環境情報解析 第2回 空間情報工学 参考文献:空間情報工学 [ 日本測量協会 ]
空間情報工学の理念
空間情報工学 空間データを収集・格納・管理し、これを処理して 分布・配置・隣接関係などの空間分析を行い、 その結果を表示したり総合化して意味のある情報 を提供する工学。 関連する学問分野 地理学、土木 ( 建設 ) 工学、建築学、都市工学、 農学、林学、地質学、環境科学、都市・地域経済学、 海洋学、気象学、情報工学、電子工学
空間情報工学 空間データの 収集 空間データの 格納・管理 空間データの 処理 空間データの 分析 空間情報の 表示 情報の 抽出・提供 空間情報工学の基本要素
空間情報工学が生まれた背景 (1) 計算機の発達: デジタルデータの管理が可能に。 (2) 環境変化の速度: 変化の速度が著しく上昇 ↓ 地図、図面、資料の一元的かつ デジタル形式での管理が必要。 (3) 災害予測の必要性: 大型地震など。多頻度かつ 連続的な調査が不可欠。
(4) 地球観測技術の発達: 衛星リモートセンシング 全球規模での監視技術 (5) 通信技術の発達: 高速データ配信、 分散処理型計算機システム (6) 複雑な問題への対応: 単一学問領域から学際領域 を組織化する技術体系へ (7) 情報公開・自由化: オープンデータポリシー
空間情報工学の必要性 要求される機能関連する技術 空間データの効率的取得 空間データの操作・管理・検索 空間データの工学的処理 空間データの計量的空間分析 空間データの可視化 空間情報の抽出/提供 RS, GPS, イメージセンシング データベース, GIS 座標変換 / 投影変換, 工学計算 オーバーレイ, ネットワーク分析 シミュレーション CG, 画像出力, マルチメディア 応用技術, エキスパートシステム
空間情報工学の役割 空間情報基盤整備 自然、社会、経済、環境 などの基盤情報として 総合化 科学的情報提供 空間データを情報を 体系的に整理、分析し 利用者へ提供 情報の視覚的伝達 空間情報を利用者に 視覚的かつ分かり易い 形式で表示 意思決定支援 空間分析、シミュレー ションなどにより、数多く の代替案を示す
空間情報工学の応用分野 (1) 全球レベル 自然: 地球環境監視 ( 砂漠化、森林破壊、オゾンホール ) 社会: 人口予測、土地利用計画 経済: 穀物生産予測
(2) 地域レベル 自然: 流氷・黄砂などの監視 社会: 大気・海洋汚染 経済: 国際河川の流域管理 黄砂の監視
(3) 国レベル 自然: 環境・自然資源管理、大規模災害対策 社会: 国勢統計、各種基本地図、国家安全計画 経済: 国土計画、社会基盤整備事業、公共投資
(4) 地方自治体レベル 自然: 防災 社会: 都市計画、公共施設管理、警察・消防サービス 経済: 固定資産税管理
(5) 民間レベル 経済: カーナビ、住宅地図、宅配、顧客管理、観光 ある事務所から 5 分、 10 分以内で到達できる 範囲を検索、さらにその中に入る顧客を検索
空間情報の収集 ( 計測方法, データフォーマット )
空間データの収集方法 (1) 地上測量 ・電子平板測量 → 測量学実習 ( 地形測量 ) ・ GPS ・モービルマッピングシステム 6 つの軌道面に 4 個ずつ合計 24 個の GPS 衛星 (NAVSTAR )
(2) 地図計測 ・手動読み取り ( 後ほど実習 ) ・スキャナーを用いた自動/半自動読み取り
(3) 航空測量 ・航空写真の AD 変換 ・デジタル画像直接取得 (4) 衛星リモートセンシング
データ構造 (1) ラスタデータ X ( 行 ) Y(列)Y(列) (0,0) データ,属性 (ex. 標高,土地分類...) ・対象物の変数値を配列の形式 ( 行列 ) で表現 → セル構造 [ 画像はラスタデータ ] 長所 ・取り扱いが容易短所 ・位置を特定する能力に限界 がある。 ( セルの大きさに依存 ) ? =
(2) ベクターデータ ・座標値を持つ点を連ねた要素 により、ある領域を表現 ・データ ( 属性 ) は、点,線分,領域 に対して与えられる。 長所 ・要素をどこにでも置くことができる ( ラスタ-のような制約がない。 )短所 ・取り扱いが困難 多角形 ( ポリゴン ) 線分 ( アーク ) 点 ( ノード ) (3) ポイントデータ ・座標値 (x,y(,z)) とデータ属性 を持つ点の集合
演習: 手動読み取りによる地図計測 Lon.,lat. 緯線 経線 ポイント: 学校、郵便局、 … ライン: 道路、河川、 … ポリゴン: 水面 ( 湖 ) 、グラウンド、 …