無機化学 II 坪村太郎
無機化学 II 第1回第1回 4/7 無機化学Iの復習と無機化学IIで学ぶこととのかかわり 第2回第2回 4/14 無機化学と環境、資源 第3回第3回 4/21 産業と無機化合物のかかわり 第4回第4回 4/28 遷移金属元素 性質と資源 * 第5回第5回 5/12 遷移金属の化合物 第6回第6回 5/19 希土類元素 * 第7回第7回 5/26 金属錯体の基礎 第8回第8回 6/2 金属錯体の反応 * 第9回第9回 6/9 金属錯体の構造 第 10 回 6/18( 木 ) 金属錯体と電子の軌道 * 第 11 回 6/23 有機金属錯体 第 12 回 6/30 触媒反応とその機構 * 第 13 回 7/7 無機化合物・錯体の分析と構造解析 第 14 回 7/14 錯体と光エネルギー * 第 15 回 7/21 自然界や医療と金属錯体 ??期末試験
成績評価 授業の方法 講義を中心とするが,小テスト(6回予定)も行う. 成績評価の方法 期末試験( 60 %)と小テスト( 40 %)の合計で評価する.
無機 I 復習 1. 元素と原子の起源、原子核反応と原子力 2 H + 2 H → 3 He + 1 n 235 U + 1 n → 141 Ba + 92 Kr + □ 1 n 238 U → 234 Th + 4 He 234 Th → 234 Pa + e -
半減期 α 崩壊等で崩壊していく場合原子核の数は 下記の式にしたがって減少する。 N=N 0 ×2 -t/t 1/2 N 0 最初の原子数 t 1/2 半減期 1 ) 例えば N 0 =100 個 t 0 = 1h なら 1h後に 50 個、 2h 後に 25 個となる。 t 秒間に反応する原子数は N 0 - N 0 ×2 -t/t 1/2 = N 0 (1- 2 -t/t 1/2 ) 2) 例えば 40 K( 半減期 12 億年 ) が 1mol あったら、 1 秒間に反応する原子数 は ① 1 個 ② 1000 個 ③ 個 ④ 個 6×10 23 ( /( ×365×24×60×60) ) ≈ 1×10 7 個 /s
自然放射線の強度 人間の 0.2 %がカリウム (50kg とすれば 100g = 2mol) K は 93 %が 39 K 7%が 41 K 、 0.01 %が 40 K 人間には 2×10 -4 mol の 40 K が含まれる。 40 K → 40 Ca + e - β 崩壊により少しずつ崩壊している。 つまり人は 40 K によって □ ベクレルの放射線が体内で出ている。 放射性物質の原子核反応はさまざまな反応があるが、ともか く毎秒 n 個崩壊すればnベクレルとなる。 ベクレル(英語: becquerel 、記号 : Bq )とは、放射性物質が 1 秒間に 崩壊する原子の個数(放射能)を表す単位である ←wikipedia英語 崩壊放射能単位 2000Bq
2 周期表と元素の性質の周期性、電子配置 構成原理 K L M N H He LiBe BCNOF Ne NaMgAlSiPSCl Ar KCaScTiVCrMnFeCoNiCuZnGaGeAsSeBr Kr RbSrYZrNbMoTcRuRhPdAgCdInSnSbTeI Xe CsBa HfTaWReOsIrPtAuHgTlPbBiPoAt Rn FrRa RfDbSgBhHsMt DsRgCn Fl Lv LaCePrNdPmSmEuGdTbDyHoErTmYbLu AcThPaUNpPuAmCmBkCfEsFmMdNoLr 電子配置に多くの物質の性質 は依存する 周期表で同族のものの性質が 似ていることもこれによる。
原子半径の傾向は?
3 電子の軌道と波動関数 共有結合 シュレジンガーの式 波動関数 1 20 原子番号 1s 2s 2p s 3s 3p 3d 4s 4p 4d 4f 5s 波動関数が電子のふるまいを規定する。 共有結合 1つずつ電子の入った電子の軌 道の重なりに基づく 例 水素 H ・ + ・ H → H : H 電子を1つ持つ 1s 軌道同士が重なる
1s 軌道では電子の存在確率 ( 単位体積あたり) は どのように分布している? 1中心部分 2 縁の部分 3 縁のすぐ外側 1 2 3
4 ルイス構造式と VSEPR 理論 共鳴 VSEPR 理論 ( Valence Shell Electron Pair Repulsion )
XeF6 の Xe まわりの電子対数?
