20日                ㈳福岡市薬剤師会   理事 福岡英樹 あなたは 何を見て かぜ薬を選んでますか?
体重増加 短期間で 急に太った いつもと同じ食生活をしているのに… 定期的に運動をしているのに…
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
12.造血幹細胞移植 11余るグループ 11. 内山奏 35. 斉藤裕美59.伊達爽馬 83.林優介107.森松康之.
飲酒による人体への影響 市村 将 参考・引用文献:Yahoo!ニュース 未成年の飲酒問題
薬理学PBL 7.かぜ症候群 スライドショー推奨です。.
チョコレートの健康効果 2013‐04‐25 MR1051  アキ.
がんの家族教室 第2回 がんとは何か? 症状,治療,経過を中心に
研究テーマ 福山大学 薬学部 生化学研究室 1) 脂質代謝を調節するメカニズムに関する研究 2) がん細胞の特徴と
糖尿病とは インスリン作用不足による 慢性の高血糖状態を主徴とする 代謝疾患群 まず糖尿病とはどんな病気か知ってしますか?
2型糖尿病患者におけるナテグリニドと メトホルミン併用療法の有効性と安全性の検討
1. 病気になると血糖値が 高くなりやすくなります 2. 最も注意が必要なのは 糖尿病の「急性合併症」 3. シックデイの対応
8班[7(mod24)] 井村(7) 黒島(31) 田代(55) 野田(79) 宮田(103)
平成23年4月2日 浜松がん薬物療法セミナー - 処方解説 -
関節リウマチ 18班 17 稲用雅俊 41 阪原有美 65 中薗実  89 益子尚久.
5班 石山勝也、栗原唯生 瀬山貴博、鍋井敬文 畠達夫、蓬田幸人
3.膿性鼻汁や膿性痰や 咽頭発赤腫脹の強い場合
牛の尿路コリネバクテリウムによる 血尿を主徴とする感染症
女性生殖器コース講義  婦人科悪性腫瘍 - まとめ -.
24班 85歳 女性への処方薬 23 大内、 47 杉山 71 西村、 95 室谷.
絨毛癌 急性リンパ性白血病 8班.
01/18/09 がんの化学療法.
アポトーシスについて 砂辺浩弥
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
放送大学面接授業試験問題
味覚異常.
私のカルテ ~ホルモン療法編~.
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education.
授乳と薬                        平成25年 10月4日                                李英健.
薬に関係することわざ 「良薬は口ににがし」 他にどんなものがあるかな?
手術治療や放射線治療が、がんに対しての局所的な治療であるのに対し、抗がん剤は、より広い範囲に治療の効果が及ぶことを期待できます。このため、転移のあるとき、転移の可能性があるとき、転移を予防するとき、血液・リンパのがんのように広い範囲に治療を行う必要のあるときなどに行われます。 薬物療法には、単独の薬剤を使って治療する場合と、数種類を組み合わせて治療する場合があります。作用の異なる抗がん剤を組み合わせることで効果を高めることが期待されます。
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
コレステロール その生合成の調節について 家政学部 通信教育課程 食物学科 4年 大橋 万里子 佐藤 由美子 鷲見 由紀子 堀田 晴 子
症例1 53歳 女性 血性乳頭分泌を自覚 その後右乳房腫脹が著明となり近医を受診 右乳房の大部分を占める腫瘤 (130×120mm)を触知 腋窩リンパ節は非触知 【既往歴及び家族歴】特記事項なし.
大宮ソニックシティー 足利赤十字病院 外科 戸倉英之
高脂血症.
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
3.処方箋から考えよう(Group Discussion)
1月19日 シグナル分子による情報伝達 シグナル伝達の種類 ホルモンの種類 ホルモン受容体 内分泌腺 ホルモンの働き.
生命科学基礎C 第1回 ホルモンと受容体 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
異所性妊娠卵管破裂に対する緊急手術中の輸血により輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症した1例
肺の構造. 肺の構造 肺の間質とは? IPF(特発性肺線維症)とは? IPF患者さんの肺の画像(胸部X線)
NSAIDsの使い方.
平成28年度がんの教育総合支援事業 「がんについて学ぶ授業」
心電図 二次チェック 非ST上昇心筋梗塞 ST上昇心筋梗塞 ー不安定狭心症 予防的治療: (禁忌でなければ): βブロッカー、ACE阻害薬
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
食物アレルギー発作時 に使用する 自己注射について
1. 糖尿病の合併症としての 性機能障害 2. 性機能障害と糖尿病治療 3. 性機能障害、とくにEDの 原因について 4.
ED.
プラセンタ.
Aqtiの効果・効能.
私のカルテ 発熱性好中球減少に対する予防的G-CSF製剤使用のための地域連携パス(通称:G連携)
Presentation transcript:

まず始めに・・・

乳癌は何年ほど前からあると思 いますか?

