公的年金 財政学(財政学B) 第 6 回 畑農鋭矢 1. 年金の分類 運営主体による分類 公的年金と私的年金 給付期間による分類 定期年金と終身年金 対象者による分類 国民年金、厚生年金、共済年金など 保険料と給付の決定方式による分類 確定給付型と確定拠出型.

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企業繁栄の土台は経営者のリスク対策が大切です 経営者のリスクには、 会社 と 個人 の両面がありま す。 事業保全リスク ● 売上ダウン ● 債務返済 ● 従業員年間給与 事業保全リスク ● 売上ダウン ● 債務返済 ● 従業員年間給与 生活保障リスク ● 遺族生活保障 ● 老後生活保障 生活保障リスク.
年金の基礎年金部分は 全額税方式か、全額保険料か? 椎野、鈴木、篠崎、畑 全額税方式派. 我々の主張 ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる! ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる!
公的年金 (2) 賦課方式と積立方式 公共政策論 II No.8 麻生良文. 公的年金制度の経済効果 公的年金の財政方式 2 期間モデルによる分析 – 保険料,給付の比較 – 生涯での純負担 賦課方式にもたらす世代間所得移転の性 質 賦課方式の年金制度の経済効果 – 資本蓄積 – 租税としての保険料.
公的年金 (3) 公共政策論 II No.9 麻生良文. 公的年金制度改革 公的年金バランスシートと通時的予算制 約 年金純債務と暗黙の租税 年金制度改革をめぐる誤解 – 積立方式の優位性 – 「二重の負担」 – 財源調達:税と社会保険料の最適な配分? – 賦課方式も積立方式も output をどう分配する.
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欧州経済社会評議会 欧州の年金制度が 直面している 問題 Krzysztof Pater. 人工統計学的要因 年金に関する EU グリーン ペーパーお よび ホワイト ペーパー 年金制度改革の主要動向 欧州経済社会評議会.
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ゆとりある生活を送る ためには. 老後生活に対する不安 80 %以上の人々が老後生活に不安を感じています 出所:生命保険文化センター平成 16 年.
ドイツの 医師年金保険制度. 医師年金保険制度  1960 年ごろ各州医師会は医師年金保険 を創設  医師免許取得者は全員 州医師会への加入と 州医師会の年金保険への加入 が義務づけられた  公的年金と同じ賦課方式なので 4 , 5 年後には老齢年金の給付が可能に なった.
2節 福利厚生の現状 現金給与と現金以外の給付の関係 [ データ ] 一人一ヶ月平均労働費用額と構成 (226 ページ参照 ) ⇒労働費用総額に占める現金給与の割合は、 8 割強が現金、 2 割弱が現金以外で支払われている ※小規模企業になるほど現金給与の割合が増加する傾向にある 企業規模計 1000.
年金制度について ・久米中学校1年生 Dグループ 垣原 将志 小谷 悟 野坂 昌弘 朝倉 太郎 中野 翔.
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少子高齢化 高橋香央里 加藤裕子 松本結 海老澤優.
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政策争点分析プロジェクト 2008年1月13日 G-SEC.
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都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
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公的年金と医療 財政論 I/II No.6 麻生良文.
介護保険制度に ついて!.
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
市場の失敗と政府の役割 経済学A 第9回 畑農鋭矢.
第7回 社会福祉の法制度.
財政-第23講 6.社会保障財政(4) 2008年7月1日 第1限.
財政-第25講 6.社会保障財政(6) 2008年7月8日 第1限.
財政-第24講 6.社会保障財政(5) 2008年7月1日 第2限.
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公的年金 財政学(財政学B) 第 6 回 畑農鋭矢 1

年金の分類 運営主体による分類 公的年金と私的年金 給付期間による分類 定期年金と終身年金 対象者による分類 国民年金、厚生年金、共済年金など 保険料と給付の決定方式による分類 確定給付型と確定拠出型

年金の役割 年金保険 リスクに対処 どのようなリスク? 年金保険と生命保険の対称性 なぜ公的年金は必要か? 民間ではダメな理由? ① 個人の非合理性 ② 逆選択 ③ 世代間の再分配

逆選択 逆選択 私的年金保険では低リスクの人ほど不利 ⇒加入者は高リスクの人ばかり ⇒給付が多くなり保険財政が破綻 or 保険料率が上がる モラル・ハザード

公的年金の制度 積立方式 老後資金を自らの若年時の保険料でカバー 賦課方式 老後資金を若い世代からの移転でカバー 過去 現在 未来 若 若 若 老 老 老

高齢化の進行 65 歳以上人口比率 資料:国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』.

2012 年 1 月推計 65 歳以上人口比率 資料:国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』.

積立方式と賦課方式 財源積立金世代間の 再分配 積立方式同世代の拠出(保険 料) ありなし 賦課方式次世代の拠出(保険 料) なしあり

世代間の再分配 同一世代内の格差 累進税や生活保護などの再分配制度 同一年齢なので、一時点での比較が可能 異なる世代の間の格差と再分配 年齢が異なるため、一時点で比較できない ⇒生涯所得や生涯に渡る受取・支払が問題 世代会計 個人と財政との受取・支払を生涯に渡り計 算 ⇒世代間の損得勘定の比較が可能 代表的なものとして公的年金

世代会計の研究 純負担の世代間格差(現在世代= 100 ) 吉田[ 1998 ] 鈴木[ 1999 ] Takayama et.al. [1999]437.8 麻生[ 2001 ] 世代間格差の国際比較(現在世代= 100 ) 基準ケース人口構成不変ゼロ債務 カナダ ドイツ フランス イタリア 日本 アメリカ (出所) Auerbach, Kotlikoff and Leibfritz [1999]

公的年金改革 積立方式の問題 制度導入時の高齢者に給付がな い 賦課方式の問題 高齢化で若年者の負担が重くな る 賦課方式から積立方式への改革 ⇒二重の負担 過去現在 未来 若 若 若 老 老 老