セラミックス セラミックスの製造法 2 第 8 回 6月 11 日 ( 水)
[2]セラミックスの種々の焼結法 (1)ホットプレス法(Hot Pressing:HP法)[:図 参 照] :カ-ボン製の型に原料粉末を入れ、 高周波加熱によりカ-ボン型を加熱し ながら加圧して焼結する方法 圧力:200~400kg/cm 2 SiC :2000~2200℃ Si 3 N 4 :1700~1800℃ 特徴:高温,短時間焼結が可能 (高純度,高密度の焼結体製造法 図 ホットプレス法
(2)反応焼結法(Reaction Sintering:RS法) :固相の原料成形体に気相あるいは液相を化学反応させ、セラミックスの合成と 緻密化を同時に行い、焼結体を得る方法 ex.1)Si 3 N 4 の反応焼結:Si微粉末成形体を窒素雰囲気中で加熱・化学反応 3Si+2N 2 → Si 3 N 4 ex.2)SiC の反応焼結:SiCの成形体とC粉末からなる成形体をSiの気相あるい は液相と高温で反応させ、SiC+Siの焼結体を得る (焼結体の気孔にSiが充填 → 緻密変化を促進) (3)常圧焼結法(Pressureless Sintering:PLS 法) :大気圧下の各種雰囲気中で、焼結助剤(バインダ-)を用いて緻密に焼結 させる 方法・・・一般的なセラミックスの焼結手法 特徴:複雑形状の焼結が可能で、生産性に優れる
(4)HIP法(Hot Isostatic Pressing) :熱間静水圧焼結法と呼ばれ、不活性ガス雰囲気を圧力媒体として、周囲から等方 的に加圧しながら高温で焼結する方法 Si 3 N 4 のHIP法・・・圧力:2000気圧 温度:2000℃ (5)GPS法(Gass Pressure Sintering) :ガス圧焼結法と呼ばれ、Si 3 N 4 の成形体を50~120気圧のN 2 雰囲気下で 1800~2000℃の温度で焼結する方法 (6)PS法(Post Sintering) :2段焼結法と呼ばれる新しい焼結法で、反応焼結法と常圧焼結法を組み合せた Si 3 N 4 の焼結法[・・・Si 3 N 4 の緻密化焼結法]
(7)化学気相析出法 (CVD:Chemical Vapor Deposition) :加熱領域に原料ガスを導入して化学反応により非揮発性物質を基板上に析出させ る方法[:図3. 7 参照] 特徴:①材料の融点より低い温度で合成できる ②高純度,高密度のものが合成できる ③2元素以上で構成される材料の組成制御が可能 ④結晶構造を制御でき、特定の結晶面を配向可能 ⑤粉体の粒径を制御できる ⑥焼結に必要な粘結剤や焼結助剤が不要 ⑦複雑な形状の焼結体に被覆できる ⑧準安定状態の物質の合成が可能 ⑨多層被覆が容易にできる
図3. 7 CVD法による工程概念図 図 3 . 8 各種セラミックスの焼結法の比較
セラミックスの製造工程 セラミックスの製造工程[:図3. 9 参照] (1)原料調整 (2)成形 (3)焼成(焼結) 図3. 9 セラミックスの製造工程と特性の関係 *沈殿方法 ①金属イオンを含む水溶液 +アンモニア水と混合 ↓ ②金属水酸化物を生成 ex)Al 2 O 3 の場合 Al 2 (OH) 3 : が水酸化アルミが出発原料 ↓ ③分解・仮焼させ原料酸化物を作製 (ex.Al 2 O 3 人工原料粉末 ) * セラミックス原料粉末の製造工程 (各製造工程における諸因子が、 焼結体 ( 最終製品)の特性を支配する) 最終製品となる 「セラミックス焼結体 の特性支配因子」
セラミックスの焼結性 焼結・・・成形体を加熱熱処理によって粒子同士を融着すること → 融着の促進や緻密な焼結体を得るために焼結助剤の添加 ex.Si 3 N 4 の焼結・・・焼結助剤:MgO,Y 2 O 3 の添加 ※焼結法によるファインセラミックスの製造プロセス[:図 3 . 10 参照] 図 3 . 10 焼結法によるファインセラミックスの製造プロセス ( IC 基板の製造工程) [ 重要 ] 「ニューセラミックス の製造工程」 ①人工原料粉末の 成分調整・混合工程 ↓ ②成形体の作製 (焼結前工程 ) ↓ ③焼結(焼成 ) 工程 ↓ ④最終製品化 (仕上げ工程) ① ② ③ ④ * * *成形、焼結 促進用添加剤 (有機物系 バインダー)
補足資料
ファインセラミックスの製造法 酸化物系セラミックス製品の内訳 (1)ファインセラミックス(ニュ-セラミック ス):80% ①エレクトロニクスセラミックス ②エンジニアリングセラミックス ③バイオセラミックス (2)窯業製品:20% 人工骨: Ca 3 (PO 4 ) 2 バイオセラミックス ①エレクトロニクスセラミックス 絶縁、誘電、圧電、半導体、 永久磁石、電気記録材料 ②エンジニアリングセラミックス 機械的機能を有するもの 耐摩耗、切削、耐熱材料など ③バイオセラミックス 生体適合機能を有するもの 人工骨、人工歯根材料など
製造方法の飛躍的な進歩 ( 1 ) 微視的構造の制御が可能 ・・・電気的機能特性に有効(誘電性,圧電性,半導 電性) ①添加元素効果 ②焼結温度制御 (2) 巨視的構造の制御が可能
ファインセラミックスの原料粉末の条件(:成形体製造に対する最重要因 子) ①粉末形状が等方的 ②粒径が均一かつ超微細 ③高純度(人工原料) ④構成相を容易に制御できる