5 混成軌道と多重結合、分子軌道法 混成軌道の成り立ち sp 2 混成軌道 σ シグマ、 π パイ 結合 分 子軌道法 HOMO LUMO H 原子 H 2 分子 H 原子
酸素の分子軌道 不対電子は何個?下記の軌道に酸素原子 2 個の価電子を 詰める
6 固体と結晶の基礎 ( イオン結晶、金属と半導 体 ) 結晶のイメージ 塩化セシウム型と岩塩型
塩化セシウム型構造 図ではセシウムが中心で塩素が周りにある。これと逆の 構造、つまり塩素がまわりで中心がセシウムの構造は全 く同等である??
7 酸化還元反応と酸塩基反応 ブレンステッドの酸と塩基 ルイスの酸と塩基 固い酸と軟らかい酸 固い塩基と軟らかい塩基 酸化還元反応 標準還元電位と半反応式 例 Cu e - → Cu E ° = +0.4V Fe e - → Fe E ° = ?? ①0.4V より高い ②0.4V より低い
8 単体の性質と構造 同じ固体でも分子、共有性結晶 金属では構造も性質も異なる。
ゲルマニウムの構造は? 1. 二原子分子 2. ダイヤモンド構造 3. 体心立方格子
9 単体の反応、化合物の成り立ち、命名の基礎 同じ固体でも分子、共有性結晶 金属では構造も性質も異なる。 塩化ストロンチウム中の Sr-Cl 結合 P 4 O 10 中の P-O 結合はそれぞれ何結合か???
10 イオン結晶と共有結合性結晶 化合物の場合 イオン結晶の例 CaC 2 共有結合性結晶の例 クリストバ ライト 等電子構造 C-C と B-N
下記の化合物の特徴は何であったか?
11 水素の化合物 イオン性と分子性 三中心結合 塩類似水素化物 遷移金属水素化物 共有性水素化物 CaH 2 、 NaH など H- 陰イオンを含む 遷移金属結晶の隙間に水素原子が入ったもの 不定比化合物 多くの分子性化合物 H 2 O, NH 3, CH 4 など ホウ素の水素化物と三中心結合 価電子の合計は? 三中心二電子結合の数は? 二中心二電子結合の数は? 両結合の数の和は?
12 分子性酸化物とオキソ酸 酸化 数 酸化物性質等オキソ酸性質等 1 N 2 O 亜酸化窒素直線型 酸化剤、 麻酔剤(笑気) 2 NO 一酸化窒素常磁性 3 N 2 O 3 三酸化二窒 素 平面型 不安定 で分解 HNO 2 亜硝 酸 弱酸 pKa=3.2 酸化剤 4 NO 2 二酸化窒素 褐色で猛毒。 N 2 O 4 (無色)と の間に平衡あり 5 N 2 O 5 五酸化二窒 素 平面型 不安定 で分解 HNO 3 硝酸強酸 酸化力 あり 窒素酸化物とオキソ酸の例 酸化数オキソ酸 pKa X = Cl の場合性質 1 HXO 次亜 X 酸 7.5 非常に弱い酸酸化剤 3 HXO 2 亜 X 酸 2.0 弱酸強酸化剤 5 HXO 3 X 酸 -1.2 強酸酸化剤 爆薬 7 HXO 4 過 X 酸 -10 強酸酸化剤 爆発性 ハロゲンのオキソ酸の例
硫酸イオンの共鳴構造 全部単結合の構造もかけるか?
13 分子性ハロゲン化物と貴ガスの化合物 ルイス酸と塩基の例 構造興味深い例 SF 4 SF 6 ClF 3 等 貴 ( 希 ) ガスのハロゲン化物 XeF 2 など フッ素含有有機物 テフロンなどフッ素樹脂、 CFC など SF 4 と ClF 3 の構造を予測せよ
1 4 錯体と有機金属 用語 錯体、配位子、配位数 キレート 有機金属錯体 RLi RMgBr
1 5 生物無機化学 いわゆる無機化合物 CaCO 3 Ca 5 (PO 4 ) 3 (OH) 金属イオンの働き ヘモグロビン、ビタミン B12 など遷移金属含有化合物 Na+K+Ca2+Mg2+ 細胞内 15152< 細胞外
特に重要なポイント 電子配置は物質の物理的、化学的な性質 を決める。 物質の構造 ( 分子、イオン結晶、共有結合 結晶など)は見かけの性質と密接に関係 している。