答え 紀元前 3000 ~ 5000 年のエジプトでイム フォテプという医師による乳癌治療の記 録がパピルスに残されている.

乳癌死亡率全国ワースト1位の 都道府県はどこでしょう?

答え 東京都 東京都の乳癌検診受診率は、全国平均 12.9% と比較して 7.9% と低い.

男性は乳癌にならない・・・ なんて思っていませんか?

答え なります. 日本人女性の罹患率は 25 ~ 30 人に 1 人です が、男性も 1000 人に 1 人の確率で罹患しま す.

では、ここからが本題です

薬理学 PBL 乳癌 (Breast Cancer) 3 朝倉、 27 角田、 51 曽山、 75 長谷川、 99 山 西

乳癌 <発生部位> 乳腺組織の末梢乳管や腺房上皮 <転移> リンパ行性:腋窩、鎖骨下、胸骨傍リンパ節 血行性:骨、肺、肝 <主症状> 乳房腫、皮膚・乳頭の陥凹、びらん、血性の 乳頭異常分泌

ホルモン依存性 乳腺はエストロゲンの作用により増殖す るため、乳腺細胞から発生する癌の多く がホルモン受容体をもち、エストロゲン に曝露されることによって増殖する. → ホルモン受容体陽性の乳癌に対しては、 エストロゲンの作用を抑える化学療法 (抗エストロゲン薬)が有効.

1 閉経前乳癌 リュープリンSR (11.25mg) (リュープロレリン酢酸塩) <投与方法> <適応> ・12周毎 ・前 立腺癌 ・皮下注射 ・閉経 前乳癌

リュープリンSR (11.25mg) <作用機序> 脳下垂体 LH-RH 受容体 刺激 ゴナドトロピン分泌 しかし、継続使用により・・・ ゴナドトロピン分泌 テストステロン分泌エストラジオール分泌

リュープリンSR (11.25mg) <副作用> ・ 間質性肺炎 ・アナフィラキシー様症状 ・肝機能障害 ・黄疸 ・糖尿病発症 ・うつ状態 ・下垂体卒中 ・エストロゲンの低下による更年期障害様症 状

リュープリンSR (11.25mg) <禁忌> ・前立腺癌の場合 本剤の成分又は合成 LH-RH 、 LH-RH 誘導体に 対して、過敏症の既往歴のある患者 ・閉経前乳癌の場合 (1) 本剤の成分又は合成 LH-RH 、 LH-RH 誘導体に 対 して、過敏症の既往歴のある患者 (2) 妊婦又は妊娠している可能性のある患者、 授 乳中の患者

2 閉経後乳癌 ノルバデックス錠 (20mg) (タモキシフェンクエン酸塩) <投与方法> <適応> ・1錠 ・エストロ ゲン受容体 ・分1 陽性の乳癌 ・朝食後

ノルバデックス錠 (20mg) <作用機序> ノルバデックス錠 エストロゲン 受容体 抗腫瘍効果 細胞増殖

ノルバデックス錠 (20mg) <副作用> ・生理不順 ・吐き気や嘔吐 ・食欲不振 ・子宮筋腫 ・子宮内膜症 ・子宮内膜ポリープ ・顔面紅潮

ノルバデックス錠 (20mg) <重篤な副作用> ・視力異常、視覚障害 ・血栓症 ・白血球減少、貧血、血小板減少 ・重篤な肝障害 ・間質性肺炎 ・アナフィラキシー様症状 ・高カルシウム血症 ・膵炎

ノルバデックス錠 (20mg) <禁忌> ・妊娠または妊娠している可能性のある婦 人 ・授乳中の婦人 ・本剤に対し、過敏症の既住歴のある患者

3 化学療法 化学療法 抗がん剤治療 がん化学療法 外科手術 放射線療法

乳癌に対する化学療法 1) カイトリル注 3mg 2) デカドロン注 20mg 3) アドリアシン注 4) エンドキサン注

化学療法 1) カイトリル注 3mg (グラニセトロン塩酸 塩) <性状> ・注射剤(無色透明アンプル) ・ 5-HT3 受容体拮抗型制吐剤 <効果・効能> 抗悪性腫瘍剤投与、造血幹細胞移植前処置 時の放射線全身照射(TBI)による悪心、 嘔吐、消化器症状

カイトリル注 3mg <作用機序> カイトリル セロトニン 5-HT3 受容体 嘔吐を抑制 嘔吐 神経末端

カイトリル注 3mg <副作用> ・アナフィラキシー様 症状 ・そう痒感 ・呼吸困難 ・血圧低下 ・発赤 ・発疹 ・頭痛 ・眩暈 ・不眠 ・頻脈 ・便秘 ・下痢 ・腹痛 ・顔面潮紅 ・消化管運動低下 ・肝細胞癌

