海洋流体力学 2014 海洋流体力学とは、海洋に関する流体力学。本講義では、 海洋のみならず、大気も含めた地球流体力学について学ぶ。 Fluid Dynamics( 流体力学 ) Geophysical Fluid Dynamics (地球流体力学) 目標 海洋・大気大循環のイメージを描けるようにする。 海洋・大気に現れる波について理解する。 重視すること 方程式とは、左辺と右辺のバランスである。 左辺、右辺を構成する項は、全て同じ大きさではない。 注目する現象により、各項の相対的な大きさは変わる。 重要な項だけ、考えるのが地球流体力学の真髄 細かいことは気にせず、大掴みで現象を見る心が大事
黒潮 大規模な海洋循環 対馬海流 沿岸流 宗谷暖流 沿岸流 流れの蛇行 と渦 渦は小さい 渦は大きい 一枚の何気ない衛星画像に面白いことが沢山ある 親潮 大規模な 海洋循環
何故、波打つのだろう? 沿岸流の蛇行の様子に似ている⇒同じ物理で表現できる
何故、等圧線に沿った風が吹くのだろう? どうして冬は北風が吹き、夏は南風が吹くのだろう?
海流も、等圧線に沿って流れる 大気も海洋も同じ法則に支配されている⇒地球流体力学 海面の高さの分布 H L
黒潮が接岸すると、 岸に沿って強い流れ ができる⇒急潮 流れの速さは 黒潮と同じ程度 これは、対馬暖流や 宗谷暖流、 北極海に流入する 太平洋水の流れと同 じ 北半球では、このよ うな沿岸流は岸を右 手に見て必ず流れて いる。それは、何故 だろう?
貿易風が弱まると、 ケルビン波の伝播が 勝り、暖水域は東 に移動し始める 話は飛躍するようだが、 エルニーニョについて メカニズムの基本は 沿岸流(急潮)と同じ
冬半球: 約 40m/s 夏半球: 約 23m/s
北極振動のパターン 北極振動は日本の気候とどうして関係しているのか 白 黒 黒 灰 灰
物理学 物事をできるだけ単純に考え、共通点 (一般性)を見出し、エッセンスを理 解する。 研究を行うには、「問題設定が大事」 問題設定能力は、基礎をきちんと理解 しているかに掛かっている。 問題解決能力は、やりたい対象があれ ば、そのとき、なんとかなる。
学習目標及び 授業の方法 海洋物理系に進むことを希望している学生は、2年次に早期履修して欲しい。 海洋や大気など地球流体運動を支配する基本的な法則を学び、「海洋における波動現象」、「海洋・大気循環」、 「気候変動」の理解に必要な ” 基礎概念 ” を習得することを目標とする。 1. 方程式を構成する各項の意味 2. 方程式のバランス(支配力学) を掴むことを重視し、海洋や大気の運動や波動をイメージできるようになることを目指す。講義は黒板に板書しな がら説明し、必要に応じてプリントを配布する。尚、興味と理解を深めるために実際の現象との対応をパワーポイ ントにて説明する。 達成目標 1)回転系の流体方程式を構成する各項の意味を理解していること 2)コリオリ力を理解していること 3)地衡流を理解していること 4)渦位の保存を理解していること 5)重力を復元力とする波(重力波、慣性重力波、ケルビン波)の伝播の仕組みが理解できていること 6)渦位傾度を復元力とする波(ロスビー波)の伝播の仕組みが理解できていること 7)海洋風成大循環の概念を理解していること 授業の計画 1.流体力学とは 2.オイラーの見方とラグランジュの見方の関係 3.回転系に現れる見掛けの力、コリオリ力 4.回転系における流体の運動方程式と連続方程式 (非回転系の流体運動方程式にコリオリ力の項を加えただけである) 5.圧力と静水圧および静水圧近似 6.大規模な海洋や大気の流れ、「地衡流」 7.表面重力波、慣性振動、慣性重力波とケルビン波 8.渦位の保存 9.準地衡流渦位方程式 10.惑星ロスビー波、地形性ロスビー波 11.エクマン層の力学 12.海洋風成大循環論 ※上記の計画にある専門用語は、受講前には分からないと思うが、恐れないこと、気にしないこと。