カイトリル注 3mg <禁忌> ・本剤成分又は含有成分で過敏症の既往歴 ・消化管通過障害

乳癌に対する化学療法 1) カイトリル注 3mg 2) デカドロン注 20mg 3) アドリアシン注 4) エンドキサン注

デカドロン注 20mg ・副腎皮質ホルモン製剤 ・一般名(成分)はデキサメタゾン ・抗炎症作用や抗アレルギー作用のある ステロイド剤で、様々な病気の治療に 用いられる

デカドロン注 20mg ・ 5-HT3 拮抗薬と併用すると悪心、嘔吐に対 する効果が増強される ・抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)服用 に伴う 消化器症状(悪心・嘔吐)の場合 デキサメタゾンとして 1 日 4 ~ 20mg (本剤 8 ~ 40 錠)を 1 ~ 2 回に分けて服用 ただし、 1 日最大 20mg まで

デカドロン注 20mg <副作用> ・不眠 ・下痢 ・吐き気 ・むくみ ・体重増加 ・副腎皮質機能不全 ・クッシング症候群

デカドロン注 20mg <禁忌> ・本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある 患者 ・有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の 真菌症の患者 〔免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある〕 ・消化性潰瘍の患者 〔粘膜防御能の低下により消化性潰瘍が増悪するおそれがあ る〕

乳癌に対する化学療法 1) カイトリル注 3mg 2) デカドロン注 20mg 3) アドリアシン注 4) エンドキサン注

アドリアシン注 ・ドキソルビシン塩酸塩 ・アントラサイクリン系の抗がん抗生物質 ・ 1 回 60mg/m2 ・点滴静注

アドリアシン注 <作用機序> ・腫瘍細胞の DNA と結合して、 DNA および RNA の生合成を抑制する ・フリーラジカルを生成して、 DNA の短鎖 の切断 を起こす アドリアシン DNA ポリメラーゼ

アドリアシン注 <副作用> ・心筋障害 ・心不全 ・骨髄抑制 ・出血 ・頻脈 ・食欲不振 ・悪心 ・嘔吐 ・口内炎 ・下痢 ・脱毛 ・発熱 ・消化管症状

アドリアシン注 <禁忌> ・心機能異常又はその既往歴のある患者 [心筋障害が現れることがある] ・本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴 のある患者

乳癌に対する化学療法 1) カイトリル注 3mg 2) デカドロン注 20mg 3) アドリアシン注 4) エンドキサン注

エンドキサン注 ・一般名はシクロホスファミド ・ 1 回 600mg/m2 ・点滴静注 ・ 21 日毎 4 サイクル

エンドキサン注 ・アルキル化剤 ・ 抗がん剤、免疫抑制剤 ・ プロドラッグであり、肝臓で代謝され 活性をみせるようになる

エンドキサン注 <作用機序> DNA をアルキル化し、腫瘍細胞の DNA の 合成を阻害する <副作用> 比較的副作用が出ることが多く、 代表的なものは、脱毛、悪心や嘔吐、発 疹、白血球減少、骨髄抑制、肝障害など

エンドキサン注 <禁忌> ・ペントスタチン投与中の患者 ・本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴 の ある患者 ・重症感染症を合併している患者

AC 療法 ・アドリアシン+エンドキサン療法 (AC 療法 ) は 再発した乳がんの第一治療薬として用いら れる ・ただし乳がんの手術後、再発や転移を防ぐ 為に 術後の化学療法でアントラサイクリン系薬 剤を 多用した場合 → アントラサイクリン系からタキサン系薬剤 を含む併用療法に変わりつつある

4 骨転移の場合 痛み 骨折 高カルシウム血症

4 骨転移の場合 ゾメタ注 (4mg) (ゾレドロン酸、ゾレドロネート) <投与方法> ・ 1 バイアル ・点滴静注 ・ 4 週間毎

ゾメタ注 (4mg) <作用機序> HMG-CoA メバロン酸 ゲラニルピロリン酸 ファルネシルピロリン 酸 コレステロール ゲラニルゲラニルピロ リン酸 ファルネシルピロリン 酸 合成酵素

ゾメタ注 (4mg) ファルネシルピロリン酸やゲラニルゲラ ニル ピロリン酸は Ras や Rho といっ た小分子G蛋白質が破骨細胞表面に付着 するのを助ける < Ras や Rho の働き> 細胞骨格の形成・維持 波状縁の形成 細胞運動 アポトーシス

ゾメタ注 (4mg) <副作用> 吐き気、骨痛、倦怠感、発熱、腎障害 <禁忌> ・本剤の成分又は他のビスホスホン酸塩に 対し 過敏症の既往歴のある患者 ・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人